第31回(R5年)柔道整復師国家試験 解説【午後46~50】

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問題46 創傷分類と説明の組合せで誤っているのはどれか。

1.刺創:鋭利な刃物などによる刺し傷
2.挫創:鋭利な器具による切開創
3.擦過傷:擦過による皮膚表面の断続的な剥離
4.銃創:銃弾による傷

答え.2

解説
1.〇 正しい。刺創:鋭利な刃物などによる刺し傷
刺創は、ナイフや針などの鋭利な物体が皮膚を貫通し、組織に損傷を与えるタイプの傷である。(※読み:しそう)

2.× 挫創は、「鋭利な器具による切開創」ではなく「鈍的外力によって生じた創」である。
例えば、交通事故やスポーツでの打撲などが挫創に分類される。(※読み:ざそう)

3.〇 正しい。擦過傷:擦過による皮膚表面の断続的な剥離
擦過傷は、摩擦や摩耗によって皮膚の表層が剥離し、損傷が生じるタイプの傷である。例えば、転倒してできる擦り傷が擦過傷に分類される。(※読み:さっかしょう)

4.〇 正しい。銃創:銃弾による傷
銃創は、銃から発射された弾丸や破片が皮膚や組織に衝突し、損傷を与えるタイプの傷である。(※読み:じゅうそう)

 

 

 

 

 

問題47 蜂窩織炎の症状で誤っているのはどれか。

1.びまん性腫脹
2.熱感
3.疼痛
4.排膿

答え.4

解説

蜂窩織炎とは?

蜂窩織炎とは、皮膚とその下にある皮下脂肪にかけて、細菌が入り込んで、感染する皮膚の感染症である。スキンケアが重要である。また、浮腫が出現した時の対処として、①スキンケア、②マッサージによるリンパドレナージ、③圧迫療法、④浮腫減退運動療法を総合的に行う。一般的に、 ブドウ球菌とレンサ球菌が原因となる。接触感染の感染経路をとり、個室隔離の必要はない。

1~3.〇 正しい。びまん性腫脹/熱感/疼痛
蜂窩織炎の感染部位は、炎症症状がみられる。炎症4徴候として、疼痛や腫脹、発赤、熱感があげられる。ちなみに、びまん性とは、病変が比較的均等に広がっている状態のことを指す。

4.× 排膿
排膿とは、歯茎から出る膿のことで、歯周病などの病気が進行した場合にみられる。

 

 

 

 

 

問題48 感染症で誤っているのはどれか。

1.破傷風では開口障害がみられる。
2.丹毒はウェルシュ菌によるものが多い。
3.肺アスペルギルス症では菌球形成がみられる。
4.化膿性骨髄炎は黄色ブドウ球菌によるものが多い。

答え.2

解説
1.〇 正しい。破傷風では開口障害がみられる
破傷風とは、破傷風菌により発生し、主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用する。感染して3日から3週間からの症状のない期間があった後、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれる。その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡する。

2.× 丹毒は、「ウェルシュ菌」ではなくA群β溶血性レンサ球菌によるものが多い。
丹毒とは、主にA群β溶血性レンサ球菌の感染により皮膚~皮下脂肪に熱をもって赤く腫れ、痛む病気である。顔に多く見られる。水ぶくれや内出血は重症化のサインである。一方、ウェルシュ菌は、細菌であり産生する毒素により消化器症状(腹痛、下痢、悪心)を呈する。発症に至る原因としては、煮込み(カレーやシチュー)で料理の加熱が不十分である場合が多い。潜伏期間は6~18時間である。

3.〇 正しい。肺アスペルギルス症では菌球形成がみられる。
アスペルギルス症とは、アスペルギルス属の真菌によって引き起こされる通常は肺の感染症である。肺や副鼻腔内に、菌糸、血液のかたまり、白血球が絡まった球状のかたまりが形成される。

4.〇 正しい。化膿性骨髄炎は黄色ブドウ球菌によるものが多い。
化膿性骨髄炎とは、骨髄を中心に骨皮質や骨膜にも細菌が感染して起こる炎症である。代表的な病原体は黄色ブドウ球菌(MRSAを含みます)であり、その他にもA群溶連菌、B群溶連菌、サルモネラ菌、肺炎球菌、緑膿菌などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題49 ショックと原因の組合せで正しいのはどれか。

1.循環血液量減少性ショック:緊張性気胸
2.心原性ショック:肺塞栓
3.血液分布異常性ショック:アナフィラキシー
4.閉塞性ショック:心筋梗塞

答え.3

解説
1.× 循環血液量減少性ショックは、「緊張性気胸」ではなく出血や脱水である。
循環血液量減少性ショックとは、血管内容量の危機的な減少で起こるショックのことである。 静脈還流(前負荷)が減少すると、心室が充満せず、一回拍出量が減少する。 心拍数の増加によって代償されない限り、心拍出量は減少する。 一般的な原因は出血(出血性ショック)で、通常、外傷、外科手術、消化性潰瘍、食道静脈瘤、大動脈瘤破裂によって起こる。ちなみに、緊張性気胸とは、胸壁と肺との間に空気がたまることで胸部への圧力が高まり、心臓に戻る血液が減少することである。症状には、胸痛、息切れ、速い呼吸、心拍数の増加などがあり、ショックに至ることがある。

2.× 心原性ショックは、「肺塞栓」ではなく心ポンプ機能の低下である。
心原性ショックとは、心ポンプ機能の低下により、全身諸組織における循環不全(安静時における組織代謝需要を満たす血流が供給されない状態)が生じ、低酸素、アシドーシス、毛細血管透過性亢進をきたす重篤な病態を指す。全身および心筋組織の循環不全、低酸素化が生じ、アシドーシス、フリーラジカルの発生、サイトカインの増加、白血球凝集、血管内皮障害、微小循環障害などが生じる。心原性ショックの原因として最も多いのは急性心筋梗塞である。他にも、心臓ポンプ機能の異常による心筋収縮力低下のほか、心筋変性や心タンポナーデによる心室拡張不全、頻脈や徐脈などの不整脈で心拍出量が低下するなど、さまざまな病態が原因になる。

3.〇 正しい。血液分布異常性ショック:アナフィラキシー
血液分布異常性ショックとは、血管の特定箇所が何らかの異常により拡張した結果、相対的に循環血液量が減少し、起こるショックである。循環血液量は正常に保たれているのが特徴である。アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応で起こるショックのことである。アナフィラキシーショックの症状として(頻脈、血圧低下、意識障害、喉頭浮腫、呼吸困難)を引き起こす。アレルギー反応によって血管透過性が亢進し、血管内外の血液分布が乱れるため、血液分布異常性ショックの原因となる。

4.× 閉塞性ショックは、「心筋梗塞」ではなく低血圧などがあげられる。
閉塞性ショックとは、心臓は元気で循環血液量も十分あるのに心臓に血液が帰ってこないのが原因でショックとなるものである。原因としては、肺塞栓症、心タンポナーデ、緊張性気胸などがあげられ、胸痛、頻呼吸、頻脈、患側の呼吸音低下と胸郭運動低下、低血圧などの症状がみられる。

 

 

 

 

 

問題50 輸血の副作用で正しいのはどれか。

1.滴下速度と無関係である。
2.移植片対宿主反応がある。
3.発疹は出現すると長時間持続する。
4.腎不全は不適合輸血直後に起こる。

答え.2

解説
1.× 滴下速度との関係がみられる
したがって、輸血を開始するときは、輸血による事故(副作用などの出現)を考慮し、最初の10~15分は1mL/分程度の速度でゆっくりと輸血を行う。副作用がないことを確認したら、5mL/分程度の速度で輸血を行う。速すぎる滴下速度は、循環過負荷や急性肺水腫を引き起こす可能性があり、また、遅すぎる滴下速度は、輸血製剤が滅菌不全になるリスクが高まる。

2.〇 正しい。移植片対宿主反応がある
輸血後移植片対宿主病(PT-GVHD:Post-transfusion graft-versus-host disease)は、輸血後数日から数週間経過してから起こる。輸血後移植片対宿主とは、輸血後に受血者の体内で供血者のリンパ球が生着し、受血者の組織を攻撃する病態である。つまり、輸血製剤中の供血者のリンパ球が増殖し、受血者の組織を攻撃する反応である。家族間の輸血で生じやすい。予防で最も効果が確実なのは、輸血用血液製剤に放射線照射を行い、血液製剤に含まれるリンパ球を排除することである。症状として、輸血後1~2週間で発熱・紅斑が出現し、肝障害・下痢・下血等の症状を伴うとともに、骨髄無形成・汎血球減少症、多臓器不全を呈して、ほとんどの症例で輸血から1カ月以内に致死的経過をたどる。

3.× 発疹は出現すると長時間持続するとは一概に言えない
輸血に関連した発疹は、通常輸血を中止するとすぐに消失することが多い。また、「長時間」持続するという長時間が具体的に何時間であるのかあいまいであるため、選択しにくい。

4.× 腎不全は不適合輸血「直後」ではなく数時間後に起こる。
抗原抗体反応により引き起こされ、補体系、凝固系、内分泌系を活性化する。ショック、DIC、急性腎不全を起こす可能性がある。

 

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