第31回(R5年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後141~145】

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問題141 こめかみがズキズキする頭痛に対して九刺の遠道刺を用いて治療する場合、最も適切な経穴はどれか。

1.頷厭
2.太陽
3.合谷
4.陽陵泉

解答

解説

MEMO

遠道刺は、病が上にあるとき、膝周囲や下合穴を刺す。

下合穴は、胆:陽陵泉【胆】、小腸:下巨虚【胃】、胃:足三里【胃】、大腸:上巨虚【胃】、膀胱:委中【膀】、三焦:委陽【膀】があげられる。

1.× 頷厭
頷厭(※読み:がんえん)は、頭部、頭維と曲鬢を結ぶ(側頭の髪際に沿った)曲線上、頭維から1/4にある。

2.× 太陽
太陽(※読み:たいよう)は、顔面部、眉毛の外端と外眼角との中央から後方1寸の陥凹部に取る。※別名:当容(※読み:とうよう)

3.× 合谷
合谷(※読み:ごうこく)は、手背、第2中手骨中点の橈側にある。

4.〇 正しい。陽陵泉は、こめかみがズキズキする頭痛に対して九刺の遠道刺を用いて治療する場合、最も適切な経穴である。
陽陵泉(※読み:ようりょうせん)は、下腿外側、腓骨頭前下方の陥凹部にある。

 

 

 

 

 

問題142 命門火衰により冷えを訴える患者に対し、臓腑を考慮して施灸する場合、最も適切な経穴はどれか。

1.太淵
2.神門
3.太渓
4.衝陽

解答

解説

命門火衰とは?

命門火衰とは、腎陽虚の重症のケースといわれている。命門の火(元陽)が不足し、全身の機能が衰えた状態のことである。

1.× 太淵は、肺経である。
太淵(※読み:たいえん)は、手関節前外側、橈骨茎状突起と舟状骨の間、長母指外転筋腱の尺側陥凹部にある。

2.× 神門は、心経である。
神門(※読み:しんもん)は、手関節前内側、尺側手根屈筋腱の橈側縁、手関節掌側横紋上にある。

3.〇 正しい。太渓は、命門火衰により冷えを訴える患者に対し、臓腑を考慮して施灸する場合、最も適切な経穴である。
なぜなら、太渓は、腎経であるため。命門火衰は、腎陽虚のことである。太渓(※読み:たいけい)は、足関節後内側、内果尖とアキレス腱の間の陥凹部にある。

4.× 衝陽は、胃経である。
衝陽(※読み:しょうよう)は、足背、第2中足骨底部と中間楔状骨の間、足背動脈拍動部にある。

 

 

 

 

 

問題143 次の文で示す病証が進行した場合、みられやすい症状はどれか。
「39歳の女性。主訴は眼精疲労。長時間のデスクワークで目がかすむ。日頃から眠りが浅く、爪の血色が悪い。舌苔は薄白、脈は細数を帯びてきた。」

1.消渇
2.盗汗
3.厭食
4.譫語

解答

解説

本症例のポイント

・39歳の女性(主訴:眼精疲労)。
・長時間のデスクワークで目がかすむ。
・日頃から眠りが浅く、爪の血色が悪い。
・舌苔:薄白
・脈:細数を帯びてきた。
→本症例は、肝血虚の症状と陰虚がみられる。
肝血虚は、目乾、目花(目のかゆみ)、転筋、しびれ、不眠、多夢、脈細、舌質淡泊など。
陰虚(陰熱)は、ほてり、のぼせ、五心煩熱、手足身熱、盗汗、頬部紅潮、消痩、潮熱、舌質(紅)、舌苔(少)、脈(細脈)など。

1.× 消渇(※読み:しょうかつ)
消渇の特徴は、多飲、多食、多尿で糖尿病を指す言葉である。

2.〇 正しい。盗汗(※読み:とうかん)は、病証が進行した場合、みられやすい症状である。
盗汗とは、着替えが必要になるほどのひどい寝汗のことをさす。

3.× 厭食(※読み:えんしょく)
厭食とは、悪心・嘔吐を伴う食欲不振である。拒食症にみられる。

4.× 譫語(※読み:せんご)
譫語とは、発熱して正気を失ったときなどに無意識に発する言葉、うわごとのことである。

 

 

 

 

 

問題144 次の文で示す病証で最も適切なのはどれか。
 「31歳の男性。主訴は悪心・嘔吐。業務の繁忙とともに食欲がなくなり、上腹部の膨満感、胸脇部の脹痛を自覚するようになった。精神的な緊張によって噯気が頻回に起こる。脈は弦を認める。」

1.気虚証
2.気陥証
3.気脱証
4.気逆証

解答

解説

本症例のポイント

・31歳の男性(主訴:悪心・嘔吐
・業務の繁忙とともに食欲がなくなり、上腹部の膨満感胸脇部の脹痛を自覚するようになった。
・精神的な緊張によって噯気が頻回に起こる。
・脈は弦を認める。
→本症例は、気逆証が疑われる。

1.× 気虚証
気虚証は、倦怠感、無力感、眩暈、息切れ、懶言、自汗、易感冒などをいう。

2.× 気陥証
気陥証は、気虚の症状、下垂症状(胃下垂・脱肛・子宮脱など)、慢性下痢などをいう。

3.× 気脱証
気脱証は、呼吸が浅い、意識障害、顔面蒼白、四肢の冷え、強い自汗、脈弱などをいう。気虚が悪化した病態である。

4.〇 正しい。気逆証が、本症例の病証である。
気逆証は、頭痛、眩暈、易怒、咳嗽、喘息、悪心・嘔吐噯気、吃逆などをいう。肺気上逆・胃気上逆・肝気上逆などである。

 

 

 

 

 

問題145 次の文で示す病証に対する治療方針として最も適切なのはどれか。
 「49歳の男性。主訴は食欲不振。空腹感はあるが多くは食べられない。胃脘部に我慢できる程度のはっきりしない痛みがある。舌質は紅を認める。」

1.陰液を補う。
2.陽気を補う。
3.気滞を除く。
4.湿熱を除く。

解答

解説

本症例のポイント

49歳の男性(主訴:食欲不振)
空腹感はあるが多くは食べられない
・胃脘部に我慢できる程度のはっきりしない痛みがある。
・舌質:を認める。
→本症例は、胃陰虚が疑われる。胃陰虚は、食少、乾嘔、舌質紅絳、舌苔無などがあげられる。また、陰虚・内熱・気逆なども。陰虚に対し、陰を補う必要がある。

1.〇 正しい。陰液を補う
本症例は、胃陰虚が疑われる。胃陰虚は、食少、乾嘔、舌質紅絳、舌苔無などがあげられる。また、陰虚・内熱・気逆なども。陰虚に対し、陰を補う必要がある。

2.× 陽気を補う必要はない
なぜなら、本症例は、胃陰虚が疑われるため。陰虚に対し、陰を補う必要がある。

3.× 気滞を除く必要はない
気滞を除くときは、イライラ・易怒した状態で、肝鬱気滞や肝火上炎などのときである。

4.× 湿熱を除く必要はない
湿熱を除くときは、脈滑(痰湿)のときである。

 

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