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問題56 次の文で示す症例に対する歩行介助で最も適切なのはどれか。
「58歳の男性。2年前から右手の振戦が出現、後に動作が緩慢になってきた。急に狭くなる場所では足が前に出ない。」
1.静かに見守る。
2.積極的に会話する。
3.速いテンポの音楽を流す。
4.メトロノームでリズムをとる。
解答4
解説
・58歳の男性。
・2年前から右手の振戦が出現、後に動作が緩慢。
・急に狭くなる場所では足が前に出ない。
→本症例は、パーキンソン病が疑われる。パーキンソン病とは、黒質のドパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変成疾患である。4大症状として①安静時振戦、②筋強剛(筋固縮)、③無動・寡動、④姿勢反射障害を特徴とする。また、自律神経障害による便秘や起立性低血圧、排尿障害、レム睡眠行動障害などが起こる。レム睡眠行動障害とは、レム睡眠の時期に体が動き出してしまう睡眠障害の1つである。 睡眠時随伴症に分類される。
1.× 静かに見守る優先度は低い。
なぜなら、本症例は「足が前に出ない」ことに対して何かしら方法を考えなくては転倒の危険性があるため。
2.× 積極的に会話する必要はない。
なぜなら、会話をすることで二重課題となり、歩行に集中をささげることができなくなるため。
むしろ、精神的緊張にもつながり小刻み歩行などが生じやすくなる。二重課題法では、練習課題とそれ以外の課題とを同時に遂行してもらう。練習課題に加えて注意力を分散させる課題を同時遂行してもらう方法である。例えば、歩行中に計算やしりとりなどをすることである。外傷性脳損傷による注意障害に対して用いられることが多い。
3.× 速いテンポの音楽を流す優先度は低い。
なぜなら、速いテンポで歩くことで、さらなる突進現象を助長するため。リズミカルな繰り返しの聴覚刺激を用いて歩く。
4.〇 正しい。メトロノームでリズムをとる。
矛盾性運動(逆説的運動)とは、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。すくみ足の症状があっても、床の上の横棒をまたぐことができること、リズムをとったり、視覚的な目標物を踏み越えさせたりすると、本来難易度が高いはずであるが、スムーズに足が出るといった現象である。ちなみに、階段昇降もこれに含まれ、平地歩行に比べて障害されにくい。階段昇降は、歩行の改善、下肢筋力強化の効果も期待される。
問題57 白血病についてウイルスが原因で日本の西南地方に多いのはどれか。
1.成人T細胞白血病
2.慢性骨髄性白血病
3.急性骨髄性白血病
4.急性リンパ性白血病
解答1
解説
1.〇 正しい。成人T細胞白血病は、白血病についてウイルスが原因で日本の西南地方に多い。
成人T細胞白血病とは、HTLV-Ⅰ(ヒトT細胞白血病ウイルス)というウイルス感染が原因である感染症である。このウイルスに感染した白血球中のT細胞ががん化し、それが無制限に増殖することで発症する。主に母乳を介して母子感染し、長い潜伏期間を経た後、成人T細胞白血病を発症することが多い。日本の西南地方に多いが、原因ははっきりしていない。
2.× 慢性骨髄性白血病
慢性骨髄性白血病の95%以上は、フィラデルフィア染色体という特殊な遺伝体が原因である。臓血管細胞に染色体転座が生じ発症する骨髄増殖性疾患である。
3.× 急性骨髄性白血病
急性骨髄性白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。はっきりした原因は不明である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。
4.× 急性リンパ性白血病
急性リンパ性白血病とは、骨髄の中にある幼若な血液細胞が癌化して白血病細胞となり骨髄の中で急速に分裂して数を増やす疾患である。はっきりした原因は不明である。白血病細胞が骨髄の中で増えてくる結果、骨髄の本来の機能である造血能が著しく障害される。初期症状として、発熱・貧血・出血傾向・骨痛・倦怠感がみられる。
問題58 大腿骨頭すべり症で陽性になるのはどれか。
1.アイヒホッフテスト
2.ピボットシフトテスト
3.ドレーマン徴候
4.ピアノキー徴候
解答3
解説
大腿骨頭すべり症とは、大腿骨近位骨端軟骨の脆弱化、体重負荷により、大腿骨頭が頚部に対して、後下方に転位する疾患である。原因として、肥満と成長期のスポーツ活動による力学的負荷が大腿骨に加わるために生じる。成長ホルモンと性ホルモンの異常で発症することもある。9歳から15歳頃の股関節の成長軟骨板(成長線)が力学的に弱い時期に発症する。
1.× アイヒホッフテスト
アイヒホッフテスト(フィンケルシュタインテスト)とは、母指を握り込ませて手関節尺屈すると、陽性の場合手関節橈側の疼痛が増強する。狭窄性腱鞘炎が疑われる。de Quervain病とは、狭窄性腱鞘炎ともいい、短母指伸筋腱と長母指外転筋腱が原因で起こる腱鞘炎である。母指の使いすぎや妊娠出産期、更年期の女性に多く見られる。手首に腫れと痛みを伴い、母指を小指側に牽引したときに痛みが増強する。また、親指を握って尺屈すると疼痛が出現するフィンケルシュタインテスト(アイヒホッフテスト)で陽性となる。
2.× ピボットシフトテスト
Pivot Shift/Pivot Shift test(ピボットシフトテスト)とは、前十字靭帯損傷の回旋不安定性現象を検査する。前十字靱帯損傷膝では膝伸展位において外反、軸圧のストレスをかけることにより脛骨は前方にずれる。そして、屈曲とともに 20°~30°付近で脛骨は突然整復位に外旋するように、即ち、後方の正常な位置に戻る。
3.〇 正しい。ドレーマン徴候は、大腿骨頭すべり症で陽性になる。
Drehmann徴候とは、大腿骨頭すべり症を発症した際、股関節屈曲を行うと開排して患肢の大腿前面を腹につけられない状態のことをいう。
4.× ピアノキー徴候
ピアノキー症状は、肩鎖関節脱臼では肩鎖関節のズレにより、鎖骨の外側の端が皮膚を持ち上げて階段状に飛び出して見えることである。上方に持ち上がった鎖骨の端を上から押すとピアノの鍵盤のように上下に動くこと。肩鎖関節の安定性が損なわれていることを示している。
問題59 頸椎椎間板ヘルニアについて正しいのはどれか。
1.神経根症では上肢に腱反射の亢進を認める。
2.神経根症では腹壁反射の消失を認める。
3.脊髄症では下肢に腱反射の減弱を認める。
4.脊髄症では下肢に病的反射を認める。
解答4
解説
椎間板は、外縁部分を構成する線維輪という靱帯様の構造物と、中心部に含まれる軟らかい髄核という構造物から成り立っているが、外縁部分の椎間板の線維輪が弱くなって膨隆したり、線維輪が断裂して中心部の髄核が脱出したりすると、近傍にある神経を圧迫している状態のことを腰椎椎間板ヘルニアという。L4/5とL5/S1が好発部位である。
L3‒L4間(支配神経根L4):膝蓋腱反射低下、大腿~下腿内側の感覚麻痺、大腿四頭筋力低下。
L4‒L5間(支配神経根L5):下腿外側~母趾の感覚麻痺、前脛骨筋、長母指伸筋、長趾伸筋の筋力低下。
L5‒S1間(支配神経根S1):アキレス腱反射低下、足部尺側側の感覚麻痺、下腿三頭筋、長母指屈筋、長趾屈筋の筋力低下。
1.× 神経根症では上肢に腱反射の「亢進」ではなく低下を認める。
深部腱反射亢進は、錐体路障害徴候である。錐体路徴候は、深部腱反射亢進、病的反射(+)、表在反射(消失)、痙性麻痺がみられる。ちなみに、錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。
2.× 神経根症では腹壁反射の「消失」ではなく正常のまま出現を認める。
腹壁反射(腹皮反射)とは、表在反射のひとつである。表在反射とは、皮膚や粘膜を刺激することでみられる反射のことで、消失により錐体路障害を示す徴候である。腹壁反射とは、検者を背臥位にして両膝を軽く屈曲し膝を立て、腹筋を弛緩させる。先の鈍い針で肋骨縁①にそって上から下に向けてこする。また、腹壁を上②、中③、下④の3つに分けて、腹壁皮膚を外側より内側に向けてこすり、刺激側の腹筋が収縮し、臍が刺激側へ動けば陽性である。陽性の場合、錐体外路系の障害により消失する。【判定】刺激側の腹筋が収縮し、臍が刺激側へ動けば陽性である。
3.× 脊髄症では下肢に腱反射の「減弱」ではなく亢進を認める。
頚髄症とは、頚椎症性脊髄症ともいい、脊柱管が狭くなって脊髄が圧迫され、さまざまな症状を引き起こす病気のことである。頸椎の変形によって内側の脊髄が圧迫されて、巧緻性の低下や手足のしびれが生じる疾患である。箸での食事が難しくなったり、ボタンをとめるのが困難になることもある。
4.〇 正しい。脊髄症では下肢に病的反射を認める。
錐体路徴候は、深部腱反射亢進、病的反射(+)、表在反射(消失)、痙性麻痺がみられる。
錐体路とは、大脳皮質運動野―放線冠―内包後脚―大脳脚―延髄―錐体交叉―脊髄前角細胞という経路をたどる。障害されることで片麻痺などの症状をきたす。
【錐体路徴候】
・深部腱反射亢進
・病的反射(+)
・表在反射(消失)
・痙性麻痺
【錐体外路症状】
・深部腱反射正常
・表在反射(+)
・病的反射(-)
・不随意運動の出現
問題60 尿路結石の再発予防に有用なのはどれか。
1.水分摂取
2.尿酸排泄促進薬内服
3.柑橘類摂取
4.ホウレンソウ摂取
解答1
解説
尿路結石症とは、尿路に、結石(尿に含まれるカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶化したもの)ができる病気である。結石のできる位置によって、腎結石(腎臓内にある結石) 、尿管結石、膀胱結石などと呼ばれる。結石ができる原因は明確に分かっていないが、リスク要因としては体質遺伝の他、生活習慣が大きく関わっているとされている。典型的な最初の症状は脇腹から下腹部にかけての突然の激痛である。 「動くと痛い」というのは結石の症状ではなく筋肉や骨からの症状のことが多いが、尿管結石の場合はじっとしていてももだえるほどの症状が出ることがある。 また、結石によって閉塞した部位の中枢側の尿路が拡張し、腰背部の仙痛発作が起こる。治療としては、①体外衝撃波腎・尿管結石破砕術、②経尿道的尿路結石除去術、③経皮的尿路結石除去術(もしくは②と③を同時に併用する手術)などがあげられる。
1.〇 正しい。水分摂取は、尿路結石の再発予防に有用である。
なぜなら、水分をあまりとらない慢性的に脱水の状態では、尿が濃縮されて尿路結石ができやすくなるため。食事以外に1日2L以上の水分補給をし、1日尿量を2L以上とすることで、結石再発リスクを61%に減少できるという報告もある。
2.× 尿酸排泄促進薬内服は必要ない。
尿酸排泄促進薬は、尿中に尿酸排泄が低下している患者に使用される。尿酸生成が亢進している患者に使用すると、尿酸結石を生じるリスクとなる。
3.× 柑橘類摂取の優先度は低い。
果物や野菜に多く含まれるクエン酸は、シュウ酸とカルシウム、リン酸とカルシウムが結合するのを抑制するため、カルシウム結石の予防に有効である。しかし、柑橘類の摂り過ぎは、シュウ酸を多く摂ることにもなりかねないため注意が必要である。
4.× ホウレンソウ摂取は必要ない。
なぜなら、ホウレンソウは、シュウ酸が多く含まれるため。尿中に排泄されるシュウ酸は、カルシウム結石の最も重要な危険因子であり、この約70%は食事由来とされている。予防のためにはシュウ酸を多く含む食品の過剰摂取を控えることが大事である。ホウレンソウを筆頭に、キャベツ、ブロッコリー、タケノコなどにも含まれる。