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問題6 保健所で正しいのはどれか。
1.医療法で規定されている。
2.地域住民に対して健康診査を行う。
3.各都道府県に1か所設置されている。
4.医事および薬事に関する事項を取り扱う。
答え.4
解説
保健所とは、精神保健福祉・健康・生活衛生など地域保健法に定められた14の事業(主に疾病予防・健康増進・環境衛生などの公衆衛生活動)を中心に行っている。保健所では保健師や精神保健福祉士、医師などが生活面や社会復帰について相談にのってくれる。都道府県、特別区、指定都市、中核市、『地域保健法施行令』で定める市に必置である。
1.× 「医療法」ではなく地域保健法で規定されている。
地域保健法とは、地域保健対策の推進に関する基本指針、保健所の設置その他地域保健対策の推進に関し基本となる事項を定めることにより、母子保健法その他の地域保健対策に関する法律による対策が地域において総合的に推進されることを確保し、地域住民の健康の保持及び増進に寄与することを目的として制定された法律である。
2.× 地域住民に対して健康診査を行うのは、市町村保健センターである。
市町村保健センターとは、健康相談、保健指導、健康診査など、地域保健に関する事業を地域住民に行うための施設である。地域保健法に基づいて多くの市町村に設置されている。産前・産後の事業も行われている。
3.× 各都道府県に「1か所設置されている」とはいえない。
地域保健法第5条の規定に従って都道府県、政令市、中核市ならびに特別区は保健所を設けることが出来る。保健所は、おおむね人口30万人、二次医療圏に1箇所設置することを目安としている。
4.〇 正しい。医事および薬事に関する事項を取り扱う。
保健所は、地域住民の健康を支える広域的・専門的・技術的拠点と位置づけられる施設である。難病や精神保健に関する相談、結核・感染症対策、薬事・食品衛生・環境衛生に関する監視指導など専門性の高い業務を行っている。
問題7 寄生虫はどれか。
1.カンジダ
2.アニサキス
3.クラミジア
4.リケッチア
答え.2
解説
1.× カンジダ
カンジダ症とは、カンジダ属の真菌による感染症である。接触感染の感染経路をとり、個室隔離の必要はない。症状として、発疹、鱗屑、かゆみ、腫れなどがみられる。湿潤部位の皮膚で発生しやすい傾向がある。境界のあまりはっきりしない、ジクジクした紅斑で、その中や周囲に小さい水ぶくれや膿が多数見られる。
2.〇 正しい。アニサキスは、寄生虫である。
アニサキスは、寄生虫(線虫)の一種である。アニサキス幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見える。生の魚介類を摂取した際に、消化器系に寄生することがあり、アニサキス症と呼ばれる感染症を引き起こすことがある。
3.× クラミジア
クラミジアとは、日本国内で最も多い性感染症(STD)の一つで、クラミジア感染症とも呼ばれており、クラミジア・トラコマチスという病原体(細菌)が、性行為などにより粘膜に感染する。 感染した場合、クラミジア性尿道炎(男性)、クラミジア性子宮頚管炎(女性)、咽頭クラミジア(男性・女性)などの病気を引き起こす。また、出産時に母子感染する場合、分娩時の産道感染を引き起こす。出生後1週間前後に発症する結膜炎(目が赤くなり「目やに」の増加)、出生後1カ月前後には肺炎( 咳、哺乳力が低下)する。陽性者には内服薬(抗菌薬)を投与して治療する。
4.× リケッチア
リケッチアは、リケッチア属の細菌の一種である。多くは、1~2週間の症状のない期間のあと、発熱、頭痛、不快感、吐き気および嘔吐が見られる。リケッチアのうち病原性の高いものにかかり、重症になると死亡する。
問題8 予防接種で誤っているのはどれか。
1.インフォームド・コンセントが行われる。
2.A類疾病は集団予防目的に比重が置かれている。
3.痘瘡(天然痘)は予防接種によって根絶された。
4.不活化ワクチンは生きた病原性微生物を弱毒化している。
答え.4
解説
インフォームド・コンセントは、「十分な説明を受けたうえでの同意・承諾」を意味する。医療者側から診断結果を伝え、治療法の選択肢を提示し、予想される予後などについて説明したうえで、患者自らが治療方針を選択し、同意のもとで医療を行うことを指す。診断結果の伝達には「癌の告知」という重要な問題も含まれる。
1.〇 正しい。インフォームド・コンセントが行われる。
予防接種の前に、医師や看護師が接種者またはその保護者に対して、ワクチンの効果、副作用やリスク、接種の目的などについて説明し、同意を得ることが一般的である。これをインフォームド・コンセントと呼ぶ。
2.〇 正しい。A類疾病は集団予防目的に比重が置かれている。
A類疾病:主に集団予防、重篤な疾患の予防に重点を置き、国の積極的な勧奨があり、本人(保護者)に努力義務がある。
疾患:結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎
3.〇 正しい。痘瘡(天然痘)は予防接種によって根絶された。
痘そう(天然痘)とは、天然痘ウイルスによる感染症である。急激な発熱や頭痛、悪寒で発症し、 一時的に解熱するが、口腔や咽頭粘膜に発疹が出現し、顔面や四肢、そして全身に発疹がひろがる。痘瘡(天然痘)は、予防接種によって根絶された病気の一つで、1980年に世界保健機関(WHO)が天然痘の根絶を宣言し、現在は天然痘の予防接種は行われていない。
4.× 生きた病原性微生物を弱毒化しているのは、「不活化ワクチン」ではなく生ワクチンである。
不活化ワクチンは、病原性となるウイルスや細菌の感染する能力を失わせた(不活性化、殺菌)ものを原材料として作られている。
予防接種法とは、公衆衛生の観点から伝染のおそれがある疾病の発生・まん延を予防するためにワクチンの予防接種を行うとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として制定された日本の法律である。予防接種法に基づく予防接種には、①定期予防接種と②臨時予防接種があり、定期予防接種の対象疾患には、①A類疾病と②B類疾病がある。さらに同法に基づかない任意接種もある。
A類疾病:主に集団予防、重篤な疾患の予防に重点を置き、国の積極的な勧奨があり、本人(保護者)に努力義務がある。
疾患:結核、ジフテリア、破傷風、百日咳、ポリオ、麻疹、風疹、日本脳炎、ヒブ(インフルエンザ菌b型)感染症、小児の肺炎球菌感染症、水痘、ヒトパピローマウイルス感染症、B型肝炎
B類疾病:主に個人予防に重点を置き、国の積極的な勧奨なく、本人(保護者)に努力義務はない。
疾患:季節性インフルエンザと高齢者の肺炎球菌感染症
(参考:「予防接種とは?」東京都医師会HPより)
(※図引用:「生ワクチンと不活化ワクチン」田辺三菱製薬様HPより)
問題9 消毒用エタノールで誤っているのはどれか。
1.結核菌に有効である。
2.金属器具の消毒に用いる。
3.予防接種部位の消毒に用いる。
4.排泄物による汚染物の消毒に用いる。
答え.4
解説
1.〇 正しい。結核菌に有効である。
結核菌の消毒には、高水準消毒薬(グルタラール、フタラール、過酢酸)のほかに、次亜塩素酸ナトリウム、アルコール、ポビドンヨードおよび両性界面活性剤などを用いる。
2.〇 正しい。金属器具の消毒に用いる/予防接種部位の消毒に用いる。
消毒用エタノールは、皮膚や手術部位の消毒、医療器具の洗浄消毒などに用いられている。また、種々の添加物成分を混合した製剤(エタノール製剤またはアルコール製剤)として、新指定医薬部外品や食品添加物の用途でも使われている。
4.× 排泄物による汚染物の消毒に用いるのは、次亜塩素酸ナトリウムである。
ただし、次亜塩素酸ナトリウムの注意点として、毒性が強く、吸い込んでしまったり、目に入ってしまった場合には呼吸器や粘膜へ損傷を与える危険を伴う。
ノロウイルスは、もっとも一般的な胃腸炎の原因である。感染者の症状は、非血性下痢、嘔吐、胃痛(悪心・嘔吐、水様性下痢腹痛、発熱等の急性胃腸炎)が特徴である。発熱や頭痛も発生する可能性がある。症状は、通常ウイルス曝露後12〜48時間で発症し、回復は通常1〜3日以内である。合併症はまれだが、特に若人、年配者、他の健康上の問題を抱えている人では、脱水症状が起こることがある。原因として、①カキ等の二枚貝、②感染者の嘔吐物等への接触や飛沫による二次感染である。感染経路は、経口感染、接触感染、飛沫感染、空気(飛沫核)感染による。
【予防・拡大防止】
①感染源となる二枚貝等は、中心部まで十分に加熱(85~95℃以上、90秒以上)する。
②消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。
③ノロウイルスは乾燥に強く、感染者の嘔吐物等が乾燥して空気中に飛散することで感染拡大するため完全に拭き取る。
④嘔吐物等の処理時には手袋、ガウンマスクを装着する。
(※参考:「ノロウイルスに関するQ&A」厚生労働省HPより)
問題10 スタンダードプリコーションにおいて、感染性微生物を含んでいるものとして処理するのはどれか。
1.病室のテレビ
2.未使用の注射針
3.患者の膿が付着したリネン
4.医療者の汗を拭いたタオル
答え.3
解説
スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
1.× 病室のテレビ/未使用の注射針/医療者の汗を拭いたタオルは、感染性微生物を含んでいない。
スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
3.〇 正しい。患者の膿が付着したリネンは、スタンダートプリコーションにおいて、感染性微生物を含んでいるものとして処理する。
膿とは、炎症を起こした部位が化膿して生じる黄白色または黄緑色の不透明な粘液で、主に白血球と血清からなり、その他壊れた組織や死んだ細菌などが含まれている。