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問題66 アスペルガー症候群に伴わないのはどれか。
1.知的障害
2.反復行動
3.特定分野への強いこだわり
4.社会的コミュニケーション障害
解答1
解説
1.× 知的障害は、アスペルガー症候群に伴わない。
知的障害とは、「知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の支援を必要とする状態にあるもの」と定義されている。状況の判断能力が低く、他者の発言を被害的に受け取る傾向が強い。注意されたことを叱責と捉えるなど自信がなく、自分の気持ちを表現することが苦手である。知的障害では、抽象的概念の形成が困難で、言語概念の形成も遅れることが多く、学習障害を呈する。また、左右の協調的運動や微細運動が不得意であり、更衣動作などの身辺作業面に遅れを伴う。原因として、①出生前要因(染色体異常、奇形症候群、先天代謝異常、神経変性疾患、神経筋疾患、内分泌疾患、子宮内感染など)、②周産期要因(胎内環境異常、新生児疾患など)、③出生後要因(外傷、事故、養育環境など)が挙げられる。
2~4.〇 反復行動/特定分野への強いこだわり/社会的コミュニケーション障害
これらは、アスペルガー症候群の特徴である。Asperger症候群(アスペルガー症候群)の特徴して、①言語発達の遅れはない、②知能は正常であることが多い、③対人接触に無関心というよりはむしろ常軌を逸し一方的に接近しようとする、などのことが挙げられる。また、興味・関心の幅が狭いので新たな作業の導入には抵抗が強く、その一方で同じ作業を続ける力はもともと(こだわり)がある。
自閉症スペクトラム障害とは、正常な社会的関係を構築することができず、言葉の使い方に異常がみられるか、まったく言葉を使おうとせず、強迫的な行動や儀式的な行動がみられる病気である。 自閉スペクトラム症の患者は、他者とコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手である特徴を持つ。
広汎性発達障害(自閉スペクトラム障害)とは、相互的な社会関係とコミュニケーションのパターンの障害、および限局・常同・反復的な行動パターンがあげられる。生後5年以内に明らかとなる一群の障害である。通常は精神遅滞を伴う。広汎性発達障害、およびその下位分類である自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症は、「自閉スペクトラム症」とまとめられた。
【診断基準の要点】
①「社会及び感情の相互性の障害」「社会的相互作用で用いられる非言語的コミュニケーションの障害」「発達レベル相応の関係を築き維持することの障害」の3つがすべて込められること。
②行動、興味活動の、限局的で反復的な様式が認められること。
問題67 アデノウイルス感染症はどれか。
1.伝染性単核球症
2.流行性角結膜炎
3.手足口病
4.突発性発疹
解答2
解説
1.× 伝染性単核球症
伝染性単核球症とは、ヘルペスウイルスの一種であるEBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)などに初感染することが原因で起こる、発熱やリンパ節の腫れなどの症状を起こす急性感染症である。ウイルス感染してから4週間以上の潜伏期間を経てから症状が現れる。1~2歳の乳幼児が発症しても微熱や扁桃腺の腫れなど症状は軽いが、学童期以降に発症すると重症化しやすい。主な症状は高熱や全身の倦怠感・疲労感、喉の腫れ・痛み、全身のリンパ節の腫れと肥大、発疹などである。
2.〇 正しい。流行性角結膜炎は、アデノウイルス感染症である。
流行性角結膜炎とは、はやり目ともいい、アデノウイルスというウイルスの感染が原因となる病気である。まぶたは腫れ、結膜はむくみ、充血がみられる。
3.× 手足口病
手足口病とは、手のひらや足の裏、口の中などに小さな水ぶくれのような発疹ができるウイルス感染症である。原因はコクサッキーウイルスやエンテロウイルスといったウイルスへの感染である。5歳までの子どもがかかることが多く、夏に流行のピークを迎える。
4.× 突発性発疹
突発性発疹とは、乳児期に罹患することが多く、突然の高熱と解熱前後の発疹を特徴とするウイルス感染症(ヒトヘルペスウイルス)である。一般的に、予後は一般に良好である。
問題68 直径10mm以下の限局性隆起性の発疹はどれか。
1.丘疹
2.紅斑
3.痂皮
4.鱗屑
解答1
解説
1.〇 正しい。丘疹(※読み:きゅうしん)は、直径10mm以下の限局性隆起性の発疹である。
丘疹とは、主な原因として、真皮の増殖性変化や真皮内浮腫、真皮炎症性変化など起こる直径10mm以下の限局性隆起性の発疹である。
2.× 紅斑(※読み:こうはん)
紅斑とは、皮膚が真皮が限局的に血管拡張充血により生じる紅色の班で、ガラス板で圧迫すると発赤は消退すると定義される。退色しないものは赤紅色した紫斑の場合と、尋常性狼瘡と言って皮膚結核の可能性がある。
3.× 痂皮(※読み:かひ)
痂皮とは、一般的にかさぶたを意味する。血小板や赤血球などを絡め取りながら凝固した血栓である。創面の細胞が乾燥、壊死し、血葉成分や血小板などとともに凝固、固着した状態である。主な役割は、①傷口の止血や保護、②細菌や異物の進入を防ぐことである。
4.× 鱗屑(※読み:りんせつ)
鱗屑とは、皮膚の最も表層にある角質層が、目に見えるように剥がれ落ちる状態である。いわゆる皮が剥けてカサカサした状態である。
問題69 感染症について正しいのはどれか。
1.ムンプスウイルスは空気感染する。
2.MRSAは院内感染の原因となる。
3.ボツリヌス菌による食中毒の主たる症状は血便である。
4.風疹は精巣炎を合併する。
解答2
解説
院内感染とは、病院において様々な疾患を持った患者さんが、検査や治療・ケアを受ける状況下で、もとの疾患とは別にかかった感染症である。感染症は、人の身体に常在する微生物や外から入ってきた微生物によって起こる。
多剤耐性菌とは、多くの抗菌薬(抗生物質)に耐性を獲得した菌のことをいう。代表的なものとして、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)、多剤耐性結核菌、緑膿菌などがある。
1.× ムンプスウイルスは、「空気感染」ではなく飛沫感染・接触感染する。
ムンプス髄膜炎とは、流行性耳下腺炎(おたふく風邪)の原因であるムンプスウイルスによって引き起こされる髄膜炎を指す。 流行性耳下腺炎を発症すると耳下腺の腫れのほか、ときに髄膜炎や難聴、精巣炎などの合併症を引き起こすことがある。流行性耳下腺炎の感染経路は、主に①飛沫感染、②接触感染である。感染力のある期間は、発症3日前~発症後4日までである。
2.〇 正しい。MRSAは院内感染の原因となる。
黄色ブドウ球菌は非常にありふれた常在菌で、健常者でも髪の毛や鼻の粘膜、口腔内、傷口などによく付着している。M R S Aの場合は感染経路が「接触感染(直接患者に接触する)」と「間接感染(介護用品や環境表面に触れることで感染)」の2つであり、「標準予防策」で対応する。標準予防策(standard precaution)は、全患者・医療従事者に対して実施される感染予防策である。手洗い、個人防護用具の使用などに基づく医療器具や周辺環境における感染対策である。感染の有無に関わらず入院患者すべてに適用される予防対策であり、患者の血液や体液、分泌、排泄されるすべての湿性物質、粘膜、創傷の皮膚は感染のおそれがあるとみなして、対応、行動する方法である。
3.× ボツリヌス菌による食中毒の主たる症状は、「血便」ではなく運動麻痺症状である。
ボツリヌス菌とは、土壌や水などの環境中に生息し、缶詰や瓶詰め真空パック食品で問題となることが多い。潜伏期間は12~36時間で、症状は眼症状、嚥下障害、四肢麻痺、呼吸筋麻痺・死亡などである。
4.× 精巣炎を合併するのは、「風疹」ではなく流行性耳下腺炎である。
流行性耳下腺炎とは、2~3週間の潜伏期(平均18日前後)を経て発症し、片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症である。通常1~2 週間で軽快する。最も多い合併症は髄膜炎であり、その他髄膜脳炎、睾丸炎(精巣炎)、卵巣炎、難聴、膵炎などを認める場合がある。流行性耳下腺炎の約20%に精巣炎を合併すると言われており、思春期以降に精巣炎を起こすと、男性不妊の原因となる。一方、風疹とは、風疹ウイルスに感染することで引き起こされる感染症である。俗に「三日ばしか」と呼ばれる。風疹ウイルスに感染してからおよそ2~3週間の潜伏期間を経て、発疹や発熱などの症状が現れる。ただし、症状がない、もしくは気付かないほど軽いこともある。一般的な症状として、発熱、皮膚の発疹、リンパ節の腫れ、関節痛などである。多くの場合、特別な治療をしなくても自然に治るため、症状を和らげる治療が行われるが、妊娠中に風疹にかかると赤ちゃんに悪影響が出ることもあるため、予防接種をすることがすすめられる。
感染には、①接触感染、②空気感染、③飛沫感染がある。
①接触感染(例:流行性角結膜炎、疥癬、ノロウイルス感染症など)
(1)直接接触感染:感染者の皮膚粘膜との直接接触による伝播・感染する。
(2)間接接触感染:感染者の微生物で汚染された衣類、周囲の器物、環境などとの接触による伝播・感染する。
②飛沫感染(例:風疹、流行性耳下腺炎、 インフルエンザ、マイコプラズマ、百日咳など)
咳やくしゃみなどに伴って発生する飛沫(粒径5μm以上の粒子)が経気道的にヒトの粘膜に付着し感染する。飛散する範囲は1m以内であることが特徴。
③空気感染(例:結核、水痘、麻疹など)
飛沫核 (粒径5μm未満の粒子に付着した微生物)が長期間空中を浮遊し、これを吸い込むことで感染が伝播・感染する。
(※参考:「医療施設等における感染対策ガイドライン」厚生労働省様HPより)
問題70 急性膵炎の原因で最も多いのはどれか。
1.胆石
2.アルコール多飲
3.脂質異常症
4.膵癌
解答2
解説
急性膵炎のもっとも多い成因はアルコール(33.5%)で、胆石(26.9%)がそれに続く。ただし、成因には男女差がみられ、男性ではアルコールが最大の成因であるが、女性では胆石が最も多い。また、原因不明の特発性が16.7%を占めている。そのほかの成因として、術後(2.3%)、内視鏡的逆行性胆管膵管造影後(1.9%)、高脂血症(1.8%)、薬剤(0.8%や)膵胆管合流異常(0.5%)があげられる。急性膵炎の成因には年代別の特徴がみられる。つまり、アルコール摂取の少ない10歳代には特発性が多く、20~50歳代にはアルコール性の頻度が高くなる。胆石性の頻度は加齢に伴い増加する。
(※引用:「重症急性膵炎」難治性膵疾患に関する調査研究より)
1.× 胆石
胆石の割合は、26.9%である。ただし、成因には男女差がみられ、男性ではアルコールが最大の成因であるが、女性では胆石が最も多い。
2.〇 正しい。アルコール多飲は、急性膵炎の原因で最も多い。
アルコールの割合は、33.5%である。
3.× 脂質異常症
高脂血症の割合は、1.8%である。
4.× 膵癌
膵胆管合流異常は、0.5%である。
急性膵炎とは、膵臓の突然の炎症で、軽度のものから生命を脅かすものまであるが、通常は治まる。主な原因は、胆石とアルコール乱用である。男性では50歳代に多く、女性では70歳代に多い。症状として、飲酒・過食後に左上腹部痛・心窩部痛が発症する。悪心・嘔吐、悪寒、発熱、背部への放散痛もみられ、腹痛はアルコールや脂質の摂取で増悪する。
検査:膵臓の炎症・壊死により膵臓由来の消化酵素(アミラーゼとリパーゼの血中濃度)が上昇する。
【治療】
軽症例:保存療法(禁食、呼吸・循環管理、除痛 等)
重症例:集中治療[臓器不全対策、輸液管理、栄養管理(早期経腸栄養)、感染予防、腹部コンパートメント症候群対策]
(※参考:「急性膵炎」MSDマニュアル家庭版より)