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※注意:解説はすべてオリジナルのものとなっています。私的利用の個人研究のため作成いたしました。間違いや分からない点があることをご了承ください。コメント欄にてご教授いただければ幸いです。(※問題の引用:第31回柔道整復師国家試験問題、公益財団法人柔道整復研修試験財団HPより)
問題1 一次予防活動はどれか。2つ選べ。
1.予防接種
2.がん検診
3.ストレスチェック制度
4.脳卒中リハビリテーション
答え.1・3
解説
疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。
一次予防:「生活習慣を改善して健康増進し、生活習慣病等を予防すること」
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」と定義している。
(※健康日本21において)
1.〇 正しい。予防接種は、一次予防活動である。
予防接種は、ウイルスや細菌による感染症の発生を予防する効果的な一次予防策である。
2.× がん検診は、二次予防活動である。
なぜなら、がん検診は、がんの早期発見を目的とした活動であるため。
3.〇 正しい。ストレスチェック制度は、一次予防活動である。
心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック制度)は、労働者に対して行う心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)や、検査結果に基づく医師による面接指導の実施などを事業者に義務づける制度である。平成26(2014)年6月の法改正で、労働者50人以上の事業所で毎年1回、すべての労働者に対してストレスチェックを実施することが義務づけられた。ストレスチェック後に「高ストレス判定」が出た場合、会社の対応が義務つけられている。①検査の結果「高ストレス者」と判定された労働者から申し出があった場合、産業医などの医師による面談(面接指導)を実施すること。②面接指導の結果に基づき、医師の意見を聞き、必要に応じ就業上の措置を講じることも義務となる。
4.× 脳卒中リハビリテーションは、三次予防活動である。
なぜなら、脳卒中リハビリテーションは、脳卒中患者の機能回復を促すための治療・介護活動であるため。
問題2 分析疫学でまれな疾患に用いられるのはどれか。
1.症例報告
2.症例対照研究
3.コホート研究
4.無作為化比較対照試験
答え.2
解説
1.× 症例報告
症例報告は、個別の症例の治療を経験した後に、教科書的な経過をたどらなかったもの、あるいは教科書的な治療を超える工夫を行ったものについて、今後の参考に資するために詳細を報告する。個別の症例を対象であるため、エビデンスレベル(エビデンスレベルⅤ)は低い。
2.〇 正しい。症例対照研究は、分析疫学でまれな疾患に用いられる。
症例対照研究とは、症例群と対照群に分け、両群の過去の曝露状況を比較する方法である。曝露と疾患発症の関連を明らかにする。疾患のある人(症例)と疾患のない人(対照)を比較し、過去の暴露やリスク要因の違いを調査できるため、まれな疾患に対して効率的で、時間や費用が比較的少なく済む。
3.× コホート研究
コホート研究とは、分析疫学における手法の1つであり、特定の要因に曝露した集団と曝露していない集団を一定期間追跡し、研究対象となる疾病の発生率を比較することで、要因と疾病発生の関連を調べる観察研究の一種である。将来に向かって追跡し比較する方法である。まれな疾患の場合、十分な症例数を確保するために大規模なコホート(共通因子を持った集合体)が必要となり、時間と費用がかかるため、最適な選択肢ではない。
4.× 無作為化比較対照試験
無作為化比較対照試験(RCT:Randomized Controlled Trial、ランダム割付比較試験)とは、予防・治療の効果を科学的に評価するための介入研究のことをいう。対象者を無作為に介入群(治療などの介入実施群)と対照群(従来通りの治療群、もしくは介入しない群)とに割付け、その後の健康現象(罹患率・死亡率)を両群間で比較するもの。無作為割付によって、既知・未知の交絡を制御することが期待されることから、他のデザインと比べて最もエビデンスレベルが高い手法である。
コホート研究とは、時間軸:前向き研究で、観察期間は長期間行う。信頼性は高いが費用・労力が大きい。
症例対照研究とは、時間軸:後ろ向き研究で、観察期間はない。信頼性は低いが費用・労力が小さい。
問題3 ロコモティブシンドロームの直接原因となるのはどれか。
1.高血圧
2.糖尿病
3.骨粗鬆症
4.脂質異常症
答え.3
解説
ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害により移動能力が低下し、「要介護」のリスクが高い状態のことである。(提唱:日本整形外科学会)予防策として、片脚立位・スクワットからなる「ロコトレ」を行うよう推奨している。対象者がすでに運動器の障害や身体機能低下を有している場合も多いため、トレーニングの際には、疼痛や転倒などに十分配慮して行う必要がある。
1.× 高血圧
高血圧は、心血管疾患や腎臓病のリスクが高まる主要な要因である。基準値として、収縮期血圧(最大血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最小血圧)が90mmHg以上の場合である。
2.× 糖尿病
糖尿病は、全身の血糖値が高まる病気である。糖尿病の三大合併症として、①神経症状、②網膜症、③腎症があげられる。
3.〇 正しい。骨粗鬆症は、ロコモティブシンドロームの直接原因となる。
骨粗鬆症とは、骨量が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気である。原因として、閉経による女性ホルモンの低下や運動不足・喫煙・飲酒・栄養不足・加齢などである。骨粗鬆症の患者は、わずかな外力でも容易に圧迫骨折(特に胸腰椎)、大腿骨頚部骨折、橈骨遠位端骨折を起こしやすい(※参考:「骨粗鬆症」日本整形外科学会様HPより)。
4.× 脂質異常症
脂質異常症とは、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症を指し、動脈硬化の原因となる。その治療で重要なのは、薬物療法のほか、食事指導による適正体重の維持や内臓脂肪の減量である。まず食事指導の基本は、総摂取エネルギーと栄養素配分を適正化することである。
問題4 国民の健康づくりのための食生活指針において目標とされる1日の野菜摂取量はどれか。
1.150g以上
2.250g以上
3.350g以上
4.450g以上
答え.3
解説
(※「成人の野菜類摂取量の現状」厚生労働省HPより)
選択肢3.350g以上は、国民の健康づくりのための食生活指針において目標とされる1日の野菜摂取量である。
ただし、科学的根拠はない。
問題5 気分障害に分類されるのはどれか。
1.うつ病
2.過食症
3.認知症
4.統合失調症
答え.1
解説
気分障害とは、気分の変動によって日常生活に支障をきたす病気の総称である。うつ状態だけが続くものを「うつ病」、躁状態とうつ状態をくり返すものを「双極性障害」などと分類される。気分障害におけるうつ病(単極性)と双極性障害について、双極性障害は障害有病率約1%で、うつ病よりも若い時期に発症しやすく、性差は認められていない。遺伝素因はうつ病よりも2倍以上の関与が考えられている。
1.〇 正しい。うつ病は、気分障害に分類される。
気分障害とは、気分の変動によって日常生活に支障をきたす病気の総称である。うつ状態だけが続くものを「うつ病」、躁状態とうつ状態をくり返すものを「双極性障害」などと分類される。気分障害におけるうつ病(単極性)と双極性障害について、双極性障害は障害有病率約1%で、うつ病よりも若い時期に発症しやすく、性差は認められていない。遺伝素因はうつ病よりも2倍以上の関与が考えられている。うつ病は、気分障害の一種であり、悲しみや無気力、興味喪失、自分に対する評価の低下などの症状が特徴的である。
2.× 過食症
過食症は、摂食障害の一種である。摂食障害には、拒食症(神経性無食欲症)と過食症(神経性過食症)がある。思春期~青年期の若い女性に発症しやすい。病的な痩せ願望があり、ゆがんだボディーイメージ(痩せているのに太っていると思い込む)のために極端な食事制限や下剤の乱用を行う。その結果、極端なやせ、月経の停止、うぶ毛の増加などがみられる。性格的には頑固で競争心が強く、活動性も高いため、学業成績は優秀なことであることが多い。
3.× 認知症
認知症は、記憶、思考、判断、言語などの認知機能の低下が特徴的な神経疾患である。認知症は、アルツハイマー病や脳血管障害などの原因により引き起こされることがある。
4.× 統合失調症
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)