第32回(R6年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後101~105】

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問題101 次の文で示す経脈病証はどれか。
「55歳の女性。3週間前に肩の上部から上肢後面が痛み始めた。1週間前から耳の後ろと目尻が痛む。汗をかきやすい。」

1.手の太陰経
2.手の少陰経
3.手の太陽経
4.手の少陽経

解答

解説

本症例のポイント

・55歳の女性。
・3週間前に肩の上部から上肢後面が痛み始めた。
・1週間前から耳の後ろと目尻が痛む。
汗をかきやすい
→手の少陽経が疑われる。

1.× 手の太陰経
手の太陰肺経:あえぎ、咳、喉の痛み上腕、前腕の経所の流れる所が痛んだり、感覚異常が起きる。手の平が熱くなる。肩背が痛み、風寒の邪が襲ってくると汗が出る。小便が少しずつ出で回数が多い、もしくは小便がしばしば出てあくびをする。肩背が冷えて痛み、酸素不足の様な感じがする。尿の色が変わる。

2.× 手の少陰経
少陰病の症状として、外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証、四肢厥冷、心煩、不眠などがあげられる。手の少陰心経:吸願の乾燥、上腹部から前胸部にかけてが痛み、口渇が起こり、水分を取ろうとする。目の黄疽や充血、脇痛、経脈の流注部分が痛み、厥してくる。手掌に熱がこもり痛む。

3.× 手の太陽経
太陽病の症状として、外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮などがあげられる。手の太陽小腸経:咽頭の痛み、顎の付け根の腫れ、後ろを振り返ることができない。肩が抜けるように痛み、上腕が折れるように痛む。耳が間こえなくなり、目が黄ばんだり充血したり、類の辺りが腫れてくる。顎から顎の付け根、肩、上腕、肘など経脈の流注上が痛む。

4.〇 正しい。手の少陽経が経脈病証である。
少陽病の症状として、半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦などがあげられる。手の少陽三焦経の病証として、耳が聞こえにくく、耳が燃え上がるような感じがしたり、耳鳴りがする。咽頭が腫れ、喉を起こす。汗が出て、経絡の流注上に沿って病症が現れる。

六経弁証

太陽病:外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮など。
少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦など。
陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。
太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。
少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。
厥陰病:外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢など。

 

 

 

 

 

問題102 次の文で示す三陰三陽病証はどれか。
「全身の冷え、悪寒、下痢、嗜眠を呈し、抵抗力が弱く、身体が衰弱している状態。」

1.少陽病
2.太陰病
3.少陰病
4.厥陰病

解答

解説

本症例のポイント

・全身の冷え、悪寒、下痢、嗜眠を呈す。
・抵抗力が弱く、身体が衰弱している。
→本症例は、少陰病が疑われる。

1.× 少陽病
三陰三陽病証の少陽病は、口の苦み・粘り・食欲不振・嘔気・舌白苔・往来寒熱などがみられる。風邪をこじらせてしまっている状態や食欲低下している状態である。

2.× 太陰病
三陰三陽病証の太陰病は、下痢・腹痛・全身の倦怠感・食欲不振などがみられる。消化管を中心に機能低下がみられる。

3.〇 正しい。少陰病が三陰三陽病証である。
三陰三陽病証の少陰病は、強い全身の倦怠感・気力低下・手足の冷え・未消化の下痢などがみられる。倦怠感が強まった状態である。

4.× 厥陰病
三陰三陽病証の厥陰病は、意職レベル低下・呼吸困難・持続性下痢・四肢の冷えなどがみられる。プレショック的て重篤な状態である。

(※図引用:「未病改善と漢方の力」Pure Medical attitude様HPより)

 

 

 

 

 

問題103 次の文で示す病証でみられる便秘はどれか。
「34歳の女性。半年前に仕事を辞め、新しい仕事を探しつつ、夜中はテレビゲームで遊んでいることが多い。噯気が頻繁に起こり、腹部の膨満感を伴う。」

1.熱秘
2.気秘
3.虚秘
4.冷秘

解答

解説

本症例のポイント

・34歳の女性。
・半年前に仕事を辞め、新しい仕事を探しつつ、
・夜中はテレビゲームで遊んでいることが多い。
噯気が頻繁に起こり、腹部の膨満感を伴う。
→気秘が疑われる。

【秘結(便秘)】
①熱秘:硬い乾燥便で、顔面紅潮・口渇・口臭を伴う。実熱。
②気秘:便の形が一定せず、曖気服満感などを伴う。気滞。
③虚秘
・なかなか排便されず、息切れや疲労感を伴う。気虚。
・兎糞状で、顔色に艶がなく、めまいを伴う。血虚、陰虚。
④冷秘:便がゆるく、腹部や四肢の冷えを伴う。陽虚。

1.× 熱秘
熱秘は、硬い乾燥便で、顔面紅潮・口渇・口臭を伴う。実熱。

2.〇 正しい。気秘が病証でみられる便秘である。
気秘は、便の形が一定せず、曖気服満感などを伴う。気滞。

3.× 虚秘
虚秘は、なかなか排便されず、息切れや疲労感を伴う。気虚。兎糞状で、顔色に艶がなく、めまいを伴う。血虚、陰虚。

4.× 冷秘
冷秘は、便がゆるく、腹部や四肢の冷えを伴う。陽虚

 

 

 

 

 

問題104 次の文で示す病証で最も適切なのはどれか。
「32歳の男性。5日前に雨天の中、長時間の歩行をした。その翌日に微熱と発汗がみられた。現在は、倦怠感と食欲不振、水様便がみられる。」

1.表虚証
2.裏虚証
3.表実証
4.裏実証

解答

解説

本症例のポイント

・32歳の男性。
・5日前に雨天の中、長時間の歩行をした。
・その翌日に微熱と発汗がみられた。
・現在:倦怠感と食欲不振、水様便。
裏虚証が疑われる。六経弁証では、少陰病に該当し、外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。

1.3.× 表虚証/表実証
風邪の初期は、①風寒型、②風熱型の大きく2つの「証」に分けられる。①風寒型は、「青い風邪」ともいわれ、悪寒、発熱、頭痛、鼻水、関節の痛みなどの症状が見られる。その中でも、発汗の有無によって、「風寒表実証」と「風寒表虚証」に分かれる。

2.〇 正しい。裏虚証が病証である。
六経弁証では、少陰病に該当し、外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。

4.× 裏実証
六経弁証では、陽明病に該当し、裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。

六経弁証

太陽病:外感病初期、表寒証。悪寒、発熱、頭痛、項強痛、脈浮など。
少陽病:半表半裹証。発汗、寒熱往来、胸脇苦満、口苦、眩暈、脈弦など。
陽明病:裏実熱証。発汗、壮熱、口渇、潮熱、大便秘結、譫語、洪脈など。
太陰病:裏虚寒証(初期)。食欲不振、腹部膨満感、水様便など。
少陰病:外感病の極期~後期、虚寒/虚熱証。四肢厥冷、心煩、不眠など。
厥陰病:外感病末期。寒熱錯雑。胸部不快感、口渇、四肢厥冷、嘔吐、下痢など。

 

 

 

 

 

問題105 次の文で示す病証に対する鍼の補瀉手技で適切なのはどれか。
「21歳の男性。昨日、薄着で外出したところ、今朝から悪寒と頭痛を自覚した。咳、痰はみられない。脈は浮緊を認める。」

1.刺入後、押手を揺るがせる。
2.刺入後、細かく鍼を回転させる。
3.呼気時に刺入し、吸気時に抜鍼する。
4.浅く刺入し、後に深くする。

解答

解説

本症例のポイント

・21歳の男性。
・昨日:薄着で外出、今朝から悪寒と頭痛を自覚。
・咳、痰はみられない。
・脈は浮緊を認める。
→迎随の補瀉とは、「迎えて奪うを瀉と云い、随って補うを補と云う」との原典の言葉がその出所である。実地臨床上は、狭い意味に解釈し、経の流れに逆うを瀉法とし、経の流れに随うを補法とする。

1.〇 正しい。刺入後、押手を揺るがせる
瀉法は、比較的太めの鍼を用い、速やかに刺入、鍼を動かして邪気と生気を分け、鍼先の抵抗ゆるむをみて下圧をかけ、徐に抜鍼、鍼口は閉じない。鍼の方向は経の流れに逆らう。

2.× 刺入後、細かく鍼を回転させる。
3.× 呼気時に刺入し、吸気時に抜鍼する。
4.× 浅く刺入し、後に深くする。
これらいずれも補法である。補法は、比較的細い鍼を用い、ゆっくり刺入、目的の深さに達したなら催気、左右圧をかけ、速やかに抜鍼、と同時に鍼口を閉じる。鍼の方向は経の流れに随う。

 

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