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問題46 成人で1日の尿量が100mL以下の状態を示すのはどれか。
1.尿閉
2.稀尿
3.乏尿
4.無尿
解答4
解説
健常者の尿は、1日に8回程度で、1,000~1,500mL程度である。尿は、生体内代謝産物を排泄するため、腎臓で血液が濾過され作られる。健康人では体重1kgあたり、1時間に約1mLの尿が排泄されるとされている。膀胱は通常100~150mLで最初の尿意(初発尿意)を感じる。成人膀胱の容量は、およそ300~500mL前後である。
希尿とは、日中に3回以下である。尿量は関係ない。
頻尿とは、日中に8回以上である。尿量は関係ない。
無尿とは、100 mL/日以下である。
乏尿とは、400 mL/日以下である。
多尿とは、3,000 mL/日以上である。
正常な1日の尿量とは、1.000~1500mL/日である。
1.× 尿閉とは、膀胱内に貯留している尿を排泄できない状態である。尿閉患者は、膀胱破裂を来さないように強制的に排尿する必要がある。尿閉がある場合は、間欠的導尿、膀胱留置カテーテル、膀胱瘻が適応となる。
2.× 稀尿とは、希尿(※読み:きにょう)ともいい、日中に3回以下である。尿量は関係ない。
3.× 乏尿とは、400 mL/日以下である。
4.〇 正しい。無尿は、成人で1日の尿量が100mL以下の状態を示す。
問題47 股関節の屈曲拘縮を確認する徒手検査法はどれか。
1.トーマステスト
2.ボンネットテスト
3.パトリックテスト
4.マクマレーテスト
解答1
解説
1.〇 正しい。トーマステストは、股関節の屈曲拘縮を確認する徒手検査法である。背臥位で股関節・膝関節を屈曲する。反対側の膝が持ち上がると陽性である。
2.× ボンネットテストは、根性坐骨神経痛の有無を調べるテストである。SLRの増強法の一つである。SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)は、脊髄後根で圧迫を受ける疾患(坐骨神経痛、椎間板ヘルニアなど)の有無、ハムストリングス損傷や短縮をみる。背臥位で、下肢を挙上し痛みが生じたら陽性である。
3.× パトリックテストは、股関節の炎症や痛みのテストである。背臥位で評価側の足背を反対側の膝蓋骨に載せ、評価側の膝を床へ押さえる。鼠径部に痛みが出れば陽性である。
4.× マクマレーテストは、半月板損傷を疑うテストである。①背臥位で膝を完全に屈曲させ片手で踵部を保持する。②下腿を外旋させながら膝を伸展させたときに痛みやクリックを感じれば内側半月の損傷、下腿を内旋させながら膝を伸展させたときに生じるならば外側半月の損傷を示唆する。
問題48 疾患と症状の組合せで正しいのはどれか。
1.溶血性貧血:ばち指
2.鉄欠乏性貧血:スプーン状爪
3.巨赤芽球性貧血:黄疸
4.再生不良性貧血:ハンター舌炎
解答2
解説
1.× ばち指は、「溶血性貧血」ではなく主に慢性低酸素症を伴う疾患(例えば肺疾患や心疾患)でみられやすい。バチ指とは、全ての指先が丸く膨らんで、爪甲が指先を包むように大きくなってくる状態を指す。慢性に経過する心疾患・肺疾患あるいは肝疾患などで見られる。これらの基礎疾患がなくとも先天性に変形していることもある。
2.〇 正しい。鉄欠乏性貧血は、スプーン状爪がみられる。鉄欠乏性貧血とは、体内に流れている赤血球に多く含まれるヘモグロビンと鉄分が欠乏する事により、酸素の運搬能力が低下し全身に十分な酸素が供給されず倦怠感や動悸、息切れなどの症状がみられる貧血の種類の中でも最も多く特に女性に多い疾患である。鉄欠乏性貧血では、鉄分の不足により爪が薄くなり、中央が凹んでスプーン状になることがある。
3.× 黄疸は、「巨赤芽球性貧血」ではなくビリルビンの増加でみられやすい。黄疸とは、皮膚や粘膜が胆汁色素(ビリルビン)で黄色に染まることで、胆汁色素の血漿中濃度の上昇により生じる。原因としては、①溶血によるもの、②肝細胞の障害によるもの、③胆汁の流れの障害によるもの、④体質によるもの、などがある。胆汁は肝臓で作られ、胆管を通じて十二指腸に排出されるが、その流れが障害されたときに生じる黄疸のことを閉塞性黄疸と呼ぶ。多くは総胆管結石や腫瘍により、胆管が閉塞することが原因となる。
4.× ハンター舌炎は、「再生不良性貧血」ではなく巨赤芽球性貧血でみられやすい。巨赤芽球性貧血とは、ビタミンB12あるいは葉酸の不足が原因の、骨髄に巨赤芽球が出現する貧血の総称である。偏食や過度の飲酒などを背景にビタミン欠乏症の患者がみられる。貧血の症状(動悸や息切れ、疲労感)の他に、萎縮性胃炎やハンター舌炎(味覚障害や舌の痛みを伴う炎症)など消化器系に異常をきたす。ちなみに、再生不良性貧血とは、骨髄の造血幹細胞の減少と、それによる末梢血の汎血球減少を主徴とする症候群で、骨髄で血液が造られないために血液中 の赤血球、白血球、血小板のすべての血球が減ってしまう病気である。白血球(Tリンパ球)の働きが何らかの原因で異常をきたし、自分自身の造血幹細胞を攻撃して壊してしまうことが原因と考えられている。
問題49 介護保険施設でノロウイルス感染症が発生した。
感染を拡大させないための対応として適切なのはどれか。
1.感染者の居室は次亜塩素酸ナトリウムで清拭する。
2.感染者の吐物は乾燥してから処理する。
3.感染者が使用したリネンは60℃の加熱処理を行う。
4.感染者が使用した食器はアルコールで消毒する。
解答1
解説
ノロウイルスは、もっとも一般的な胃腸炎の原因である。感染者の症状は、非血性下痢、嘔吐、胃痛(悪心・嘔吐、水様性下痢腹痛、発熱等の急性胃腸炎)が特徴である。発熱や頭痛も発生する可能性がある。症状は、通常ウイルス曝露後12〜48時間で発症し、回復は通常1〜3日以内である。合併症はまれだが、特に若人、年配者、他の健康上の問題を抱えている人では、脱水症状が起こることがある。原因として、①カキ等の二枚貝、②感染者の嘔吐物等への接触や飛沫による二次感染である。感染経路は、経口感染、接触感染、飛沫感染、空気(飛沫核)感染による。
【予防・拡大防止】
①感染源となる二枚貝等は、中心部まで十分に加熱(85~95℃以上、90秒以上)する。
②消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。
③ノロウイルスは乾燥に強く、感染者の嘔吐物等が乾燥して空気中に飛散することで感染拡大するため完全に拭き取る。
④嘔吐物等の処理時には手袋、ガウンマスクを装着する。
(※参考:「ノロウイルスに関するQ&A」厚生労働省HPより)
1.〇 正しい。感染者の居室は次亜塩素酸ナトリウムで清拭する。次亜塩素酸ナトリウムとは、ノロウイルス感染症に罹患した患者の嘔吐物が床に飛び散っているこの処理に使用する消毒薬である。ノロウイルスの消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。ただし、次亜塩素酸ナトリウムの注意点として、毒性が強く、吸い込んでしまったり、目に入ってしまった場合には呼吸器や粘膜へ損傷を与える危険を伴う。
2.× 感染者の吐物は、「乾燥させず、速やかに」処理する。なぜなら、ノロウイルスは乾燥に強く、感染者の嘔吐物等が乾燥して空気中に飛散することで感染拡大するため。
3.× 感染者が使用したリネンは、「60℃」ではなく85℃以上の加熱処理を行う。60℃ではノロウイルスを完全に死滅させることができないため。
4.× 感染者が使用した食器は、「アルコール」ではなく次亜塩素酸ナトリウムや高温洗浄で消毒する。
問題50 アルツハイマー病で正しいのはどれか。
1.ラクナ梗塞の多発により発症する。
2.アミロイドβ蛋白質が蓄積する。
3.初期には記銘力障害はみられない。
4.MRI検査では前頭葉の萎縮が特徴的である。
解答2
解説
アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。
1.× ラクナ梗塞の多発により発症するのは、血管性認知症である。脳血管性認知症とは、脳血管が詰まったり破れたりすることで突然発症する。その後、脳血管が詰まったり破れたりするたびに、症状が悪化する特徴を持つ。その部位や範囲によって症状は様々である。他の症状として、巣症状(失語、失行、失認など脳の局所性病変によって起こる機能障害)や階段状に認知障害が進行することが特徴である。
2.〇 正しい。アミロイドβ蛋白質が蓄積する。アルツハイマー型認知症とは、認知症の中で最も多く、病理学的に大脳の全般的な萎縮、組織学的に老人斑(アミロイドβの蓄積)・神経原線維変化の出現を特徴とする神経変性疾患である。特徴は、①初期から病識が欠如、②著明な人格崩壊、③性格変化、④記銘力低下、⑤記憶障害、⑥見当識障害、⑦語間代、⑧多幸、⑨抑うつ、⑩徘徊、⑩保続などもみられる。
3.× 初期には記銘力障害が「みられる」。アルツハイマー病の初期症状として、記銘力障害(新しい情報を覚える能力の低下)が見られる。
4.× MRI検査では前頭葉の萎縮が特徴的であるのは、前頭側頭型認知症である。アルツハイマー病では、初期には主に側頭葉と頭頂葉、特に海馬を含む内側側頭葉の萎縮が特徴である。
病理所見として、前頭葉と側頭葉が特異的に萎縮する特徴を持つ認知症である。脳血流量の低下や脳萎縮により人格変化、精神荒廃が生じ、植物状態におちいることがあり、2~8年で衰弱して死亡することが多い。発症年齢が50~60代と比較的若く、初発症状は人格障害・情緒障害などがみられるが、病期前半でも記憶障害・見当識障害はほとんどみられない。働き盛りの年代で発症することが多いことで、患者さんご本人が「自分は病気である」という自覚がないことが多い。その後、症状が進行するにつれ、性的逸脱行為(見知らぬ異性に道で抱きつくなどの抑制のきかない反社会的な行動)、滞続言語(何を聞いても自分の名前や生年月日など同じ語句を答える)、食行動の異常(毎日同じものを食べ続ける常同行動)などがみられる。治療は、症状を改善したり、進行を防いだりする有効な治療方法はなく、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われている。
(参考:「前頭側頭型認知症」健康長寿ネット様HPより)