第28回(R2年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後86~90】

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問題86 脳性麻痺について正しいのはどれか。

1.早期診断は容易である。
2.診断が確定してから介入する。
3.運動発達は自然に任せる。
4.家族への保育指導を行う。

解答

解説

脳性麻痺とは?

脳性麻痺とは、お腹の中にいる間から、生後4週間までの間に発生した脳への損傷によって引き起こされる運動機能の障害を指す。失調型やアテトーゼ型などのタイプがある。アテトーゼとは、顔や手足をゆっくりと動かしてしまうものである。身体が突っ張ったり捻じれたりするジストニア、顔や手足をゆっくりと動かしてしまうアテトーゼ、踊るように身体を振ってしまう舞踏運動、上肢や下肢をいきなり大きく振り回してしまうバリズムなどがある。

1968年の厚生省脳性麻痺研究班の定義では、脳性麻痺は「受胎から新生児(生後4週以内)までの間に生じた、脳の非進行性病変にもとづく永続的な、しかし変化しうる運動および姿勢の異常」とされている。

1.× 早期診断は容易であるとはいえない
なぜなら、早期診断のはっきりした定義はなく、また脳性麻痺を特定できる検査がないため。脳の障害がどのような原因であるかを明らかにするために、画像検査(頭部CT検査・頭部MRI検査)、血液検査、尿検査などを行うこともある。

2.× 診断が「確定して」ではなく確定前から介入する。
なぜなら、脳性麻痺に限らず、小児のリハビリテーションは、発達の促しが目的の一つにあるため。したがって、脳性麻痺のリハビリの目的も、姿勢と運動コントロールの発達を促しながら、関節の拘縮や変形を予防することである。

3.× 運動発達は自然に任せる優先度は低い
脳性麻痺のリハビリは、姿勢と運動コントロールの発達を促しながら、関節の拘縮や変形を予防することである。

4.〇 正しい。家族への保育指導を行う
保育指導とは、保育士が保護者の子育ての問題や課題に対して、対等な立場で支援することを指す。

 

 

 

 

 

問題87 呼吸理学療法と目的の組合せで正しいのはどれか。

1.腹式呼吸訓練:一回換気量増大
2.胸郭モビライゼーション:虚脱した気道の拡張
3.体位ドレナージ:吸気機能強化
4.口すぼめ呼吸:咳嗽機能強化

解答

解説

(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)

1回換気量とは?

一回換気量とは、一回の呼吸運動(呼気と吸気)で気道・肺に出入りするガスの量のことを指す。単位はmL。1回換気量のうち、ガス交換が可能な領域(呼吸細気管支と肺胞)を出入りする分が「有効換気量(350mL)」であり、ガス交換が行われない領域(鼻腔・口腔・気管・気管支・終末細気管支)を出入りする分は、「死腔換気量(150mL)」である。したがって、有効換気量+死腔換気量で健康な成人の1回換気量を求めることができる。

1.〇 正しい。腹式呼吸訓練:一回換気量増大
腹式呼吸(横隔膜呼吸)により、1回換気量の増加、呼吸数・酸素換気当量・死腔換気率の減少、さらにPaO2上昇やPaCO2減少が報告されている。呼吸補助筋の収縮抑制と胸腹部運動の同期性を伴った意識下での呼吸コントロールが成功したときに、腹式呼吸は、換気効率を改善し、呼吸困難感を緩和する可能性がある。しかし、安定期COPD患者では、必ずしも完全な腹式呼吸パターン習得がその目標にはならない(※引用:「腹式呼吸(横隔膜呼吸)効果の検討」日本呼吸器管理学会誌様より)。

2.× 虚脱した気道の拡張は、「胸郭モビライゼーション」ではなく口すぼめ呼吸である。
胸郭モビライゼーションとは、胸郭の可動性、呼吸効率や肺活量の改善を目的に実施される。口すぼめ呼吸とは、口をすぼめることによって、呼気に抵抗をかける呼吸である。これにより、気道内圧が上昇し、末梢の気管支の虚脱を防ぐ。

3.× 吸気機能強化は、「体位ドレナージ」ではなくブローイングである。
体位ドレナージとは、重力を利用して痰の排出を図る方法である。痰貯留部位が上、気管支が下となる体位をとり、痰を排出する。ブローイングとは、息を吹く動作(水に入れたコップにストローでブクブクと息を吹き込む動作)により、鼻咽喉が反射的に閉鎖されることを利用して、鼻咽喉閉鎖に関わる神経や筋群の機能を改善させる手法である。

4.× 咳嗽機能強化は、「口すぼめ呼吸」ではなくハフィングである。
ハフィング(huffng)とは、排痰法のひとつである。ハフィングと咳により、喉元にあがってきた痰を体外へ出す際に行う。「ハッ!ハッ!」と声を出さずに勢いよく息を吐く方法で、痰を一気に押し上げる働きをする。

 

 

 

 

 

問題88 大腿骨頸部骨折について正しいのはどれか。

1.交通事故による受傷が最も多い。
2.寝たきりの原因となることが多い。
3.安静期間をおいて手術を行うことが推奨される。
4.術後8週以降で荷重訓練を開始することが多い。

解答

解説

大腿骨近位部骨折とは?

大腿骨近位部骨折は頸部骨折・転子部骨折、転子下骨折を含む総称である。高齢者など骨粗鬆症に多い骨折である。閉経後女性ホルモンなどの関係もあり女性に多くみられる。

1.× 「交通事故」ではなく転倒(骨粗鬆症)による受傷が最も多い。

2.〇 正しい。寝たきりの原因となることが多い
なぜなら、高齢者に発生することが多いため。短い期間での臥床でも筋力低下が起こりやすい。

3.× 安静期間をおいて手術を行うことが推奨されない
なぜなら、短い期間での臥床でも筋力低下が起こりやすいため。早期の手術を行い、離床や日常生活の再獲得を目指す。

4.× 術後8週以降で荷重訓練を開始しない
荷重訓練は手術3日程度から行うことが多い。腱断裂の手術後は、再断裂防止のため5週間程度の免荷機関が必要な場合もある。

 

 

 

 

専門科目

問題89 次の文で示す患者の病因で最も適切なのはどれか。
 「34歳の男性。1週間前に上司から販売業績が悪いことを責められた。それ以来、やる気がでない。声に力がなく、食欲もない。」

1.飲食不節
2.労倦
3.湿邪
4.怒

解答

解説

本症例のポイント

・34歳の男性。
・1週間前:上司から販売業績が悪いことを責められた。
・それ以来:やる気がでない
・声に力がなく、食欲もない。
→本症例は、労倦が疑われる。労倦とは、過労または怠惰な生活をしすぎることである。過労や精神的な負担、不規則な生活などが原因で、体のだるさや不眠症などの症状を引き起こすことがある。

1.× 飲食不節(※読み:いんしょくふせつ)
飲食不節とは、暴飲暴食、ジャンクフードなど、栄養が偏った食事、または栄養の不足しすぎて、病気を起こす原因になっている状態を指す。

2.〇 正しい。労倦(※読み方:ろうけん)が患者の病因である。
労倦とは、過労または怠惰な生活をしすぎることである。過労や精神的な負担、不規則な生活などが原因で、体のだるさや不眠症などの症状を引き起こすことがある。

3.× 湿邪
湿邪は、陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。

4.× 怒
怒は、肝臓が上昇する状態で、主な症状として頭痛・目の充血である。

 

 

 

 

 

問題90 五行色体における五脈と五病の組合せで正しいのはどれか。

1.弦:呑
2.代:咳
3.毛:語
4.石:欠

解答

解説
1.× 弦:呑
弦は、である。
呑は、である。

2.× 代:咳
代は、である。
咳は、である。

3.× 毛:語
毛は、である。
語は、である。

4.〇 正しい。石:欠
石、欠ともにである。

 

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