第28回(R2年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後111~115】

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問題111 五要穴で急性症状に用いる経穴の部位はどれか。

1.前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸
2.内果尖の下方1寸の陥凹部
3.腓骨の前方、外果尖の上方7寸
4.側胸部、第6肋間、中腋窩線上

解答

解説

MEMO

原穴は臓腑の病
郄穴は急性症状
絡穴は慢性症状に用いられる。

1.× 前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸は、豊隆(※読み:ほうりゅう)である。
絡穴である豊隆は、下腿前外側、前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸に位置する。

2.× 内果尖の下方1寸の陥凹部は、照海(※読み:しょうかい)である。
八脈交会穴(八総穴)の照海は、足内側、内果尖の下方1寸、内果下方の陥凹部に位置する。

3.〇 正しい。腓骨の前方、外果尖の上方7寸は、五要穴で急性症状に用いる経穴の部位である。
少陽経(足の少陽胆経)の郄穴である外丘(※読み:がいきゅう)は、下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方7寸に位置する。陽交と下巨虚(胃経)との間に位置する。

4.× 側胸部、第6肋間、中腋窩線上は、である。
脾の大絡の絡穴である大包(※読み:だいほう)は、側胸部、第6肋間、中腋窩線上である。

八脈交会穴(八総穴)

【衝脈】公孫:内関【陰維脈】
【帯脈】足臨泣:外関【陽維脈】
【督脈】後渓:申脈【陽蹻脈】
【任脈】列欠:照海【陰蹻脈】

 

 

 

 

 

問題112 陽維脈の郄穴の部位はどれか。

1.下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方7寸
2.下腿内側、脛骨内縁の後際、陰陵泉の下方3寸
3.下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方7寸
4.下腿後外側、腓骨とアキレス腱の間、崑崙の上方3寸

解答

解説

奇経八脈の郄穴

陰維脈:築賓【腎】
陰蹻脈:交信【腎】
陽維脈:陽交【胆】
陽蹻脈:跗陽【膀】

1.× 下腿外側、腓骨の前方、外果尖の上方7寸は、外丘(※読み:がいきゅう)である。
外丘は、の郄穴である。

2.× 下腿内側、脛骨内縁の後際、陰陵泉の下方3寸は、地機(※読み:ちき)である。

地機は、脾の郄穴である。
3.× 下腿前内側、脛骨内側面の中央、内果尖の上方7寸は、中都(※読み:ちゅうと)である。

中都は、肝の郄穴である。
4.〇 正しい。下腿後外側、腓骨とアキレス腱の間、崑崙の上方3寸は、陽維脈の郄穴の部位である。
陽維脈の郄穴は、跗陽(※読み:ふよう)である。跗陽は、陽維脈の郄穴である。

 

 

 

 

 

問題113 奇穴で顔面神経麻痺が主治でないのはどれか。

1.太陽
2.夾承漿
3.牽正
4.翳明

解答

解説
1.〇 太陽(※読み:たいよう)
太陽は、顔面部、眉毛の外端と外眼角との中央から後方1寸の陥凹部に取る。別名は、当容(※読み:とうよう)である。【主治】片頭痛、眼疾患、歯痛、顔面神経麻痺である。

2.〇 夾承漿(※読み:きょうしょうしょう)
夾承漿は、顔面部、承漿(任)の外方1寸に取る。【主治】歯根炎、下歯痛、顔面神経麻痺、痙攣である。

3.〇 牽正(※読み:けいせい)
牽正は、顔面部、下関(胃)から下方に引いた垂線と、耳垂下縁を通る水平線との交点にとる。【主治】顔面神経麻痺、耳下腺炎、口腔潰瘍である。

4.× 翳明(※読み:えいめい)は、奇穴で顔面神経麻痺が主治でない。
翳明は、頸部、乳様突起の下縁、翳風(三焦)の後方約1寸に取る。【主治】老眼(老視)、近視、耳下腺炎、耳鳴、眩暈、不眠である。

 

 

 

 

 

問題114 トリガーポイントの特徴でないのはどれか。

1.発汗量の低下
2.関連痛の出現
3.痛覚閾値の低下
4.索状硬結の触知

解答

解説
1.× 発汗量の低下は、トリガーポイントの特徴でない。
トリガーポイントは、皮膚に対する知覚過敏や温度の上昇などに関与しない。

2~4.〇 関連痛の出現/痛覚閾値の低下/索状硬結の触知
トリガーポイントとは、身体の約200対に及ぶ筋肉の、筋組織内部の硬結上の結節に存在し、指圧刺激で鋭く身体の深部に感じる痛みを発する、引き金となる限局性のポイントのことを指す。特徴として、関連痛の出現、痛覚閾値の低下、索状硬結の触知のほかにも、単収縮反応などがあげられる。

 

 

 

 

 

問題115 「治未病」について誤っているのはどれか。

1.病気になる前の予防に重点を置く。
2.治療すべきタイミングに配慮する。
3.病の兆しを見つけたら早期に治療を開始することに重点を置く。
4.五臓の病があれば、その母にあたる臓の治療に重点を置く。

解答

解説

未病とは?

未病とは、2000年以上前の中国の書物『黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)』の中に「聖人は未病を治す」と書かれていて、予防の重要性が既に認識されていたことがわかります。「未病」とは、発病には至らないものの軽い症状がある状態です。五臓六腑がつながっているという考えが根本にあり、軽いうちに異常を見つけて病気を予防するという考え方です。最近では外来や検診でさまざまな検査ができるようになり、特に自覚症状がないにもかかわらず検査値異常を指摘されることがよくあります。 生活の質(QOL)は侵されていないが検査値に異常がある未病の場合、その時点で病気を発症させないための治療をしていく「治未病」(ちみびょう)の考え方が、今後、より重要になってきます。

(※引用:「未病とは?」日本医師会様HPより)

1.〇 正しい。病気になる前の予防に重点を置く。
未病とは、発病には至らないものの軽い症状がある状態で、軽いうちに異常を見つけて病気を予防するという考え方である。

2.〇 正しい。治療すべきタイミングに配慮する。
なぜなら、治療が遅くなりすぎた場合、手遅れになる可能性もあるため。また、たとえ早期治療が大切とはいえ、自宅の私情が複雑になっている場合、精神的にも乱れやすく、ほかの精神疾患を呈する可能性もある。

3.〇 正しい。病の兆しを見つけたら早期に治療を開始することに重点を置く。
生活の質は侵されていないが、検査値に異常がある未病の場合、その時点で病気を発症させないための治療をしていく「治未病」の考え方が重要である。

4.× 五臓の病があれば、その母にあたる臓の治療に重点を置くことは、「難経六十九難」の原則である。
難経六十九難は、「虚すればその母を補い、実すればその子を瀉せ」に基づき治療が行われる。

 

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