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問題51 深部反射はどれか。
1.角膜反射
2.足底反射
3.腹壁反射
4.下顎反射
解答4
解説
表在反射とは、皮膚や粘膜を刺激することでみられる反射のことで、消失により錐体路障害を示す徴候である。
1.× 角膜反射は、表在反射のひとつである。角膜反射とは、角膜にものが触れると眼を閉じる反射である。角膜への刺激は、両側の顔面神経核に伝わるため両目が閉じる。【求心性神経】三叉神経、【遠心性神経】顔面神経である。
2.× 足底反射は、表在反射のひとつである。足底反射とは、足底を背、ピン、ハンマーの柄などで踵から足先に向けてこする。【判定】足趾屈曲すれば陽性である。
3.× 腹壁反射は、表在反射のひとつである。腹壁反射とは、検者を背臥位にして両膝を軽く屈曲し膝を立て、腹筋を弛緩させる。先の鈍い針で肋骨縁①にそって上から下に向けてこする。また、腹壁を上②、中③、下④の3つに分けて、腹壁皮膚を外側より内側に向けてこすり、刺激側の腹筋が収縮し、臍が刺激側へ動けば陽性である。陽性の場合、錐体外路系の障害により消失する。【判定】刺激側の腹筋が収縮し、臍が刺激側へ動けば陽性である。
4.〇 正しい。下顎反射は、深部反射である。下顎反射とは、軽く口を開かせて、下顎のオトガイ部に検者の左母指あるいは示指を当て、その指の上を叩打するものである。下顎が上昇すれば亢進。下顎反射は、【求心性神経】【遠心性神経】ともに三叉神経である。深部腱反射とは、ゴムハンマー等で腱を叩いた刺激に反応して起こる不随意かつ瞬間的な筋肉の収縮である。
錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―脊髄交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。
【錐体路徴候】
・深部腱反射亢進
・病的反射(+)
・表在反射(消失)
・痙性麻痺
【錐体外路症状】
・深部腱反射正常
・表在反射(+)
・病的反射(-)
・不随意運動の出現
問題52 吐血の原因となる疾患はどれか。
1.大腸憩室炎
2.マロリー・ワイス症候群
3.過敏性腸症候群
4.急性膵炎
解答2
解説
①喀血とは、下気道(気管支肺)からの出血。喀血は血液そのものを咳とともに吐く状態である。
②血痰とは、気道の出血が少量であれば痰に血が混じっている状態である。
③吐血とは、上部消化管(口から十二指腸までの食道、胃、十二指腸)からの出血。
したがって、喀血は吐血と比べると赤みが強く、泡が混じることが多く、固まりにくいという特徴がある。
1.× 大腸憩室炎は、吐血には至らない。なぜなら、出血部位が大腸であるため。したがって、一般的に下血(便中に血液が混じる)となる。ちなみに、大腸憩室炎とは、大腸の壁の一部が袋状に飛び出した憩室(けいしつ)に炎症が起こる病気である。憩室炎の主な症状は、腹痛、発熱、吐き気・嘔吐、下痢などである。
2.〇 正しい。マロリー・ワイス症候群は、吐血の原因となる疾患である。なぜなら、出血部位が胃と食道の接合部であるため。ちなみに、マロリー・ワイス症候群とは、激しい嘔吐や咳により胃と食道の接合部の粘膜が裂け、ここから出血が起こる病態である。アルコール摂取後の嘔吐でよく見られる。
3.× 過敏性腸症候群は、吐血には至らない。なぜなら、消化管出血や粘膜損傷を伴わないため。過敏性腸症候群とは、通常の検査では腸に炎症・潰瘍・内分泌異常などが認められないにも関わらず、慢性的に腹部の膨張感や腹痛を訴えたり、下痢や便秘などの便通の異常を感じる症候群である。腸の内臓神経が何らかの原因で過敏になっていることにより、引き起こされると考えられている。それぞれタイプが存在し、①下痢型(ストレスや緊張などのわずかなきっかけによって腹痛と激しい便意とともに下痢を生じる)、②便秘型(便秘に伴ってお腹の張りなどの症状が起こる)、③混合型(便秘と下痢が交互に繰り返すもの)がある。
4.× 急性膵炎は、吐血には至らない。なぜなら、膵臓の出血が消化管に直接関わることは少ないため。
急性膵炎とは、膵臓の突然の炎症で、軽度のものから生命を脅かすものまであるが、通常は治まる。主な原因は、胆石とアルコール乱用である。男性では50歳代に多く、女性では70歳代に多い。症状として、飲酒・過食後に左上腹部痛・心窩部痛が発症する。悪心・嘔吐、悪寒、発熱、背部への放散痛もみられ、腹痛はアルコールや脂質の摂取で増悪する。
検査:膵臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼとリパーゼの血中濃度)が上昇する。
【治療】
軽症例:保存療法(禁食、呼吸・循環管理、除痛 等)
重症例:集中治療[臓器不全対策、輸液管理、栄養管理(早期経腸栄養)、感染予防、腹部コンパートメント症候群対策]
(※参考:「急性膵炎」MSDマニュアル家庭版より)
問題53 肝硬変の所見ではないのはどれか。
1.クモ状血管腫
2.眼球突出
3.女性化乳房
4.手掌紅斑
解答2
解説
肝硬変とは、B型・C型肝炎ウイルス感染、多量・長期の飲酒、過栄養、自己免疫などにより起こる慢性肝炎や肝障害が徐々に進行して肝臓が硬くなった状態をいう。 慢性肝炎が起こると肝細胞が壊れ、壊れた部分を補うように線維質が蓄積して肝臓のなかに壁ができる。
1.3~4.〇 正しい。クモ状血管腫/女性化乳房/手掌紅斑は、肝硬変の所見である。例えば、肝臓が障害を受けると、エストロゲンの排出が障害される。したがって、エストロゲンが過剰になり、エストロゲンの作用で毛細血管が拡張し、くも状血管腫や手掌紅班が見られるようになる。他には、女性化乳房や睾丸萎縮などが見られるようになる。
2.× 眼球突出は、肝硬変の所見ではない。眼球突出は、バセドウ病の症状である。バセドウ病とは、甲状腺刺激ホルモン受容体に対する自己抗体による甲状腺機能亢進症である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。
エストロゲンとは、主に卵巣から分泌される女性らしさをつくるホルモンで、成長とともに分泌量が増え、生殖器官を発育・維持させる働きをもっている。女性らしい丸みのある体形をつくったり、肌を美しくしたりする作用もあるホルモンである。分泌量は、毎月の変動を繰り返しながら20代でピークを迎え、45~55歳の更年期になると急激に減る。
問題54 口渴をきたすのはどれか。
1.高血圧症
2.脂質異常症
3.高尿酸血症
4.糖尿病
解答4
解説
1.× 高血圧症とは、①本態性高血圧(原因が生活習慣や環境、遺伝などはっきり特定できないもの:高血圧症全体の9割)と、②二次性高血圧(ホルモン分泌異常や臓器の奇形などで生じ原因が特定できるもの:腎血管性高血圧を含む)に分けられる。頭痛やめまい、肩こりなどの症状が現れることがある。くり返し測定し、診察室血圧で最高血圧が140mmHg以上、あるいは、最低血圧が90mmHg以上であれば、高血圧と診断される。
2.× 脂質異常症とは、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症を指し、動脈硬化の原因となる。その治療で重要なのは、薬物療法のほか、食事指導による適正体重の維持や内臓脂肪の減量である。まず食事指導の基本は、総摂取エネルギーと栄養素配分を適正化することである。
3.× 高尿酸血症とは、血清尿酸値が7.0mg/dLを正常上限とし、これを超えるものと定義する。男性が圧倒的に多く男女比約20:1の割合である。血中の尿酸値が高くなることで関節に尿酸結晶が沈着し、痛風発作などを引き起こすことがある。
4.〇 正しい。糖尿病は、口渴をきたす。なぜなら、高血糖状態が続くと腎臓が過剰な糖を排泄しようと尿量が増える(多尿)。したがって、体内の水分が失われ、脱水状態を補おうとして口渴を引き起こす。高血糖症状は、著しい口渇、多飲、多尿、全身倦怠感などがある。これは、高血糖状態が続くと血漿浸透圧が上昇し、利尿が進むことで水・電解質の喪失が起こり、脱水状態に来す。高血糖の他にも、肝機能障害などの合併症、血流感染や静脈炎などのリスクがある。
痛風とは、体内で尿酸が過剰になると、関節にたまって結晶化し、炎症を引き起こして腫れや痛みを生じる病気である。風が患部に吹きつけるだけで激しい痛みが走ることから痛風と名づけられたといわれている。男性に頻発する単関節炎で、下肢、特に第1中足跳関節に好発する。尿酸はプリン体の代謝の最終産物として産生され、代謝異常があると尿酸の産生過剰・排泄障害が生じ高尿酸血症となる。高尿酸血症は痛風や腎臓などの臓器障害を引き起こすほか、糖尿病や脂質異常症などの生活習慣を合併しやすい。
問題55 脛骨跳躍型疲労骨折の好発部位で正しいのはどれか。
1.脛骨骨端部
2.脛骨上1/3
3.脛骨中1/3
4.脛骨下1/3
解答3
解説
疲労骨折とは、1回の大きな外傷でおこる通常の骨折とは異なり、骨の同じ部位に繰り返し加わる小さな力によって、骨にひびがはいったり、ひびが進んで完全な骨折に至った状態をいう。好発部位は、腰椎が半数以上を占める。次に、中足骨35%、脛骨27%、肋骨12%、腓骨9%、尺骨・大腿骨・足関節の内側がそれぞれ3%である。
1.× 脛骨骨端部は、脛骨跳躍型疲労骨折の好発部位とはいえない。ちなみに、骨端部は主に成長中の軟骨部分である。
2.4.× 脛骨上1/3/脛骨下1/3は、脛骨「疾走型」疲労骨折の好発部位である。疾走型は、長距離走の選手など走ることの多い競技の選手に好発し、すねの骨の上1/3あるいは下1/3境界部付近に痛みが生じる。
3.〇 正しい。脛骨中1/3は、脛骨跳躍型疲労骨折の好発部位である。バスケットボールやバレーボールなどの跳躍動作の多い競技の選手に多く発生する。
偽関節とは、骨折部位の癒合がうまくいかず、骨折部が可動性を持つ状態のことである。偽関節が生じやすい部位は、①上腕骨解剖頸、②手の舟状骨、③大腿骨頸部、④脛骨中下1/3、⑤距骨である。ちなみに、開放骨折・粉砕骨折・整復後も離開が生じている骨折では、部位によらず骨癒合は遷延しやすい。