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問題16 胸郭について正しいのはどれか。
1.胸骨角は第2肋骨と連結する。
2.頸切痕は胸骨体の上縁である。
3.仮肋は肋骨弓の構成に関与しない。
4.上大静脈は胸郭上口を通る。
解答1
解説
(※「イラスト素材:胸郭」illustAC様)
胸郭とは、人間の胸部に位置し、12個の胸椎、12対の肋骨、1個の胸骨から構成される籠状の骨格である。胸郭で囲まれた空間には、臓器(心臓や肺など)が収められており、これらを保護する。呼吸にも関与する。
1.〇 正しい。胸骨角は第2肋骨と連結する。
胸骨角とは、胸の中央で鎖骨よりやや足側にある突起で、 胸骨柄と胸骨体の結合部であり、第2肋骨が付着する。
2.× 頸切痕は、「胸骨体」ではなく胸骨柄の上縁である。
頸切痕とは、胸骨の一番頭側の部分で触知可能な部位である。
3.× 仮肋は肋骨弓の構成に関与する。
仮肋とは、第8~12肋骨までを指す。第8・9肋骨は、共通の軟骨を介して胸骨と連結し、第11・12肋骨は自由端に終わり、胸骨まで到達しない。
ちなみに、肋骨弓とは、第7肋骨~第10肋骨を胸骨に連結させる肋軟骨の下縁が描く弓状の線である。
4.× 上大静脈は、「胸郭上口」ではなく胸郭下口を通る。
胸郭上口とは、胸郭の最上部のことを指す。第1胸椎、第1肋骨、胸骨柄上縁からなる。一方、胸郭下口とは、胸郭の最下部をいい、第12胸椎、第12肋骨、第7~10の肋軟骨及び剣状突起からなる。
問題17 骨盤隔膜の主体をなすのはどれか。
1.内閉鎖筋
2.肛門挙筋
3.深会陰横筋
4.外肛門括約筋
解答2
解説
骨盤隔膜とは、骨盤底を支える強力な筋肉および筋膜の総称である。 主に、肛門挙筋 ・尾骨筋などからなる。 前方は尿生殖隔膜に連続している。骨盤の前の恥骨から後ろの尾骨にかけて存在し、骨盤底の真ん中にあり、最も強く、重要な役割を果たす。膜には、直腸、膣、尿道が通過する穴が存在する。この膜は、腕や足の筋肉と同じく横紋筋でできている。
1.× 内閉鎖筋
内閉鎖筋は、股関節外旋筋群のひとつで、内閉鎖筋の【起始】骨盤の内面で閉鎖膜とそのまわり、【停止】転子窩の上部、【作用】股関節外旋、【神経】仙骨神経叢の枝(L5~S2)である。
2.〇 正しい。肛門挙筋は、骨盤隔膜の主体をなす。
肛門挙筋とは、肛門の周囲に位置する恥骨尾骨筋・腸骨尾骨筋・恥骨直腸筋の総称である。 骨盤底筋の一つで、骨盤隔膜を構成し、骨盤内臓を支持する。骨盤底筋体操とは、尿失禁の予防・改善のために肛門挙筋および尿道周囲、膣周囲の括約筋群を鍛える方法である。座位や膝立て背臥位などで、上体の力を抜いてお尻の穴を引き上げて「きゅっ」とすぼめ、5秒キープする動作を10~20回ほど繰り返す方法と、すぼめたりを繰り返す方法の2種類ある。
3.× 深会陰横筋
深会陰横筋は、骨盤底と会陰の横紋筋である。深会陰横筋の【起始】坐骨の下枝、【停止】正中線に向かって移動し、反対側の対応する筋肉とともに会陰縫合、【作用】浅会陰横筋とともに会陰の横走筋を形成しており、会陰ならびに骨盤筋膜を支持して腹圧に対向する。
4.× 外肛門括約筋
外肛門括約筋とは、内肛門括約筋を外側から筒状に取り囲むように存在する随意筋かつ横紋筋である。体性神経である下直腸神経・会陰神経の支配を受けている。外肛門括約筋の弛緩が起こって排便が起こる(排便反射)。つまり、お尻の穴の排便の時に働く筋肉である。
問題18 下腿の筋で腱が内果の後下方を通るのはどれか。
1.長腓骨筋
2.下腿三頭筋
3.後脛骨筋
4.長母指伸筋
解答3
解説
1.× 長腓骨筋
長腓骨筋の【起始】腓骨頭、腓骨体外側面の上半、一部は筋膜と前下腿筋間中隔、【停止】第1,2中足骨底、内側楔状骨、【作用】足関節底屈、外返し、【神経】浅腓骨神経である。
2.× 下腿三頭筋
下腿三頭筋とは、下腿の強大な筋の総称で、膨隆する2頭をもつ浅側の①腓腹筋と、深側にある平たい②ヒラメ筋とからなる。
①腓腹筋:【起始】外側頭:大腿骨外側上顆、内側頭:大腿骨内側上顆、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節屈曲、足関節底屈、踵の挙上、【神経】脛骨神経
②ヒラメ筋:【起始】腓骨頭と腓骨後面、脛骨のヒラメ筋線と内側縁、腓骨と脛骨間のヒラメ筋腱弓、【停止】踵骨腱(アキレス腱)となり踵骨隆起後面の中部、【作用】膝関節底屈、踵の挙上、【神経】脛骨神経
3.〇 正しい。後脛骨筋は、下腿の筋で腱が内果の後下方を通る。
後脛骨筋の【起始】下腿骨間膜の後面上半、下腿骨間膜に接する脛骨と腓骨、【停止】舟状骨粗面、内側、中間、外側楔状骨、立方骨、第2~3中足骨底、【作用】足関節底屈、内返し、【支配神経】脛骨神経(L5~S2)である。
4.× 長母指伸筋
長母指伸筋の【起始】尺骨体中部背面、前腕骨間膜背面、【停止】母指の末節骨底の背側、【作用】母指の伸展、内転、【支配神経】橈骨神経深枝:C6~C8である。
足根管症候群とは、後脛骨神経が脛骨内果後下方の靭帯性の狭いトンネル部で圧迫を受ける絞扼性神経障害である。
足根管を通るのは①後脛骨筋の腱、②長指屈筋の腱、③後脛骨動脈、脛骨神経、長母指屈筋の腱である。
問題19 上大静脈に直接注ぐのはどれか。
1.奇静脈
2.椎骨静脈
3.内頸静脈
4.肋間静脈
解答1
解説
①右腕頭静脈、②左腕頭静脈、③奇静脈
1.〇 正しい。奇静脈は、上大静脈に直接注ぐ。
奇静脈とは、脊柱の右側を走行し上大静脈に合流する静脈をいう。ほかに、脊柱の左側を走行する静脈に半奇静脈と副半奇静脈がある。これらは上大静脈と下大静脈の連絡を担い、閉塞した際には奇静脈が側副血行路として機能する。奇静脈は、脊柱の右側を走り、右の肋間静脈を集め上行し上大静脈に注ぐ。
2~3.× 椎骨静脈/内頸静脈
椎骨静脈は、腕頭静脈にそそぐ。鎖骨下静脈は、内頸静脈と合流し腕頭静脈となる。
4.× 肋間静脈
肋間静脈は、主に奇静脈にそそぐ。
具体的には・・・
①肝静脈
②腎静脈
③右精巣(卵巣)静脈
④腰静脈
⑤総腸骨静脈
※左精巣(卵巣)静脈は、腎静脈を経て流入する。
問題20 鼻腔について正しいのはどれか。
1.キーゼルバッハ部位は鼻中隔の前端部にある。
2.嗅上皮は鼻前庭にある。
3.上顎洞は下鼻道と交通する。
4.鼻涙管は中鼻道に開口する。
解答1
解説
嗅覚は鼻腔上部の嗅部の粘膜上皮(嗅上皮)の嗅細胞で受容される。嗅細胞の中枢性突起が嗅神経となり、篩骨篩板を通って嗅球に入る。嗅球から後方に向かって嗅索が走り、その線維は大部分外側嗅条を通って海馬旁回の嗅覚野に達する。
①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球→④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)に達する。
・一次中枢:①嗅細胞→②嗅神経→③嗅球まで。
・二次中枢:④嗅索→⑤嗅覚野(1次感覚野)
1.〇 正しい。キーゼルバッハ部位は鼻中隔の前端部にある。
キーゼルバッハ部位とは、鼻に指をほんの少し入れたとき、その指先が内側(鼻中隔側)で触れることのできる中央の硬い部分である。ここには血管が多く集まっているため、鼻出血に最も関与する。
2.× 嗅上皮は、「鼻前庭」ではなく鼻腔上部にある。
鼻前庭とは、外鼻孔から奥へ2cm程、鼻毛の生えた部位である。重層扁平上皮である。一方、嗅上皮は、鼻粘膜嗅部つまり、鼻腔の後上部である。多列線毛上皮で嗅神経が分布なことが特徴である。
3.× 上顎洞は、「下鼻道」ではなく中鼻道と交通する。
上顎洞とは、副鼻腔のなかで最大の空洞で鼻腔の外下方に位置する。中鼻道は鼻中隔と中鼻甲介の間にあり、副鼻腔の排出路として機能している。
4.× 鼻涙管は、「中鼻道」ではなく下鼻道に開口する。
鼻涙管とは、内眼角(目頭)にある2つの小さな穴(涙点)から、骨の中を通り鼻腔内へと抜ける管で、涙が排泄されるための通り道である。