第28回(R2年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前6~10】

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問題6 白内障の原因になりにくいのはどれか。

1.紫外線
2.可視光線
3.赤外線
4.マイクロ波

解答

解説

(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)

白内障とは?

白内障とは、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気である。主な原因は加齢である。他にも、糖尿病や妊娠初期の風疹ウイルス感染などにより生じる。

1.〇 紫外線
紫外線はエネルギーが高いため、水晶体のタンパク質の変性を起こす可能性がある。

2.× 可視光線は、白内障の原因になりにくい。
可視光線とは、電磁波のうち、ヒトの目で見える波長のもので、いわゆる光のことを指す。

3~4.〇 赤外線/マイクロ波
温熱効果が認められ、水晶体のタンパク質の変性を起こす可能性がある。
 

(※図引用:「X線とは(基礎知識)」松定プレシジョン様HPより)

 

 

 

 

 

問題7 高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて実施されるのはどれか。

1.がん検診
2.肝炎ウイルス検診
3.特定健康診査
4.骨粗鬆症検診

解説

高齢者の医療の確保に関する法律とは?

高齢者の医療の確保に関する法律とは、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成および保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もって国民保健の向上および高齢者の福祉の増進を図ることを目的とした法律である。

1.× がん検診は、健康増進法に規定されている。
がん検診とは、がんの症状がない人々において、存在が知られていないがんを見つけようとする医学的検査である。がん検診は健康な人々に対して行うものである。

2.× 肝炎ウイルス検診は、健康増進法に規定されている。
肝炎ウイルス検診とは、B型およびC型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べる検診である。実施主体は市町村で、対象は満40歳以上で一度も肝炎ウイルス検査を受けたことがない者である。検査費用はほとんどの場合、無料で、検査方法は、採血による血液検査である。

3.〇 正しい。特定健康診査は、高齢者の医療の確保に関する法律に基づいて実施される。
特定健康診査とは、40~74歳までの医療保険加入者を対象に実施されるものである。特定健診で行う検査は、主に①身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)、②血中脂質検査(中性脂肪・HDLコレステロール・LDLコレステロール)、③肝機能検査(GOT・GPT・γ-GTP)、④血糖検査(空腹時血糖・HbA1c)、⑤尿検査(尿糖・尿蛋白)などである。

4.× 骨粗鬆症検診は、健康増進法に規定されている。
骨粗鬆症検診とは、レントゲン検査を用い、主に背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形の有無、骨粗鬆症の有無を確認する。

健康増進法とは?

健康増進法は、国民の健康維持と現代病予防を目的として制定された日本の法律である。都道府県と市町村は、地域の実情に応じた健康づくりの促進のため、都道府県健康増進計画(義務)および市町村健康増進計画(努力義務)を策定する。平成14(2002)年に制定された。

【市町村が行う健康増進事業】
①健康手帳、②健康教育、③健康相談、④訪問指導、⑤総合的な保健推進事業、⑥歯周疾患検診、⑦骨粗鬆症検診、⑧肝炎ウイルス検診、⑨がん検診、⑩健康検査、⑪保健指導などである。

【都道府県の役割】
都道府県は、都道府県健康増進計画において、管内市町村が実施する健康増進事業に対する支援を行うことを明記する。都道府県保健所は、市町村が地域特性等を踏まえて健康増進事業を円滑かつ効果的に実施できるよう、必要な助言、技術的支援、連絡調整及び健康指標その他の保健医療情報の収集及び提供を行い、必要に応じ健康増進事業についての評価を行うことが望ましい。都道府県は、保健・医療・福祉の連携を図るとともに、市町村による健康増進事業と医療保険者による保健事業との効果的な連携を図るために、地域・職域連携推進協議会を活性化していくことが望ましい。

 

 

 

 

 

問題8 日本人の食生活について過剰摂取となっている栄養素はどれか。

1.食物繊維
2.カルシウム
3.亜鉛
4.ナトリウム

解答

解説
1.× 食物繊維は、日本人において不足傾向である。
食物繊維とは、人の消化酵素によって消化されにくい、食物に含まれている難消化性成分の総称である。食物繊維が不足すると、腸内環境が悪化し、便秘になりやすくなる。

2.× カルシウムは、日本人において不足傾向である。
カルシウムとは、骨や歯を形成するミネラルで、身体の機能の維持・調節に不可欠な栄養素である。カルシウムが不足すると、骨や歯が弱くなり、骨の発育障害や成長不良を引き起こす可能性がある。

3.× 亜鉛は、日本人において不足傾向である。
亜鉛は、人間の生命活動に必要不可欠な必須ミネラルの一つである。亜鉛は、体内で作ることができないため、食事やサプリメントを通じて適正に摂取することが重要である。亜鉛が不足すると、皮膚炎・脱毛・爪の変形、味覚が変になる(味覚異常)、舌がピリピリする(舌痛症)、貧血、食欲不振などが生じる。

4.〇 正しい。ナトリウムは、日本人の食生活について過剰摂取となっている栄養素である。
ナトリウムとは、人体に必要なミネラルの一種で、主に食塩の形で摂取される。ナトリウムは、浸透圧の調整、細胞外液の量の調節、血圧の変動に関わる働きをする。1日の食塩摂取量の目標は、男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満、高血圧の予防・治療のためには6グラム未満とされている。

 

 

 

 

 

問題9 1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)で提唱された性と生殖に関する概念はどれか。

1.リプロダクティブ・ヘルス/ライツ
2.プライマリ・ヘルス・ケア
3.ヘルスプロモーション
4.ファミリー・プランニング

解答

解説
1.〇 正しい。リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)で提唱された性と生殖に関する概念である。
セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(Sexual and Reproductive Health and Rights:SRHR)とは、日本語訳で「性と生殖に関する健康と権利」とされ、すべての人の「性」と「生き方」に関わる重要なことである。例えば、人々が政治的・社会的に左右されず、「子どもを持つ」「持たない」を決める自由を持ち、自分たちの子どもの数、出産間隔、出産する時期を自由に決定でき、そのための健康を享受できること、またそれに関する情報と手段を得ることができる権利である。

2.× プライマリ・ヘルス・ケア
プライマリヘルスケアとは、アルマ・アタ宣言(1978年)で提唱されたものである。すべての人に健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念である。すべての人にとって健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念である。

3.× ヘルスプロモーション
ヘルスプロモーションとは、「人々が自らの健康とその決定要因をコントロールし、改善することができるようにするプロセス」と定義される。①健康な公共政策づくり、②健康を支援する環境づくり、③地域活動の強化、④個人技術の開発、⑤ヘルスサービスの方向転換などが挙げられる。保健部門だけの責任にとどまらず、人々のライフスタイルや生活の質(QOL)にかかわるものであり、個人の能力だけでなく環境の整備も含まれる。オタワ憲章(1986年)で提唱され、日本では、健康日本21(2000年)で基本理念に取り入れられている。

4.× ファミリー・プランニング
ファミリー・プランニングとは、家族計画と訳され、家族全員の幸福のために、子どもの数や出産時期を計画することである。家族計画は、単なる産児制限とは異なり、生まれてくる子どもはすべて望まれた子どもでなければならないという基本理念から出発している。

 

 

 

 

 

問題10 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に定められた感染症で致命率が最も高いのはどれか。

1.エボラ出血熱
2.中東呼吸器症候群(MERS)
3.腸管出血性大腸菌感染症
4.デング熱

解答

解説
1.〇 正しい。エボラ出血熱は、感染症法に定められた感染症で致命率が最も高い。
なぜなら、エボラ出血熱は1類感染症に分類されているため。エボラ出血熱とは、エボラウイルスによる感染症である。エボラウイルスに感染すると、2~21日(通常は7~10日)の潜伏期の後、突然の発熱、頭痛、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛等の症状を呈す。次いで、嘔吐、下痢、胸部痛、出血(吐血、下血)等の症状が現れる。

2.× 中東呼吸器症候群(MERS:Middle East Respiratory Syndrome)は、2類感染症に分類される。
中東呼吸器症候群とは、2012年に初めて確認されたウイルス性の感染症である。原因となるウイルスは、MERSコロナウイルスである。主な症状は、発熱、せき、息切れなどで、下痢などの消化器症状を伴う場合もある。MERSに感染しても、症状が現われない人や、軽症の人もいるが、特に高齢の方や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人で、重症化する傾向がある。

3.× 腸管出血性大腸菌感染症は、3類感染症に分類される。
腸管出血性大腸菌とは、ベロ毒素 、または志賀毒素と呼ばれている毒素を産生することで病原性を持った大腸菌である「病原性大腸菌」の一種である。飲食物を介した経口感染であり、菌に汚染された飲食物を摂取したり、患者の糞便に含まれる大腸菌が直接または間接的に口から入ることによって感染する。症状は、無症候性から軽度の下痢、激しい腹痛、頻回の水様便、さらに、著しい血便とともに重篤な合併症を起こし死に至るものまで様々である。

4.× デング熱は、4類感染症に分類される。
デング熱とは、蚊(デングウイルス)に刺されることによって感染する疾患である。 症状として、急激な発熱で発症し、発疹、頭痛、骨関節痛、嘔気・嘔吐などがみられる。通常、発症後2~7日で解熱し、発疹は解熱時期に出現する。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律とは?

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症予防法、感染症法、感染症新法)は、感染症の予防および感染症患者に対する医療に関する措置について定めた日本の法律である。平成10年(1998年)に制定された。主な内容は、①1~5類感染症の分類と定義、②情報の収集・公表、③感染症(結核を含む)への対応や処置。

【「感染症法」の対象となる感染症】
①1類感染症(7疾患:エボラ出血熱 ・クリミア・コンゴ出血熱・痘そう(天然痘) ・南米出血熱・ペスト・マールブルグ病・ラッサ熱)
対応:原則入院・消毒等の対物措置(例外的に建物への措置,通行制限の措置も適用対象とする)

②2類感染症(6疾患:・急性灰白髄炎(ポリオ)・結核 ・ジフテリア ・重症急性呼吸器症候群(SARS)・特定鳥インフルエンザ(H5N1, H7N9) ・中東呼吸器症候群(MERS))
対応:状況に応じて入院・消毒等の対物措置

③3類感染症(5疾患:・コレラ・細菌性赤痢・腸管出血性大腸菌感染症(0157等)・腸チフス ・パラチフス)
対応:・特定職種への就業制限・消毒等の対物措置

④4類感染症(44疾患:※一部抜粋。・E型肝炎・A型肝炎 ・黄熱・Q熱・狂犬病・チクングニア熱・鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く)・炭疽 ・ボツリヌス症 ・マラリア ・野兎病・重症熱性血小板減少症候群(SFTS)・デング熱・ジカウイルス感染症・日本脳炎・その他感染症(政令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開,提供・媒介動物の輸入規制・消毒等の対物措置

⑤5類感染症(46疾患:※一部抜粋。・インフルエンザ(鳥インフルエンザ・新型インフルエンザ等感染症を除く)・ウイルス性肝炎(E型・A型を除く)・クリプトスポリジウム症・後天性免疫不全症候群(AIDS)・性器クラミジア感染症 ・梅毒・麻疹・百日咳・メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症・その他感染症(省令で指定))
対応:・感染症発生状況の情報収集、分析とその結果の公開情報提供

 

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