第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午後81~85】

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問題81 放射線を用いないのはどれか。2つ選べ。

1.CT検査
2.MRI検査
3.超音波検査
4.単純X線検査

答え.2・3

解説
1.〇 CT検査
CT検査とは、脳内の腫瘍や出血などの異常の有無や程度が分かる。出血部位は低吸収域(黒)としてうつる。エックス線を使用した撮影である。

2.× MRI検査は、放射線を用いない。
核磁気共鳴画像法(MRI)とは、核磁気共鳴現象を利用して生体内の内部の情報を画像にする方法である。治療前にがんの有無や広がり、他の臓器への転移がないかを調べたり、治療の効果を判定したり、治療後の再発がないかを確認するなど、さまざまな目的で行われる精密検査である。

3.× 超音波検査は、放射線を用いない。
超音波検査とは、「高い周波数の音」を用いる検査で、肝臓や胆のう、膵臓、腎臓、膀胱、卵巣、子宮、前立腺などの腹部にある臓器や、甲状腺や乳腺などさまざまな臓器にできたがんで検査する。主な禁忌としては、血管の疾患(血栓性静脈炎など)、急性敗血症(感染の拡大や塞栓剥れの為)、放射線療法(少なくとも6ヶ月は禁忌)、腫瘍(成長促しや転移が生じる為)、心疾患(心臓を刺激する為、星状神経節や迷走神経部位は避ける)、妊婦、成長期の子供の骨端線への照射などである。

4.〇 単純X線検査
単純X線検査とは、極めて低線量のX線を用いて画像を撮影し、病気の診断に役立てる。骨折や肺炎、腸閉塞、マンモグラフィなどで有用である。

 

 

 

 

 

問題82 部位と特有の骨折の組み合わせで正しいのはどれか。

1.第1頸椎:ジェファーソン(Jefferson)骨折
2.第2頸椎:ティアドロップ骨折
3.第3頸椎:ハングマン骨折
4.第4頸椎:チャンス(Chance)骨折

答え.1

解説
1.〇 正しい。第1頸椎:ジェファーソン(Jefferson)骨折
環椎骨折(Jefferson骨折)とは、第一頸椎(環椎)の前弓・後弓の破裂骨折(椎体の前方の壁だけではなく、後方の壁も割れる骨折で、脊髄症状を生じる骨折)を指す。環椎骨折(Jefferson骨折)の治療は、主に装具を用いた保存療法が選択される。不安定性が強く早期の場合は手術が選択されることもあるが稀である。環椎は可動性が高く、周囲に神経・血管が通っている特徴がある。

2.× 第2頸椎:ティアドロップ骨折
椎体骨折(ティアドロップ骨折・涙滴骨折)とは、頚椎が、外力で屈曲が強制され、同時に、上方向からの圧迫力が加わったときに、中・下部頚椎(第3~第7頸椎)に発生する骨折のことである。上位椎体が下位椎体を圧迫したときに、椎体前方部分を破壊し、これが涙の滴のように前方へ分離するのが特徴である。

3.× 第3頸椎:ハングマン骨折
ハングマン骨折は、第2頸椎(軸椎)の横突起と椎弓が骨折するものである。交通事故によって発生しやすい。

4.× 第4頸椎:チャンス(Chance)骨折
チャンス骨折は、脊椎の過剰な屈曲により生じる脊椎骨折である。通常、第1腰椎~第4腰椎におこりやすい。症状には腹部の痣(シートベルトの痕)があげられる。約半数のチャンス骨折は、脾破裂、小腸損傷、腎臓損傷、腸間膜の破裂などの腹部の外傷と関連している。

 

 

 

 

 

問題83 頚椎の椎体圧迫骨折で正しいのはどれか。

1.好発部位は第7頚椎である。
2.椎体は楔状変形をきたす。
3.後縦靭帯が損傷されやすい。
4.中心性脊髄損傷が生じやすい。

答え.2

解説

MEMO

頚椎圧迫骨折の原因は、首の骨に対する強い衝撃である。ボーリング玉程度の重量がある頭部にくっついている頚椎は、交通事故やプールへの飛び込み失敗、浴室で足を滑らせたことによる首の強打などが起こると、てこの原理で激しく頚椎が圧迫されてしまう。胸椎圧迫骨折や腰椎圧迫骨折よりも脳に近い分、頚椎を損傷してしまうと麻痺などの重大な後遺症を負ってしまう危険性がある。

1.× 好発部位は第7頚椎であるとはいえない
頚椎の椎体圧迫骨折は、主に頚椎の中央部で発生しやすい傾向があります。特に、C5およびC6の頚椎が好発部位とされている。

2.〇 正しい。椎体は楔状変形をきたす
椎体骨折(圧迫骨折)の場合は、画像所見で①膨張した椎間板、②魚椎変形(楔状変形)、③骨陰影の減少などがみられる。

3.× 損傷されやすい靭帯は、「後縦靭帯」ではなく前縦靭帯である。
後縦靱帯は、脊椎椎体の後縁を上下に連結する。

4.× 中心性脊髄損傷は、生じにくい
中心性脊髄損傷は、頸椎の過伸展により頚髄中心部の灰白質が主として障害される。交通事故や高所からの転落による脊髄損傷と異なり、転倒など比較的軽微な外傷でも生じ、明らかな骨折や脱臼を伴わない例も少なくない。高齢者に多く、男女で比べると男性に多い。また、多くの場合基礎疾患として、後縦靭帯硬化症や脊柱管狭窄症を有している。下肢より上肢に運動障害が強く、受傷後の回復も下肢が早い。知覚障害は正常かあっても軽度であるが、上肢の痙縮は強いことが多く、手指の巧緻性低下により更衣動作や整容動作といったADLに影響が及ぶ。

 

 

 

 

 

問題84 胸骨骨折で正しいのはどれか。

1.介達外力によるものが多い。
2.胸骨体の骨折が多い。
3.斜骨折が最も多い。
4.胸式呼吸がみられる。

答え.2

解説

胸骨骨折とは?

胸骨骨折とは、野球の球が飛んできて前胸部にあたる、あるいは車の運転中に事故にあい、ハンドルに前胸部を強く打ちつけるなど、強い圧力が前胸部の中央部にかかって起こる骨折のことをいう。 骨折の中では、比較的まれなものだが、胸骨の裏には心臓があるため、心臓の損傷や心破裂が起こる場合もある。

1.× 「介達外力」ではなく直接外力によるものが多い。
介達外力とは、打撃や圧迫などの外力が加わった部位から離れた部位に体内組織を通じて外力が伝わることである。胸骨骨折は、直接的な外力、特に交通事故や高所からの転落などの外力によって生じることが多い。

2.〇 正しい。胸骨体の骨折が多い
胸骨体は、胸骨柄の約3倍の長さの長方形の部分で、その幅は下方にいくにしたがって徐々に広くなる特徴を持つ。

3.× 最も多いのは、「斜骨折」ではなく横骨折である。
横骨折は、骨折線が骨の長軸方向に対してほぼ垂直に入る骨折のことである。斜骨折は、骨の長軸に対して骨折線(骨折部に生じる亀裂)が斜めに入っているものをいう。

4.× 「胸式呼吸」ではなく腹式呼吸がみられる。
なぜなら、胸骨骨折の場合、呼吸により肋骨の動き、痛みを伴う胸式呼吸を避ける傾向にあるため。

 

 

 

 

 

問題85 小児が急に腕を動かさなくなった。
 考えにくいのはどれか。

1.鎖骨骨折
2.肩鎖関節脱臼
3.上腕骨顆上骨折
4.肘内障

答え.2

解説
1.〇 鎖骨骨折
小児は骨が柔らかく、成長期にあるため骨折しやすい。特に鎖骨骨折は、小児が遊んでいる際に転倒したり、衝突したりした場合に起こりやすい骨折である。

2.× 肩鎖関節脱臼が最も考えにくい。
肩鎖関節脱臼は、大人に比べて小児では非常にまれである。通常は成人でのスポーツや事故による外傷で発生する。

3.〇 上腕骨顆上骨折
小児の上腕骨顆上骨折は、成長板周辺の骨が柔らかいために起こりやすい骨折である。遊びやスポーツ中の転倒やねじれた力がかかることで、上腕骨顆上骨折が生じる。

4.〇 肘内障
肘内障とは、乳幼児に特有の外傷で、橈骨頭が引っ張られることによって、橈骨頭を取り巻いている輪状靭帯と回外筋が橈骨頭からずれた状態(亜脱臼)になったものである。5歳くらいまでの子どもに発症する。 輪状靭帯の付着がしっかりする6歳以降では起こりにくい。

 

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