第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午後11~15】

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問題11 二酸化炭素の建築物環境衛生管理基準はどれか。

1.検出されてはならない
2.0.001%以下
3.0.1%以下
4.10%以下

答え.3

解説

建築物環境衛生管理基準とは?

建築物環境衛生管理基準とは、環境衛生上、良好な状態に維持をするのに必要な措置のことである。建築物における衛生的環境の確保に関する法律4条を根拠とする。
【浮遊粉じんの量】 0.15 mg/m3以下
【一酸化炭素の含有率】100万分の10以下(=10 ppm以下)
【二酸化炭素の含有率】 100万分の1000以下(=1000 ppm以下)
【温度】 ①17℃以上28℃以下、②居室における温度を外気の温度より低くする場合は、その差を著しくしないこと。
【相対湿度】 40%以上70%以下
【気流】 0.5 m/秒以下
【ホルムアルデヒドの量】 0.1 mg/m3以下(=0.08 ppm以下)

1~2.4.× 検出されてはならない/0.001%以下/10%以下
二酸化炭素の建築物環境衛生管理基準ではない。

3.〇 正しい。0.1%以下は、二酸化炭素の建築物環境衛生管理基準である。
二酸化炭素の含有率とは、100万分の1000以下(=1000 ppm以下)である。

 

 

 

 

 

問題12 廃棄物処理法に基づく廃棄物の取り扱いで誤っているのはどれか。

1.産業廃棄物の処理の責任は事業者にある。
2.家庭で飼っていた動物の死体は一般廃棄物として扱う。
3.特別管理産業廃棄物の委託処理に管理票(マニフェスト)を使用する。
4.医療機関において体液に汚染されたガーゼは一般ごみと共に廃棄してよい。

答え.4

解説

感染性廃棄物とは?

感染性廃棄物とは、医療関係機関等から生じ、人が感染し、若しくは感染するおそれのある病原体(感染性病原体)が含まれ、若しくは付着している廃棄物又はこれらのおそれのある廃棄物を言い、廃棄物処理法施行令第1条第1項第8号に定める感染性一般廃棄物と、同法施行令第2条の4第1項第4号に定める感染性産業廃棄物を指す。

1.〇 正しい。産業廃棄物の処理の責任は事業者にある。
廃棄物処理法の第11条1項(事業者及び地方公共団体の処理)に「事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない」と記載されている(※引用:「廃棄物処理法」e-GOV法令検索様より)。

2.〇 正しい。家庭で飼っていた動物の死体は一般廃棄物として扱う。
廃棄物処理法の第二条(定義)【この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)をいう。2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう】と記載されている(※引用:「廃棄物処理法」e-GOV法令検索様より)。

3.〇 正しい。特別管理産業廃棄物の委託処理に管理票(マニフェスト)を使用する。
廃棄物処理法の第十二条の三(産業廃棄物管理票)【その事業活動に伴い産業廃棄物を生ずる事業者は、その産業廃棄物の運搬又は処分を他人に委託する場合には、環境省令で定めるところにより、当該委託に係る産業廃棄物の引渡しと同時に当該産業廃棄物の運搬を受託した者に対し、当該委託に係る産業廃棄物の種類及び数量、運搬又は処分を受託した者の氏名又は名称その他環境省令で定める事項を記載した産業廃棄物管理票(以下単に「管理票」という。)を交付しなければならない】と記載されている(※引用:「廃棄物処理法」e-GOV法令検索様より)。

4.× 医療機関において体液に汚染されたガーゼは、一般ごみと共に廃棄しては「ならない」。
なぜなら、体液に汚染されたガーゼは感染症リスクがあるためである。感染性産業廃棄物に該当する。産業廃棄物とは、法で6種類、令で14種類の廃棄物が定められており、医療関係機関等からは血液(廃アルカリ又は汚泥)、注射針(金属くず)、レントゲン定着液(廃酸)等が発生する。これらのうち感染性廃棄物であるものを感染性産業廃棄物といい、感染性がないものを非感染性産業廃棄物という。 

(※図引用:「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」環境省HPより)

 

 

 

 

 

問題13 ICIDHで能力低下はどれか。

1.大腿四頭筋の徒手筋力テストが3である。
2.足関節の背屈可動域がマイナス10度である。
3.歩行距離が最大50mである。
4.歩行可能範囲に商店がなく買い物ができない。

答え.3

解説

ICIDHとは?

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、人間の生活機能と障害分類法として2001年5月、世界保健機関(WHO)において採択された。これまでの ICIDH(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:国際障害分類、1980)が「疾病の帰結(結果)に関する分類」であったのに対し、ICF は「健康の構成要素に関する分類」であり、新しい健康観を提起するものとなった。生活機能上の問題は誰にでも起りうるものなので、ICF は特定の人々のためのものではなく、「全ての人に関する分類」である。

機能障害:病気やけがによる一次的な生物学的障害
能力低下:けがによって歩けないといった個人レベルの障害
社会的不利:けがによって就職できないといった社会レベルの障害

1.× 大腿四頭筋の徒手筋力テストが3であるのは、「機能障害」である。
徒手筋力テスト(MMT:manual muscle testing)は、筋力を測定するための方法のひとつである。筋収縮のまったくみられない場合「0」、正常を「5」として6段階で評価する。3(fair:良)は、「重力に打ち勝って全可動域動かせるが、抵抗があれば行えない」状態である。

2.× 足関節の背屈可動域がマイナス10度であるのは、「機能障害」である。
足関節の背屈可動域がマイナス10度は、足関節底屈10度にて拘縮していることを示す。

3.〇 正しい。歩行距離が最大50mであるのは、ICIDHで能力低下である。
ICIDHにおける能力低下とは、けがによって歩けないといった個人レベルの障害のことを示す。

4.× 歩行可能範囲に商店がなく買い物ができないのは、「社会的不利」である。
ICIDHにおける社会的不利とは、けがによって就職できないといった社会レベルの障害のことを示す。

 

 

 

 

 

問題14 ICIDHの機能障害で正しいのはどれか。

1.病気や外傷によりもたらされる。
2.同じ機能障害を持った人は同じ程度の能力低下を持つ。
3.下肢切断をした人は歩けないという機能障害を持つ。
4.下肢切断者に義足を処方することで軽減する。

答え.1

解説

ICIDHとは?

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health)は、人間の生活機能と障害分類法として2001年5月、世界保健機関(WHO)において採択された。これまでの ICIDH(International Classification of Impairments, Disabilities and Handicaps:国際障害分類、1980)が「疾病の帰結(結果)に関する分類」であったのに対し、ICF は「健康の構成要素に関する分類」であり、新しい健康観を提起するものとなった。生活機能上の問題は誰にでも起りうるものなので、ICF は特定の人々のためのものではなく、「全ての人に関する分類」である。

機能障害:病気やけがによる一次的な生物学的障害
能力低下:けがによって歩けないといった個人レベルの障害
社会的不利:けがによって就職できないといった社会レベルの障害

1.〇 正しい。病気や外傷によりもたらされる
ICIDHにおける機能障害とは、病気やけがによる一次的な生物学的障害である。

2.× 同じ機能障害を持った人は、同じ程度の能力低下を持つとは断言できない
なぜなら、同じ身体の機能障害を持っていても、これまでの生活史や個々の状況やサポート体制、技術等により大きく異なるため。例えば、頚髄損傷により、両下肢麻痺を呈しても、元鉄棒のオリンピック選手であった場合は、上体を上肢で支えられる筋力がある可能性が高く、プッシュアップ動作や車いすの移乗など容易に行える可能性が高い。

3.× 下肢切断をした人は、歩けないという機能障害を持つとは断言できない
なぜなら、下肢切断の程度により、義足などの補装具やリハビリテーションにより、歩行が可能な場合があるため。

4.× 下肢切断者に義足を処方することで軽減するとは断言できない
なぜなら、機能障害とは、病気やけがによる一次的な生物学的障害であるため。義足を処方することで「機能障害」が軽減するものではなく、「能力低下」を軽減できる。

 

 

 

 

 

問題15 線分二等分テストの結果を図に示す。
 正しいのはどれか。

1.右半側空間無視
2.左半側空間無視
3.右同名半盲
4.左同名半盲

答え.2

解説

線分二等分テストとは?

線分二等分試験とは、20cm位の線分の左右の真ん中と思うところに目分量で印をつけてもらう検査である。真の中点から1cm以上右にずれていた場合、左半側空間無視と判定する。

1.× 右半側空間無視
この場合、線分二等分試験の印は左寄りとなる。

2.〇 正しい。左半側空間無視
劣位半球頭頂葉が障害されると、①対側の半側空無視、②着衣失行、③病態失認が起こる。半側空間無視とは、障害側の対側への注意力が低下し、その空間が存在しないかのように振る舞う状態のことである。半盲のように左半分が見えないわけではなく、注意力が低下している。したがって、①左側への注意喚起、②左側身体への触覚刺激、③左側方向への体軸回旋運動、④左側からの声かけなどが挙げられる。

3.× 右同名半盲
同名半盲の場合は、頭や首を動かし、視野を代償する動作を行えば、線分二等分試験の印は真ん中にひくことができる。右同名半盲とは、両目の右半分が欠損している状態である。したがって、障害視野は、両眼の視野の右半部で、障害部位は左視索、左外側膝状体、左視放線、左後頭葉などで生じる。

4.× 左同名半盲
同名半盲の場合は、頭や首を動かし、視野を代償する動作を行えば、線分二等分試験の印は真ん中にひくことができる。左同名半盲とは、両目の左半分が欠損している状態である。したがって、障害視野は、両眼の視野の左半部で、障害部位は右視索、右外側膝状体、右視放線、右後頭葉などで生じる。

 

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