この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問題56 16歳の女子。ハチに刺された後に顔面蒼白となり意識消失した。脈拍も触知不可となった。半年前にもハチ刺傷の既往がある。
緊急で投与が必要な薬剤はどれか。
1.ドパミン
2.ドブタミン
3.アドレナリン
4.ニトログリセリン
解答3
解説
・16歳の女子。
・ハチに刺された後:顔面蒼白となり意識消失。
・脈拍も触知不可。
・半年前にもハチ刺傷の既往がある。
→本症例は、アナフィラキシーショックが疑われる。アナフィラキシーショックとは、アレルギー反応で起こるショックのことである。主にⅠ型アレルギー反応の結果、血管拡張や血管透過性の亢進による血漿漏出が生じ、循環血液量の減少をきたすことで起こる。アナフィラキシーショックの症状として(頻脈、血圧低下、意識障害、喉頭浮腫、呼吸困難)を引き起こす。
1.× ドパミンとは、運動調節や意欲・学習などに関わる脳内の神経伝達物質である。脳内のドパミン量が不足するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症になると考えられている。 統合失調症の治療薬は、ドパミンD2受容体に結合して不活性化させる。
2.× ドブタミンとは、主に心臓の収縮力を強める作用を持つ薬剤で、合成カテコールアミンの一種である。急性心不全や心原性ショックなど、心臓のポンプ機能が低下している病態に対して用いられる。
3.〇 正しい。アドレナリンが、緊急で投与が必要な薬剤である。
・アドレナリンは、アナフィラキシーショックの病態を改善できる。
【作用】血管収縮作用、気管支拡張作用、 心臓の働きをサポートし、心拍出量を増加さる。これらの作用により、血圧の維持、呼吸状態の改善、全身の血流確保が迅速に行える。
4.× ニトログリセリンとは、主に狭心症、他に心筋梗塞、心臓喘息、アカラジアの一時的緩解などに用いる。狭心症は冠動脈の内腔が一時的に閉塞、狭窄する。ニトログリセリンに代表される硝酸薬は血管平滑筋を弛緩させ、血管を拡張させる作用がある。
問題57 偽関節を生じやすいのはどれか。
1.橈骨遠位端骨折
2.手舟状骨骨折
3.大腿骨転子部骨折
4.脛骨近位端骨折
解答2
解説
偽関節とは、骨折部の癒合不全により異常可動をきたすことである。血流が少なく、骨癒合が起こりにくい部位の骨折が好発部位である。つまり、①大腿骨頸部骨折、②手の舟状骨骨折、③脛骨中下1/3骨折等は偽関節を起こしやすい。
1.× 橈骨遠位端骨折は、高齢者が転倒して手をついた際に起こりやすい(※下参照)。
2.〇 正しい。手舟状骨骨折は、偽関節を生じやすい(※上参照)。
3.× 大腿骨「転子部」ではなく頸部骨折は、偽関節を生じやすい(※上参照)。
4.× 脛骨「近位端」ではなく中下1/3骨折は、偽関節を生じやすい(※上参照)。
①内的要因:加齢変化、疾患・障害、使用中の薬物など。
②外的要因:屋内外の生活環境、履き物、衣服など。
【高齢者の転倒による骨折】
①大腿骨近位部骨折
②脊椎圧迫骨折
③上腕骨近位部骨折
④橈骨遠位端骨折
問題58 スポーツ整形外科の対象となるのはどれか。
1.痛風
2.関節リウマチ
3.後縦靭帯骨化症
4.変形性膝関節症
解答4
解説
1.× 痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足趾関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。
2.× 関節リウマチとは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。病因には、遺伝、免疫異常、未知の環境要因などが複雑に関与していることが推測されているが、詳細は不明である。関節炎が進行すると、軟骨・骨の破壊を介して関節機能の低下、日常労作の障害ひいては生活の質の低下が起こる。関節破壊(骨びらん) は発症6ヶ月以内に出現することが多く、しかも最初の1年間の進行が最も顕著である。
3.× 後縦靭帯骨化症とは、椎体骨の後縁を上下に連結し、背骨の中を縦に走る後縦靭帯が骨になった結果、脊髄の入っている脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分枝する神経根が押されて、感覚障害や運動障害等の神経症状を引き起こす病気である。症状が進行すると、頚髄損傷のように、四肢の麻痺や、上下肢の腱反射異常、病的反射、膀胱直腸障害が出現するようになる。中年以降、特に50歳前後で発症することが多く、男女比では2:1とされている。
4.〇 正しい。変形性膝関節症は、スポーツ整形外科の対象となる。原因には、加齢、肥満、遺伝的要因などのほか、スポーツによる膝への繰り返し負荷や過去のスポーツ外傷(例:半月板損傷、靭帯損傷)が、変形性膝関節症の発症や進行のリスクを高める重要な要因となるため。
変形性膝関節症は、①疼痛、②可動域制限、③腫脹、④関節変形などがみられる。進行度にかかわらず、保存療法が第一選択となる。減量や膝に負荷のかかる動作を回避するような日常生活動作指導、筋力トレーニングやストレッチなどの運動療法、装具や足底板などの装具療法、鎮痛薬や関節内注射などの薬物療法が行われる。
問題59 急性化膿性骨髄炎で正しいのはどれか。
1.成人に多い。
2.長管骨骨幹端部に多い。
3.連鎖球菌によるものが多い。
4.単純エックス線像では初期から骨変化がみられる。
解答2
解説
化膿性骨髄炎とは、骨髄を中心に骨皮質や骨膜にも細菌が感染して起こる炎症である。代表的な病原体は黄色ブドウ球菌(MRSAを含みます)であり、その他にもA群溶連菌、B群溶連菌、サルモネラ菌、肺炎球菌、緑膿菌などがあげられる。
1.× 「成人」ではなく小児に多い。なぜなら、急性化膿性骨髄炎は、骨幹端に好発し、骨髄を中心に起こる炎症であるため。
・骨幹端とは、骨端軟骨に接する骨幹の端で、この部位で骨端軟骨によって骨の長さの成長が行われる。
2.〇 正しい。長管骨骨幹端部に多い。なぜなら、長管骨の骨幹端部(成長板に近い部分)は、毛細血管が豊富で、かつ血液の循環が比較的遅くなる構造をしているため。したがって、血流中の細菌がそこで捕捉されやすく、感染巣を形成しやすい特徴がある。
3.× 「連鎖球菌」ではなく黄色ブドウ球菌によるものが多い。
・連鎖球菌とは、鎖状に連なる球菌で、咽頭炎や扁桃炎などを引き起こす。
・黄色ブドウ球菌とは、ブドウの房状に集まる球菌で、化膿性疾患や食中毒の原因菌である。
4.× 「単純エックス線像」ではなくMRIでは、初期から骨変化がみられる。なぜなら、急性化膿性骨髄炎の初期段階では、骨髄内の炎症が主であるため。したがって、単純エックス線像では異常を認めないことがほとんどである。
問題60 離断性骨軟骨炎で誤っているのはどれか。
1.股関節に多い。
2.変性壊死である。
3.MRIは診断に有用である。
4.野球をする小学生に好発する。
解答1
解説
離断性骨軟骨炎とは、血流が悪くなることによって軟骨の下にある骨(軟骨下骨)が壊死し、膝関節の軟骨の一部が骨ごと剥がれてしまう病気である。これを、関節遊離体といい(関節ねずみともいい)、肘や膝などの関節部分にある骨や軟骨がはがれ落ち、関節内を動き回る物をいう。これが膝関節内に浮遊すると、嵌頓症状を引き起こす可能性があり、ロッキングは、膝が一定の角度で屈伸不能(特に完全伸展不能)になることである。原因として、半月板損傷後や関節遊離体などが断裂し、顆間窩に挟まれることによって生じる。
1.× 「股関節」ではなく膝関節(特に大腿骨内側顆)に多い。膝関節は、体重を支え、ジャンプや急な方向転換など、多様な動きをするため、軟骨の下にある骨(軟骨下骨)に繰り返しストレスがかかりやすい。したがって、血流障害が起こりやすく、骨が壊死して軟骨ごと剥がれやすくなる。次いで、肘関節(特に上腕骨小頭)に多く発生する。
2.〇 正しい。変性壊死である。離断性骨軟骨炎とは、血流が悪くなることによって軟骨の下にある骨(軟骨下骨)が壊死し、膝関節の軟骨の一部が骨ごと剥がれてしまう病気である。
3.〇 正しい。MRIは、診断に有用である。なぜなら、MRIは骨、軟骨、骨髄、関節液などの軟部組織を詳細に描出できるため。したがって、軟骨下の浮腫や壊死、骨片の離断の有無、関節軟骨の状態などを早期かつ正確に評価することができる。
4.〇 正しい。野球をする小学生に好発する。離断性骨軟骨炎は、特に投球動作が多い野球、体操、サッカーなど、特定の関節に繰り返し負荷がかかるスポーツを行う成長期の小中学生に多く見られる。