第31回(R5年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前21~25】

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問題21 胃について正しいのはどれか。

1.胃底部で幽門につながる。
2.幽門では括約筋が発達している。
3.主細胞から塩酸が分泌される。
4.大弯に小網が付着する。

解答

解説

(※図引用:「イラスト素材:胃」illustAC様より)

1.× 胃底部で、「幽門」ではなく噴門につながる。
噴門とは、食道からつながる胃の入り口である。食道と胃との接続部分で、胃酸の逆流を防ぐ役割を果たす。

2.〇 正しい。幽門では括約筋が発達している
幽門とは、十二指腸へつながる胃の出口である。

3.× 主細胞から、「塩酸」ではなくペプシンが分泌される。
ペプシンは、胃液に含まれる蛋白質を基質として分解する酵素である。ペプシンは、胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素である。胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。ちなみに、塩酸は、胃壁から別々に分泌された水素イオンと塩化物イオンが胃内部で混ざって作られる。

4.× 大弯に、「小網」ではなく大網が付着する。
大弯とは、大網を介して横行結腸と結合する胃の左縁のことをいう。胃の下側から下方へエプロンのように腸の前面に垂れ下がった腹膜である。胃の小弯で前後2葉に分かれて胃の前面と後面を包んだ後、大弯で再び合して再度間膜をつくる。一方、小網とは、肝臓の下面を覆う腹膜をいい、胃の凹状表面側、つまり上部(小弯)と十二指腸の始部へと続いている。胃の小弯は小網を介して肝臓と結合する。

 

 

 

 

 

問題22 脳神経と神経節の組合せで正しいのはどれか。

1.眼神経:毛様体神経節
2.下顎神経:翼口蓋神経節
3.舌咽神経:耳神経節
4.迷走神経:らせん神経節

解答

解説

1.× 毛様体神経節は、「眼神経」ではなく三叉神経である。
毛様体神経節とは、三叉神経の第1枝で前頭部、鼻腔の一部の知覚を司る。

2.× 翼口蓋神経節は、「下顎神経」ではなく三叉神経である。
翼口蓋神経節とは、三叉神経の第2枝から分かれて出来た神経が集まってできた、かたまりのことである。

3.〇 正しい。舌咽神経:耳神経節
耳神経節とは、舌​側頭下窩の卵円孔のすぐ下、下顎神経の内側表面に位置する小さな副交感神経節である。機能的には舌​​咽神経に関連しており、唾液分泌のために耳下腺を神経支配している。

4.× らせん神経節は、「迷走神経」ではなく内耳神経である。
蝸牛には無数の蝸牛神経節(らせん神経節)がらせん状に並んでいる。これらはコルチ器(ラセン器)が音を感知して発した信号を集める部分であって、それぞれが内耳神経の蝸牛根と呼ばれる線維束を出している。蝸牛根は内耳道の中で一本にまとまって蝸牛神経となる。

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

 

 

 

 

 

問題23 眼球について正しいのはどれか。

1.視神経乳頭では視覚の感度が高い。
2.錐体細胞は主に明暗の識別に働く。
3.眼房水はシュレム管に吸収される。
4.副交感神経は瞳孔散大筋を支配する。

解答

解説

(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)

1.× 視神経乳頭では視覚の感度が「高い」ではなく低い
視神経乳頭とは、視神経が網膜を貫通する部分である。ここには視覚受容器(錐体細胞と桿体細胞)が存在しない。したがって、視神経乳頭は盲点と呼ばれることがある。

2.× 主に明暗の識別に働くのは、「錐体細胞」ではなく桿体細胞である。
錐体細胞とは、色覚に関与し、黄斑に集中している。一方、杆体細胞とは、明るさに関与し、網膜全体に分布している。

3.〇 正しい。眼房水はシュレム管に吸収される
眼房水とは、角膜・水晶体・硝子体など血管のない組織に栄養を与える役割をもっており、目の中の毛様体で作られる。毛様体から、瞳孔および隅角にあるフィルター線維柱帯を通って、シュレム管に集まり、静脈へと流れ出す。

4.× 「副交感神経」ではなく交感神経は瞳孔散大筋を支配する。
瞳孔散大筋は、交感神経の支配を受けており、ノルアドレナリンの作用で収縮する。逆の働きをする瞳孔括約筋が副交感神経支配筋であり、アセチルコリンで瞳孔は収縮(縮瞳)する。

 

 

 

 

 

問題24 心臓の刺激伝導系について正しいのはどれか。

1.固有心筋からなる。
2.刺激は房室結節からヒス束へと伝わる。
3.房室結節は自動能をもたない。
4.プルキンエ線維の活動が心房を収縮させる。

解答

解説

(図引用:「看護師 イラスト集【フリー素材】」看護roo!様HPより)

1.× 「固有心筋」ではなく特殊心筋からなる。
刺激伝導系を構成する細胞は特殊心筋と呼ばれ、心房・心室の壁を構成する一般の心筋細胞である固有心筋とは区別する。特殊心筋とは、収縮する働きはほんとんどなく、心臓に収縮を起こさせる興奮(電気的刺激)を自動的に発生し、心臓全体にその興奮を伝える働きをする。一方、固有心筋とは、ポンプとして働く心筋のことをさす。

2.〇 正しい。刺激は房室結節からヒス束へと伝わる
心臓の刺激伝導系は、「洞結節(洞房結節)→右房→左房→房室結節→His束(房室束)→左脚・右脚→プルキンエ線維(Purkinje線維)→心室」となる。

3.× 房室結節は自動能を「もたない」のではなくもつ
心臓の自動能とは、それぞれの心筋細胞に、自ら電気を発生する能力をもっている能力のこと。洞結節や房室接合部周辺・His束・心室側の心筋細胞などは、自ら興奮し刺激を生み出す能力がある。

4.× プルキンエ線維の活動が、「心房」ではなく心室を収縮させる。
心臓の刺激伝導系は、「洞結節(洞房結節)→右房→左房→房室結節→His束(房室束)→左脚・右脚→プルキンエ線維(Purkinje線維)→心室」となる。

 

 

 

 

 

問題25 消化管からの吸収について正しいのはどれか。

1.グルコースは胃で吸収される。
2.モノグリセリドは小腸で吸収される。
3.アミノ酸は結腸で吸収される。
4.水分の約50%は直腸で吸収される。

解答

解説
1.× グルコースは、「胃」ではなく小腸で吸収される。
グルコースとは、果物や穀類などに多く含まれ、自然界に最も多く存在する単糖類である。血液中の主要な糖分であり、脳のエネルギー源として関与する。小腸上皮でブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)などの単糖に分解され、吸収される。

2.〇 正しい。モノグリセリドは小腸で吸収される
中性脂肪は、十二指腸で、肝臓でつくられた胆汁酸と一緒になり、さらに、リパーゼという酵素によって遊離脂肪酸とモノグリセリドに分解されたあと、吸収されやすい形(ミセル)になって、小腸から吸収される。

3.× アミノ酸は、「結腸」ではなく小腸で吸収される。
蛋白質は、アミノ酸やペプチドに分解され、小腸で吸収される。

4.× 水分の約50%は直腸で吸収されるわけではない
小腸が、水分と栄養分の80%を吸収する。ちなみに、直腸とは、大腸の終わりのS状結腸に続く部分から始まり、最後は肛門へと続く管腔で、便を一時的に溜めておく働きをしている。

 

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