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問題66 前十字靱帯損傷の保存的治療後、歩行時に向きを変えたら膝くずれを起こし、膝関節が伸展できなくなった。
病態で正しいのはどれか。
1.膝蓋骨脱臼
2.半月板嵌頓
3.膝蓋腱断裂
4.膝関節内骨折
答え.2
解説
前十字靭帯とは、膝関節の中で、大腿骨と脛骨をつないでいる強力な靭帯である。役割は、主に①大腿骨に対して脛骨が前へ移動しないような制御(前後への安定性)と、②捻った方向に対して動きすぎないような制御(回旋方向への安定性)である。前十字靭帯損傷とは、スポーツによる膝外傷の中でも頻度が高く、バスケットボールやサッカー、スキーなどでのジャンプの着地や急な方向転換、急停止時に発生することが多い非接触損傷が特徴的な靭帯損傷である。前十字靭帯損傷には,半月板損傷が高率に合併し、その割合は39~65%と報告されている。Lachman test(ラックマンテスト)/軸移動テスト(pivot shift test:ピポットシフトテスト)/Jerkテスト(ジャークテスト)は、膝前十字靭帯損傷を検査する。
1.× 膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨がはずれる疾患である。ほとんどは外側に外れる。ジャンプの着地などの時に太ももの筋肉が強く収縮してはずれることが多く、はずれた時には膝に強い痛みや腫れを生じる。脱臼は自然に整復されることもある。
2.〇 正しい。半月板嵌頓がみられる。
(※かんとん:膝に物がはさまり、曲げ伸ばしがしにくくなる状態)。十字靭帯損傷には,半月板損傷が高率に合併し、その割合は39~65%と報告されている。膝半月板損傷でみられるいわゆる「膝ロッキング現象」である。膝くずれとは、膝折れともいい、大腿四頭筋の筋力低下、足関節の可動域制限、半月板損傷などが疑われる。
3.× 膝蓋腱断裂
膝蓋腱断裂が起こった場合、大腿四頭筋がうまく発揮できないため、立ったり、仰向けで脚を伸ばしたまま上げたり、座った状態で膝を伸ばすこともできない。
4.× 膝関節内骨折
膝関節内骨折が起こった場合、骨折により炎症症状が著明にみられ、膝関節の可動域が制限される。炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。基本的に、RICE処置を実施する。RICE処置とは、疼痛を防ぐことを目的に患肢や患部を安静(Rest)にし、氷で冷却(Icing)し、弾性包帯やテーピングで圧迫(Compression)し、患肢を挙上すること(Elevation)である。頭文字をそれぞれ取り、RICE処置といわれる。
問題67 42歳の男性。ピロン骨折後、半日経過して創部疼痛に加え足に感覚障害が生じてきた。
この感覚障害の部位で正しいのはどれか。
1.足底の内側
2.前足部の内側
3.母趾・第2趾間の背側
4.後足部の外側
答え.3
解説
・42歳の男性(ピロン骨折)。
・半日後:創部疼痛に加え、足に感覚障害が生じた。
→Pilon骨折(ピロン骨折:脛骨天蓋骨折)とは、高所からの転落や 交通事故により、下腿長軸方向に強い外力が作用 した場合に生じる脛骨天蓋骨折のことである。受傷直後から強い疼痛により起立歩行が困難となる。近くに走行する総腓骨神経が損傷を伴いやすい。また、ほかの合併症として、感染、変形などによる再手術、皮膚壊死、術前の軟部組織 の管理、多発外傷、術後の変形性関節症などがあげられる。
1~2.× 足底の内側/前足部の内側は、内側足底神経が支配する。
内側足底神経は、脛骨神経の枝である。
3.〇 正しい。母趾・第2趾間の背側に感覚障害が起こる。
なぜなら、深腓骨神経支配領域であるため。深腓骨神経は、総腓骨神経の枝である。
4.× 後足部の外側は、腓腹神経が支配する。
問題68 骨折の固有症状はどれか。
1.圧痛
2.皮下出血斑
3.転位
4.機能障害
答え.3
解説
①異常可動性(異常運動):骨が通常では考えられない方向に動くこと。
②軋轢音:骨同士がぶつかる音(※読み:あつれきおん)。
③転位:骨がズレたり折れ曲がること。
1.× 圧痛
例えば、肉離れや関節炎でも見られる。
2.× 皮下出血斑
皮下出血斑とは、皮下出血(内出血)したときに紫色のアザのことである。紫斑病ともいう。内出血が起こるメカニズムは、何かにぶつかるなど外部からの衝撃が身体に加わることにより皮膚や皮下の組織が壊れてしまい出血が身体の内部だけに溜まることで起こる。つまり、原因としては転倒などによる打撲や打ち身、捻挫が多く、ひどい肉離れなどでみられる。
3.〇 正しい。転位が骨折の固有症状である。
転位とは、骨折などで骨片が本来の位置からずれた状態にあることをいう。骨転位ともいう。
4.× 機能障害
炎症5大徴候のうちのひとつである。炎症5大徴候:①腫脹、②発赤、③熱感、④疼痛、⑤機能障害。
①弾発性固定:脱臼した位置で関節が動かなくなる状態をいう。患部を押しても反発するか、動いてもまた脱臼した位置に戻ろうとする特徴がある。
②変形:関節が元の位置から逸脱するために、見た目にも変形がみられる。一度脱臼すると、関節の構造が破壊されてしまったり、靭帯や関節包が緩んでしまったりすることで不安定性が残る可能性がある。特に肩関節は、再負傷しやすいといわれている(反復性脱臼)。
問題69 手掌橈側に感覚障害を生じるのはどれか。
1.筋皮神経損傷
2.橈骨神経損傷
3.正中神経損傷
4.尺骨神経損傷
答え.3
解説
1.× 筋皮神経損傷
筋皮神経とは、頚から出た腕神経の束から枝分かれした神経である。主に、上腕二頭筋と前腕外側の感覚を司る。
2.× 橈骨神経損傷
橈骨神経損傷は、手背橈側に感覚障害を生じる。ほかにも、橈骨神経麻痺では、下垂手がみられる。手関節・手指の伸筋群と、長母指外転筋・短母指伸筋の麻痺により、手関節背屈、示指から小指のMP関節伸展、母指伸展・外転が困難となる。
3.〇 正しい。正中神経損傷は、手掌橈側に感覚障害を生じる。
他にも、正中神経麻痺は、tear drop sign(ティア ドロップ サイン)または、perfect O(パーフェクト Oテスト)や、Phalen(ファレンテスト)が陽性となる。perfect O(パーフェクト Oテスト)とは、親指と人差し指の先端をくっつけて丸形を作る検査である。
4.× 尺骨神経損傷
尺骨神経損傷は、手掌・背の尺側に感覚障害を生じる。尺骨神経麻痺では、Froment徴候陽性や鷲手がみられる。Froment徴候(フローマン徴候)とは、母指の内転ができなくなり、母指と示指で紙片を保持させると母指が屈曲位をとることである。
問題70 周径の測定部位で誤っているのはどれか。
1.上腕周径は上腕の最も太い部位
2.前腕周径は前腕の最も太い部位
3.大腿周径は大腿の最も太い部位
4.下腿周径は下腿の最も太い部位
答え.3
解説
1.〇 正しい。上腕周径は上腕の最も太い部位で測定する。
ただし、「上腕中点」で測定する参考書もある。
2.〇 正しい。前腕周径は、前腕の最も太い部位で測定する。
測定方法として、腕を下垂させ、肘関節のやや下方の最大周径で拳をつくらないで測定する。
3.× 大腿周径は、「大腿の最も太い部位」ではなく膝蓋骨上縁(または膝関節裂隙)から中枢10cm(または5、10、15、20cmと複数)で測定する。ちなみに、膝関節伸展位(股関節屈曲・外転位)で測定する。
4.〇 正しい。下腿周径は、下腿の最も太い部位で測定する。
下腿周径の測定時には、特別に下腿後面をベッドに密着させない。下肢全体をリラックスさせたうえで膝を軽度屈曲させ、下腿三頭筋がベッドに接触しないようにする。