第29回(R3年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前21~25】

この記事には広告を含む場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。

 

問題21 腎臓について正しいのはどれか。

1.腎小体は髄質に散在する。
2.腎柱の先端を腎乳頭という。
3.集合管はネフロンを構成する。
4.足細胞は糸球体表面を取り囲んでいる。

解答

解説

(※図引用:「イラストボックス様」より)

1.× 腎小体は、「髄質」ではなく皮質に散在する。
腎小体から近位尿細管→Henle係蹄→遠位尿細管へとつながる。腎小体(糸球体とボーマン嚢を合わせて腎小体)は、腎皮質にある。

2.× 「腎柱」ではなく腎錐体の先端を腎乳頭という。
腎葉の境界にあたる皮質領域は、腎柱と呼ばれる。腎錐体の間に挟まれた腎皮質の部分、つまり、腎洞にまで達している部分をいう。一方、腎乳頭は、髄質の腎門に向かって、円錐形を呈する8~16個の腎錐体があり、その突出している先端の事である。腎臓の内側部分、腎髄質の先端に位置し、集合管から尿が集められ、腎盂へと移動する場所である。つまり、腎髄質が腎盂部分に乳頭上に突出した部分である。

3.× 集合管はネフロンを構成「しない」。
尿は腎小体(糸球体→Bowman嚢)で濾過され、尿細管(近位尿細管→ヘンレのループ→遠位尿細管→集合管)を通り腎杯、腎盂 (腎盤)、尿管、膀胱、尿道へと流れていく。糸球体から遠位尿細管までの部分をネフロン(腎単位)という。

4.〇 正しい。足細胞は糸球体表面を取り囲んでいる
糸球体上皮細胞(足細胞)は、脊椎動物の腎糸球体においてその最外層をなし、濾過障壁の形成と機能に重要な役割を有している。糸球体とは、腎臓に血液を送る動脈が徐々に細くなった先にある毛細血管の球形の塊である。糸球体は、腎臓の機能単位であるネフロンの一部で、腎臓の外側部分である腎皮質に集まっている。腎髄質は腎臓の内側部分で、集合管などが存在する。

 

 

 

 

 

問題22 脳の部位と存在するものとの組合せで正しいのはどれか。

1.大脳頭頂葉:運動野
2.間脳:被蓋
3.中脳:内側膝状体
4.小脳:虫部

解答

解説


1.× 大脳頭頂葉は、「運動野」ではなく感覚野である。
ちなみに、運動野は前頭葉である。

2.× 被蓋は、「間脳」ではなく脳幹である。
中脳被蓋は、運動制御に関与する神経核を含む中脳の一部である。
間脳とは、大脳と中脳の間にある脳の一部である。間脳は、神経細胞で大脳皮質、大脳基底核、脳幹、大脳辺縁系とつながっており、聴覚を除く感覚に関する情報を伝達し、自律神経の働きを調節する。

3.× 内側膝状体は、「中脳」ではなく間脳である。
内側膝状体は、聴覚路に関与している。聴覚:蝸牛神経→蝸牛神経核→上オリーブ核→中脳下丘→内側膝状体→上側頭回

4.〇 正しい。小脳は、虫部がある。
小脳虫部は、体幹と下肢の協調運動、片葉小節葉を含む古小脳は身体のバランス維持と頭頸部の協調運動を司る(主に体幹失調)。

 

 

 

 

 

問題23 脳神経で瞳孔を縮小させるのはどれか。

1.視神経
2.動眼神経
3.滑車神経
4.外転神経

解答

解説


1.× 視神経
視神経とは、視覚を司る感覚神経である。ちなみに、視覚伝導路は、「視神経―視交叉―視索―外側膝状体―視放線―視覚野」である。

2.〇 正しい。動眼神経は、脳神経で瞳孔を縮小させる。
動眼神経とは、外側直筋と上斜筋以外の眼筋を支配する運動神経と、眼球内の瞳孔括約筋や毛様体筋を支配する副交感神経を含んでいる。

3.× 滑車神経
滑車神経とは、上斜筋を支配する運動神経である。

4.× 外転神経
外転神経は、外眼筋の外側直筋を支配する脳神経の一つである。

眼球運動の筋と支配神経

【眼球運動:筋】
外側:外直筋
内側:内直筋
外上方:外直筋+上直筋
内上方:内直筋+下斜筋
外下方:外直筋+下直筋
内下方:内直筋+上斜筋

【支配神経】
①動眼神経:内側直筋・上直筋・下直筋・下斜筋
②滑車神経:上斜筋
③外転神経:外側直筋

 

 

 

 

 

問題24 不要な物質を分解処理する細胞小器官はどれか。

1.粗面小胞体
2.ミトコンドリア
3.リソソーム
4.ゴルジ装置

解答

解説

細胞の構造

細胞は、核と細胞質からなり、細胞膜で覆われている。細胞膜は、リン脂質2重層から構成されており、この中に特殊なタンパク質(受容体、酵素、担体、チャネルなど)がはめ込まれている。脂溶性物質やガス(酸素や二酸化炭素)は、細胞膜を自由に通過できるが、水溶性物質(電解質や栄養素)は、通過できない。

1.× 粗面小胞体
小胞体とは、①粗面小胞体と②滑面小胞体に分類される。①粗面小胞体は、表面にリボソームが付着し蛋白質を合成する。②滑面小胞体は、リボソームが付着していない小胞体の総称のことで、コレステロールの合成や分解、脂質代謝、薬物の解毒、カルシウムの貯蔵などの機能を担っている。

2.× ミトコンドリア
ミトコンドリアとは、細胞内に存在する細胞内小器官で、 ATPの生成やアポトーシス(細胞死)において重要な働きを担っている。

3.〇 正しい。リソソームは、不要な物質を分解処理する細胞小器官である。
リソソームは、加水分解酵素を持ち、細胞質内代謝物の消化や貯蔵に関与したり、蛋白の分解を行う。

4.× ゴルジ装置
Golgi装置(ゴルジ装置)は、小胞体で合成された物質を細胞膜や分泌小胞に振り分けたり、タンパク質を修飾する。リボソームで生成され送り込まれてきた蛋白質に糖鎖を付け加え、濃縮するなどの修飾をする機能を持つ。

 

 

 

 

 

問題25 胃液分泌を促進するのはどれか。

1.食物による口腔粘膜の刺激
2.セクレチン分泌の増加
3.交感神経活動の増加
4.酸による十二指腸粘膜の刺激

解答

解説

胃液分泌の3相

頭相:視覚や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により胃液分泌が起こる。
胃相:幽門洞の粘膜が刺激されることにより、ガストリンが内分泌され、胃酸分泌、ペプシノゲン分泌が起こる。
腸相:十二指腸上部粘膜の消化食物による刺激により、セクレチンが内分泌されガストリンの分泌を抑制し、また、胃の運動が抑制される。

1.〇 正しい。食物による口腔粘膜の刺激は、胃液分泌を促進する。
これは、頭相である。視覚や嗅覚刺激、口腔粘膜刺激により胃液分泌が起こる。

2.4.× セクレチン分泌の増加/酸による十二指腸粘膜の刺激は、胃液分泌が抑制する。
これは、腸相である。十二指腸上部粘膜の消化食物による刺激により、セクレチンが内分泌されガストリンの分泌を抑制し、また、胃の運動が抑制される。

3.× 交感神経活動の増加は、胃液分泌が抑制する。
一方、副交感神経活動の増加は、胃液分泌が促進する。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)