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問題121 20歳の男性。柔道の乱取り中、右足部外返しで踏ん張った際、足関節部の疼痛を自覚し来所した。圧痛部を下図に示す。足関節を他動的に背屈、外旋させると疼痛が増強した。
考えられるのはどれか。
1.前距腓靭帯損傷
2.二分靭帯損傷
3.三角靭帯損傷
4.前脛腓靭帯損傷
答え.4
解説
・20歳の男性。
・柔道の乱取り中:右足部外返しで踏ん張った際、足関節部の疼痛。
・他動的に足関節背屈・外旋:疼痛が増強。
→足関節内反捻挫とは、足を内側に捻って捻挫したものをさす。スポーツ(着地をした瞬間や切り返し動作などで足をついた瞬間)、歩行時や走行時で足をついた瞬間などに起こしやすい。足関節内反捻挫の場合は、外側の前距腓靭帯や前脛腓靭帯が損傷しやすい。したがって、外返しの作用を持つ筋肉を鍛えることが予防につながる。ちなみに、内がえし(内反)とは、内転・回外・底屈が組み合わされている運動のことである。
1.× 前距腓靭帯損傷
前距腓靱帯は足関節の外側に付着し、内がえし方向の捻挫を防いでいる。
2.× 二分靭帯損傷
二分靭帯(Y靭帯)は、縦足弓の外側部を支持する。他にも外側の踵骨・立方骨・舟状骨を硬く締結する。つま先立ちやジャンプの着地で内反捻挫をした際に損傷を受ける。
3.× 三角靭帯損傷
三角靭帯は、足関節の関節包内側部を補強する。外反ストレステストで検査する。ちなみに、三角靭帯は足関節の内果に三角形状の靭帯ことで、①前脛距靭帯、②脛舟靭帯、③脛踵靭帯、④後脛距靭帯の4つの靭帯から構成されている。
4.〇 正しい。前脛腓靭帯損傷が考えられる。
前脛腓靭帯は、脛腓関節を強固する靭帯である。内反捻挫を起こした際に脛骨腓骨の間が広がるように外力が働くと損傷されやすい。背屈荷重テストで痛みがあれば陽性となる。
外側靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯を合わせていう。
【足関節靭帯損傷の受傷原因】
足関節の内反や外反が強い外力でかかる捻挫が最も多い。
内反捻挫は、足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)が損傷される。
外反捻挫は、足関節内側靭帯(三角靭帯)が損傷される。
【頻度】
外反捻挫より内反捻挫が多い。
足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)の中でも前距腓靭帯が多く損傷される。
なぜなら、足関節の可動域が、外反より内反の方が大きく、内反・底屈に過強制力がかかるため。
問題122 21歳の男性。サッカー練習中に左足関節を捻り来所した。足関節の前面に疼痛があり、背屈強制で疼痛は増強した。数回の足関節外側靱帯損傷の既往がある。
考えられるのはどれか。
1.足根洞症候群
2.衝突性外骨腫
3.足関節三角骨障害
4.腓骨筋腱脱臼
答え.2
解説
・21歳の男性。
・サッカー練習中:左足関節を捻った。
・足関節の前面:疼痛(背屈強制にて増強)。
・数回の足関節外側靱帯損傷の既往がある。
→各選択肢の否定できる理由をしっかり押さえておこう。
1.× 足根洞症候群
足根洞とは、外果のやや前方にあるへこみの奥の部分である。足根洞には浅腓骨神経から分岐する中間足背皮神経の枝と、腓腹神経から分かれる距骨下関節枝の枝が分布し、脂肪組幟や骨間距踵靱帯には固有知覚を司ると思われる神経終末器官や神経自由終末が存在し、後足部の運動制御や知覚に重要な役割を果たしている。原因は、明確ではないが、距骨下関節嚢や骨間距盤戦帯とその周囲軟部組織の損傷による慢性滑膜炎を中心とした炎症と損傷部での修復機転による線維組織と神経終末の侵入、癒痕化による骨間距腫靭帯の機 能不全などがあげられている。
2.〇 正しい。衝突性外骨腫(フットボーラーズアンクル)が考えられる。
衝突性外骨腫とは、フットボーラーズアンクルともいい、サッカーのキック動作や、バスケットボールのジャンプ時など足関節を大きく動かすことで、骨同士が衝突して足首の前や後ろの部分に骨の増殖変化、骨軟骨に損傷をきたしている状態をさす。したがって、サッカー選手に多く発生する足首の障害である。また、足関節捻挫の既往により、足関節の不安定性が増すことで発生しやすくなる。
3.× 足関節三角骨障害
三角骨障害とは、ジャンプやボールを蹴るといった足首を蹴り出す動作をする際に、アキレス腱辺りに痛みを訴える足関節の障害である。原因として、足首の後ろにある三角骨が、足首の後ろで挟み込まれたり擦れることによって、足首の後ろに痛みが出現している。基本的に、保存的治療が選択され、強い痛みが治まれば、足関節の可動域拡大や周囲筋強化を目的にリハビリを行う。まずは、安静を保つためスポーツを休止し、薬物治療(鎮痛剤の服用や局所注射)で炎症を抑える。
4.× 腓骨筋腱脱臼
腓骨筋腱脱臼とは、足関節をひねることで腓骨筋腱が本来の位置からずれて、くるぶしの上に乗り上げた状態をいう。スキーで足を板に固定されている状態で足首をひねったり、サッカー・バスケットボールでの切り返し動作時に足を地面に固定した状態で足首をひねったりしたときなどに発生する。初回脱臼時には、4~6週間のギプス固定を行なうが、ギプス固定による治癒率は約50%といわれているため、早期にスポーツ復帰を望む場合には手術することもある。
外側靭帯は、前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯を合わせていう。
【足関節靭帯損傷の受傷原因】
足関節の内反や外反が強い外力でかかる捻挫が最も多い。
内反捻挫は、足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)が損傷される。
外反捻挫は、足関節内側靭帯(三角靭帯)が損傷される。
【頻度】
外反捻挫より内反捻挫が多い。
足関節外側靭帯(前距腓靭帯、踵腓靭帯、後距腓靭帯)の中でも前距腓靭帯が多く損傷される。
なぜなら、足関節の可動域が、外反より内反の方が大きく、内反・底屈に過強制力がかかるため。