第24回(H28年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前21~25】

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21.上腕骨の内側上顆に起始するのはどれか。

1.腕橈骨筋
2.総指伸筋
3.長掌筋
4.肘筋

解答

解説

前腕屈筋群について

主な前腕屈筋群の【起始】上腕骨内側上顆、【停止】手根骨や指の骨である。 円回内筋、尺側手根屈筋、橈側手根屈筋、長掌筋、浅指屈筋などがあげられる。

1.× 腕橈骨筋の【起始】上腕骨外側縁の下部、外側上腕筋間中隔、【停止】橈骨遠位下端、茎状突起、【作用】肘関節屈曲、回内位での回外、回外位での回内、【神経】橈骨神経:C5,C6である。

2.× 総指伸筋の【起始】上腕骨の外側上顆、前腕筋膜の内面と肘関節包、【停止】中央は中節骨底、両側は合して末節骨底、【作用】手関節の背屈、第2~5指の伸展、外転、【神経】橈骨神経深枝である。

3.〇 正しい。長掌筋は、上腕骨の内側上類に起始する。長掌筋の【起始】上腕骨の内側上顆、前腕筋膜内面、【停止】手掌で手掌腱膜、【作用】手関節の掌屈、手掌腱膜を張る、【神経】正中神経:(C6),C7~T1である。

4.× 肘筋の【起始】上腕骨の外側上顆の後面、肘関節包、【停止】尺骨後縁後面の上部、【作用】肘関節の伸展を助ける、【神経】橈骨神経:(C6),C7,C8である。

 

 

 

 

 

22.心臓について正しいのはどれか。

1.心内膜と心外膜の間が心膜腔である。
2.プルキンエ線維は線維三角を貫く。
3.乳頭筋の収縮で房室弁が開く。
4.冠状静脈洞は右心房に開口する。

解答

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

心臓の刺激伝導系

洞房結節→房室結節→ヒス束→右脚・左脚→プルキンエ線維となる。

1.× 「心内膜」ではなく壁側心膜と心外膜の間が心膜腔である。つまり、心膜腔は、壁側心膜(心外膜の外側にある膜)と臓側心膜(心外膜)との間に存在する。ちなみに、心内膜は心臓壁の内層に位置している。

2.× プルキンエ線維は線維三角を「貫かない」。なぜなら、線維三角は、房室結節が存在する心臓の線維性の構造物であるため。プルキンエ線維とは、心室内の心筋層を走る特殊な伝導繊維で、心室の収縮を指令する役割を担う。ちなみに、線維三角とは、線維輪(房室弁や動脈弁の付着部となる結合組織の輪)の間を埋める結合組織である。線維輪と線維三角を線維束という。

3.× 乳頭筋の収縮で房室弁(僧房弁と三尖弁)が「閉じる」。腱索とは、左心室側から弁尖に伸びたひも状のもので、左心室壁から伸びている。乳頭筋に付着しており、乳頭筋は、心房内に反転しないように支える役割を果たす。つまり、房室弁が閉じるのを助け、逆流することを防ぐ。

4.〇 正しい。冠状静脈洞は右心房に開口する。冠状静脈洞は心臓壁にある静脈の主幹で、心臓の後面にある冠状溝中に存在し、回旋枝と伴走する。

 

 

 

 

 

23.鼻腔について正しいのはどれか。

1.キーゼルバッハ部位は鼻腔の外側壁にある。
2.鼻前庭は単層円柱上皮で覆われる。
3.蝶形骨洞は中鼻道に開口する。
4.嗅上皮は総鼻道の上部にある。

解答

解説

(※図引用:「illustAC様」)

1.× キーゼルバッハ部位は、鼻腔の「外側壁」ではなく内側壁にある。キーゼルバッハ部位とは、鼻に指をほんの少し入れたとき、その指先が内側(鼻中隔側)で触れることのできる中央の硬い部分である。ここには血管が多く集まっているため、鼻出血に最も関与する。小鼻を両側から、5分ほど強くつまむことで、多くの場合はこの方法で止血可能である。

2.× 鼻前庭は、「単層円柱上皮」ではなく重層扁平上皮で覆われる。
・重層扁平上皮は、摩擦など機械的刺激に強い特徴を持ち、皮膚、口腔~食道、肛門、膣などにみられる。
・単層円柱上皮は、吸収と分泌を行う場所に向く特徴を持ち、消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮などにみられる。

3.× 蝶形骨洞は、「中鼻道」ではなく蝶篩陥凹(鼻腔の後上方)に開口する。ちなみに、中鼻道に開口するのは、前頭洞や上顎洞などである。

4.〇 正しい。嗅上皮は総鼻道の上部にある。嗅上皮とは、嗅上皮は匂い分子を感知する部位であり、嗅細胞、支持細胞と基底細胞から構成されている。 鼻腔の上部にある上皮であり、粘膜に覆われている。

上皮組織の形態による分類

・単層扁平上皮:薄いので物質の交換などに向く。
(胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞など)

・単層立方上皮:甲状腺の濾胞細胞など。
(甲状腺の濾胞上皮、尿細管など)

・単層円柱上皮:吸収と分泌を行う場所に向く。
消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮など

・重層扁平上皮:摩擦など機械的刺激に強い。
皮膚、口腔~食道、肛門、膣など。

・多列線毛上皮:表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。
鼻腔~気管・気管支(気道)

・移行上皮:伸び縮みすることができる。
腎杯腎~尿管~膀胱(尿路)

 

 

 

 

 

24.小腸について正しいのはどれか。

1.粘膜上皮は多列円柱上皮である。
2.粘膜固有層にパイエル板がある。
3.全長にわたって腸間膜がある。
4.表面に腹膜垂がある。

解答

解説
1.× 粘膜上皮は、「多列円柱上皮」ではなく単層円柱上皮である。単層円柱上皮は、吸収と分泌を行う場所に向く特徴を持ち、消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮などにみられる。一方、多列円柱上皮は気道の一部(例:気管)に見られる上皮である。

2.〇 正しい。粘膜固有層にパイエル板がある。集合リンパ小節とは、パイエル板ともいい、小腸(回腸)に複数のリンパ濾胞が集まって構築されたリンパ組織で、肉眼で観察可能な直径2~3mmの円盤状構造である。パイエル板は小腸にある孤立リンパ小節の集合体である。

3.× 「全長」ではなく十二指腸以外の部分(空腸と回腸)にわたって腸間膜がある。なぜなら、十二指腸の一部は後腹壁に固定されているため、腸間膜を欠く。腸間膜とは、腸管を腹腔後壁に連絡する膜で、2重の腹膜からなる。小腸では空腸と回腸、大腸では横行結腸・S状結腸にある。

4.× 表面に腹膜垂があるのは、「大腸(特に結腸)」である。ちなみに、腹膜垂とは、結腸紐(特に大網紐、自由紐)に沿ってみられる奬膜に包まれた脂肪組織である。成人では3cm近い大きさになり、約100個あるとされている。 画像診断で正常の腹膜垂を同定することは困難だが、炎症や石灰化をきたせば同定できるようになる。 

上皮組織の形態による分類

・単層扁平上皮:薄いので物質の交換などに向く。
(胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞など)

・単層立方上皮:甲状腺の濾胞細胞など。
(甲状腺の濾胞上皮、尿細管など)

・単層円柱上皮:吸収と分泌を行う場所に向く。
消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮など

・重層扁平上皮:摩擦など機械的刺激に強い。
皮膚、口腔~食道、肛門、膣など。

・多列線毛上皮:表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。
鼻腔~気管・気管支(気道)

・移行上皮:伸び縮みすることができる。
腎杯腎~尿管~膀胱(尿路)

 

 

 

 

 

25.下垂体について正しいのはどれか。

1.第4脳室底部に突出する。
2.腺性下垂体は前方に位置する。
3.神経性下垂体は咽頭に由来する。
4.下垂体ホルモンは下垂体門脈系により標的器官に達する。

解答

解説

(※図引用:「脳(矢状断)」illustAC様HPより)

下垂体とは?

下垂体とは、脳の直下にあって、さまざまホルモンを分泌する内分泌器官である。下垂体の前葉からは、副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、乳汁分泌ホルモン、性腺刺激ホルモンが、下垂体の後葉からは抗利尿ホルモンが分泌される。

1.× 「第4脳室」ではなく第3脳室底部に突出する。これが、神経性下垂体(後葉)に該当する。

2.〇 正しい。腺性下垂体は前方に位置する。腺性下垂体(前葉)とは、胎生期に口腔の天井の一部が上方に伸びてきた腺細胞の集まりである。また、神経性下垂体(後葉)とは、第3脳室の底が突出してできた神経組織である。下垂体門脈とは、視床下部と下垂体前葉を連絡する。 視床下部で分泌された下垂体機能を調節するホルモンを下垂体に効率よく届ける役割を担う。

3.× 「神経性下垂体」ではなく腺性下垂体(前葉)は、咽頭に由来する。神経性下垂体(後葉)とは、第3脳室の底が突出してできた神経組織である。一方、腺性下垂体(前葉)は、胎生期に口窩(→ラトケ嚢)から独立してできる。

4.× 下垂体ホルモンは、「下垂体門脈系」ではなく血流により標的器官に達する。ちなみに、下垂体門脈系は、視床下部と腺性下垂体(前葉)をつなぐ血管系であり、視床下部からのホルモン(放出ホルモンや抑制ホルモン)を前葉に送る役割を果たす。下垂体ホルモン自体は血流によって全身に運ばれる。

門脈とは?

門脈は、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。

したがって、門脈系とは、二つの毛細血管網を連結する静脈系を指す。代表的な門脈系には肝門脈系と下垂体門脈系がある。

 

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