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問題6 糖尿病で正しいのはどれか。
1.妊娠中は発症しない。
2.慢性腎不全は合併症の1つである。
3.我が国の大部分は1型糖尿病である。
4.軽症糖尿病の治療は薬物療法が主体である。
解答2
解説
1.× 妊娠中「も発症する」。なぜなら、妊娠中には、ホルモンの影響などによりインスリン抵抗性が高まり、血糖値が上昇しやすくなるため。それまで糖尿病の既往がなかった女性でも、妊娠中に初めて糖尿病と診断されることがあり、これを「妊娠糖尿病」と呼ぶ。
・妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発見された糖代謝異常である。診断基準は糖負荷試験をした際に、空腹時血糖92mg/dL以上、1時間値180mg/dL以上、2時間値153mg/dL以上のいずれか1点以上を満たした場合であるが、Aさんは空腹時血糖85 mg/dLであり、血糖値は問題ない。
2.〇 正しい。慢性腎不全は合併症の1つである。なぜなら、糖尿病の三大合併症(糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害)であるため。
・糖尿病性腎症とは、糖尿病の合併症で、糖尿病によって高血糖状態が持続し、腎臓の内部に張り巡らされている細小血管が障害を受けることで発症する。悪化すると腎不全に移行し、血液透析などが必要となる。糖尿病性腎症の場合、徐々に病気が進行するため、できるだけ早期に発見し、適切な治療をすることが重要である。糖尿病性腎症が原因で透析を受けることになった人が、全透析患者のうち44.1%と最も多い割合を占めている。
3.× 我が国の大部分は、「1型糖尿病(約3%)」ではなく2型糖尿病(約95%)である。
・1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。
・2型糖尿病とは、遺伝的な体質(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に過食、運動不足、肥満が加わることにより起こる糖尿病を指す。
4.× 軽症糖尿病の治療は、「薬物療法」ではなく食事療法や運動療法(生活習慣の改善)が主体である。薬物療法は、これらの生活習慣改善だけでは血糖コントロールが不十分な場合に導入されることが一般的である。
問題7 食中毒の届出が規定されているのはどれか。
1.栄養士法
2.食育基本法
3.食品衛生法
4.食品安全基本法
解答3
解説
食中毒とは、食中毒を起こすもととなる細菌やウイルス、有毒な物質がついた食べ物を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、吐き気などの症状が出る病気のことである。①微生物(細菌、ウイルス等)によるもの、②化学物質によるもの、③自然毒によるもの及びその他に大別される。なかでも、①微生物(細菌性)の食中毒は、感染型と毒素型に大きく分類される。加熱が有効なのは感染型であり、毒素型に加熱は無効である。
【毒素型】毒素型細菌性食中毒、セレウス、黄色ブドウ球菌、ボツリヌス
1.× 栄養士法とは、栄養士や管理栄養士の資格や業務内容を定めた日本の法律である。国民の健康保持・増進を目的に、栄養指導の専門職としての役割や資格取得の要件、名称の使用制限などを規定している。
2.× 食育基本法は、食育についての基本理念や食育の施策の基本、食育の実施が定められている。
3.〇 正しい。食品衛生法は、食中毒の届出が規定されている(第六十三条)。
・第六十三条「食中毒患者等を診断し、又はその死体を検案した医師は、直ちに最寄りの保健所長にその旨を届け出なければならない」と規定されている(※引用:「食品衛生法」e-GOV法令検索様より)。
4.× 食品安全基本法は、食生活を取り巻く環境変化に対応し、食品の安全性を確保することにより国民の健康を保護することを目的としている。
食品衛生法とは、日本において飲食によって生ずる危害の発生を防止するための日本の法律である。所管官庁は、厚生労働省と消費者庁である。食品と添加物などの基準、表示、検査などの原則を定めている。
問題8 社会福祉法規による活動はどれか。
1.公的年金の給付
2.生活保護の扶助
3.労働災害の認定
4.予防接種の実施
解答2
解説
社会福祉法とは、社会福祉について規定している日本の法律である。所管官庁は、厚生労働省である。社会福祉とは、一般的に低所得、要扶養、疾病、心身の障害、高齢などに起因する生活上の困難や障害に対して、その解決や緩和をめざして発展させられてきた社会的な施策とそのもとにおいて展開される援助活動の総体である。
1.× 公的年金の給付(国民年金、厚生年金など)は、「社会保険」制度の一つであり、主に「国民年金法」や「厚生年金保険法」といった社会保険関係法規に基づいて行われる。
2.〇 正しい。生活保護の扶助は、社会福祉法規による活動である。生活保護は、「生活保護法」という社会福祉法規に基づき、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度である。
3.× 労働災害の認定は、「労働者災害補償保険法(労災保険法)」という社会保険関係法規に基づいて行われる。
・労働者災害補償保険法とは、労働者災害補償保険により、業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して迅速かつ公正な保護をするために制定された法律である。必要な保険給付を行い、あわせて、業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかった労働者の社会復帰の促進、当該労働者及びその遺族の援護、適正な労働条件の確保等を図り、労働者の福祉の増進に寄与する。
4.× 予防接種の実施は、「予防接種法」という公衆衛生関係法規に基づいて行われる。
・予防接種法とは、公衆衛生の観点から伝染のおそれがある疾病の発生・まん延を予防するためにワクチンの予防接種を行うとともに、予防接種による健康被害の迅速な救済を図ることを目的として制定された日本の法律である。予防接種法に基づく予防接種には、①定期予防接種と②臨時予防接種があり、定期予防接種の対象疾患には、①A類疾病と②B類疾病がある。さらに同法に基づかない任意接種もある。
問題9 再興感染症はどれか。
1.結核
2.エボラ出血熱
3.新型コロナウイルス感染症
4.クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeldt-Jakob)病
解答1
解説
新興感染症:かつて存在しなかった感染症が新たに脅威として現れたものである。
再興感染症:かつて大きな脅威であったものが一度沈静化したものの再び問題となってきたものである。抗生物質などの発達により一時期は制圧できたものの、何らかの原因で再度公衆衛生上問題となった疾患を指す。現在、再興感染症に挙げられるものとして、結核、マラリア、デング熱、狂犬病、黄色ブドウ球菌感染症などがある。
1.〇 正しい。結核は、再興感染症である。
・肺結核とは、結核菌による感染症で、体の色々な臓器に起こることがあるが多くは肺のことである。結核菌は、喀痰の中に菌が出ている肺結核の患者と密閉空間で長時間(一般的には数週間以上)接触することにより空気感染でうつる。リンパ節結核や脊椎カリエス(骨の結核)など、肺に病気のない結核患者からはうつらない。また肺結核でも、治療がうまくいって喀痰の中に菌が出ていない患者さんからはうつることはない。また、たとえ感染しても、発病するのはそのうち1割ぐらいといわれており、残りの9割の人は生涯何ごともなく終わる。感染してからすぐに発病することもあるが、時には感染した後に体の免疫が働いていったん治癒し、その後数ヶ月から数十年を経て、免疫が弱ったときに再び結核菌が増えて発病することもある。結核の症状には、咳、痰、血痰、熱、息苦しさ、体のだるさなどがある。
2.× エボラ出血熱は、新興感染症である。
・エボラ出血熱とは、エボラウイルスによる感染症であり、エボラウイルスに感染すると、2~21日(通常は7~10日)の潜伏期の後、突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状を呈す。その後、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が現れる。
3.× 新型コロナウイルス感染症は、新興感染症である。
・新型コロナウイルス感染症とは、ウイルスにより引き起こされる呼吸器の感染症である。発熱や咳、倦怠感などが主な症状で、人から人へ飛沫などで感染する。
4.× クロイツフェルト・ヤコブ(Creutzfeldt-Jakob)病は、一般的に「新興感染症」や「再興感染症」で分類されないことが多い。
・クロイツフェルト・ヤコブ病とは、異常なプリオン蛋白が脳に蓄積する致死性神経感染症である。初期には精神症状(健忘症、抑うつなど)、視覚障害、歩行障害、運動失調などで発症し、進行すると精神症状が急速に悪化し、高度の認知症に発展する。会話、自発語不能となり、四肢のミオクローヌスも特徴的所見である。様々な症状を呈して、多くは数ヶ月から半年以内、長くとも2年以内で死亡する。
問題10 機械的清拭法による手指の消毒で最初に行うのはどれか。
1.速乾性擦式消毒薬による擦り込み
2.酒精編による拭き取り
3.ブラシによる手洗い
4.流水による手洗い
解答4
解説
消毒・滅菌の方法として、①物理的方法(機械的清拭法)と②化学的方法(化学的消毒法)がある。①物理的方法(機械的清拭法)とは、消毒剤を染み込ませたガーゼ、タオル、モップなどで器械・器具や環境の表面を拭き取ることにより消毒する方法である。浸漬できない器械・器具や環境に用いられる。②化学的方法(化学的消毒法)とは、消毒剤を用いて病原微生物を殺滅する方法である。消毒剤の効果は、消毒剤の種類と濃度により決まる。消毒の対象が生体か器具・環境か、あるいは、適応部位が皮膚か粘膜かなどにより適切な消毒剤を選択する必要がある。感染予防の基本となるのが「手洗い」である。
1.× 速乾性擦式消毒薬による擦り込みは、化学的方法(化学的消毒法)である。
・速乾性擦式消毒薬は、アルコール製剤などである。主に目に見える汚れがない場合に、短時間で手指の消毒を行う際に用いられる。ほかにも、流水と石鹸による手洗い(機械的清拭)の後に、さらに消毒効果を高める目的で使用されたり、手洗いができない状況で用いられたりする。
2.× 酒精綿による拭き取りは、化学的方法(化学的消毒法)である。
・酒精綿は、アルコール綿のことをいう。注射部位の消毒や、小さな物品の消毒など、限られた範囲の消毒に用いられることが一般的である。
3.× ブラシによる手洗いは、機械的清拭法による手指の消毒で「最初」とはいえない。
・ブラシによる手洗いは、爪の間など、通常の石鹸と流水による手洗いだけでは汚れが落ちにくい部分を重点的に洗浄する目的で用いられることがある。石鹸と流水での洗浄後に行われる補助的な手段である。
4.〇 正しい。流水による手洗いは、機械的清拭法による手指の消毒で最初に行う。まずは、手指に付着した目に見える汚れや、付着している微生物の大部分を物理的に洗い流すことが、消毒効果を最大限に引き出すための基本である。
スタンダード・プリコーションとは、感染症の疑いや診断の有無にかかわらず、すべての患者に共通して実施される感染対策で、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・損傷した皮膚・粘膜)を感染源と見なし、対処する予防策である。
【手指衛生の5つのタイミング】
①患者に触れる前( 手指を介して伝播する病原微生物から患者を守るため)
②清潔/無菌操作の前( 患者の体内に微生物が侵入することを防ぐため)
③体液に曝露された可能性のある場合(患者の病原微生物から医療従事者を守るため)
④患者に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
⑤患者周辺の環境や物品に触れた後(患者の病原微生物から医療従事者と医療環境を守るため)
(※引用:「WHO手指衛生ガイドライン」矢野邦夫より)