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問題21 パーキンソン(Parkinson)病のヤール分類のⅡに相当するのはどれか。
1.両側性パーキンソニズムがあるが、姿勢反射障害はなく、歩行可能である。
2.中等度のパーキンソニズムがあり、姿勢反射障害があるが、歩行可能である。
3.高度障害を示すが、歩行可能である。
4.車椅子を使用した生活となる。
答え.1
解説
ステージⅠ:片側のみの症状がみられる。軽症で機能障害はない。
ステージⅡ:両側の症状がみられるが、バランス障害はない。また日常生活・通院にほとんど介助を要さない。
ステージⅢ:歩行障害、姿勢保持反射障害が出現し、ADLの一部に介助が必要になる。
ステージⅣ:日常生活・通院に介助を必要とする。立位・歩行はどうにか可能。
ステージⅤ:寝たきりあるいは車いすで、全面的に介助を要する。歩行・起立は不能。
1.〇 正しい。両側性パーキンソニズムがあるが、姿勢反射障害はなく、歩行可能である。
これは、ヤール分類のⅡに相当する。
2.× 中等度のパーキンソニズムがあり、姿勢反射障害があるが、歩行可能である。
これは、ヤール分類のⅢに相当する。
3.× 高度障害を示すが、歩行可能である。
これは、ヤール分類のⅣに相当する。
4.× 車椅子を使用した生活となる。
これは、ヤール分類のⅤに相当する。
問題22 レビー小体型認知症で正しいのはどれか。2つ選べ。
1.幻視を特徴とする。
2.症状は段階的に進行する。
3.パーキンソン症状が出現する。
4.コンビニなどで物品を持ち去る。
答え.1・3
解説
1.〇 正しい。幻視を特徴とする/パーキンソン症状が出現する。
レビー小体型認知症とは、Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、①進行性認知症と②パーキンソニズムを呈する病態である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動異常症、自律神経障害などが特徴である。実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動などの症状が特徴的である。頭がはっきりしたり、ボーッとしたり、日によって変動することもある。レビー小体型認知症そのものを治す治療はなく、現状では症状に対する薬を使用して効果をみる。抗精神薬による精神症状のコントロールと抗パーキンソン病薬による運動症状の改善、自律神経障害に対しての血圧コントロールなどがある。
2.× 症状は段階的に進行するのは、「レビー小体型認知症」ではなくアルツハイマー型認知症の特徴である。
アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。
4.× コンビニなどで物品を持ち去るのは、「レビー小体型認知症」ではなく前頭側頭型認知症の特徴である。
前頭側頭型認知症とは、前頭葉・側頭葉に限局した萎縮性病変を認める症候群をいう。代表的な疾患にPick病がある。発症は初老期(40~60歳代)にみられる。初期は、自発性の低下、自発語の減少、偏食・過食、脱抑制などの人格変化・行動異常で潜行性に発症する。
問題23 70歳の女性。脳梗塞を発症し、病院で急性期治療とリハビリテーション治療を終えて退院した。動作は緩慢であるが日常生活に支障はない。介護保険の申請をしたが非該当と判定された。
介護予防についての適切な相談先はどれか。
1.保健所
2.福祉事業所
3.精神保健福祉センター
4.地域包括支援センター
答え.4
解説
1.× 保健所
保健所とは、精神保健福祉・健康・生活衛生など地域保健法に定められた14の事業(主に疾病予防・健康増進・環境衛生などの公衆衛生活動)を中心に行っている。保健所では保健師や精神保健福祉士、医師などが生活面や社会復帰について相談にのってくれる。都道府県、特別区、指定都市、中核市、『地域保健法施行令』で定める市に必置である。
2.× 福祉事業所
福祉事務所とは、社会福祉法第14条に規定されている「福祉に関する事務所」をいい、福祉六法(生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、老人福祉法、身体障害者福祉法及び知的障害者福祉法)に定める援護、育成又は更生の措置に関する事務を司る第一線の社会福祉行政機関である。
3.× 精神保健福祉センター
精神保健福祉センターとは、精神障害者の福祉の増進を図るために設置された機関である。地域精神保健福祉活動の中核機関として、保健所・市町村への技術的助言を行う役割を担っている。
4.〇 正しい。地域包括支援センターが相談先として優先度が高い。
地域包括支援センターとは、介護保険法に基づき各市町村によって設置されており、地域の高齢者の医療・福祉・介護・虐待など様々な事柄に関する相談窓口となっている。地域包括支援センターの人員基準は、「第1号被保険者(65歳以上の高齢者)3000人~6000人ごとに、保健師、社会福祉士及び主任介護支援専門員(準ずる者を含む)を最低限それぞれ各1人」である。
①根拠法令:精神保健福祉法(6条)
②目的:地域住民の精神的健康の保持増進、精神障害の予防、適切な精神医療の推進、自立と社会経済活動の促進のための援助等。
③設置基準:都道府県、指定都市
④配置職員:精神科医、精神保健福祉士(精神保健福祉相談員)、臨床心理技術者、保健師等
【業務内容】
①企画立案。
②保健所と精神保健関係諸機関に対する技術指導と技術援助。
③精神保健関係諸機関の職員に対する教育研修。
④精神保健に関する普及啓発。
⑤調査研究。
⑥精神保健福祉相談(複雑または困難なもの)
⑦協力組織の育成。
⑧精神医療審査会に関する事務。
⑨自立支援医療(精神通院医療)の支給認定、精神障害者保健福祉手帳の判定。
(参考:「精神保健福祉センターと保健所」厚生労働省HPより)
問題24 診療で正しいのはどれか。
1.診療録は記載しなくてもよい。
2.主観的情報より客観的情報が重要である。
3.治療者と患者との信頼関係の構築は治療効果に影響する。
4.個人情報を保護するために診療録は速やかに破棄することが望ましい。
答え.3
解説
1.× 診療録は「記載しなくてもよい」のではなく「記載しなければならない」。
診療記録(診療録、カルテ)とは、医療に関してその診療経過等を記録したものである。 診療録には手術記録・検査記録・看護記録等を含め診療に関する記録の総称をいう。例えば、医師法第二十四条:医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならないと記載されている(※参考:「医師法」e-GOV法令検索様HPより)。
2.× 主観的情報より客観的情報が重要であるとはいえない。
主観的情報と客観的情報は、診療において優劣なくどちらも重要である。主観的情報と客観的情報の組み合わせにより、適切な診断や治療計画が立てられている。
3.〇 正しい。治療者と患者との信頼関係の構築は治療効果に影響する。
信頼関係が築かれることで、患者は治療者に自分の症状や不安を正直に伝えやすくなり、治療者は患者のニーズに応じた治療を提供できる。ラポールとは、疎通性のよい対人関係を指し、医療スタッフと患者・家族などとの間に高い信頼関係があることをいう。ラポールには3原則とされる要素があり、①相手を肯定・尊重すること、②類似性・行動の同調、③ペーシングとリーディングである。ペーシングとは、話し方や呼吸のペース、視線、精神状態などを相手に合わせることである。ペーシングにより距離を縮めたあとは、質問や提案を会話に含めて会話をリードするリーディングが有効となる。
4.× 個人情報を保護するために診療録は、「速やかに破棄することが望ましい」とはいえない。
なぜなら、医療事故が発生した場合の証拠としても重要であるため。また、医師法第24条、歯科医師法第23条の規定に基づき、診療所の管理者のもと、診療録は5年間の保存が必要と記載されている(※参考:「医師法」e-GOV法令検索様HPより)。
問題志向型医療記録とは、患者の抱える問題に目を向け、患者の問題を中心に行う医療(POM:problem oriented medical)の考え方に合わせた記録方法のことをいう。問題(プロブレム) 毎に情報を整理し、問題毎にSOAP(subjective, objective, assessment, plan)に分けて記載する方法のこと。記載内容は以下のように整理する。
①S(Subjective):主観的情報
②O(Objective):客観的情報
③A(Assessment):評価
④P(Plan):計画
問題25 医療面接で正しいのはどれか。
1.患者像をはじめに確認することが重要である。
2.閉ざされた質問が開かれた質問より優れている。
3.緊張をほぐすために敬語は用いないほうがよい。
4.治療者が必要だと思う情報を聞くことが重要である。
答え.1
解説
1.〇 正しい。患者像をはじめに確認することが重要である。
なぜなら患者像をはじめに確認することで、患者の状態や背景を理解し、適切な質問やアプローチを行うことができるため。
2.× 閉ざされた質問が開かれた質問より「優れている」とはいえない。
なぜなら、閉ざされた質問/開かれた質問とも、利点・欠点があるため。その場や患者に対応した質問の仕方を選択する必要がある。ただ、開かれた質問は、患者からより多くの情報を得ることができる。
3.× 緊張をほぐすために敬語は「用いないほうがよい」とはいえない。
なぜなら、適切な敬語の使用は、患者とのコミュニケーションを円滑にするためや患者との信頼関係を築くために役立つため。
4.× 「治療者が必要だと思う情報」を聞くことが重要であるとはいえない。
「治療者」だけでなく患者が必要だと思う情報も聞く必要がある。なぜなら、患者の意見や感情を理解し、共感することは、患者に安心感を与え、患者との信頼関係を築くことにもつながるため。
open-ended question(開かれた質問)は、5W1HでいうWhen(なぜ)、How(どうやって・どのように)に該当する。したがって、患者が症状や来院理由を自由に話せるため、相手からより多くの情報を引き出したい場面で有効である。
closed-ended question(閉じられた質問)は、5W1Hでいう(When(いつ)、Where(どこで)、 Who(誰が)、What(何を)や、はい/いいえで答えられる限定された質問である。したがって、相手の考えや事実を明確にしたい場面などで有効である。