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問題56 20歳の男性。大学でラグビー部に所属している。練習中、グランドに激しく頭をぶつけて10秒間の意識消失を起こした。1時間後には症状は何もなかった。
正しいのはどれか。
1.2度脳しんとうである。
2.意識が改善すれば神経学的検査は必要ない。
3.翌日の練習を許可する。
4.セカンドインパクトシンドロームに注意する。
答え.4
解説
軽度(グレード1):意識消失なし、症状が15分未満(見当識障害など)
中等度(グレード2):意識消失なし、症状が15分以上(見当識障害など)
重度(グレード3):意識消失あり
1.× 「2度」ではなく3度脳しんとうである。
なぜなら、本症例は意識消失が10秒間と短時間であるがみられているため。
2.× 意識が改善すれば神経学的検査は「必要ない」とはいえない。
なぜなら、脳しんとうの症状は、通常、受傷後すぐに発症し短期間で回復するが、時間をかけて進行(悪化)する場合もあるため。急性神経学的機能障害(健忘、平衡感覚障害(バランス感覚の障害)、混乱、情緒不安定、認知機能障害など)が早期に生じ、通常は時間とともに自然回復する。しかし、症例によっては数分〜数時間かけて症状が進行することがあり、回復に長期間を要する場合や、症状が長期に渡り残存することがある。
3.× 翌日の練習を許可するのは時期尚早である。
受傷後24〜48時間の安静状態(身体的安静と精神的安静)を保ち、この時点で症状が消失すれば、復帰プログラムに沿って段階的に活動度をあげ、約1週間のプロセスを経て競技復帰が許可される。症状が改善しない場合は、改善を待って復帰プログラムを開始する。
4.〇 正しい。セカンドインパクトシンドロームに注意する。
セカンドインパクト症候群とは、脳しんとうあるいはそれに準ずる軽症の頭部外傷を受け、数日から数週間後に 2 回目の頭部外傷を負い、致死的な脳腫脹をきたすものをいう。セカンドインパクト症候群の中には急性硬膜下血腫を併存するものがある。
問題57 スポーツ外傷で誤っているのはどれか。(※不適切問題:解2つ)
1.打撲が捻挫よりも多い。
2.中学校では原因として球技が多い。
3.サッカーでは足関節の外傷が多い。
4.スノーボードでは膝関節の外傷が多い。
答え.1 or 4
※対応:複数の選択肢を正解として採点する。
解説
1.× 逆である。「捻挫」が「打撲」よりも多い。
打撲は、捻挫に次ぐ頻度で発生している。ただし、打撲と捻挫のどちらが一般的かは、スポーツの種類や活動の性質によるところが大きい。例えば、フットボールやホッケーのような接触スポーツでは打撲が一般的かもしれないが、バスケットボールやバレーボールのような非接触スポーツでは捻挫が多い場合もある。
2.〇 正しい。中学校では原因として球技が多い。
バスケットボールやサッカー、野球、アメリカンフットボールなどの球技での怪我が多く報告されている。
3.〇 正しい。サッカーでは足関節の外傷が多い。
サッカーは足を使うスポーツであるため、足関節の外傷が非常に多い。特に、足関節の捻挫が最も一般的な外傷とされており、サッカー選手の怪我の中で高い割合を占めている。
4.× スノーボードでは「膝関節」ではなく手首の外傷が多い。
スノーボードは両足を固定されているため、転倒した時は、手を突いてしまう、または腰や首を打つことが多い。
問題58 厚生労働省の早期リウマチの診断基準の項目で誤っているのはどれか。
1.朝のこわばり
2.リウマトイド結節
3.リウマトイド因子
4.三つ以上の関節の腫脹
答え.2
解説
1.3~4.〇 朝のこわばり/リウマトイド因子/三つ以上の関節の腫脹は、厚生労働省の早期リウマチの診断基準の項目である。
朝のこわばり:1時間以上続くこと。
リウマトイド因子:健常者対象での陽性率が5%未満を測定法を用いる。
2.× リウマトイド結節
リウマトイド結節は、早期リウマチの診断基準には含まれない。なぜなら、リウマチ性関節炎の進行した段階で出現するためである。ちなみに、リウマトイド結節とは、肘の外側や膝の前面など、圧迫されやすい部位の皮下にできる小豆大から大豆程度の大きさの硬いしこりである。
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。関節リウマチの有病率は0.5~1.0%とされる。男女比は3:7前後、好発年齢は40~60歳である。
【症状】
①全身症状:活動期は、発熱、体重減少、貧血、リンパ節腫脹、朝のこわばりなどの全身症状が出現する。
②関節症状:関節炎は多発性、対称性、移動性であり、手に好発する(小関節)。
③その他:リウマトイド結節は肘、膝の前面などに出現する無痛性腫瘤である。内臓病変は、間質性肺炎、肺線維症があり、リウマトイド肺とも呼ばれる。
【治療】症例に応じて薬物療法、理学療法、手術療法などを適宜、組み合わせる。
(※参考:「関節リウマチ」厚生労働省HPより)
問題59 脆弱性骨折でないのはどれか。
1.肋骨骨折
2.膝蓋骨骨折
3.胸椎圧迫骨折
4.大腿骨頸部骨折
答え.2
解説
脆弱性骨折とは、骨量の減少や骨質の劣化によって骨強度が低下し、軽微な外力によって発生した非外傷性骨折である。 軽微な外力とは、立った姿勢からの転倒かそれ以下の外力をさす。転んで手をついた、重いものを持ち上げた、尻もちをついた、など健康な方では折れないような外力による骨折のことをさす。
【高齢者の4大骨折】
骨粗鬆症は閉経後の女性に多く、骨の変形や痛み、易骨折性の原因となる。高齢者に多い骨折は①大腿骨頸部骨折、②脊椎圧迫骨折、③橈骨遠位端骨折、④上腕骨頸部骨折などがあり、これらは「高齢者の4大骨折」と呼ばれている。
1.3~4.〇 肋骨骨折/胸椎圧迫骨折/大腿骨頸部骨折は、脆弱性骨折である。
高齢者や骨粗鬆症患者では、軽度な外傷でもそれらの骨折が起こりやすくなる。
2.× 膝蓋骨骨折は、脆弱性骨折でない。
膝蓋骨骨折の原因は、交通事故でダッシュボードに膝をぶつけたり、膝の上に固い物が落下してあたったなどによる強い外力によるものが多い。
膝蓋骨骨折の原因は、交通事故でダッシュボードに膝をぶつけたり、膝の上に固い物が落下してあたったなどによる強い外力によるものが多い。介達外力によるものでは、横骨折を呈する。症状として、膝関節の著明な疼痛・腫脹、限局性圧痛、膝関節伸展障害、膝蓋腱膜断裂で骨折部の著明な離開、陥凹触知などを呈する。ただし、腱膜損傷がなければ転位は軽度である。固定として、転位が軽度なら膝関節軽度屈曲位で、4~5週の副子固定(絆創膏orリング固定を併用)である。一方、転位が大きいものは観血療法である。長期固定による膝関節拘縮を合併することがある。
問題60 高身長を呈するのはどれか。
1.大理石病
2.軟骨無形成症
3.モルキオ(Morquio)病
4.マルファン(Marfan)症候群
答え.4
解説
1.× 大理石病
大理石骨病とは、破骨細胞という骨を溶かす役割をする細胞の機能が障害され、全身の骨がびまん性に硬くなる病気である。臨床症状は重症なものから軽症まで極めて多彩で、重症型(新生児型・乳児型)、中間型、遅発型などに大別され、それぞれの治療や予後は大きく異なる。重症型では貧血、出血傾向、感染しやすいなどの骨髄機能不全症状や著しい成長障害、脳神経障害、水頭症、低カルシウム血症などが早期より発症し、長期生存できない場合もある。
2.× 軟骨無形成症
軟骨無形成症とは、先天異常(常染色体優性遺伝)で、成長軟骨と言われる部分の変化により、低身長や四肢の短さ、指の短さ、特異顔貌が引き起こされる病気である。合併症である肥満、水頭症、閉塞性睡眠時無呼吸、中耳炎、脊柱管狭窄症などの治療または予防が必要になる場合がある。軟骨無形成症の人の平均寿命は健常者の平均寿命より約10年で短いといわれている。
3.× モルキオ(Morquio)病:ムコ多糖症IV型
モルキオ病とは、骨の変形が非常に強く、重症の方は身長も100cm前後となる特徴を持つ。ちなみに、知能は障害されません。幼児期から手足の変形、背骨のゆがみ、短い首と胴、X脚、低身長が観察される。また、背骨が強く変形して扁平になるために胴が短くなる。関節の靱帯が弛緩するために、関節がぐらぐらと不安定となる。
4.〇 正しい。マルファン(Marfan)症候群は、高身長を呈する。
マルファン症候群とは、全身の結合組織の働きが体質的に変化しているために、骨格の症状(高身長・細く長い指・背骨が曲がる・胸の変形など)、眼の症状(水晶体(レンズ)がずれる・強い近視など)、心臓血管の症状(動脈がこぶのようにふくらみ、裂けるなど)などを起こす病気である。