第32回(R6年)柔道整復師国家試験 解説【午後1~5】

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問題1 三次予防はどれか。

1.健康増進
2.早期治療
3.社会復帰
4.予防接種

解答

解説

疾病予防の概念

疾病の進行段階に対応した予防方法を一次予防、二次予防、三次予防と呼ぶ。

一次予防:「生活習慣を改善して健康増進し、生活習慣病等を予防すること」
二次予防:「健康診査等による早期発見・早期治療」
三次予防:「疾病が発症した後、必要な治療を受け、機能の維持・回復を図ること」と定義している。

(※健康日本21において)

1.× 健康増進/予防接種は、一次予防である。

2.× 早期治療は、二次予防である。

3.〇 正しい。社会復帰は、三次予防である。

 

 

 

 

 

問題2 地域社会の環境衛生、保健医療活動および医療の水準を最もよく反映する健康指標はどれか。

1.受療率
2.乳児死亡率
3.合計特殊出生率
4.年齢調整死亡率

解答

解説
1.× 受療率とは、調査日に医療施設で受療した推計患者数を、人口10万人に対する割合で表したものである。医療の水準全体との関連性は低い。

2.〇 正しい。乳児死亡率は、地域社会の環境衛生、保健医療活動および医療の水準を最もよく反映する健康指標である。乳児死亡率が低い場合、良好な環境衛生と医療サービスの提供を示している。ちなみに、乳児死亡率とは、生後1年未満に死亡した乳児の死亡率のことである。生存期間とは、ある個体が誕生してから死に至るまでの期間のことである。

3.× 合計特殊出生率とは、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均である。地域社会の環境衛生との関連性は低い。

4.× 年齢調整死亡率とは、観察集団と基準集団の年齢構成の違いを考慮して補正した死亡率のことである。つまり、もし人口構成が基準人口と同じだったら実現されたであろう死亡率のことである。地域社会の環境衛生との関連性は低い。

 

 

 

 

 

問題3 学校保健で正しいのはどれか。

1.養護教諭が学校保健の総括責任者である。
2.学校教職員は学校健康診断の対象である。
3.学校保健行政を主管するのは厚生労働省である。
4.学校医は学校感染症に罹患した児童生徒の出席を停止できる。

解答

解説
1.× 学校保健の総括責任者であるのは、「養護教諭」ではなく校長(学校長)である。学校長の主な職務は、①学校保健計画および学校安全計画の指導、助言、決定。②定期・臨時健康診断の実施。③感染症、その疑いのある児童生徒等の出席停止などである。

2.〇 正しい。学校教職員は学校健康診断の対象である。学校健康診断とは、学校保健安全法に基づいて、学校で児童生徒や職員の健康を維持増進するために実施される健康診断である。

3.× 学校保健行政を主管するのは、「厚生労働省」ではなく文部科学省である。
・文部科学省とは、日本の行政機関のひとつで、教育、学術、スポーツ、文化および科学技術の振興、宗教事務等を所管する。文部科学大臣とは、日本の文部科学省の長および主任の大臣たる国務大臣である。
・厚生労働省とは、「国民生活の保障・向上」と「経済の発展」を目指すために、社会福祉、社会保障、公衆衛生の向上・増進と、働く環境の整備、職業の安定・人材の育成を総合的・一体的に推進する。厚生労働大臣とは、日本の厚生労働省の長および主任の大臣たる国務大臣である。

4.× 学校感染症に罹患した児童生徒の出席を停止できるのは、「学校医」ではなく校長(学校長)である。学校医とは、就学時や定期的な健康診断をはじめ、修学旅行やマラソン大会など学校行事にあわせた健康チェックや健康相談を行ったり、心の相談や性に関する相談にも応えたりする。また、集団健康管理の点から伝染病・感染症対策についての必要な指導と助言とを行っている。

養護教諭とは

養護教諭とは、主に、小・中・高校に配属されている「保健室の先生」のことである。 学校でケガをしたり体調を崩したりしたとき、保健室に行くと対応してくれるのが養護教諭である。養護教諭がいることで、生徒たちが安心して学校に通える環境が整えられている。

①保健管理:救急処置、健康診断(実施計画立案、準備、指導、評価)、感染症予防、経過観察・配慮を必要とする子どもの支援、環境管理。
②保健教育:授業への参画、保健指導(個別の児童・生徒と保護者への指導・助言、集団への指導)
③健康相談:心身の健康問題への対応・支援
④保健室経営:保健室経営計画の作成、備品の管理
⑤保健組織活動学校保健委員会 等
⑥学校保健計画・学校安全計画策定への参画

 

 

 

 

 

問題4 がんと危険因子の組合せで正しいのはどれか。

1.大腸癌-肝炎ウイルス
2.前立腺癌-受動喫煙
3.胃癌-ヘリコバクターピロリ
4.乳癌-ヒトパピローマウイルス

解答

解説
1.× 肝炎ウイルスは、「大腸癌」ではなく肝臓がんの危険因子である。B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスなどの持続感染で、肝細胞の炎症と再生が繰り返され、遺伝子の変異が積み重なり、肝臓がんになると考えられている。ちなみに、生活習慣に関わる大腸がんのリスク要因として、運動不足、野菜や果物の摂取不足、肥満、飲酒などが挙げられる。生活習慣の欧米化(高脂肪・低繊維食)が関与していると考えられている。

2.× 受動喫煙は、「前立腺癌」ではなく肺がんの危険因子である。肺がんの危険因子には、喫煙、大気汚染、職業的曝露、他の肺疾患、年齢、家族歴、既往歴などある。ちなみに、前立腺癌の主要な危険因子には、家族歴や高年齢、食事や運動などの生活習慣、環境因子などである。

3.〇 正しい。胃癌は、ヘリコバクターピロリが危険因子である。ヘリコバクター・ピロリ菌は、アンモニアを遊離し、局所をアルカリ化することによって胃粘膜の障害をきたす病原菌である。胃炎や胃潰瘍の発生に関与する。

4.× ヒトパピローマウイルスは、「乳癌」ではなく子宮頸がんの危険因子である。乳癌の危険因子は、高エストロゲン状態がある。したがって、乳癌の既往のある患者や現在乳癌に罹患している患者に対してのホルモン補充療法(エストロゲン補充)は禁忌である。

癌の発生病理と関係のある感染症

①肝細胞癌:B型、C型肝炎ウイルス
②子宮頸癌:ヒトパピローマウイルス(16,18型)
③上咽頭癌:Burkittリンパ腫、NK細胞リンパ腫:Epstein barrウイルス
④胃癌:ヘリコバクター・ピロリ菌
⑤胆管癌:肝吸虫

 

 

 

 

 

問題5 精神障害で最も多いのはどれか。

1.アルコール使用(飲酒)による精神障害
2.脳血管性認知症
3.統合失調症
4.気分障害

解答

解説

(※図引用:「精神疾患を有する総患者数の推移」厚生労働省HPより)

1.× アルコール使用(飲酒)による精神障害は、平成29年において、6万人である(※データ引用:「アルコール使用(飲酒)による精神及び行動の障害総患者数」男女共同参画局様HPより)。

2.× 脳血管性認知症(血管性及び詳細不明の認知症)は、平成29年において、14万2千人である。

3.× 統合失調症(統合失調症型障害及び妄想性障害)は、平成29年において、79万2千人である。

4.〇 正しい。気分障害は、精神障害で最も多い。気分障害(感情障害、抑うつ病を含む)は、平成29年において、127万6千人である。

(※図引用:「平成29年(2017)患者調査の概況」厚生労働省HPより)

 

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