第30回(R4年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前16~20】

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問題16 横隔膜について正しいのはどれか。

1.呼気筋である。
2.頸神経に支配される。
3.起始部は腱中心である。
4.迷走神経は大動脈裂孔を通る。

解答

解説

横隔膜とは?

横隔膜とは、胸郭と腹郭を分ける筋膜性の膜であり、縦郭の境界をなしている。他にも、横隔膜の役割は、呼吸に関与する。
横隔膜の【起始】胸郭下口の全周で、腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部からなる。①腰椎部は、内側脚:第1~4腰椎体、外側脚:内側弓状靭帯と外側弓状靭帯、②肋骨部は、第7~12肋軟骨(肋骨弓部)の内面、③胸骨部は、剣状突起。一部は腹横筋腱膜の内面、【停止】腱中心、【作用】その収縮によって円蓋を下げ、胸腔を広げる(吸息)、【支配神経】横隔神経と副横隔神経(30~40%で欠如)である。

1.× 「呼気筋」ではなく吸気筋である。
安静時の吸息では、横隔膜の収縮と胸腔の容積の増加により、胸膜腔内圧がさらに陰圧になる。吸息時、胸郭が拡大し、胸膜腔内の圧力が下がり(陰圧となり)、その結果として肺胞が拡大し、肺胞内の圧力も下がる(陰圧となる)。
【呼吸運動について】
①安静吸気:横隔膜・外肋間筋。
②安静呼気:呼気筋は関与しない。
③努力吸気:呼吸補助筋(僧帽筋、胸鎖乳突筋・斜角筋・大胸筋・小胸筋・肋骨挙筋など)が関与。
④努力呼気:内肋間筋・腹横筋・腹直筋が関与。

2.〇 正しい。頸神経に支配される
横隔膜の支配神経は、横隔神経と副横隔神経(30~40%で欠如)である。横隔神経は、頸神経(C3-C5)の枝から構成されている。

3.× 腱中心は、「起始部」ではなく停止部である。
ちなみに、横隔膜の【起始】胸郭下口の全周で、腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部からなる。①腰椎部は、内側脚:第1~4腰椎体、外側脚:内側弓状靭帯と外側弓状靭帯、②肋骨部は、第7~12肋軟骨(肋骨弓部)の内面、③胸骨部は、剣状突起。一部は腹横筋腱膜の内面である。

4.× 迷走神経は、「大動脈裂孔」ではなく食道裂孔を通る。
横隔膜は、胸とお腹を隔てており、呼吸に寄与する。その横隔膜と食道がぎりぎり通る隙間を食道裂孔といい、食道と迷走神経が通る。これは、第10胸椎に位置する。大動脈裂孔とは、第12胸椎の椎体前面にあり、下行大動脈と動脈周囲交感神経叢(大内臓神経・小内臓神経など)、奇静脈、胸管などが通る。

 

 

 

 

 

問題17 上肢の筋と作用の組合せで正しいのはどれか。

1.大円筋:肩関節の外転
2.長掌筋:橈骨手根関節の伸展
3.浅指屈筋:遠位指節間関節の屈曲
4.腕橈骨筋:肘関節の屈曲

解答

解説
1.× 大円筋は、肩関節の「外転」ではなく内転、内旋、伸展である。
大円筋の【起始】肩甲骨の下角部、棘下筋膜下部外面、【停止】上腕骨の小結節稜、【作用】肩関節内転、内旋、伸展、【支配神経】肩甲下神経:C5,C6,(C7)である。

2.× 長掌筋は、橈骨手根関節の「伸展(背屈)」ではなく屈曲(掌屈)である。
長掌筋の【起始】上腕骨の内側上顆、前腕筋膜内面、【停止】手掌で手掌腱膜、【作用】手関節の掌屈、手掌腱膜を張る、【神経】正中神経:(C6),C7~T1である。

3.× 浅指屈筋は、「遠位指節間関節」ではなく近位指節間関節の屈曲である。
浅指屈筋の【起始】上腕尺骨頭:上腕骨内側上顆・尺骨粗面の内側、橈骨頭:橈骨の上部前面【停止】第2~第5中節骨底である、【作用】第2~5指の中手指節関節と近位指節間関節の屈曲、【神経】正中神経:C7~T1である。

4.〇 正しい。腕橈骨筋は、肘関節の屈曲である。
腕橈骨筋の【起始】上腕骨外側縁の下部、外側上腕筋間中隔、【停止】橈骨遠位下端、茎状突起、【作用】肘関節屈曲、回内位での回外、回外位での回内、【神経】橈骨神経:C5,C6である。

 

 

 

 

 

問題18 外頸動脈の枝はどれか。

1.眼動脈
2.椎骨動脈
3.顎動脈
4.下甲状腺動脈

解答

解説

内頚動脈と外頚動脈の枝

①内頚動脈の枝
後交通動脈、前大脳動脈、眼動脈、中大脳動脈

②外頚動脈の枝
顔面動脈、後頭動脈、浅側頭動脈、後耳介動脈、舌動脈、顎動脈、上甲状腺動脈、上行咽頭動脈

1.× 眼動脈は、内頚動脈の枝である。
眼動脈は視神経、眼球、眼球付属器を栄養する動脈である。

2.× 椎骨動脈は、鎖骨下動脈の枝である。
椎骨動脈は心臓から出た血液を首の後面に沿って運ぶ。

3.〇 正しい。顎動脈は、外頸動脈の枝である。
下顎頚後方にて分岐し、外側翼突筋の浅部ないし深部を通過し、側頭下窩から翼上顎裂を通り翼口蓋窩に向かうため内側に向かう。 上顎・下顎・鼻腔・口蓋に分布する。

4.× 下甲状腺動脈は、鎖骨下動脈の枝である。
下甲状腺動脈は、鎖骨下動脈の分枝した甲状頸動脈の分枝として,甲状腺両葉の下極に流入する。

 

 

 

 

 

問題19 静脈について正しいのはどれか。

1.奇静脈は腕頭静脈に注ぐ。
2.大伏在静脈は大腿静脈に注ぐ。
3.尺側皮静脈は鎖骨胸筋三角を通る。
4.肝静脈は肝門を通る。

解答

解説
1.× 奇静脈は、「腕頭静脈」ではなく上大静脈に注ぐ。
奇静脈とは、脊柱の右側を走行し上大静脈に合流する静脈をいう。ほかに、脊柱の左側を走行する静脈に半奇静脈と副半奇静脈がある。これらは上大静脈と下大静脈の連絡を担い、閉塞した際には奇静脈が側副血行路として機能する。奇静脈は、脊柱の右側を走り、右の肋間静脈を集め上行し上大静脈に注ぐ。

2.〇 正しい。大伏在静脈は大腿静脈に注ぐ
大伏在静脈とは、大腿付け根から出る表在血管である。最も採血に用いられる静脈は、肘正中皮静脈であり、次いで多いのは橈骨側静脈、尺側皮静脈、ついで、大伏在静脈が選ばれやすい。

3.× 鎖骨胸筋三角を通るのは、「尺側皮静脈」ではなく橈側皮静脈である。
鎖骨胸筋三角とは、鎖骨の下部にある三角形のくぼみである。三角筋の前縁、大胸筋の外側縁、鎖骨の下縁で構成されている。

4.× 肝門を通るのは、「肝静脈」ではなく固有肝動脈である。
肝門とは、肝臓の表面にある場所で固有肝動脈、門脈、肝管が通る。ちなみに、門脈は、だいたいの消化管から得られた栄養を肝臓へと運ぶ働きを持つ機能血管である。胃、腸、膵臓、脾臓、胆嚢の毛細管から静脈血を集める。

 

 

 

 

 

問題20 食道について正しいのはどれか。

1.縦隔を通る。
2.第3頸椎の高さで始まる。
3.食道下部の筋層は横紋筋である。
4.粘膜上皮は多列線毛上皮からなる。

解答

解説
1.〇 正しい。縦隔を通る
縦隔とは、左右の肺と胸椎・胸骨に囲まれた部分を指す。心臓、大血管、気管、食道、胸腺などの臓器がある。

2.× 「第3頸椎」ではなく第6胸椎の高さで始まる。

3.× 食道下部の筋層は、「横紋筋」ではなく平滑筋である。
食道上部1/3は横紋筋で次第に平滑筋が多くなり、下部1/3は平滑筋である。ちなみに、横紋筋とは、筋組織のひとつで筋繊維(筋細胞)の集まった物で、体を動かす際に使われるため「骨格筋」とも呼ばれる。

4.× 粘膜上皮は、「多列線毛上皮」ではなく扁平上皮からなる。
重層扁平上皮の特徴として、摩擦など機械的刺激に強く、皮膚、口腔~食道、肛門、膣などがあげられる。

上皮組織の形態による分類

・単層扁平上皮:薄いので物質の交換などに向く。
(胸膜、腹膜、血管内皮、肺胞など)

・単層立方上皮:甲状腺の濾胞細胞など。
(甲状腺の濾胞上皮、尿細管など)

・単層円柱上皮:吸収と分泌を行う場所に向く。
消化器系(胃、小腸、大腸)、卵管・子宮など

・重層扁平上皮:摩擦など機械的刺激に強い。
皮膚、口腔~食道、肛門、膣など。

・多列線毛上皮:表面に線毛があり、杯細胞が豊富。線毛と粘液で塵や異物をからめとる。
鼻腔~気管・気管支(気道)

・移行上皮:伸び縮みすることができる。
腎杯腎~尿管~膀胱(尿路)

 

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