第32回(R6年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後96~100】

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問題96 顔の望診で色を判断できない場合に用いる皮膚の部位はどれか。

1.腹部
2.前腕前面部
3.背部
4.下腿後面部

解答

解説

望診とは?

望診とは、患者の顔色や皮膚の状態を観察することによって体内の状態を判断する方法である。顔の色が判断しにくい場合には、他の皮膚の部位を観察する。

五色診(皮膚色と証):青は(寒証・痛証・血疹)、赤は(熱証)、黄は(虚証・熱証・湿証)、白は(虚証・寒証)、黒は(寒証・痛証・血瘀)
舌診:舌尖(心・肺)、舌辺(肝・胆)、舌中部(脾・胃)、舌根(腎)
※上焦(舌尖)、中焦(舌辺・舌中部)、下焦(舌根)

1.× 腹部/背部/下腿後面部は、顔の望診の代替にはなりにくい。なぜなら、露出してもらい観察が難しいため。また色調の変化がわかりにくい。

2.〇 正しい。前腕前面部は、顔の望診で色を判断できない場合に用いる皮膚の部位である。なぜなら、前腕前面部の皮膚は容易に観察できるため。この部位は通常露出しており、血液の循環状態も確認しやすい。

 

 

 

 

 

問題97 陰器(生殖器)に集まる経筋はどれか。

1.手の三陰経筋
2.手の三陽経筋
3.足の三陰経筋
4.足の三陽経筋

解答

解説

経筋とは?

①経筋は直接臓腑に属さない。
②四肢の末端に起始部を持つため、手の陰軽、足の陽経とは逆行する。
③経脈のように、循環はしない。
④経脈のように直接気血の循行とは関係がない。
⑤経脈と異なり、髄意運動が可能である。
⑥手足の三陽経筋は顔面・頭部に、足の三陰経筋は陰器に結合している。手の三陰経筋は、胸(腹)部に結合しているが、直接臓器との関係はない。

(※参考:「経筋療法の観点から指圧マッサージを見る」華学和博様より)

1.× 手の三陰経筋は、胸(腹)部に結合しているが、直接臓器との関係はない。

2.4.× 手・足の三陽経筋とは、顔面・頭部に結合している。

3.〇 正しい。足の三陰経筋は、陰器(生殖器)に集まる経筋である。

 

 

 

 

 

問題98 長夏の病邪で生じやすい症状はどれか。

1.けいれん
2.大量の汗
3.激しい口渇
4.下肢の浮腫

解答

解説

1~3.× けいれん/大量の汗/激しい口渇は、長夏の病邪で生じやすい症状とはいえない。

4.〇 正しい。下肢の浮腫は、長夏の病邪で生じやすい症状である。長夏(ちょうか)とは、東洋医学でいう五行の「土」に属し、季節では夏の終わりから秋の初めにかけての湿気が多い時期を指す。長夏の病邪は「湿邪(しつじゃ)」であり、湿邪が体に侵入するとさまざまな症状を引き起こす。

六淫とは?

風邪:陽性の邪気で軽揚性、開泄性、遊走性があり、他の外邪の先導役となる(百病の長)。
寒邪:陰性の邪気で寒冷性、凝滞性、収引性があり、陽気を損傷しやすい。
暑邪(熱邪):陽性の邪気で夏季のみに出現し、炎熱性、昇散性がある。気・津液を損傷しやすく、湿邪を伴う。
湿邪:陰性の邪気で重濁性、粘滞性、下注性がある。脾を損傷しやすい。気機を滞らせやすい。
燥邪:陽性の邪気で乾燥性があり、肺を損傷しやすい。秋に現れることが多い。
火邪(熱邪):陽性の邪気で炎上性があり、気・津液を損傷する。また、生風、動血という特徴も持つ。

 

 

 

 

 

問題99 三毒説と関係するのはどれか。

1.疫癘
2.心労
3.打撲
4.運動不足

解答

解説

三毒説とは?

三毒説は湯本求真(1876~1941)によって提唱された病因論です。これは、江戸時代の古方派の医家が提唱した気血水の病因論から発展させたもので、目にみえなく、また説明しにくい気を保留し、血の滞り(瘀血)を血毒、水の滞りを水毒としこれに飲食物が毒作用となる食毒を加えたものです。

①血毒(瘀血)とは、月経障害・打撲・熱性病による溶血などによって生じた非生理的な血液を意味します。

②水毒とは、体内の水分の代謝障害により偏在を来した水や、病的滲出液、異常な分泌液などをいいます。

③食毒とは、飲食物や大便が消化管内に停滞し宿便となって自家中毒を起こすものです。すなわち、宿便の腐敗・発酵によって生じた有毒な物質が腸壁から吸収されてさまざまな症状を起こします。

(※引用:「病因論 三毒説」鍼誠堂様HPより)

1.× 疫癘(※読み:えきれい)とは、伝染病や流行病を指す。

2.× 心労とは、精神的なストレスや疲労を指す。

3.〇 正しい。打撲は、三毒説と関係する。三毒説の血毒(瘀血)とは、月経障害・打撲・熱性病による溶血などによって生じた非生理的な血液を意味する。

4.× 運動不足は、三毒説と関係しない

 

 

 

 

 

問題100 五行色体で相剋関係にある組合せはどれか。

1.噫:羽
2.収:肌肉
3.麦:羊
4.石:色

解答

解説

五行相剋とは?

五行相剋とは、水・火・金・木・土の五つの根元要素が互いに力を減じ合い、水は火に、火は金に、金は木に、木は土に、土は水に勝つという考え方である。
木剋土、土剋水、水剋火、火剋金、金剋木。

1.〇 正しい。噫:羽は、五行色体で相剋関係にある組合せである。
「噫」は、五病の「火」
「羽」は、五音の「水」

2.× 収:肌肉
「収」は、五能の「金」
「肌肉」は、五主の「土」

3.× 麦:羊
「麦」は、五穀の「木」
「羊」は、五畜の「火」

4.× 石:色
「石」は、五脈の「水」
「色」は、五役の「木」

 

 

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