第27回(H31年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後111~115】

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問題111 次の文で示す症状に対して八会穴を用いる場合に最も適切な経穴はどれか。
 「20歳の女性。月経時に腹部にさし込む痛みがあり、血塊を伴う。」

1.大杼
2.膈兪
3.陽陵泉
4.懸鍾

解答

解説

本症例のポイント

・20歳の女性。
月経時に腹部にさし込む痛み、血塊を伴う。
→本症例は、八会穴の血会-膈兪【膀】が治療の対象となる。なぜなら、月経時の血塊からが関係しているため。

八会穴
腑会-中脘【任】、血会-膈兪【膀】、臟会-章門【肝】、骨会-大杼【膀】、筋会-陽陵泉【胆】、脈会-太淵【肺】、髄会-懸鍾【胆】、気会-膻中【任】

1.× 大杼は、骨会である。
大杼(※読み:だいじょ)は、上背部、第1胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。

2.〇 正しい。膈兪が、八会穴を用いる場合に最も適切な経穴である。
膈兪(※読み:かくゆ)は、上背部、第7胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分に位置する。

3.× 陽陵泉は、筋会である。
陽陵泉(※読み:ようりょうせん)は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部に位置する。

4.× 懸鍾は、髄会である。
懸鍾(※読み:けんしょう)は、下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方3寸に位置する。跗陽(膀胱経)の前方にあたる。

 

 

 

 

 

問題112 経穴とその部位にある筋の支配神経の組合せで正しいのはどれか。

1.偏歴:尺骨神経
2.会宗:正中神経
3.合陽:脛骨神経
4.足三里:浅腓骨神経

解答

解説
1.× 偏歴は、「尺骨神経」ではなく橈骨神経である。
偏歴(※読み:へんれき)は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。

2.× 会宗は、「正中神経」ではなく尺骨神経である。
会宗(※読み:えそう)は、前腕後面、尺骨の橈側縁、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。

3.〇 正しい。合陽:脛骨神経
合陽(※読み:ごうよう)は、下腿後面、腓腹筋外側頭と内側頭の間、膝窩横紋の下方2寸に位置する。腓腹筋の治療穴である。

4.× 足三里は、「浅腓骨神経」ではなく深腓骨神経である。
足三里(※読み:あしさんり)は、下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸に位置する。前脛骨筋の治療穴である。

 

 

 

 

 

問題113 経穴とデルマトームの組合せで正しいのはどれか。

1.魚際:C8
2.温溜:Th1
3.丘墟:L4
4.至陰:S1

解答

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

1.× 魚際は、「C8」ではなくC6である。
魚際(※読み:ぎょさい)は、手掌、第1中手骨中点の橈側、赤白肉際に位置する。

2.× 温溜は、「Th1」ではなくC6である。
温溜(※読み:おんる)は、前腕後外側、陽渓と曲池を結ぶ線上、手関節背側横紋の上方5寸に位置する。

3.× 丘墟は、「L4」ではなくS1である。
丘墟(※読み:きゅうきょ)は、足関節前外側、長指伸筋腱外側の陥凹部、外果尖の前下方に位置する。外果尖の前下方にあたる。

4.〇 正しい。至陰:S1
至陰(※読み:しいん)は、足の第5指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。経絡の流注で横隔膜を貫かないのは膀胱経のみである。

 

 

 

 

 

問題114 皮下組織をつまみ上げて軽く圧迫すると、その部位にピリピリした異常な知覚が発生する反応点はどれか。

1.撮診点
2.丘疹点
3.良導点
4.トリガーポイント

解答

解説
1.〇 正しい。撮診点(※読み:さっしんてん)が、皮下組織をつまみ上げて軽く圧迫すると、その部位にピリピリした異常な知覚が発生する反応点である。

2.× 丘疹点
丘疹点とは、圧痛点、圧診点ともいい、内臓疾患の反応が、経穴部に丘疹、紅斑として現れるものである。鍼の響きがリンパ流の速度に近いことから、発生した活動電流が組織液に影響を与え、その変化が知覚神経に感知されると考えたのであり、筋運動主因性体液路系の学説と言えるのである。

3.× 良導点
良導点とは、中谷義雄氏が提唱し、疾患による皮膚の通電抵抗の低下点をいう。

4.× トリガーポイント
トリガーポイントとは、身体の約200対に及ぶ筋肉の、筋組織内部の硬結上の結節に存在し、指圧刺激で鋭く身体の深部に感じる痛みを発する、引き金となる限局性のポイントのことを指す。特徴として、関連痛の出現、痛覚閾値の低下、索状硬結の触知のほかにも、単収縮反応などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題115 脈証と治療方針の組合せで最も適切なのはどれか。

1.ざらざらとして流れの悪い脈:気を巡らせ活血する。
2.輪郭は触れるが中が空虚な脈:肝の疏泄を調節する。
3.玉が転がるような脈:心熱を清瀉する。
4.絹糸に触れるような力のある脈:気血を補益する。

解答

解説
1.〇 正しい。ざらざらとして流れの悪い脈:気を巡らせ活血する。
ざらざらとして流れの悪い脈は、濇脈のことである。気を巡らせ活血する血瘀に対し行われる。血瘀は、疼痛(固定痛・刺痛、夜間に増悪)、腫脹、腫塊、肌膚甲錯。瘀斑、月経痛・血塊、皮下出血斑、色素沈着、紫舌・暗紅舌などである。

2.× 輪郭は触れるが中が空虚な脈:肝の疏泄を調節する。
輪郭は触れるが中が空虚な脈は、孔脈のことである。孔脈とは、脈形はねぎの芯のようで、浅くあるいは深く、両側でうかがうと両側ともに得られる特徴を持つ脈である。失血津液の消耗や大失血症に見られる。

3.× 玉が転がるような脈:心熱を清瀉する。
玉が転がるような脈は、滑脈のことである。痰湿食滞でみられる。

4.× 絹糸に触れるような力のある脈:気血を補益する。
絹糸に触れるような力のある脈は、緊脈のことである。実寒痛証でみられる。

 

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