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問題41 腎前性急性腎障害(AKI)の原因となるのはどれか。
1.脱水
2.尿管結石
3.急速進行性糸球体腎炎
4.非ステロイド性抗炎症薬
答え.1
解説
腎前性急性腎不全の原因は心不全である。腎前性とは、尿が腎臓を出る前にある場合をいう。主な原因は、腎臓に流れる血液量が減少することである。したがって、心不全のほかにも、外傷による大量出血、消化管出血、脱水、頻発する嘔吐・下痢などによる体液量の減少などである。
1.〇 正しい。脱水は、腎前性急性腎障害(AKI)の原因となる。
腎前性急性腎不全の原因は心不全である。腎前性とは、尿が腎臓を出る前にある場合をいう。主な原因は、腎臓に流れる血液量が減少することである。したがって、心不全のほかにも、外傷による大量出血、消化管出血、脱水、頻発する嘔吐・下痢などによる体液量の減少などである。
2.× 尿管結石
腎後性腎不全とは、尿の排出経路が閉塞することで発症するものをいう。例えば、著しい前立腺肥大、前立腺がん、左右両側の尿路結石、子宮頸がんなどによる尿管の圧迫などが原因としてあげられる。
3.× 急速進行性糸球体腎炎
急速進行性糸球体腎炎とは、糸球体腎炎のうちで数週から数カ月の短い期間に急速に腎機能が低下する病気である。腎生検の所見は、多くの糸球体に半月体という細胞の増殖する構造物が観察される。
4.× 非ステロイド性抗炎症薬
非ステロイド性抗炎症薬<NSAIDs>は、炎症などを引き起こすプロスタグランジンの生成を抑え、抗炎症作用や解熱、鎮痛に働く。副作用として、消化器症状(腹痛、吐き気、食欲不振、消化性潰瘍)、ぜんそく発作、腎機能障害が認められる。
問題42 心房細動と診断されている患者が施術中に突然失語となった。
最も考えられるのはどれか。
1.アテローム血栓性脳梗塞
2.くも膜下出血
3.ラクナ梗塞
4.脳塞栓
答え.4
解説
心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。心房細動の特徴として、心房の興奮が形・大きさともに不規則であり、基線が揺れている(f波)。心房が正常に収縮しないためにP波が消失し、QRS波が不規則である。
心房細動を洞調律に戻す非薬物療法には、カテーテルアブレーションのほかに電気的除細動という方法もある。電気的除細動を行うのは、心房細動が起こると①血圧が急に下がって強い症状のために動けなってしまうような場合、②抗不整脈薬が有効でない場合、③肥大型心筋症・心アミロイドーシスや心不全などがあるため抗不整脈薬を使うよりも電気的除細動の方が安全と判断される場合などである。
1.× アテローム血栓性脳梗塞
アテローム血栓性脳梗塞とは、比較的太い脳の血管で起こる動脈硬化が原因の脳梗塞をいう。血栓溶解薬の投与や外科的処置(血管内膜剥離)によって治療が行われる。
2.× くも膜下出血
くも膜下出血とは、くも膜と呼ばれる脳表面の膜と脳の空間(くも膜下腔と呼ばれ、脳脊髄液が存在している)に存在する血管が切れて起こる出血である。くも膜下出血ではくも膜下腔に血液が流入し、CTでは高吸収域として抽出される。合併症には、①再出血、②脳血管攣縮、③正常圧水頭症などがある。①再出血:発症後24時間以内が多く、死亡率も高い。②脳血管攣縮:72時間後〜2週間後(ピークは8〜10日)が多く、脳血管攣縮による梗塞の好発部位は、「前交通動脈」である。③正常圧水頭症:数週〜数ヶ月後に認知症状、尿失禁、歩行障害などの症状が出現する。
3.× ラクナ梗塞
ラクナ梗塞とは、細い脳動脈穿通枝の閉塞のことである。原因は、高血圧・脂質異常症・糖尿病などがある。
4.〇 正しい。脳塞栓が最も考えられる。
本症例は、心房細動と診断されている患者が施術中に突然失語となっている。心房細動は、心原性脳塞栓症の原因として最も多い不整脈である。心房細動は、心臓がこまかく震えている状態である。血栓ができやすいため脳塞栓の原因となり最多である。
問題43 熱中症の治療で補給するのに適切なのはどれか。
1.塩分のみ
2.水分と塩分
3.糖分のみ
4.水分と糖分
答え.2
解説
熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることで、体温調節 機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態を指す。屋外だけでなく室内で何もしていないときでも発症し、 救急搬送されたり、場合によっては死亡することもある。主な初期症状として、めまい(目眩、眩暈)や立ちくらみ、一時的な失神などがあげられる。
1.× 塩分のみ
汗をかくと、水分とともにミネラル(ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなど)も失われる。このため、熱中症を予防するためにはミネラルの補給が欠かせない。ただし、熱中症の治療では、塩分だけを補給するのではなく、水分も同時に補給する必要がある。
2.〇 正しい。水分と塩分を熱中症の治療で補給する。
熱中症のときには、上手な水分・塩分補給がポイントである。水分だけでなく塩分も補給することで、症状の改善が期待できる。塩分の補給には、塩分を含む飴・タブレットや梅干しなどもよい。
3~4.× 糖分のみ/水分と糖分
熱中症予防の水分補給として、日本スポーツ協会では、0.1~0.2%の食塩(ナトリウム40~80mg/100ml )と糖質を含んだ飲料を推奨している。特に1時間以上運動をする時は4~8%の糖質を含んだものを摂取する必要がある。
問題44 40歳の女性。1か月前から動悸と手の震えがあり、10日前からしゃがんだときに手すりをつかまないと立ち上がりにくくなった。脈拍112拍/分・整、頸部の腫大と眼球突出がある。
考えられる診断はどれか。
1.橋本病
2.バセドウ(Basedow)病
3.原発性アルドステロン症
4.パーキンソン(Parkinson)病
答え.2
解説
・40歳の女性。
・1か月前:動悸と手の震えがあり
・10日前:しゃがんだときに手すりをつかまないと立ち上がりにくくなった。
・脈拍112拍/分(整)、頸部の腫大と眼球突出がある。
→動悸、震え、頸部肥大、眼球突出の観察される点から、特徴的な病気を選択できる。
1.× 橋本病
橋本病とは、甲状腺に炎症が引き起こされることによって徐々に甲状腺が破壊され、甲状腺ホルモンの分泌が低下していく病気のことである。慢性甲状腺炎とも呼ばれる。甲状腺機能低下症になると、全身の代謝が低下することによって、無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、便秘、かすれ声などが生じる。
2.〇 正しい。バセドウ(Basedow)病が最も考えられる。
Basedow病(バセドウ病)は、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。
3.× 原発性アルドステロン症
原発性アルドステロン症とは、副腎皮質の自律的なアルドステロン産生(過形成、腺腫、または癌腫による)により引き起こされるアルドステロン症である。主な症状として、発作性の筋力低下、血圧上昇、および低カリウム血症がある。 健常状態において副腎からのアルドステロン分泌は、体液量の低下を感知して腎臓から分泌されるレニンの制御を受け、塩分を体内に保持し、血圧を維持するはたらきを持つ。 レニンが低値にもかかわらず副腎からアルドステロンが過剰分泌される状態を確認することで、この病気と診断される。
4.× パーキンソン(Parkinson)病
パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
問題45 76歳の男性。1年前から、直前の食事の内容が思い出せないことや物をよく失くしてしまうこと、慣れてない道で迷ってしまうようになったことを家族から指摘されている。物取られ妄想もみられた。
この患者でみられるのはどれか。
1.動作が緩慢で転倒しやすい。
2.他人に対して遠慮ができず暴力を振るう。
3.自分の部屋に黒い服を着た人が立って、じっと自分を見ていると訴える。
4.質問に答えるときに、一緒にいる家族のほうをその都度振り返って確認する。
答え.4
解説
・76歳の男性。
【1年前】
①直前の食事の内容が思い出せないこと。
②物をよく失くしてしまうこと。
③慣れてない道で迷ってしまうようになったこと
④物取られ妄想。
→認知症の症状から、どのタイプの認知症であるか判別できるようにしよう。本症例の場合、物取られ妄想がみられていることから絞り込みは容易である。本症例は、アルツハイマー型認知症が最も当てはまる。
1.3.× 動作が緩慢で転倒しやすい/自分の部屋に黒い服を着た人が立って、じっと自分を見ていると訴える。
これは、レビー小体型認知症の特徴である。レビー小体型認知症とは、Lewy小体が広範な大脳皮質領域で出現することによって、①進行性認知症と②パーキンソニズムを呈する病態である。認知機能の変動・動揺、反復する幻視(人、小動物、虫)、パーキンソニズム、精神症状、REM睡眠型行動異常症、自律神経障害などが特徴である。実際にはいない人が見える「幻視」、眠っている間に怒鳴ったり、奇声をあげたりする異常言動などの症状が特徴的である。頭がはっきりしたり、ボーッとしたり、日によって変動することもある。レビー小体型認知症そのものを治す治療はなく、現状では症状に対する薬を使用して効果をみる。抗精神薬による精神症状のコントロールと抗パーキンソン病薬による運動症状の改善、自律神経障害に対しての血圧コントロールなどがある。
2.× 他人に対して遠慮ができず暴力を振るう。
これは、前頭側頭型認知症の特徴である。前頭側頭型認知症とは、前頭葉・側頭葉に限局した萎縮性病変を認める症候群をいう。代表的な疾患にPick病がある。発症は初老期(40~60歳代)にみられる。初期は、自発性の低下、自発語の減少、偏食・過食、脱抑制などの人格変化・行動異常で潜行性に発症する。
4.〇 正しい。質問に答えるときに、一緒にいる家族のほうをその都度振り返って確認する。
本症例のアルツハイマー型認知症に当てはまる。アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。Alzheimer型認知症の患者では、現在でもできる動作を続けられるように支援する。ちなみに、休息をとることや記銘力を試すような質問は意味がない。