第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午後121~122】

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問題121 17歳の女性。バスケットボール試合中に右膝前十字靭帯を負傷し、3週間後に再建術を受けた。図は術後8週での2本のゴムバンドを用いた大腿四頭筋の等張運動である。
 下腿近位に当てたゴムバンドの役割はどれか。

1.側方動揺性の制御
2.膝蓋骨の安定化
3.脛骨の前方移動制御
4.膝蓋靭帯の固定

答え.3

解説

1~2.4.× 側方動揺性の制御/膝蓋骨の安定化/膝蓋靭帯の固定
下腿近位に当てたゴムバンドの役割ではない。なぜなら、前十字靭帯の役割ではないため。

3.〇 正しい。脛骨の前方移動制御が下腿近位に当てたゴムバンドの役割である。
本症例は、右膝前十字靭帯の損傷である。膝前十字靭帯の役割として、下腿の前方逸脱を防ぐ働きを持つ。その靭帯が損傷している状態で、膝関節が不安定と考えられるため、その靭帯を代償するべく、下腿近位にゴムバンドを当てる必要がある。

膝関節前十字靭帯再建術後のリハビリ

膝関節前十字靭帯再建術後のリハビリでは、安全な範囲でできるだけ早くに膝関節の可動域を回復させ、大腿を中心とした下肢筋力の向上を目的に実施する必要がある。しかし、骨に開けた穴と再腱靭帯が癒合するのに6〜8週、移植後に弱くなった腱の回復に3〜4ヶ月を要する。したがってこの間は、再腱靭帯を十分に保護しながら理学療法を進めないと、再び関節が不安定になる危険性がある。

 

 

 

 

 

問題122 42歳の男性。マラソン愛好家。ランニング後に右足底踵部のしびれを自覚し、1か月間症状が変わらないため来所した。足趾を他動的に背屈しても症状に変化はなかったが、その際に内果部に当てた検者の母指の圧迫によって症状が増悪した。超音波観察を行ったところ、同部に境界明瞭な低エコーの腫瘤がみられた。
 考えられるのはどれか。

1.足底腱膜炎
2.踵骨疲労骨折
3.ガングリオン
4.モートン(Morton)病

答え.3

解説
1.× 足底腱膜炎
本症例の場合、超音波観察において、同部に境界明瞭な低エコーの腫瘤がみられているため否定できる。ちなみに、足底腱膜炎とは、足のアーチ構造を支える足底腱膜が炎症を起こし、小さな断裂を繰り返している状態である。かかとや足底が地面に着地した際に、足底腱膜が伸ばされて痛みを感じる。

2.× 踵骨疲労骨折
本症例の場合、①内果部に当てた検者の母指の圧迫によって症状が増悪、②超音波観察において、同部に境界明瞭な低エコーの腫瘤がみられているため否定できる。ちなみに、踵骨疲労骨折とは、踵に押したときの痛みがあり、発症から約3か月経過するとレントゲンでも確認できることが多い。原因として、長距離の歩行やランニングによる着地での衝撃とアキレス腱による引っ張る力である。

3.〇 正しい。ガングリオンが考えられる。ガングリオンとは、手足に現れるゼリー状の物質が入った良性のしこりのこと。関節を包む袋が突き出ることで、関節などの曲げ伸ばしを滑らかにする液体(滑液:かつえき)が流れ込み、ゼリー状になって溜まることで発症する。この原因ははっきりと分かっておらず、自然にできることが多い。

4.× モートン(Morton)病
本症例の場合、超音波観察において、同部に境界明瞭な低エコーの腫瘤がみられているため否定できる。ちなみに、モートン病とは、足趾へと向かう神経が、足趾の付け根の部位で圧迫を受けることで生じる神経障害である。 神経が圧迫される原因には、ハイヒールなどの爪先が細くヒールが高い靴を履くことや、外反母趾など骨の形態異常がある。

 

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