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問題26 一側性の錐体路障害でみられる歩行はどれか。
1.鶏歩
2.突進歩行
3.間欠性破行
4.分回し歩行
答え.4
解説
錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。
【錐体路徴候】
・深部腱反射亢進
・病的反射(+)
・表在反射(消失)
・痙性麻痺
【錐体外路症状】
・深部腱反射正常
・表在反射(+)
・病的反射(-)
・不随意運動の出現
1.× 鶏歩
鶏歩は、足関節の背屈筋力低下(前脛骨筋の筋力低下:総腓骨神経麻痺)でみられる。鶏歩とは、垂れ足になり、踵を高く上げつま先から投げ出すように歩くこと。
2.× 突進歩行
突進歩行は、パーキンソン病の症状(姿勢反射障害や寡動)で生じる。突進歩行とは、前のめりになって、急に小走りの状態で、何かにぶつかるまで自分の意志で止まることができない症状である。
3.× 間欠性破行
間欠性破行は、腰部脊柱管狭窄症の症状で生じる。間欠性跛行とは、歩行を続けると下肢の痛みと疲労感が強くなり、足を引きずるようになるが、休むと再び歩けるというものである。「体幹前傾」ではなく休むと改善する。
4.〇 正しい。分回し歩行は、一側性の錐体路障害でみられる歩行である。
ぶん回し歩行(痙性片麻痺歩行)は、麻痺により下肢がうまく動かず、円を書くように歩く。脳血管障害で起こりやすい。
パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
問題27 爪が薄く弱くなり陥凹している場合に欠乏していると考えられるのはどれか。
1.鉄
2.リン
3.亜鉛
4.蛋白質
答え.1
解説
1.〇 正しい。鉄は、爪が薄く弱くなり陥凹している場合に欠乏していると考えられる。
これをスプーン状爪と呼ぶことが多く、小球性貧血(鉄欠乏性貧血やサラセミアなど)とは、ヘモグロビン合成が障害されることで起こるヘモグロビン異常症でみられる。ちなみに、鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。
2.× リン
リンとは、成人の体内に最大で800g含まれ、その約80%、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムとして、骨や歯の構成成分となっている。残りは、14%が筋肉などの軟組織や細胞膜に、1%が細胞外液に存在している。欠乏症状としては、脱力感、筋力低下、溶血などである。
3.× 亜鉛
亜鉛とは、体内で作ることができない「必須微量ミネラル」で、体内に約2~4g存在し、歯、骨、肝臓、腎臓、筋肉に多く含まれている。200種以上の酵素の構成や酵素反応の活性化、ホルモンの合成や分泌の調整、DNA合成、タンパク質合成、免疫反応の調節などに作用し、身体の成長と維持に必要な栄養素である。欠乏症状としては、味覚障害、食欲不振、皮膚炎などがみられる。
4.× 蛋白質
蛋白質とは、体を作る構成要素で、酵素やホルモンなど体の機能を調節する大切な役割を果たしている。欠乏症状として、肌ハリの低下、枝毛、免疫機能低下などがみられる。
問題28 特徴的な顔貌について正しい組合せはどれか。
1.顔面神経麻痺:眼瞼を開けられない。
2.重症筋無力症:一見すると眠たそうである。
3.大量のステロイド投与:三日月のような顔貌である。
4.バセドウ(Basedow)病:仮面のような顔貌である。
答え.2
解説
バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。
1.× 眼瞼を開けられない(眼瞼下垂)は、「顔面神経麻痺」ではなくホルネル症候群や重症筋無力症である。
ホルネル(ホルナー)症候群とは、交感神経遠心路の障害によって生じる。三大徴候:中等度縮瞳、眼瞼下垂(眼裂狭小)、眼球陥凹(眼球後退)とする症候群である。眼の徴候以外は、顔面の発汗低下と紅潮を特徴とする。
2.〇 正しい。重症筋無力症:一見すると眠たそうである(眼瞼下垂)。
重症筋無力症とは、末梢神経と筋肉の接ぎ目(神経筋接合部)において、筋肉側の受容体が自己抗体により破壊される自己免疫疾患のこと。全身の筋力低下、易疲労性が出現し、特に眼瞼下垂、複視などの眼の症状をおこしやすいことが特徴(眼の症状だけの場合は眼筋型、全身の症状があるものを全身型と呼ぶ)。嚥下が上手く出来なくなる場合もある。重症化すると呼吸筋の麻痺をおこし、呼吸困難を来すこともある。日内変動が特徴で、午後に症状が悪化する。クリーゼとは、感染や過労、禁忌薬の投与、手術ストレスなどが誘因となって、急性増悪し急激な筋力低下、呼吸困難を呈する状態のことである(※参考「11 重症筋無力症」厚生労働省HPより)。
3.× 大量のステロイド投与は、「三日月のような顔貌」ではなく満月様顔貌(ムーンフェイス)である。
副腎皮質ステロイド薬の主な副作用として、①易感染性、②骨粗鬆症、③糖尿病、④消化性潰瘍、⑤血栓症、⑥精神症状(うつ病)、⑦満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満などである。
4.× 仮面のような顔貌(仮面様顔貌)は、「バセドウ病」ではなくパーキンソン病である。
パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
【ステロイドの機序】
ステロイドは細胞の中に入った後にグルココルチコイド受容体に結合する。ステロイドの結合したグルココルチコイド受容体は、細胞の核内へ移行し、炎症に関与する遺伝子の発現を調節すると言われている。 この結果として強力な抗炎症作用と免疫抑制作用が発揮される。
【ステロイドの副作用】
軽度:中心性肥満、体重増加、満月様顔貌
重度:消化管潰瘍、糖尿病、感染症、骨粗鬆症・骨壊死、筋炎、精神症状(抑うつ、せん妄)
ステロイドを長期的に内服した場合、体内でステロイドホルモンが分泌されなくなることがある。そのため、急に薬の内服を止めると体内のステロイドホルモンが不足し、倦怠感や血圧低下、吐き気、低血糖などの症状が起こることがある。これをステロイド離脱症候群という。
(※参考:「副腎皮質ステロイド」日本リウマチ学会様HP)
問題29 水が貯留した胸部の打診音はどれか。
1.清音
2.鼓音
3.濁音
4.グル音
答え.3
解説
1.× 清音
清音とは、通常、空気を含む部位(例えば、肺)を打診したときに聞こえる。音の振幅が大きく、含気が多いことを意味します。正常な場合、打診によって聴かれる。
2.× 鼓音
鼓音とは、ガスが充満しているとき、例えば、腸管内に大量のガスがあるときに聴こえる。気胸および肺に空洞のある患者の一部に胸部打診をしたとき聞こえる変化した鼓のような音調である。
3.〇 正しい。濁音は、水が貯留した胸部の打診音である。
濁音とは、打診で聴取される小さく濁った音である。音の振幅が小さく、含気が少ないことを意味する。肝臓、心臓などの実質性臓器において聴取される音である。腹水が貯留しているとき、臥位で側腹部を打診すると、液体が存在するため濁音が聴こえる。
4.× グル音
グル音とは、消化管の運動によって生じる音であり、腹部を聴診すると聴こえる腸の活動音である。つまり、打診で聴くものではなく、聴診で聞くものである。蠕動運動に伴って出るゴロゴロという音を、慣習的にグル音や腸雑音(正確には腸蠕動音)と呼ぶ。
問題30 胃潰瘍の圧痛点はどれか。
1.オトガイ点
2.ボアス点
3.ランツ点
4.ムンロー点
答え.2
解説
1.× オトガイ点は、三叉神経痛である。
バレー(Valleix)氏圧痛点:三叉神経の各枝は、頭蓋底にある穴を通って顔面骨にある穴から出てそれぞれの支配領域に分布する。
①第Ⅰ枝の眼神経:眼窩上孔から
②第Ⅱ枝の上顎神経:眼窩下孔から
③第Ⅲ枝の下顎神経:オトガイ孔から出ており、その部分を皮膚の上から押すと痛みが起こす。
2.〇 正しい。ボアス点は、胃潰瘍の圧痛点である。
ボアス点とは、第12胸椎の左側の圧痛点である。この部位を指で押したときに痛みを生じる場合、胃潰瘍、十二指腸潰瘍を示唆する。ちなみに、胃潰瘍とは、胃粘膜が炎症を起こし、粘膜の一部が欠損している状態である。症状として、みぞおちを中心とした鋭い痛み、吐き気、嘔吐、胸やけ、頻繁なげっぷ、食欲不振などである。
3.× ランツ点
ランツ点とは、急性虫垂炎に認められ、圧迫した際に強い痛みを感じる部位(圧痛点)の一つである。 左上前腸骨棘と右上前腸骨棘を結ぶ線を3等分し、3等分したうち右から1つ目の点周辺に存在する。
4.× ムンロー点
ムンロー点とは、急性虫垂炎にみられる、右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中間点を指し、腹直筋の外縁と交叉する部位に相当する圧痛点のことを指す。
McBurney圧痛点とは、盲腸炎(急性虫垂炎)の診断に役立つ、腹部の特定の点で感じる圧痛のことを指す。右下腹部(右上前腸骨棘と臍を結ぶ線を3等分し、右から3分の1)に位置する圧痛点である。盲腸炎の疑いがある場合、この点に圧力を加えると患者は痛みを感じる。医師は、この圧痛点に加えて他の診断方法を用いて盲腸炎の確定診断を行う。
ほかにも、急性虫垂炎には、ランツ点、キュンメル点、モンロー点という特徴的な圧痛点がある。モンロー圧痛点は右上前腸骨棘と臍を結ぶ線の中間点を指し、腹直筋の外縁と交叉する部位に相当する圧痛点のことを指す。