第29回(R3年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前16~20】

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問題16 大腿の筋で大腿神経に支配されるのはどれか。

1.大腿二頭筋
2.薄筋
3.半腱様筋
4.縫工筋

解答

解説
1.× 大腿二頭筋
大腿二頭筋の【起始】長頭:坐骨結節、短頭:大腿骨体の粗線の外側唇、外側大腿筋間中隔、【停止】腓骨頭、【作用】股関節伸展・外旋、膝関節屈曲、【支配神経】長頭:坐骨神経の脛骨神経部(L5~S2)、短頭:坐骨神経の総腓骨神経部(S1,S2)である。

2.× 薄筋
薄筋の【起始】恥骨結合の外側、【停止】脛骨の内側面。停止腱は鵞足に加わる。、【作用】股関節内転、膝関節屈曲と内旋、【支配神経】閉鎖神経前枝:L2~L4である。

3.× 半腱様筋
半腱様筋の【起始】坐骨結節(大腿二頭筋長頭の起始の内側でこれと融合)、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節伸展、内転、内旋、膝関節屈曲、【支配神経】坐骨神経の脛骨神経部:L4~S2である。

4.〇 正しい。縫工筋は、大腿の筋で大腿神経に支配される。
縫工筋の【起始】上前腸骨棘、【停止】脛骨粗面の内側(鵞足を形成)、【作用】股関節屈曲、外転、外旋、膝関節屈曲、内旋、【神経】大腿神経である。

 

 

 

 

 

問題17 頭頸部の筋について正しいのはどれか。

1.上眼瞼挙筋は顔面神経支配である。
2.外側翼突筋は下顎骨を挙上する。
3.前斜角筋は第2肋骨に停止する。
4.胸鎖乳突筋は大鎖骨上窩の前縁を形成する。

解答

解説
1.× 上眼瞼挙筋は、「顔面神経支配」ではなく動眼神経支配である。
上眼瞼挙筋は、開眼運動に寄与する。上眼瞼挙筋が収縮すると、腱膜に引っ張られるようにして瞼板が持ち上がりまぶたを開く。ちなみに、上眼瞼挙筋は、途中から薄い膜状の腱膜となり、まぶたの先端部分にある瞼板という板状の組織の前面に付着している。

2.× 外側翼突筋は、下顎骨を「挙上」ではなく前方突出する。
咀嚼筋とは、下顎骨の運動(主に咀嚼運動)に関わる筋肉の総称である。咀嚼筋は一般的に、咬筋、側頭筋、外側翼突筋、内側翼突筋の4種類が挙げられる。咀嚼筋は、主にⅤ:三叉神経支配である。
側頭筋の作用は、下顎を上げて、歯をかみ合させる(閉口)ほか、後部は下顎骨を後ろへ引く。
外側翼突筋の作用は、収縮すると関節包・関節円板に対して前内側方向の力が働く。
内側翼突筋の作用は、下顎骨を挙上し、口を閉じる運動の主要筋として働く。

3.× 前斜角筋は、「第2肋骨」ではなく第1肋骨に停止する。
前斜角筋の【起始】第3~7頸椎の横突起前結節、【停止】第1肋骨の前斜角筋結節、【作用】肋骨を引き上げて胸郭を広げる(吸息)。肋骨を固定すれば頸椎を前方に傾け、片側だけでは同側へ曲げる。【神経】頸神経前枝である。

4.〇 正しい。胸鎖乳突筋は大鎖骨上窩の前縁を形成する
大鎖骨上窩とは、肩甲鎖骨三角ともいい、胸鎖乳突筋・肩甲舌骨筋・鎖骨上縁で構成される。ちなみに、胸鎖乳突筋の【起始】胸骨部:胸骨柄前面、鎖骨部:鎖骨の胸骨端、【停止】乳様突起、後頭骨の上項線の外側部、【作用】両側が同時に作用すると首をすくめて顎を突き出す。片側が働けば顔面を対側に回す。吸息の補助、【支配神経】副神経外枝、頸神経叢筋枝(C2,C3)である。

 

 

 

 

 

問題18 心臓について正しいのはどれか。

1.大動脈口は肺動脈口の前方にある。
2.腱索は半月弁に付着する。
3.洞房結節は右心房壁にある。
4.後室間枝は左冠状動脈の枝である。

解答

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

1.× 大動脈口は、肺動脈口の「前方」ではなく後方にある。
(※図参照)

2.× 腱索は、「半月弁」ではなく房室弁(僧房弁と三尖弁)に付着する。
腱索とは、左心室側から弁尖に伸びたひも状のもので、左心室壁から伸びている。乳頭筋に付着しており、乳頭筋は、心房内に反転しないように支える役割を果たす。

3.〇 正しい。洞房結節は、右心房壁にある
洞房結節とは、心臓の興奮のペースメーカーの働きをする部位である。洞房結節は、右心房の上部に位置する。

4.× 後室間枝は、「左冠状動脈」ではなく右冠状動脈の枝である。
右冠動脈は、「右外側枝と後室間枝」に分かれる。ちなみに、前下降枝と回旋枝に分かれるのは左冠状動脈である。拡張期に冠動脈に血液が流れやすいのが特徴である。

心臓の刺激伝導系とは?

心臓の刺激伝導系は、「洞結節(洞房結節)→右房→左房→房室結節→His束(房室束)→左脚・右脚→プルキンエ線維(Purkinje線維)→心室」となる。刺激伝導系を構成する細胞は特殊心筋と呼ばれ、心房・心室の壁を構成する一般の心筋細胞である固有心筋とは区別する。

 

 

 

 

 

問題19 肺門を通るのはどれか。

1.横隔神経
2.気管
3.気管支動脈
4.胸管

解答

解説
1.× 横隔神経
横隔神経とは、第四頚神経を中心に構成され、首から縦隔を通って横隔膜にいたる。横隔神経は、運動神経、感覚神経、交感神経の線維を含む。 横隔膜は、この神経のみで運動と感覚を支配されている。感覚神経は、腱中心からの情報を受け取る。胸郭においては、縦隔胸膜と心膜に枝を出す。

2.× 気管
気管は、喉頭から肺まで続く細長い空気の通り道である。その長さは個人差はあるもののおよそ10〜11cmで、気管が左右の肺に枝分かれしてからは、気管支と呼ばれる。

3.〇 正しい。気管支動脈は、肺門を通る。
肺門とは、肺の中で太い気管支と肺動脈が出入りする部分である。気管支動脈は、肺栄養血管である。ちなみに、肺動脈は、心臓の右心室から肺へ血液を送り出す動脈であり、静脈血を運ぶ唯一の動脈である(胎児の臍帯動脈を除く)。

4.× 胸管
胸管とは、最大のリンパ管である。下半身と左上半身のリンパを集める全長35~40cmのリンパ管である。胸管は鎖骨下静脈に接続し、リンパ液を血液中に戻す。 またリンパ液は、組織中の異物(細菌など)、がん細胞、死んだ細胞や損傷した細胞などを廃棄するためにリンパ管やリンパ器官に運ぶ役割も担っている。

縦隔とは?

縦隔とは左右の肺の間に位置する部分のことを指す。心臓、大血管、気管、食道、胸腺などの臓器がある。

 

 

 

 

 

問題20 小腸について正しいのはどれか。

1.上皮は内胚葉から分化する。
2.半月ヒダがある。
3.十二指腸空腸曲は腰椎の右にある。
4.回腸には腸間膜がない。

解答

解説

各胚葉に由来する器官

外胚葉:神経(脳・脊髄)・表皮(毛・爪)・感覚器(視・聴覚)
中胚葉:骨格(軟骨)・筋・循環器系(心臓・血管・リンパ)・泌尿生殖器(腎臓・精巣・子宮・卵巣)
内胚葉:消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)

1.〇 正しい。上皮は内胚葉から分化する
内胚葉は、消化器(胃・腸)・呼吸器(気管・肺)・尿路系(膀胱・尿道)に由来する。

2.× 半月ヒダがあるのは、「大腸」である。
大腸の大部分を占める結腸は、縦走筋が3本の結腸紐に寄り集まっており、内側に半月襞(半月ヒダ)としてはみ出す。

3.× 十二指腸空腸曲は腰椎の「右」ではなくにある。
十二指腸空腸曲とは、十二指腸から空腸への曲がり部分である。脊椎(特に第3腰椎)の左側に位置する。(※読み:じゅうにしちょうくうちょうきょく)

4.× 回腸には腸間膜が「ある」。
腸間膜とは、腸管を腹腔後壁に連絡する膜で、2重の腹膜からなる。小腸では空腸と回腸、大腸では横行結腸・S状結腸にある。

(※図引用:「消化器官の図2」より)

 

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