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問題36 肺結核で正しいのはどれか。
1.結核菌は空気感染する。
2.結核菌PCR検査で陰性となる。
3.ツベルクリン反応は陰性となる。
4.インターフェロン/遊離試験はBCG接種で陽性となる。
答え.1
解説
肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。
1.〇 正しい。結核菌は空気感染する。
空気感染とは、飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染するものを指す。例えば、結核、水痘、麻疹などである。
2.× 結核菌PCR検査では「陰性」ではなく陽性となる。
結核菌PCR検査とは、結核菌の核酸を増幅し菌の存在を確認する検査であり、臨床検体から核酸の検出まで数時間で行うことが可能であるため結核菌を含む抗酸菌の診断に非常に有用な方法である。感度88%、特異度98%という結果が示されている。
3.× ツベルクリン反応は「陰性」ではなく陽性となる。
感染症予防法の改正により、平成24年度からツベルクリン反応検査は廃止されている。現在、結核の感染症診断にはツベルクリン反応に代わり、BCG接種や大多数の非結核性抗酸菌感染の影響を受けないインターフェロンγ遊離試験(IGRA)が汎用されている。
4.× インターフェロン/遊離試験はBCG接種で「陽性」ではなく陰性となる。
なぜなら、BCG接種で肺結核を防ぐことができるため。BCGワクチン(BCG接種)とは、ウシ型結核菌の実験室培養を繰り返して作製された細菌、および、それを利用した結核に対する生ワクチンである。1歳まで(標準として生後5か月から8か月まで)に1回接種する。主に小児の結核の発症・重症化予防に効果があるとされている。
感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。
①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。
②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。
③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。
(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)
問題37 急性心筋梗塞で誤っているのはどれか。
1.心電図検査でST上昇を認める。
2.血液検査でトロポニンの低下を認める。
3.冠動脈造影検査で冠動脈の閉塞を認める。
4.心エコー検査で心室の壁運動の低下を認める。
答え.2
解説
急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。リスクファクターとして、①高血圧、②喫煙、③糖尿病、④脂質代謝異常などである。合併症には、不整脈や心不全、脳梗塞がある。そのほかに重篤なものとして心破裂や心室中隔穿孔などがある。
1.〇 正しい。心電図検査でST上昇を認める。
ST上昇、異常Q波、冠性T波がみられている場合は、心筋梗塞を疑う。心筋梗塞では、T波の増高が最も早くみられ、時間の経過と共に【ST上昇→異常Q波→冠性T波】がみられるようになる。ちなみに、異常Q波とは、幅が0.04秒以上、または、Q波の深さがR波の高さの1/4であることを指す。また、冠性T波とは、急性心筋梗塞を発症してから1~4週後に認められる左右対称性の陰性T波である。発作時、安静時ともにT波は陽性となる。
2.× 血液検査でトロポニンの「低下」ではなく上昇を認める。
トロポニンTとは、横紋筋の薄いフィラメント上でトロポニンI・Cとともにトロポニン複合体を形成し、筋収縮の調節に関与している分子量39,000の蛋白である。 平滑筋には存在せず、しかも構造が心筋と骨格筋とで異なるため、両者を明確に識別することが可能となり、現在最も特異的な心筋障害のマーカーと考えられている。トロポニンは、心筋の構成成分であるため、これが血液中に出現する場合には、急性心筋梗塞などの心筋傷害を意味する。心筋梗塞後、トロポニンTは、3~4時間上昇(14~21日に正常化)する。
3.〇 正しい。冠動脈造影検査で冠動脈の閉塞を認める。
急性心筋梗塞とは、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死することである。冠動脈造影検査とは、狭心症や心筋梗塞を確定するために行われる検査で、足の付け根や手首からカテーテルという細くやわらかい管を挿入し、冠動脈の中にX線に反応する造影剤を入れ、X線撮影する。
4.〇 正しい。心エコー検査で心室の壁運動の低下を認める。
なぜなら、急性心筋梗塞により、冠状動脈内に血栓が形成され、動脈を閉塞し心筋が壊死しているため。心臓超音波検査(心エコー検査)とは、超音波を当てて心臓の大きさ、動き、弁の状態、血液の流れなどを観察し、ポンプが正常に働いているかどうかを判断する検査である。心筋梗塞や心臓肥大、弁膜症、先天性疾患などが発見できる。
【血液検査】
・WBC:2~3時間上昇(7日に正常化)
・CK:2~4時間上昇(3~7日に正常化)
・トロポニンT:3~4時間上昇(14~21日に正常化)
・AST:6~12時間上昇(3~7日に正常化)
・LD(LDH):12~24時間上昇(8~14日に正常化)
・CRP:1~3日上昇(21日に正常化)
・ESR:2~3日上昇(5~6週)
※急性心筋梗塞を来した場合、血液検査にて心筋壊死所見を示すデータがみられるのは、通常、発症2時間以降である。WBC、CKの異常が最も早く出現する。
問題38 鉄欠乏性貧血の症状でないのはどれか。
1.頻脈
2.異食症
3.ばち指
4.易疲労感
答え.3
解説
鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。原因としては、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足、消化性潰瘍やがん、痔などの慢性出血による鉄の喪失、腸管からの鉄吸収阻害などがあげられる。
1.〇 頻脈
なぜなら、鉄欠乏性貧血では赤血球とヘモグロビンの数が減少するため、体内の酸素運搬能力が低下するため。その機能を代償するため、身体は心拍数を上げる(頻脈)。
2.〇 異食症
鉄欠乏性貧血の原因のひとつに、栄養の偏りなどによる鉄分の摂取不足があげられる。一方、異食症とは、食べものではないものを日常的に食べることを特徴とする摂食障害である。異食症は、栄養障害などでみられることがあり、鉄欠乏性貧血における氷食症が有名である。悪性貧血ではまれに精神障害をきたすこともあるが、症状として①興奮や②軽い意識混濁などである。
3.× ばち指は、鉄欠乏性貧血の症状でない。
バチ指は、慢性に経過する心疾患・肺疾患あるいは肝疾患などで見られる。これらの基礎疾患がなくとも先天性に変形していることもある。
4.〇 易疲労感
なぜなら、鉄欠乏性貧血では赤血球とヘモグロビンの数が減少するため、体内の酸素運搬能力が低下するため。貧血により酸素運搬能力が低下すると、筋肉や脳などの組織に必要な酸素が十分に届かず、結果として疲労感が現れる。
特発性肺線維症は、肺胞の損傷により間質が分厚く硬くなる病態である。原因不明とされているが、危険因子として喫煙が挙げられる。50歳以上の男性での発症頻度が高い。特発性間質性肺炎のうち最も頻度が高く、緩徐に進行する予後不良の疾患である。繰り返す肺胞上皮の損傷とそれに伴う修復の異常により、間質の線維化、肺胞構造の再構築が起こる。乾性咳嗽と徐々に増悪する労作性呼吸困難が主症状である。また、ばち指がみられることもある。肺癌や気胸の合併がみられる。特徴的な所見の確認に加え、詳細な病歴聴取や診察、各種検査による他疾患の除外が重要である。
問題39 糖尿病の合併症として生じる神経障害でないのはどれか。
1.手指振戦
2.振動覚低下
3.起立性低血圧
4.膝蓋腱反射消失
答え.1
解説
糖尿病には、主に3大合併症として、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害があげられる。なかでも糖尿病性神経障害とは、糖尿病に合併する末梢神経障害である。症状は、①眼筋・眼瞼挙筋麻痺、③下肢の腱反射低下、④振動覚障害、しびれなどが特徴である。上肢よりも下肢,近位部よりも遠位部が障害されやすい。感覚障害は、手部や足部に左右対称におこることが多い。
1.× 手指振戦は、糖尿病の合併症として生じる神経障害ではない。
振戦とは、手指や手指以外にも腕、足、アゴ、頭部などに安静時(何もしていない時)にみられるふるえのことである。特に、手指に振戦が見られるもの手指振戦という。原因として、パーキンソン病やアルコール依存症、甲状腺ホルモン分泌の亢進などさまざまである。また、糖尿病においても低血糖症状として、手指振戦がみられることがある。とはいえ、低血糖症状は、糖尿病の神経障害とは異なる。
2.〇 正しい。振動覚低下
特に両側の下肢の内果の振動覚が低下しやすい。ちなみに、音叉を用いた振動覚検査とは、振動している音叉の柄の部分を、被験者の内果に当て、「振動が感じられなくなった時点」を合図してもらい、振動が感じられなくなるまでの時間(秒)を測定する。
3.〇 正しい。起立性低血圧
これは、糖尿病神経障害における自律神経障害の一種である。自律神経が障害されると、血圧の調節機構が正常に作動せず、 起立性低血圧(めまい・立ちくらみ)が起こりやすくなる。
4.〇 正しい。膝蓋腱反射消失
両側アキレス腱反射の低下あるいは消失は、糖尿病神経障害の程度を評価する指標の一つである。
1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。一方、2型糖尿病の原因は生活習慣の乱れなどによるインスリンの分泌低下である。運動療法の目的を以下に挙げる。
①末梢組織のインスリン感受性の改善(ぶどう糖の利用を増加させる)
②筋量増加、体脂肪・血中の中性脂肪の減少。(HDLは増加する)
③摂取エネルギーの抑制、消費エネルギーの増加。
④運動耐容能の増強。
【糖尿病患者に対する運動療法】
運動強度:一般的に最大酸素摂取量の40~60%(無酸素性代謝閾値前後)、ボルグスケールで『楽である』〜『ややきつい』
実施時間:食後1〜2時間
運動時間:1日20〜30分(週3回以上)
消費カロリー:1日80〜200kcal
運動の種類:有酸素運動、レジスタンス運動(※対象者にあったものを選択するのがよいが、歩行が最も簡便。)
【運動療法の絶対的禁忌】
・眼底出血あるいは出血の可能性の高い増殖網膜症・増殖前網膜症。
・レーザー光凝固後3~6カ月以内の網膜症。
・顕性腎症後期以降の腎症(血清クレアチニン:男性2.5mg/dL以上、女性2.0mg/dL以上)。
・心筋梗塞など重篤な心血管系障害がある場合。
・高度の糖尿病自律神経障害がある場合。
・1型糖尿病でケトーシスがある場合。
・代謝コントロールが極端に悪い場合(空腹時血糖値≧250mg/dLまたは尿ケトン体中等度以上陽性)。
・急性感染症を発症している場合。
(※参考:「糖尿病患者さんの運動指導の実際」糖尿病ネットワーク様HPより)
問題40 関節リウマチで障害されやすいのはどれか。
1.頸椎環軸関節
2.遠位指節間関節
3.仙腸関節
4.胸鎖関節
答え.1
解説
①環軸椎亜脱臼、②肩関節可動域制限、③肘関節屈曲拘縮、④手関節尺側偏位、⑤手指変形(PIPやMP関節)、⑥股関節屈曲拘縮、⑦膝関節内外反変形・屈曲拘縮、⑨足・足趾変形などがある。
1.〇 正しい。頸椎環軸関節は、関節リウマチで障害されやすい。
環軸関節亜脱臼は生じやすい。関節リウマチの死因としても知られ、頚椎可動域運動を行わないほうが良い。特に、頸部の屈曲は禁忌である。
2.× 遠位指節間関節(DIP関節)の変形は、Heberden結節(へバーデン結節)である。
関節リウマチの手指変形は、PIPやMP関節が一般的である。手指の変形性関節症は、大きく2種類あり、①DIP関節の変形(ヘバーデン結節)と、②PIP関節の変形(ブシャール結節)がある。これらの関節と親指の付け根がこわばり、ときに痛みを伴うことがある。一般的に手首・MP関節、手掌の関節は侵されない。治療としては、①関節可動域を改善する訓練を温水中で行う(運動中の痛みを軽減しできるだけ関節を柔軟にしておくため)、②安静にする、③間欠的に副子で固定して変形を予防する、④鎮痛薬や非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)を用いて痛みや腫れを軽減するなどがあげられる。
3.× 仙腸関節
仙腸関節(仙骨と寛骨の関節部分)は、強直性脊椎炎などに炎症がみられる。強直性脊椎炎は、痛みを主症状とする疾患である。脊椎や仙腸関節の炎症が主体となる慢性炎症性疾患である。疼痛は腰痛や殿部痛から始まり、次第に広がっていく。10歳代の若年男性に多く、ぶどう膜炎(虹彩毛様体炎)、竹様脊椎といった症状も特徴である。
4.× 胸鎖関節
胸鎖関節は、外力により脱臼しやすい関節といえるが、関節リウマチで胸鎖関節を侵すことは比較的稀である。なぜなら、関節リウマチは小関節から変形しやすい特徴を持つため。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)