第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後141~145】

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問題141 次の文で示す刺法はどれか。
 「寒気の浅いとき、皮膚をつまんで引っ張りこれを刺す。」

1.直鍼刺
2.斉刺
3.傍鍼刺
4.揚刺

解答

解説
1.〇 正しい。直鍼刺である。
直鍼刺は、寒気の浅いとき、皮膚をつまんで引っ張り、これに刺す。

2.× 斉刺
斉刺は、寒気・痹気の範囲が狭く深部のとき、中心とその両側に刺す。3本使用する。

3.× 傍鍼刺
傍鍼刺は、経過が長く同じ部位の痹のとき、痛みの中心とその傍らに刺す。2本使用する。

4.× 揚刺
揚刺は、寒気の範囲が広く大きいとき、その中心と、四隅から中心に向かって刺す。5本使用する。

 

 

 

 

 

問題142 次の文で示す病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。
 「43歳の女性。主訴は膝の痛み。1週間雨天が続き、症状が増悪している。昨日てんぷらを食べてから軟便である。舌は膩苔、脈は滑を認める。」

1.逆気を降ろす。
2.血をめぐらせる。
3.気血を補う。
4.痰湿を除く。

解答

解説

本症例のポイント

・43歳の女性(主訴:膝の痛み)
・1週間:雨天が続き、症状が増悪。
・昨日:てんぷらを食べてから軟便。
・舌は膩苔、脈は
→膩苔・腐苔:痰湿の停滞、食滞。
→滑脈(痰湿、食滞):脈の流れが滑らかで、円滑に指に触れるもの。

1.× 逆気を降ろす。
気逆は、頭痛、眩暈、易怒、咳嗽、喘息、悪心・嘔吐、噯気、吃逆などである。肺気上逆・胃気上逆・肝気上逆などが該当する。

2.× 血をめぐらせる。
気鬱(気滞)は、脹痛、胸悶、胸肋部痛、抑鬱感、腹部膨満感などである。増悪と緩解を繰り返し、不安定となりやすい。

3.× 気血を補う。
気血とは、人体内の生気と血液のことである。気は、人間の体を動かす根源となるエネルギーで、血液や水、臓器を動かし、自律神経系や内分泌系をつかさどる働きをもつ。

4.〇 正しい。痰湿を除く
痰湿(津液の停滞)
湿・水:(身体が重だるい、浮腫、下痢)など
飲:腹鳴、動悸、喘息、浮腫など
痰:眩暈、咳嗽、頭痛、動棒、意識障害、精神障害など

 

 

 

 

 

問題143 次の文で示す病証として適切なのはどれか。
 「32歳の女性。主訴は眼精疲労。最近、月経血の量が少なく色も薄くなった。緊張すると手がふるえ、夜中にこむら返りが起こりやすい。舌は淡白、脈は濇を認める。」

1.心血虚
2.腎精不足
3.脾不統血
4.肝血虚

解答

解説

本症例のポイント

・32歳の女性(主訴:眼精疲労
・最近:月経血の量が少なく色も薄くなった。
・緊張すると手がふるえ、夜中にこむら返りが起こりやすい。
・舌は淡白、脈は
→舌の淡白:気血不足、寒証。
→濇脈(渋)脈(血瘀):脈の流れが悪く、ざらざらとして渋滞したようなもの。

1.× 心血虚
心血虚は、心悸、不眠、眩暈、健忘、淡白色(顏面・口唇・爪など)、脈細弱などを指す。

2.× 腎精不足
腎精不足は、倦怠感、発育不全、不妊、陽萎、耳鳴、視力減退、脱毛、腰膝酸軟などを指す。

3.× 脾不統血
脾不統血とは、脾臓が血液を体内に保持する力が低下している状態を指す。脾不統血の症状には、皮下出血、鼻血、血尿、血便、痔による出血、不正性器出血、経血過多などがあげられる。

4.〇 正しい。肝血虚が、文で示す病証である。
肝血虚は、目乾、目花(目のかゆみ)、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡泊など。

 

 

 

 

 

問題144 次の文で示す病証で随伴症状として最もみられるのはどれか。
 「27歳の男性。主訴は便秘。暑がりでよく汗をかき、便は硬く乾燥している。腹部膨満、口臭、顔面紅潮を伴う。舌は紅、黄燥苔、脈は実を認める。」

1.脱肛
2.煩躁
3.口淡
4.小便清長

解答

解説

本症例のポイント

・27歳の男性(主訴:便秘
・暑がりでよく汗をかき、便は硬く乾燥している。
・腹部膨満、口臭、顔面紅潮を伴う。
・舌は黄燥苔、脈は
→舌は紅・絳:実熱、陰虚による熱証
→実脈(実証):浮・中・沈いずれも力強く指を押し返すもの。

1.× 脱肛
脱肛とは、肛門の開閉にかかわる支持組織(肛門括約筋や粘膜、間質から成る:痔核)が肛門の外に出ることである。原因として、お産によるいきみや、生まれるときに赤ちゃんの頭で圧迫されたことなどである。 内服薬としては消炎鎮痛作用のあるもののほかに、便通を整える整腸剤や緩下剤などを服用する。保存療法で改善がみられない場合や、Ⅲ度以上の痔核では、硬化療法(ALTA療法)、結紮切除術(LE)などの手術が適応される。

2.〇 正しい。煩躁が、文で示す病証で随伴症状である。
本症例は、大腸の陽盛(実熱)が考えられる。陽盛(実熱)は、身熱、顔面紅潮、口渇、煩躁、小便短赤、便秘、冷飲を好む、舌質(紅)、舌苔(黄)、脈(数)などである。

3.× 口淡
口・舌の移乗では、口淡(脾気虚など)、口酸(食滞・肝脾不和・肝胃不和など)、口苦(熱証(特に肝胆湿熱)など)、口甜(脾胃湿熱など)である。脾気虚は、食欲不振、腹脹、大便溏薄、倦怠感、息切れ、自汗、面色萎黄などをさす。

4.× 小便清長
小便清長は、陰盛(実寒)の症状の一つである。陰盛(実寒)は、寒がり、四肢の冷え、顔面蒼白、疼痛、下痢、小便清長、脈(緊・遅)などがあげられる。ちなみに、小便清長(※読み:しょうべんせいちょう)とは、東洋医学で用いられる用語で、尿が清らかで長いことを意味する。

 

 

 

 

 

問題145 次の文で示す経脈病証で障害されている経脈の同名経を施術する場合、最も適切な治療穴はどれか。
 「72歳の男性。3日前から急に腰が痛くなり、身体を反らすことができなくなった。陰囊の脹痛、胸満、遺尿もみられる。」

1.霊道
2.陽谷
3.支溝
4.間使

解答

解説

本症例のポイント

・72歳の男性。
・3日前:急に腰が痛くなり、身体を反らすことができない。
・陰囊の脹痛、胸満、遺尿。
→脹痛は、気滞にみられる痛みの性質である。(気鬱)気滞は、脹痛、胸悶、胸肋部痛、抑鬱感、腹部膨満感などで、増悪と緩解を繰り返し、不安定となりやすい。本症例は、足の厥陰肝経の十二経脈病証がみられる。足の厥陰肝経は、腰痛が起こり、仰向けになったりうつ伏せになれなくなる。男性は睾丸が腫れ少腹が拘急疼痛し、婦人は少腹が腫れる。のどが乾き、顔面が垢がたまっている様に黒くなる。嘔吐や粥状の下痢をしたり、鼠径ヘルニア、小便失禁、尿開が起こる。

1.× 霊道(※読み:れいどう)は、心経の経穴である。
霊道は、前腕前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋の上方1寸5分に位置する。

2.× 陽谷(※読み:ようこく)は、小腸経の経穴である。
陽谷は、手関節後内側、三角骨と尺骨茎状突起の間の陥凹部に位置する。

3.× 支溝(※読み:しこう)は、三焦経の経穴である。
支溝は、前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横紋の上方3寸に位置する。

4.〇 正しい。間使(※読み:かんし)が、本症例の最も適切な治療穴である。
間使は、心包経の経穴である。間使は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸に位置する。

 

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