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問31 臓器と触診部位の組合せで正しいのはどれか。
1.心臓:心窩部
2.肝臓:臍部
3.胆嚢:右季肋部
4.脾臓:右側腹部
答え.3
解説
(※図引用:「腹痛」ソージュ山下町内科クリニック様HPより)
1.× 心窩部は、「心臓」ではなく肝臓や胃が位置する。ちなみに、心臓は、肋骨があるため直接触診することは難しいが、第4~5肋間(胸骨の左側)に位置する。
2.× 臍部は、「肝臓」ではなく小腸が位置する。ちなみに、肝臓は、右季肋部(右上腹部)から心窩部に位置する。
3.〇 正しい。右季肋部は、胆嚢が位置する。胆嚢は、肝臓の右葉の下に位置し、右季肋部で触診される。Murphy徴候(マーフィー徴候)とは、急性胆嚢炎の徴候として用いられている。検者の手で右季肋下を圧迫した状態で患者に深吸気を促した際、疼痛により吸気が止まる所見を認めた場合、陽性と判断する。
4.× 右側腹部は、「脾臓」ではなく上行結腸が位置する。
問32 マックバーニー点に圧痛を認めるのはどれか。
1.胃潰瘍
2.胆嚢炎
3.虫垂炎
4.腎結石
答え.3
解説
1.× 胃潰瘍とは、胃粘膜が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損している状態である。症状として、みぞおちを中心(心窩部)とした鋭い痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、頻繁なげっぷ、食欲不振などである。
2.× (急性)胆嚢炎とは、胆のうに炎症が生じた状態である。 胆のうがむくんで腫れ、炎症の進行とともに胆のうの壁が壊死していく。 症状は、初期には上腹部の不快感や鈍痛で、炎症の進行とともに右季肋部痛(右の肋骨の下あたり)になり、次第に激痛になる。原因の90%は、胆のうの中の胆石が胆嚢の出口に詰まることである。胆石は、脂質の多い食生活でみられやすい。
3.〇 正しい。虫垂炎は、マックバーニー点に圧痛を認める。McBurney圧痛点とは、盲腸炎(急性虫垂炎)の診断に役立つ、腹部の特定の点で感じる圧痛のことを指す。右下腹部(右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分し、右から3分の1)に位置する圧痛点である。盲腸炎の疑いがある場合、この点に圧力を加えると患者は痛みを感じる。医師は、この圧痛点に加えて他の診断方法を用いて盲腸炎の確定診断を行う。ほかにも、急性虫垂炎には、ランツ点、キュンメル点、モンロー点という特徴的な圧痛点がある。モンロー圧痛点は右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中間点を指し、腹直筋の外縁と交叉する部位に相当する圧痛点のことを指す。
4.× 腎結石とは、典型的な最初の症状は脇腹から下腹部にかけての突然の激痛である。尿管から膀胱に向かって徐々に下降し、結石が膀胱に近づくと、膀胱を刺激し、頻尿や残尿感、腰背部に激しい痛みなどの症状が現れる。
尿路結石症とは、尿路に、結石(尿に含まれるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化したもの)ができる病気である。結石のできる位置によって、腎結石(腎臓内にある結石) 、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれる。結石ができる原因は明確に分かっていないが、リスク要因としては体質遺伝の他、生活習慣が大きく関わっているとされている。典型的な最初の症状は脇腹から下腹部にかけての突然の激痛である。 「動くと痛い」というのは結石の症状ではなく筋肉や骨からの症状のことが多いが、尿管結石の場合はじっとしていてももだえるほどの症状が出ることがある。 また、結石によって閉塞した部位の中枢側の尿路が拡張し、腰背部の仙痛発作が起こる。治療としては、①体外衝撃波腎・尿管結石破砕術、②経尿道的尿路結石除去術、③経皮的尿路結石除去術(もしくは②と③を同時に併用する手術)などがあげられる。
問33 C5レベルの脊髄を含む腱反射はどれか。
1.下顎呼吸
2.上腕二頭筋反射
3.上腕三頭筋反射
4.橈骨反射
答え.2
解説
1.× 下顎呼吸とは、呼吸中枢機能(主に延髄と橋)がほぼ失われた際の異常呼吸で、全身の低酸素時に起こる呼吸である。下顎は動いてはいるが、十分な肺の酸素化はできていないという特徴を持つことから、死戦期呼吸ともいわれる。臨死期になどに認められる努力様呼吸であり、胸式・腹式呼吸が困難になると出現する。
2.〇 正しい。上腕二頭筋反射は、C5レベルの脊髄を含む腱反射である。上腕二頭筋反射の【中枢】C5~C6(筋皮神経)、【検査法】上肢を軽度外転させ、肘をやや屈曲位にして、前腕を回内外中間位にする。上腕二頭筋付着部近くに検者の母指を当て、その上を叩打する。【判定】肘関節屈曲が起これば反射出現(+)。
3.× 上腕三頭筋反射の【中枢】C6ー8(主にC7)、【検査法】腕部をつかみ肘を軽く屈曲位にして、肘頭上部の上腕三頭筋腱部を直接叩打する。【判定】肘関節伸展が起これば反射出現(+)。
4.× 橈骨反射というものはない。腕橈骨反射の【中枢】C5~C6(橈骨神経)、【検査法】手首をつかんで肘を軽く屈曲位にして、前腕を回内外中間位か、やや回内位にし、橈骨下端を直接に叩打する。【判定】肘関節屈曲と前腕の回外運動が起これば反射出現(+)。手指の屈曲は起こっても弱い。
問34 消化器系症状と疾患の組合せで正しいのはどれか。
1.胸やけ:逆流性食道炎
2.腹痛:アルコール性肝障害
3.黄疸:腸閉塞
4.下痢:胃癌
答え.1
解説
1.〇 正しい。逆流性食道炎は、「胸やけ」がみられる。逆流性食道炎とは、胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流することにより、食道に炎症を起こす病気である。胃酸が食道に逆流することによって引き起こされ、胸骨の後ろに焼けるような痛みや不快感(胸やけ)を感じる。したがって、原因は、胃液の食道への逆流である。様々な要因があげられ、加齢・食事の内容・肥満・姿勢などによって、食道を逆流から守る仕組みが弱まるか、胃酸が増えすぎることで胃液が逆流するために起こる。
2.× アルコール性肝障害は、「腹痛」ではなく肝臓の肥大がみられる。アルコール性肝障害とは、アルコールの飲みすぎによって肝臓に負担がかかり、肝細胞に中性脂肪が蓄積することによって風船状に肥大化し肝機能が障害されてしまう病気である。初期には肝臓全体が腫れてアルコール性脂肪肝の状態となる。
3.× 黄疸は、「腸閉塞」ではなく肝臓や胆道系の異常(閉塞やビリルビンの代謝の異常)がみられる。黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの、②肝細胞の障害によるもの、③胆汁の流れの障害によるもの、④体質によるもの、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。随伴症状として、①腹痛、②発熱、③背中の痛み、④吐き気、⑤嘔吐、⑥腹部膨満、⑦皮膚の痒みなどである。
4.× 胃癌は、「下痢」ではなく胃痛がみられる。早期胃がんとは、胃の粘膜または粘膜下層に留まっている胃がんのことである。胃がんは、胃の内面を覆う粘膜の細胞ががん化することで発生する。早期胃がんの症状は、胃の痛み、不快感、違和感、胸焼け、吐き気、食欲不振などである。ちなみに、下痢は腸の疾患(例えば感染性腸炎や炎症性腸疾患)に関連することが多い。
イレウス(腸閉塞)とは、何らかの原因により、腸管の通過が障害された状態である。主に、①機械的イレウス(腸閉塞とも呼び、腸内腔が機械的に閉塞されて起こる)、②機能的イレウス(腸管に分布する神経の障害により腸内容が停滞する)に大別される。
①機械的イレウスには、器質的異常を伴うものをいい、単純性イレウスと絞扼性(複雑性)イレウスに分類される。機械的イレウスは血流障害の有無によって、さらに単純性イレウスと複雑性イレウスに分類される。絞扼性(複雑性)イレウスは、腸間膜血行の停止により腸管壊死を伴うイレウスであり、急激に病状が悪化するため緊急に手術を要する。
②機能的イレウスとは、器質的な異常がなく、腸管の運動麻痺や痙攣により腸管の内容物が停滞することである。長期臥床、中枢神経疾患、腹膜炎、偽性腸閉塞が原因となることが多い。麻痺性イレウスと痙攣性イレウスに分けられる。
問35 肺気腫で正しいのはどれか。
1.横隔膜は挙上する。
2.1秒率は低下しない。
3.禁煙が重要である。
4.在宅酸素療法は行わない。
答え.3
解説
(※図引用:yakugaku lab様HP)
肺気腫は、終末気管支より末梢の気腔が異常に拡大し、肺胞壁の破壊を伴うが、明らかな線維化は認められない状態のことである。慢性閉塞性換気障害を呈する。ちなみに、閉塞性換気障害では何らかの原因により気道が閉塞して気流が制限され、呼気が障害される。
1.× 横隔膜は、「挙上」ではなく平坦化する。なぜなら、呼気の排出が障害され機能的残気量は上昇し、肺は過膨張するため。
2.× 1秒率は低下「する」。なぜなら、呼気の排出が障害されるため。ちなみに、1秒率とは、息を努力して吐き出したときに呼出される空気量のうち最初の一秒間に吐き出された量の割合である。
3.〇 正しい。禁煙が重要である。肺気腫は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のひとつであり、最大の原因は喫煙である。喫煙者の約20%がCOPDを発症する。禁煙することで病気の進行を抑えることができる。
4.× 在宅酸素療法は「行わない」と断言できない。むしろ、肺の換気機能の程度に応じて、在宅酸素療法の適応となる。つまり、在宅酸素療法は、肺のガス交換の働きが低下し、血液中の酸素が不足した状態である。在宅酸素療法とは、酸素療法を自宅で実施することをさす。適応として、慢性呼吸不全や慢性心不全により体内の酸素濃度が低下している人に対して行われる。在宅でも安心して酸素療法を受けられるよう、生活指導などの看護支援が必要で、在宅酸素療法を実施している間は、火気厳禁となる。
慢性閉塞性肺疾患(COPD)の最大の原因は喫煙であり、喫煙者の約20%がCOPDを発症する。慢性閉塞性肺疾患とは、以前には慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称である。他の特徴として、肺の過膨張、両側肺野の透過性亢進、横隔膜低位、横隔膜の平低化、滴状心などの特徴が認められる。進行性・不可逆性の閉塞性換気障害による症状が現れる。
増加:残気量・残気率・肺コンプライアンス・全肺気量・PaCO2
減少:一秒率・一秒量・肺活量・肺拡散能・PaO2