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問題21 運動麻痺や失調などがなく要素的には動作が可能なはずなのに、実際には目的動作に障害がみられる状態はどれか。
1.失行
2.失認
3.注意障害
4.遂行機能障害
解答1
解説
1.〇 正しい。失行は、運動麻痺や失調などがなく要素的には動作が可能なはずなのに、実際には目的動作に障害がみられる状態である。
・失行とは、麻痺や運動機能の障害はないが、意識した動作が正しく行えない状解である。
2.× 失認とは、1つまたは複数の感覚で物体を識別する能力が失われる障害である。視覚・聴覚・味覚・嗅覚・体性感覚などその感覚自体の異常がなく、注意や知能といった一般的な精神機能は保たれているが、対象を認知できないことである。
3.× 注意障害とは、必要に応じて特定の刺激に意識を向けることや、集中し続けることなどができなくなる障害である。
4.× 遂行機能障害とは、物事を計画し、順序立てて実行するという一連の作業が困難になる状態である。遂行機能障害に対する介入方法としては、解決方法や計画の立て方を一緒に考える問題解決・自己教示訓練が代表的である。
問題22 ロコモティブシンドロームの有無を評価するロコチェックの7項目に含まれるのはどれか。
1.握力が20kg未満である。
2.自転車に乗ることができない。
3.横断歩道を青信号で渡りきれない。
4.開眼片脚起立時間が15秒未満である。
解答3
解説
ロコモティブシンドロームとは、運動器の障害により移動能力が低下し、「要介護」のリスクが高い状態のことである。(提唱:日本整形外科学会)予防策として、片脚立位・スクワットからなる「ロコトレ」を行うよう推奨している。対象者がすでに運動器の障害や身体機能低下を有している場合も多いため、トレーニングの際には、疼痛や転倒などに十分配慮して行う必要がある。
1つでも当てはまればロコモの心配がある。
①片脚立ちで靴下がはけない。
②家の中でつまずいたりすべったりする。
③階段を上がるのに手すりが必要である。
④家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)。
⑤2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳パック2個程度)。
⑥15分くらい続けて歩くことができない。
⑦横断歩道を青信号で渡りきれない。
(※参考:「ロコチェック」ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト)
1.× 握力が20kg未満である。
握力の低下は、フレイルの診断基準に含まれている。
2.× 自転車に乗ることができない。
特段、この項目を診断基準にしているものはない。
3.〇 正しい。横断歩道を青信号で渡りきれない。
これは、ロコチェックの7項目に含まれている。歩行スピードの低下が疑われる。
4.× 開眼片脚起立時間が15秒未満である。
「片脚立ちで靴下がはけない」は、ロコチェックの7項目に含まれている。バランス能力の低下が疑われる。
【フレイルとは?】
フレイルとは、健常な状態と要介護状態(日常生活でサポートが必要な状態)の中間の状態のことをいう。多くは、「健康状態」→「フレイル」→「要介護状態」と経過する。
定義:加齢とともに心身の活動(運動機能や認知機能など)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態である。
診断基準に含まれるのは【①体重減少、②主観的疲労度、③日常生活活動量の低下、④歩行速度の低下、⑤握力の減弱】である。
【サルコペニアとは?】
サルコペニアは、加齢に伴う骨格筋量と骨格筋力の低下によって身体的な障害やQOLの低下を招いている状態のことをいう。サルコペニアの診断には、四肢骨格筋量の低下があることに加えて身体機能(歩行速度)の低下または、筋力(握力)の低下、下腿周径、5回椅子立ち上がりテストがある。
問題23 20歳の男性。高速道路で自動車運転中に横転して受傷した。搬送先の病院で撮影した左上腕の単純エックス線写真を下に示す。左手に運動麻痺がみられ、急性期治療後も麻痺は残存している。
使用すべき装具はどれか。
1.把持装具
2.短対立装具
3.手背屈装具
4.ナックルキャスト
解答3
解説
・20歳の男性。
・高速道路で自動車運転中に横転して受傷した。
・単純エックス線:上腕骨骨幹部骨折が疑われる。
・左手に運動麻痺がみられ、急性期治療後も麻痺は残存している。
→本症例は、橈骨神経麻痺が疑われる。橈骨神経麻痺とは、母指背側の感覚障害と上腕三頭筋・腕橈骨筋・長、短橈側手根伸筋、総指伸筋などの伸筋群の麻痺(下垂手)を認める。
1.× 把持装具は、手関節背屈機能を利用した把持動作である。正中神経麻痺(高位型)やC6レベルまで残存している脊髄損傷に対して用いる。ピンチ動作(把持動作)を可能にする装具である。
2.× 短対立装具は、正中神経麻痺低位型で適応となる。母指の掌側外転や対立運動の低下のため、第1,2中手骨間を一定に保つ役割を持つ装具である。また、C8残存に対しては、短対立装具にて母指の対立運動を補助する。
3.〇 正しい。手背屈装具は、使用すべき装具である。コックアップ・スプリント(手背屈装具)は、橈骨神経麻痺で適応となる。手関節を軽度背屈位にして、安定保持を目的とした装具である。
4.× ナックルキャストは、主に尺骨神経麻痺に適応である。MP関節屈曲を補助し、鷲手変形を防止する。
問題24 身体の診察で最初に行うのはどれか。
1.視診
2.触診
3.打診
4.聴診
解答1
解説
1.〇 正しい。視診は、身体の診察で最初に行う。なぜなら、視診は、患者が診察室へ入ってこられた時点で行われるため。
・視診とは、患者の顔色や患部を目で見て診察することである。
2.× 触診とは、例えば腹部触診の場合、臓器の位置や大きさ、腹水貯留、ガスや便の貯留、腫瘤の有無を確認する診察方法である。
3.× 打診とは、指先や打診器で胸・背などをたたき、その音で内臓の診察である。
4.× 聴診とは、聴診器を使って患者の体内の音(呼吸音、心音、腸音など)を聴く診察である。
問題25 原因と姿勢の組合せで正しいのはどれか。
1.髄膜炎:前かがみ姿勢
2.破傷風:後弓反張
3.脳血管障害:脊柱後弯姿勢
4.パーキンソン(Parkinson)病:マン・ウェルニッケ姿勢
解答2
解説
1.× 髄膜炎とは、なんらかの理由(主な病原体:髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌)で、髄膜が炎症を起こす病気である。症状は、髄膜炎の3大症状でもある発熱、頭痛、項部硬直で、75%以上の意識障害(傾眠~昏睡と程度は様々)である。他にも、嘔吐や羞明もよくみられる。けいれんは初期症状にみられ、髄膜炎の全経過を通して20~40%に起こる。
・前かがみ姿勢は、パーキンソン病でみられる。
2.〇 正しい。破傷風:後弓反張
・破傷風とは、接触感染で、破傷風菌により発生し、主に傷口に菌が入り込んで感染を起こし毒素を通して、さまざまな神経に作用する。感染して3日から3週間からの症状のない期間があった後、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれる。その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢(後弓反張姿勢)や呼吸困難が現れたのちに死亡する。
3.× 脳血管障害は、「脊柱後弯姿勢」ではなくマン・ウェルニッケ姿勢がみられる。マン・ウェルニッケ姿勢とは、Wernicke-Mann肢位(ウェルニッケマン肢位)ともいい、大脳皮質から大脳脚の間(脳幹より上位)で運動制御系が片側性に障害されたときに、病巣の対側上肢が屈曲位、下肢が伸展位を呈する肢位のことをいう。脳血管障害の後遺症としてしばしば認められる。
【上肢】肩関節内旋・内転位、肘関節屈曲位、手関節掌屈位、手指屈曲位
【下肢】股関節伸展・内旋・内転位、膝関節伸展位、足関節内反尖足位
4.× パーキンソン(Parkinson)病は、「マン・ウェルニッケ姿勢」ではなく前傾姿勢がみられる。