第28回(R2年)柔道整復師国家試験 解説【午後16~20】

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問題16 日常関連動作はどれか。

1.食事動作
2.整容動作
3.洗濯動作
4.入浴動作

答え.3

解説

日常関連動作とは?

日常関連動作とは、日常生活関連動作:IADL(instrumental activities of daily living)ともいい、ADLの概念を自立した生活を営むためのより複雑かつ広範な動作にまで広げたものである。主なものとして、買い物や洗濯・掃除などの家事全般、金銭管理、服薬管理、外出時の乗り物の利用などがある。

1~2.4.× 食事動作/整容動作/入浴動作
これらは、日常生活動作項目(ADL項目)である。Barthel Indexの評価項目にもある。

3.〇 正しい。洗濯動作は、日常関連動作である。
日常関連動作とは、日常生活関連動作:IADL(instrumental activities of daily living)ともいい、ADLの概念を自立した生活を営むためのより複雑かつ広範な動作にまで広げたものである。主なものとして、買い物や洗濯・掃除などの家事全般、金銭管理、服薬管理、外出時の乗り物の利用などがある。

 

 

 

 

 

問題17 脳梗塞患者の頭部CT横断像を別に示す。
 この患者の症状はどれか。

1.右片麻痺
2.左片麻痺
3.四肢麻痺
4.対麻痺

答え.2

解説


1.× 右片麻痺
右片麻痺は、左の錐体路障害で生じる。錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。

2.〇 正しい。左片麻痺がみられる。
本症例の頭部CT横断像には、右中大脳動脈領域に低吸収域がみられる。

3.× 四肢麻痺
四肢麻痺とは、左右の上・下肢が麻痺で動かない状態を指す。頚椎・頚髄の病変・損傷が最も疑われる。

4.× 対麻痺
対麻痺とは、手や足の両側とも同時に麻痺を来した状態である。 脊髄障害が原因のことが多い。

 

 

 

 

 

問題18 温熱の作用で誤っているのはどれか。

1.鎮痛
2.筋痙縮の緩和
3.膠原線維の伸張
4.心拍出量の低下

答え.4

解説

温熱療法の目的

①組織の粘弾性の改善
②局所新陳代謝の向上
③循環の改善

慢性的な疼痛に対する温熱療法の生理学的影響として、血行の改善によるケミカルメディエーター(痛み物質)の除去、二次的な筋スパズムの軽減、疼痛閾値の上昇などがある。

1.〇 鎮痛
これは温熱療法の主な効果の一つである。慢性的な疼痛に対する温熱療法の生理学的影響として、血行の改善によるケミカルメディエーター(痛み物質)の除去、二次的な筋スパズムの軽減、疼痛閾値の上昇などがある。

2.〇 筋痙縮の緩和
これは温熱療法の主な効果の一つである。なぜなら、温水によって身体が温まり副交感神経が優位になるため。

3.〇 膠原線維の伸張
これは温熱療法の主な効果の一つである。膠原線維とは、結合組織を構成する線維の一種で、コラーゲンからなり、腱・ 靭帯・骨などに多く含まれる。組織の粘弾性の改善する。

4.× 心拍出量は、「低下」ではなく増加する。なぜなら、末梢血管が拡張するため。心拍出量は、「一回心拍出量×心拍数」で示される。どちらが増加しても、心拍出量が増加する。心拍数の増加の刺激には、動脈血圧の下降、静脈還流量増加、吸息、精神運動興奮、激しい痛覚、交感神経活動高揚、カテコールアミン、筋活動、サイロキシン、体温上昇などがある。一回拍出量は、基礎収縮力、前負荷・後負荷の影響を受ける。運動開始から軽い運動中は、主に一回拍出量の増加に伴った心拍出量の増加が起こっている。

 

 

 

 

 

問題19 腓骨神経麻痺に用いるのはどれか。

1.短下肢装具
2.長下肢装具
3.両側松葉杖
4.ニーブレース

答え.1

解説

MEMO

腓骨神経麻痺は、下垂足(鶏歩)となる。下垂足(鶏歩)は、腓骨神経麻痺などで足関節が背屈不能になり、下垂足が生じるためにみられる。鶏歩の特徴として、垂れ足 (drop foot)になっているために下肢を高く上げ、つま先から投げ出すように歩く。鶏歩を呈する病態には、 腓骨神経麻痺のほかにも①ポリオ、②Charcot-Marie-Tooth病などがある。

1.〇 正しい。短下肢装具は、腓骨神経麻痺に用いる。
短下肢装具とは、足首の関節の動きを制限し、固定・動揺・拘縮などの治療を目的とした装具である。腓骨神経麻痺の下垂足のほかにも脳卒中患者の痙縮などの歩行の際にも、足首の固定や安定性の向上のために使用される。

2.× 長下肢装具
長下肢装具とは、立位訓練開始から装具をつけ、介助下での平行棒な歩行訓練が必要なレベルの重度の麻痺に適応となる。臨床では、重度弛緩性麻痺時には長下肢装具で立位練習を行い、股関節の収縮が得られてきた際に、短下肢装具へ移行しながら練習することが多い。

3.× 両側松葉杖
両側松葉杖とは、2本の松葉杖で身体を支えることができるため、体重をかけない(免荷)ようにする事が目的である。松葉杖のそれぞれの下端を靴の脇約5cm、つま先の前方15cmのところに突き、上端が腋窩から指2~3本分(約5cm)下にくるように松葉杖の長さを調整する。ハンドグリップは肘が20°~30曲がる位置に来るよう調節する。

4.× ニーブレース
ニーブレースとは、膝を支える支柱の役割を果たすサポーターである。大腿から下腿部分まで固定することで、①膝や関節を怪我するリスクを軽減、②膝折れの予防などに利用される。

松葉杖の知識

2本の松葉杖で身体を支えることができるため、体重をかけないようにする事が目的である。松葉杖のそれぞれの下端を靴の脇約5cm、つま先の前方15cmのところに突き、上端が腋窩から指2~3本分(約5cm)下にくるように松葉杖の長さを調整する。ハンドグリップは肘が20°~30曲がる位置に来るよう調節する。

【松葉杖の適応】
・片方の下肢骨折
・対麻痺障害などの立位保持が困難な場合
・荷重負荷制限
・上腕の筋力が十分であること

【免荷】
1/2~1/3部分免荷:両松葉杖
2/3~3/4部分免荷:片松葉杖
3/4部分荷重以上:T字杖

 

 

 

 

 

問題20 ケーブルシステム及びハーネスを利用し把持動作を行う義手はどれか。

1.装飾用義手
2.作業用義手
3.体内力源義手
4.体外力源義手

答え.3

解説
1.× 装飾用義手
装飾用義手とは、外観的な面の復元を目的として、外観のみの義手である。したがって、指を動かしたり肘を曲げたりといった動作は、反対側の手で行う必要がある。

2.× 作業用義手
作業用義手とは、いろいろな作業に使用することだけを目的に作られている(外観のことはあまり考えられていない)。作業用義手も装飾用義手と同じように、手先具などの操作は反対側の手を使う必要がある。

3.〇 正しい。体内力源義手は、ケーブルシステム及びハーネスを利用し把持動作を行う義手である。
能動義手には、①体内力源義手と②体外力源義手が存在する。①体内力源義手とは、従来の「使える義手」のことであり、肩甲帯と体幹の動きを利用して、ハーネス・コントロールケーブルシステムを介して、切断者の身体の動きによって操作する(※引用:「義手の可能性」著:陳 隆明より)。

4.× 体外力源義手
②体外力源義手とは、動力義手とも呼ばれ、義手を操作する力源として切断者自身ではなく外部の力に依存するものである。筋電制御で行う筋電義手が代表的なものである。作業用義手は労働作業に適した機能を最優先した義手であり、外観にはとらわれない。手先具としては色々なものがあり、例えば双嘴鈎や曲鈎がある(※引用:「義手の可能性」著:陳 隆明より)。

 

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