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問題31 体温が持続的に高く1℃以上の日内変動があるのはどれか。
1.弛張熱
2.稽留熱
3.波状熱
4.間欠熱
答え.1
解説
体温には日内変動が見られ、午前2〜6時ごろが最も低く、午後から夕方(午後3〜8時)にかけて高い状態になる。基本的には1℃以内程度の日内変動である。
1.〇 正しい。弛張熱は、体温が持続的に高く1℃以上の日内変動がある。
弛張熱(読み:しちょうねつ)の特徴は、日内変動が1℃以上あるが、37℃以下にまでは下がらない熱のことである。主な疾患は、化膿性疾患、敗血症、ウイルス感染症、悪性腫瘍、肺結核などでみられる。
2.× 稽留熱
稽留熱(読み:けいりゅうねつ)の特徴は、日内変動が1℃以内で、38℃以上の高熱が持続する熱のことである。主な疾患は、重症肺炎や腸チフス極期、粟粒結核などでみられる。
3.× 波状熱
波状熱(再発熱)の特徴は、発熱する時期と発熱しない時期とが区別されており、不規則に繰り返し出現する熱のことである。主な疾患は、ブルセラ症、マラリア、ホジキン病、胆道閉鎖症などでみられる。
4.× 間欠熱
間欠熱の特徴は、高熱と平熱の状態が一定期間を置いて交互に出現する。1日の体温差が1℃以上あり、37℃以下にまで下がる熱(体温差が大きい)のことである。主な疾患は、マラリアの発熱期やスティル病、フィラリア症などでみられる。
問題32 表在感覚はどれか。
1.位置覚
2.温度覚
3.振動覚
4.2点識別覚
答え.2
解説
感覚の分類は主に3つに分けられる。
①表在感覚とは、皮触覚・痛覚・温度覚である。
②深部感覚とは、関節覚(位置覚、運動覚)・振動覚・及び深部痛覚である。
③複合感覚とは、立体覚、皮膚書字感覚、二点識別覚、部位覚、重量覚などである。
1.3.× 位置覚/振動覚は、深部感覚である。
深部感覚とは、身体内部の感覚を意味する。固有感覚または自己受容感覚とも呼ばれ、筋受容器からの伸縮の情報により、身体部位の位置の情報が得られる。
2.〇 正しい。温度覚は、表在感覚である。
4.× 2点識別覚は、複合感覚である。
複合感覚とは、二点識別感覚、皮膚書字覚、立体認知、二点同時刺激識別感覚といった知覚を含む高度な感覚である。刺激の局在部位を識別する感覚である。
問題33 顔面神経が関与するのはどれか。
1.咽頭反射
2.下顎反射
3.角膜反射
4.瞳孔反射
答え.3
解説
顔面神経とは、表情筋の運動、涙腺や口蓋腺などの分泌作用制御の副交感神経、および味覚を司る感覚神経を含む混合神経である。したがって、顔面神経の障害により、顔面表情筋の障害、角膜反射低下、聴覚過敏、味覚低下(舌前2/3)、涙分泌低下、唾液分泌低下などが起こる。
1.× 咽頭反射
咽頭反射は、【求心性神経】舌咽神経、【遠心性神経】迷走神経である。咽頭反射とは、気管に異物が入らないようにするための反射で、咽頭後壁や舌根部を舌圧子などで刺激すると嘔吐が誘発される。
2.× 下顎反射
下顎反射は、【求心性神経】【遠心性神経】ともに三叉神経である。下顎反射とは、軽く口を開かせて、下顎のオトガイ部に検者の左母指あるいは示指を当て、その指の上を叩打するものである。下顎が上昇すれば亢進。
3.〇 正しい。角膜反射は、顔面神経が関与する。
角膜反射は、【求心性神経】三叉神経、【遠心性神経】顔面神経である。角膜反射とは、角膜にものが触れると眼を閉じる反射である。角膜への刺激は、両側の顔面神経核に伝わるため両目が閉じる。
4.× 瞳孔反射
瞳孔反射は、【求心路】視神経、【遠心路】動眼神経である。瞳孔反射(対光反射)は、ペンライトを用い、瞳孔に光を入れ、縮瞳を観察する。
問題34 突然の腹痛とともに下血(鮮血便)がみられるのはどれか。
1.クローン(Crohn)病
2.過敏性腸症候群
3.虚血性大腸炎
4.潰瘍性大腸炎
答え.3
解説
1.× クローン(Crohn)病
クローン病とは、小腸や大腸などの粘膜に、慢性的な炎症を引き起こす病気のことで、クローン病は10~20歳代で発症するケースが多く、主に小腸や大腸に炎症が現れる。現在のところ、はっきりした発症原因はよく分かっていない。一般的な症状は腹痛と下痢である。しかし、口から肛門まで全ての消化器官に炎症を引き起こす可能性があるため、症状は人によって大きく異なる。栄養の消化吸収障害、炎症による消耗に伴う必要エネルギーの増加などが起こるため、食事・栄養管理は重要である。したがって、クローン病の食事療法は高カロリー・低脂肪食・低残渣食が基本とされている。低残渣食とは、胃腸に負担をかけないように調整した食事のことで、日常の食事で胃腸にもっとも負担をかける成分は食物繊維で、それを制限し負担をかけやすい脂肪の多い物・刺激の強い物・極端に冷たい物などを控えた食事のことである。必要エネルギーの補給のほか、腸管の安静と食事性アレルゲンの除去を目的として栄養療法を行う。治療では小腸や大腸などの炎症や、過剰な免疫作用を抑える薬物療法が中心に行われる。
2.× 過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは、通常の検査では腸に炎症・潰瘍・内分泌異常などが認められないにも関わらず、慢性的に腹部の膨張感や腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を感じる症候群である。腸の内臓神経が何らかの原因で過敏になっていることにより、引き起こされると考えられている。それぞれタイプが存在し、①下痢型(ストレスや緊張などのわずかなきっかけによって腹痛と激しい便意とともに下痢を生じる)、②便秘型(便秘に伴ってお腹の張りなどの症状が起こる)、③混合型(便秘と下痢が交互に繰り返すもの)がある。
3.〇 正しい。虚血性大腸炎は、突然の腹痛とともに下血(鮮血便)がみられる。
虚血性大腸炎とは、腸粘膜の局所的な虚血性変化を示すものである。原因として、腸間膜動脈の末梢枝または腸間膜静脈の閉塞・狭窄によることが多い。好発部位として、上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の灌流領域の境目(下行結腸の前後5cm含めたあたりまで)である。症状として、突然の腹痛、しぶり腹様の腹痛、下痢、下血がみられる。予後良好である。安静・絶飲食ののち2週間ほどで自然寛解する。
4.× 潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎とは、主に大腸の粘膜を侵し、再燃と寛解を繰り返す慢性のびまん性炎症性腸疾患である。症状として、繰り返す粘血便・下痢・腹痛・発熱・体重減少などがみられる。したがって、潰瘍性大腸炎の食事は、易消化性で高エネルギー、高タンパク、低脂肪、低残渣食を基本とする。
黒色便:主に上部消化管からの出血である。色が黒くなるのは胃酸などの消化液で血液が酸化されるためである。
鮮血便:横行結腸以下の出血で起こる。
問題35 逆流性食道炎で正しいのはどれか。
1.繰り返す嘔吐が原因である。
2.胃酸の分泌を抑える治療を行う。
3.日常の注意として臥床前に飲食するようにする。
4.ヘリコバクター・ピロリ菌の感染によって生じる。
答え.2
解説
逆流性食道炎とは、胃の内容物(主に胃酸)が食道に逆流することにより、食道に炎症を起こす病気である。したがって、原因は、胃液の食道への逆流である。様々な要因があげられ、加齢・食事の内容・肥満・姿勢などによって、食道を逆流から守る仕組みが弱まるか、胃酸が増えすぎることで胃液が逆流するために起こる。
1.× 原因は、「繰り返す嘔吐」ではなく胃液の食道への逆流である。
逆流性⾷道炎の典型的な症状として胸やけである。その他では⻑期間続く腹痛、吐き気・嘔吐、⻑期間続く咳、喉の違和感などの症状が挙げられる。逆流した胃内容物が気管や⾷道を刺激して、喘息や⾷道粘膜からの出⾎(ひどい時には吐⾎)、慢性的に出⾎が継続することで鉄⽋乏性貧⾎を⽣じることもある。
2.〇 正しい。胃酸の分泌を抑える治療を行う。
治療薬としては、①胃酸分泌抑制剤、②消化管運動機能改善剤、③制酸剤、④粘膜保護剤などが使われる。
3.× 日常の注意として、「臥床前」ではなく臥床後に飲食するようにする。
つまり、食事後、食べ物(胃酸)が逆流しないように、食事後2~3時間は横にならないよう指導する必要がある。
4.× ヘリコバクター・ピロリ菌の感染によって生じるのは、主に胃がんである。
ヘリコバクター・ピロリ菌は、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃癌などに関与している菌である。ヘリコバクター・ピロリ菌は、井戸水などにより経口感染するヒトなどの胃に生息するらせん型のグラム陰性微好気性細菌である。単にピロリ菌と呼ばれることもある。アンモニアを遊離し、局所をアルカリ化することによって胃粘膜の障害をきたす病原菌である。胃炎や胃潰瘍の発生に関与する。