第31回(R5年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後106~110】

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問題106 次の文で示す病証の病理で正しいのはどれか。
 「48歳の男性。3か月前に新型コロナウイルス感染症で30日間入院した。退院後も乾いた咳嗽が続き、粘稠性で黄色の痰が少量出る。また手足がほてり、頰が紅い。」

1.肺気の不足
2.風寒の侵襲
3.陰液の損傷
4.痰湿の停留

解答

解説

本症例のポイント

・48歳の男性。
・3か月前:新型コロナウイルス感染症で30日間入院。
・退院後:乾いた咳嗽が続き、粘稠性で黄色の痰が少量出る。
・手足がほてり、頰が紅い。

1.× 肺気の不足
肺気の不足のことを肺気虚という。無力な咳嗽・息切れ、倦怠感、鼻水、痰、易感冒、自汗などをさす。

2.× 風寒の侵襲
風寒の侵襲のことを風寒反肺という。悪寒、発熱、頭痛、咳嗽、無汗、鼻閉、鼻汁、脈浮緊など。

3.〇 正しい。陰液の損傷は、本症例の病証の病理である。
陰液とは、陰に属する血・津液・精をまとめた呼称である。気は陽に属する。

4.× 痰湿の停留
痰湿の停留のことを痰湿阻肺という。咳嗽(喀痰で軽減)、喀痰、鼻閉、鼻汁、舌質淡紅、舌質白膩など。

 

 

 

 

 

問題107 胸中で接続する経脈の井穴の組合せで正しいのはどれか。

1.商陽:厲兌
2.隠白:少衝
3.少沢:至陰
4.湧泉:中衝

解答

解説

難経六十九難に基づく取穴

【部位】虚証(補法):実証(瀉法)
【肝】曲泉・陰谷:行間・少府・労宮
【肺】太淵・太白:尺沢・陰谷
【心】少衝・大敦:神門・太白
【腎】復溜・経渠:湧泉・大敦
【脾】大都・少府・労宮:商丘・経渠
【心包】中衝・大敦:大陵・太白
【胆】侠渓・足通谷:陽輔・陽谷・支溝
【大腸】曲池・足三里:二間・足通谷
【小腸】後渓・足臨泣:小海・足三里
【膀胱】至陰・商陽:束骨・足臨泣
【胃】解渓・陽谷・支溝:厲兌・商陽
【三焦】中渚・足臨泣:天井・足三里

1.× 商陽:厲兌
商陽とは、膀胱の虚証(補法)と胃の実証(瀉法)である。
厲兌とは、胃の実証(瀉法)である。

2.× 隠白:少衝
隠白とは、脾経の井木穴である。
少衝とは、心臓の実証(瀉法)である。

3.× 少沢:至陰
少沢とは、小腸経の井金穴である。
至陰とは、膀胱の虚証(補法)である。

4.〇 正しい。湧泉:中衝
湧泉とは、腎の実証(瀉法)である。
中衝とは、心包の虚証(補法)である。

経脈の流注と接続部

【中焦】①手の太陰肺経‐【手示指端】→②手の陽明大腸経‐【鼻翼外方】→③足の陽明胃経‐【足第1指内側端】→④足の太陰脾経‐【心中】→⑤手の少陰心経‐【手小指端】→⑥手の太陽小腸経‐【内眼角】→⑦足の太陽膀胱経‐【足第5指端】→⑧足の少陰腎経‐【胸中】→⑨手の厥陰心包経‐【手薬指端】→⑩手の少陽三焦経‐【外眼角】→⑪足の少陽胆経‐【足第1指外側端】→⑫足の厥陰肝経‐【中焦】→①手の太陰肺経

 

 

 

 

 

問題108 経絡の概要について正しいのはどれか。

1.十二経筋は四肢末端から始まる。
2.奇経八脈は奇経同士が表裏関係にある。
3.十二経別は正経とは合しない経脈である。
4.正経十二経脈は上焦から始まる。

解答

解説
1.〇 正しい。十二経筋は、四肢末端から始まる
十二経筋とは、十二経脈に相い応じた筋肉の部分をいう。経絡とは、違って触れたり、見たりすることの出来る。経筋は、「人体の骨格を結ぶ靭性のある帯状のもの」と定義されている。

2.× 奇経八脈は、奇経同士が表裏関係にはない
奇経八脈とは、正経十二経脈のように、臓腑を絡うことはなく、奇経同士が表裏関係になることもないものである。

3.× 十二経別は正経と、合する経脈である。
十二経別とは、経脈の流れから分かれて体内深部に走行する支脈のことである。主に肘や膝から分かれ、五臓六腑のいずれかと連絡している。正経十二経脈とは、各々が臓腑と連絡し、独立しながらも連絡しあい人体を循環する1本の環になる。陰経は臓に属して腑に絡し、陽経は腑に属して臓に絡する。

4.× 正経十二経脈は、「上焦」ではなく中焦から始まる。
【中焦】①手の太陰肺経‐【手示指端】→②手の陽明大腸経‐【鼻翼外方】→③足の陽明胃経‐【足第1指内側端】→④足の太陰脾経‐【心中】→⑤手の少陰心経‐【手小指端】→⑥手の太陽小腸経‐【内眼角】→⑦足の太陽膀胱経‐【足第5指端】→⑧足の少陰腎経‐【胸中】→⑨手の厥陰心包経‐【手薬指端】→⑩手の少陽三焦経‐【外眼角】→⑪足の少陽胆経‐【足第1指外側端】→⑫足の厥陰肝経‐【中焦】→①手の太陰肺経

 

 

 

 

 

問題109 奇経で子宮から起こるのはどれか。

1.陽蹻脈
2.陽維脈
3.任脈
4.帯脈

解答

解説
1.× 陽蹻脈(※読み:ようきょうみゃく)
陽蹻脈(膀胱経の別脈):から起こる。

2.× 陽維脈(※読み:よういみゃく)
陽維脈(すべての陽経脈と連絡している):金門から起こる。

3.〇 正しい。任脈(※読み:にんみゃく)は、奇経で子宮から起こる。
任脈(陰脈の海):胞中(小骨盤腔)から起こる。

4.× 帯脈(※読み:たいみゃく)
帯脈:腰腹部を一回りから起こる。

奇経八脈の特徴

【奇経名(別名)】:起こる場所
①督脈(脳に入る、陽脈の海):胞中(小骨盤腔)
②任脈(陰脈の海):胞中(小骨盤腔)
③衝脈(十二正経の海、経脈の海、血海):胞中(小骨盤腔)
④帯脈:腰腹部を一回り
⑤陽蹻脈(膀胱経の別脈):踵
⑥陰蹻脈(腎経の別脈):踵
⑦陽維脈(すべての陽経脈と連絡している):金門
⑧陰維脈(すべての陰経脈と連絡している):築賓

 

 

 

 

 

問題110 腧穴の概要について正しいのはどれか。

1.WHO/WPROで経穴が365穴となる。
2.奇穴は奇経に所属する。
3.新穴は奇穴に含まれる。
4.阿是穴は部位が定まっている。

解答

解説
1.× WHO/WPROで経穴が「365穴」ではなく361穴となる。
WHO西太平洋地域事務局とは、日本を含む37の国と地域を管轄する、事務局をフィリピンのマニラに置くWHOの地域事務所である。

2.× 奇穴は奇経に所属する。
奇穴とは(※読み:きけつ)、経外奇穴ともいわれ、経絡上に存在しないツボのことである。十四経にも属さず単独で存在するもので独特の効果を持っている。一方、奇経とは(※読み:きけい)とは、平常ではない奇異な経脈のことを意味している。常経である正経に対して特異な性質を持っている。

3.〇 正しい。新穴は奇穴に含まれる
人体の全身に360個程あり、経穴・奇穴・新穴に分類される。

4.× 阿是穴(※読み:あぜけつ)は部位が定まっていない
阿是穴とは、中国語で「ああ、そこ!」という意味を持ち、押すと痛かったり気持ち良さを感じる場所である。つまり、正式なツボには属さない。患者様が自覚し易く、施術でも使われるツボとして知られている。

 

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