第26回(H30年)柔道整復師国家試験 解説【午後86~90】

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問86 棘果長の延長がみられるのはどれか。

1.デュベルニー(Duverney)骨折
2.マルゲーニュ(Malgaigne)骨折
3.セゴン(Segond)骨折
4.ポット(Pott)骨折

答え.1

解説

下肢長の測定方法

①棘果長:上前腸骨棘から内果まで。
→骨盤の影響を含む。

②転子果長:大転子から外果まで。
→骨盤の影響は含まない。

1.〇 正しい。デュベルニー(Duverney)骨折は、棘果長の延長がみられる。なぜなら、腸骨翼が腰方形筋により上方へ転位しやすいため。デュベルニー(Duverney)骨折とは、腸骨翼単独骨折のことである。腸骨の上部から外側にかけた骨折である。

2.× マルゲーニュ(Malgaigne)骨折は、骨盤骨折の一形態で、前方骨盤輪骨折と後方骨盤輪骨折が合併した骨折で垂直方向にずれているものである。

3.× セゴン(Segond)骨折とは、膝前十字靱帯損傷に合併する前外側構成体の裂離骨折である。

4.× ポット(Pott)骨折は、足部の回内/外旋により、①三角靱帯断裂、②遠位脛腓関節の完全離開、③腓骨骨幹部または頸部の螺旋状骨折の3つを合併したものを指す。

 

 

 

 

 

問87 果部骨折におけるラウゲ・ハンセン分類で、前脛腓靱帯の断裂とともに、外果の斜骨折がみられるのはどれか。

1.回外・内転骨折
2.回外・外旋骨折
3.回内・外旋骨折
4.回内・外転骨折

答え.2

解説

ラウゲ・ハンセン分類とは?

Lauge-Hansenの分類とは、足部の肢位と距骨の動きにより、足関節果部骨折(脱臼骨折)の病態をまとめたものである。一つ目の用語が「足部の肢位」、二つ目が「下腿に対する距骨の動き」を示す。

①回外・外旋損傷:高頻度に見られ、前脛腓靱帯損傷に次いで外果のらせん骨折がおこる。重症になれば後果骨折、内果骨折も伴うことがある(三果骨折、Cotton骨折)。
②回内・外旋損傷:内果の横骨折が生じる。重症になれば、前脛腓靱帯損傷に次いで外果より高位の腓骨らせん骨折が生じ、後果骨折も生じることがある。
③回外・内転損傷:外果の横骨折が生じ、次いで内果の垂直方向に骨折線が入る骨折を生じる。
④回内・外転損傷:内果の横骨折が生じ、次いで外果の短い斜骨折が生じる。

1.× 回外・内転骨折は、足部の内転・回外強制時、距骨が強く内転されて発生する。

2.〇 正しい。回外・外旋骨折は、果部骨折におけるラウゲ・ハンセン分類で、前脛腓靱帯の断裂とともに、外果の斜骨折がみられる。コットン骨折でみられる。コットン骨折とは、足関節果部骨折のうち、内果・外果・後果の三果の同時骨折(脛骨・腓骨の同時骨折)を指す。

3.× 回内・外旋骨折は、①デュピュイトラン骨折、②ポット骨折、③チロー骨折などでみられる。①デュピュイトラン骨折とは、内果骨折、遠位脛腓関節の完全離開、腓骨骨幹部または頭部の螺旋状骨折を合併したものである。②ポット骨折とは、三角靱帯断裂、遠位脛腓関節の完全離開、腓骨骨幹部または頸部の螺旋状骨折を合併したものである。③チロー骨折とは、前脛腓靱帯付着部(脛骨側)のチロー結節の裂離骨折である。

4.× 回内・外転骨折は、後果骨折、内果骨折も伴うことがある(三果骨折、Cotton骨折)。

 

 

 

 

 

問88 下腿三頭筋の急激な収縮で発生する踵骨骨折はどれか。

1.水平骨折
2.載距突起骨折
3.踵骨体部骨折
4.踵骨隆起骨折

答え.1

解説
1.〇 正しい。水平骨折は、下腿三頭筋の急激な収縮で発生する踵骨骨折である。鴨嘴状骨折ともいう(※読み:おうし)。踵骨の後方へ向かって水平に骨折する。水平骨折とは、骨が横方向に折れる骨折で、強い衝撃や転落時などに発生する。アキレス腱の急激な牽引で剥離骨折が生じる。

2.× 載距突起骨折は、高いところからの飛び降りや交通事故など強い衝撃で発生する。なぜなら、載距突起は、体重が乗るところであるため。また、交通事故では、歩行者や自転車、バイクのドライバーが自動車と衝突したときに、足の外返し捻挫に伴う大きな外力と、載距突起についている「二分靱帯」が引っ張る力がはたらくため生じる。

3.× 踵骨体部骨折は、直接的な踵骨体部への外力(高所からの落下、交通事故、スポーツ中の負傷など)が原因で起こる。

4.× △ 踵骨隆起骨折より優先度が高いものが他にある。ただし、下腿三頭筋の停止は、踵骨隆起であるため、十分、下腿三頭筋の急激な収縮で発生する踵骨骨折として考えられる。ただし、停止部は厳密にいうと「踵骨隆起後面の中部」である。したがって、踵骨隆起骨折(踵骨隆起が縦に骨折)より、水平に骨折する確率のほうが高い。※もっと詳しくわかる方いらしたらコメント欄にて教えてください。

 

 

 

 

 

 

問89 胸鎖関節前方脱臼で正しいのはどれか。

1.肩に対して後方への介達外力によって発生する。
2.筋緊張を避けるため頭部を健側に傾ける。
3.鎖骨中央部骨折との鑑別が必要となる。
4.変形を残すと大きな機能障害がみられる。

答え.1

解説

胸鎖関節前方脱臼とは?

胸鎖関節は、鎖骨近位端が胸骨と接する部分で、前に解説した肩鎖関節の反対に位置している。胸鎖関節脱臼は、衝突や墜落などで、肩や腕が後ろ方向に引っ張られた際に、鎖骨近位端が、第1肋骨を支点として前方に脱臼することが多い。ずれの少ない軽症である場合見た目の変化は少なく、肩鎖関節を押したり肩を動かした時に、肩鎖関節に一致した痛みを感じる。ずれが大きくなると、鎖骨の出っ張りが明らかとなり、損傷が大きくなるため周囲が腫れる。青壮年に多発し幼少児には少なくコンタクトスポーツをやる人に多く発生する。

1.〇 正しい。肩に対して後方への介達外力によって発生する。胸鎖関節脱臼は、衝突や墜落などで、肩や腕が後ろ方向に引っ張られた際に、鎖骨近位端が、第1肋骨を支点として前方に脱臼することが多い。

2.× 筋緊張を避けるため、頭部を「健側」ではなく患側に傾ける。なぜなら、患側の肩が下垂するため。

3.× 鎖骨「中央部」ではなく近位端骨折との鑑別が必要となる。鎖骨近位端骨折と転位が類似する。鎖骨近位端骨折の突出変形を残しやすいが、上肢の運動機能への影響は少ない。

4.× 変形を「残しても」、大きな機能障害がみられ「にくい」。ただし、どこまでを「大きな機能障害」と定義しているのか、何と比較して大きな機能障害と言っているのか不明である。とはいえ、胸鎖関節前方脱臼は、鎖骨近位端骨折の突出変形を残しやすいが、上肢の運動機能への影響は少ない特徴を持つ。

 

 

 

 

 

問90 反復性肩関節脱臼の原因で誤っているのはどれか。

1.バンカート損傷
2.ヒル・サックス損傷
3.関節上腕靱帯断裂
4.肩峰下インピジメント症候群

答え.4

解説

反復性肩関節脱臼とは?

反復性肩関節脱臼とは、一度大きなけがをして肩を脱臼した方が、その後脱臼を繰り返してしまうことである。膝関節も反復性脱臼する可能性はあるが、特に肩関節が最も一般的である。

1.〇 正しい。バンカート損傷とは、肩が脱臼した際に関節窩の周りにある関節唇が損傷するものをいう。自然には修復されず、さらに靭帯が緩んでしまうと脱臼を繰り返す。これを反復性脱臼という。

2.〇 正しい。ヒル・サックス損傷とは、肩関節が脱臼した際に、上腕骨頭の後外側が、肩甲骨の角に押し付けられる力がかかり、陥没(圧迫)骨折を起こした状態をいう。

3.〇 正しい。関節上腕靱帯断裂は、肩関節の安定性を失わせ、反復性肩関節脱臼の原因となる。

4.× 肩峰下インピジメント症候群は、反復性肩関節脱臼の原因ではない。肩峰下インピンジメントとは、上腕骨大結節と棘上筋腱停止部が、烏口肩峰アーチを通過する際に生じる、棘上筋腱の機械的圧迫のことである。この機械的圧迫は棘上筋腱に集中して発生する。つまり、肩の近くの関節の細いところで、骨同士の隙間が、こすれがあっている状態である。 原因として、年齢や疲労、姿勢の影響で動きの連携がとれずに衝突するとされている。炎症や出血を起こす。

 

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