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問題76 正しい組合せはどれか。
1.軸椎関節突起間骨折:ハングマン骨折
2.椎体楔状圧迫骨折:ティアドロップ骨折
3.軸椎破裂骨折:ジェファーソン(Jefferson)骨折
4.棘突起骨折:バースト骨折
解答1
解説
1.〇 正しい。軸椎関節突起間骨折:ハングマン骨折
・ハングマン骨折は、第2頸椎(軸椎)の横突起と椎弓が骨折するものである。交通事故によって発生しやすい。
2.× ティアドロップ骨折は、「椎体楔状圧迫骨折」ではなく椎体骨折である。
・椎体骨折(ティアドロップ骨折・涙滴骨折)とは、頚椎が、外力で屈曲が強制され、同時に、上方向からの圧迫力が加わったときに、中・下部頚椎(第3~第7頸椎)に発生する骨折のことである。上位椎体が下位椎体を圧迫したときに、椎体前方部分を破壊し、これが涙の滴のように前方へ分離するのが特徴である。
3.× ジェファーソン(Jefferson)骨折は、「軸椎破裂骨折」ではなく環椎骨折である。
・環椎骨折(Jefferson骨折)とは、第一頸椎(環椎)の前弓・後弓の破裂骨折(椎体の前方の壁だけではなく、後方の壁も割れる骨折で、脊髄症状を生じる骨折)を指す。環椎骨折(Jefferson骨折)の治療は、主に装具を用いた保存療法が選択される。不安定性が強く早期の場合は手術が選択されることもあるが稀である。環椎は可動性が高く、周囲に神経・血管が通っている特徴がある。
4.× バースト骨折は、「棘突起骨折」ではなく椎体破裂骨折である。
・バースト骨折(破裂骨折)とは、骨が破裂するように粉砕される骨折で、特に椎体に多い。(椎体)破裂骨折とは、椎体の前方(前弓)だけでなく、後方の壁(後弓)も含めた骨折のこと。
→骨片が脊柱管内に飛び出して神経を損傷し下肢の麻痺など発症した場合などは手術が必要となることがあります。
問題77 鎖骨骨折で障害される神経の神経高位はどれか。
1.C2~C6
2.C5~T1
3.C8~T4
4.T3~T7
解答2
解説
(※図引用:日本整形外科学会様HPより)
1.× C2~C6より鎖骨骨折で障害される神経があげられる。
・C2~C4は、主に頚部の筋肉や横隔膜(横隔神経)を支配する。
・C5の一部は腕神経叢の上幹を形成する。
2.〇 正しい。C5~T1は、鎖骨骨折で障害される神経の神経高位である。なぜなら、鎖骨の下には、上肢を支配する腕神経叢が走行しているため。腕神経叢は、C5~T1までの神経根が合流して形成している。
3.× C8~T4より鎖骨骨折で障害される神経があげられる。
・T2~T4は、主に体幹の感覚や筋肉(肋間神経など)を支配する。
4.× T3~T7より鎖骨骨折で障害される神経があげられる。
・T3~T7の神経根は、胸部の肋間神経などを形成し、主に胸部や腹部の感覚・運動を支配する。
問題78 上腕骨顆上伸展型骨折で正しいのはどれか。
1.高齢者に多い。
2.上腕長は短縮する。
3.腫脹は次第に出現する。
4.ヒューター線は乱れる。
解答2
解説
上腕骨顆上骨折とは、小児の骨折中最多であり、ほとんどが転倒の際に肘を伸展して手をついた場合に生じる。転移のあるものは、肘頭が後方に突出してみえる。合併症は、神経麻痺(正中・橈骨神経)、フォルクマン拘縮(阻血性拘縮)、内反肘変形などである。ちなみに、フォルクマン拘縮とは、前腕屈筋群の虚血性壊死と神経の圧迫性麻痺により拘縮を起こすものである。
・上腕骨顆上伸展型骨折の後遺症は、フォルクマン拘縮、骨化性筋炎、可動域制限、内反肘などがみられる。内反肘により運搬角の減少が伴いやすい。
1.× 「高齢者」ではなく小児に多い。なぜなら、肘の構造が未熟な小児、特に5〜10歳くらいの子供が転倒して手をついた際に発生しやすい骨折であるため。
2.〇 正しい。上腕長は短縮する。なぜなら、骨折部が重なり合うように、後方へ転位(ずれ)するため。
3.× 腫脹は、「次第」ではなく受傷直後から急速に出現する。なぜなら、骨折によって血管が損傷し、内出血が生じるため。疼痛や腫脹、異常可動性、軋轢音が著明である。それらに伴って、肘関節運動障害、肘関節の幅と厚さの増大、正中・橈骨・尺骨神経の損傷がみられる。
4.× ヒューター線は乱れるのは、「肘関節後方脱臼」である。なぜなら、上腕骨顆上伸展型骨折は、上腕骨の骨折(尺骨より近位)であるため。
・ヒューター三角とは、肘関節屈曲位で内側上顆・外側上顆・肘頭を結ぶ二等辺三角形のことである。
問題79 骨折と固定肢位の組合せで正しいのはどれか。
1.スミス(Smith):前腕回外位、手関節軽度屈曲位・軽度尺屈位
2.コーレス(Colles):前腕回内位、手関節軽度屈曲位・軽度尺屈位
3.ショウファー:前腕回外位、手関節軽度伸展位・軽度橈屈位
4.背側バートン(Barton):前腕回内位、手関節軽度伸展位・軽度橈屈位
解答2
解説
1.× スミス(Smith)は、「前腕回外位、手関節軽度屈曲位・軽度尺屈位」ではなく前腕回外位、手関節軽度背屈位、軽度尺屈位である。
スミス骨折の固定肢位は、肘関節90°屈曲位にする。整復時は、橈骨動脈の損傷に注意する必要がある。
2.〇 正しい。コーレス(Colles):前腕回内位、手関節軽度屈曲位・軽度尺屈位
【コーレス骨折の固定】
・固定範囲:前腕上1/3部から第2~第5MP関節まで背側シャーレ。前腕上1/3部から近位骨片遠位端部まで掌側シャーレ。
・固定肢位:手関節掌屈、軽度尺屈、前腕回内位。
・固定期間:4~6週間
3.× ショウファーは、「前腕回外位、手関節軽度伸展位・軽度橈屈位」ではなく前腕回外位、手関節軽度伸展位・手関節尺屈位である。
・chauffeur’s骨折(ショーファー骨折)とは、橈骨茎状突起骨折のことである。手を伸ばして転倒した時に生じやすい。舟状月状骨間靭帯損傷の合併が多い。
4.× 背側バートン(Barton)は、「前腕回内位、手関節軽度伸展位・軽度橈屈位」ではなく肘関節90°屈曲位、前腕回外位、手関節軽度伸展位・軽度背屈位である。
・バートン骨折とは、橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
・Smith骨折(スミス骨折):Colles骨折とは逆に骨片が掌側に転位する。
・Colles骨折(コーレス骨折):Smith骨折とは逆に骨片が背側に転位する。
・Barton骨折(バートン骨折):橈骨遠位部の関節内骨折である。遠位部骨片が手根管とともに背側もしくは掌側に転位しているものをいう。それぞれ背側Barton骨折・掌側Barton骨折という。
主な治療として、骨転位が軽度である場合はギプス固定をする保存療法、骨転位が重度である場合はプレート固定を行う手術療法である。
コーレス骨折(橈骨遠位端部伸展型骨折)は、橈骨遠位端骨折の1つである。 橈骨が手関節に近い部分で骨折し、遠位骨片が手背方向へ転位する特徴をもつ。合併症には、尺骨突き上げ症候群、手根管症候群(正中神経障害)、長母指伸筋腱断裂、複合性局所疼痛症候群 (CRPS)などがある。
問題80 ボクサー骨折で遠位骨片の掌側転位に関与するのはどれか。
1.虫様筋
2.背側骨間筋
3.尺側手根屈筋
4.橈側手根屈筋
解答1
解説
ボクサー骨折とは、第5中手骨頸部骨折ともいい、拳の形成時に衝撃を受けることで発生することが多い骨折である。したがって、第4・5中手骨の頸部に発生しやすい。中手骨の骨折は日常で良く発生し、骨折しても腫れや変形が目立ちにくいという特徴があるが、ほかの選択肢に、より陳旧性骨折となって発見される頻度が高いものがある。
(※引用:「イラスト素材:手の骨」illustAC様より)
1.〇 正しい。虫様筋は、ボクサー骨折で遠位骨片の掌側転位に関与する。なぜなら、指の伸展に作用するため。
・虫様筋の【起始】4個ある。それぞれ深指屈筋腱から起こる。第1,2指:第2,3指に至る腱の橈側。第3,4指(それぞれ2頭をもつ):第3~5指に至る腱の相対する側、【停止】指背腱膜、【作用】第2~5指の基節骨の屈曲、中節骨、末節骨(DIP)の伸展、【支配神経】第1,2筋は正中神経、第3,4筋は尺骨神経である。
2.× 背側骨間筋の【起始】4個ある。それぞれ2頭もつ。第1~5中手骨の相対する面、【停止】基節骨、指背腱膜、中節骨底、末節骨底、【作用】第2,4指の外転、第3指の橈・尺側外転。母指の内転。掌側骨間筋と共同しておのおのの基節骨の屈曲、中節・末節骨(DIP)の伸展、【支配神経】尺骨神経である。
3.× 尺側手根屈筋の【起始】上腕頭:内側上顆と前腕筋膜、尺骨頭:肘頭から尺骨中部までの後縁、【停止】豆状骨、豆鉤靭帯、豆中手靭帯、有鉤骨、第5中手骨底、【作用】手関節の掌屈、尺屈、【支配神経】尺骨神経である。
4.× 橈側手根屈筋の【起始】上腕骨の内側上顆、前腕筋膜内面、【停止】第2中手骨底、【作用】手関節掌屈、橈屈、肘関節回内、【神経】正中神経である。