第32回(R6年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後91~95】

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問題91 未病の概念について適切なのはどれか。

1.人体と自然は相応している。
2.心と体は一体である。
3.人体は有機体として機能する。
4.健康と疾病は連続している。

解答

解説

未病とは?

未病とは、2000年以上前の中国の書物『黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)』の中に「聖人は未病を治す」と書かれていて、予防の重要性が既に認識されていたことがわかります。「未病」とは、発病には至らないものの軽い症状がある状態です。五臓六腑がつながっているという考えが根本にあり、軽いうちに異常を見つけて病気を予防するという考え方です。最近では外来や検診でさまざまな検査ができるようになり、特に自覚症状がないにもかかわらず検査値異常を指摘されることがよくあります。 生活の質(QOL)は侵されていないが検査値に異常がある未病の場合、その時点で病気を発症させないための治療をしていく「治未病」(ちみびょう)の考え方が、今後、より重要になってきます。(※引用:「未病とは?」日本医師会様HPより)

1.× 人体と自然は相応していることは、天人相応の概念である。天人相応とは、「天」と「人」のしくみを作っている要素は基本的に同じであり、人体の生理・病理の変化は自然界の変化と相応関係にあるという考え方である。自然界の法則を人体に当てはめて、人体の生理・病理を理解するもので中医学の考え方の根底をなすものである。

2.× 心と体は一体であることは、身心一如の概念である。身心一如とは、身体と精神は一体であって、分けることはできず、一つのものの両面にすぎないという仏教の考えである。

3.× 人体は有機体として機能することは、整体観念の概念である。整体観念とは、人は宇宙や自然から影響を受ける存在であり、すべてのものが互いに影響しあって生命を営んでいるという考え方である。人体は一つの有機的な統一体である。人体は、臓器組織、器官から構成されており、それぞれの異なる機能をもち、それが、密接に関係し、協調しあう関係があってこそ、それぞれの機能が果たせる。

4.〇 正しい。健康と疾病は連続している。未病とは、発病には至らないものの軽い症状がある状態で、五臓六腑がつながっているという考えが根本にあり、軽いうちに異常を見つけて病気を予防するという考え方である。(※参考:「未病とは?」日本医師会様HPより)

 

 

 

 

 

問題92 狭義の神の働きでないのはどれか。

1.思惟活動の維持
2.精神活動の制御
3.生命活動の維持
4.外界刺激に対する情動反応

解答

解説

神の働きとは?

広義の神とは、すべての生理活動を主宰し、それを体外に表現するもの、すなわち肉体的、精神的な生命活動の現れすべてを意味し、五感、発声、行動、精神状態、意識などを指す。

狭義の神とは、精神活動そのもの、つまり精神、意識、思惟活動などを指す。

1.〇 思惟活動の維持は、狭義の神の働きである。思惟活動とは、思考や意識の維持である。

2.4.〇 精神活動の制御/外界刺激に対する情動反応は、狭義の神の働きである。狭義の神とは、精神活動そのもの、つまり精神、意識、思惟活動などを指す。

3.× 生命活動の維持は、狭義の神の働きでない。生命活動の維持は、「」や「」の働きと関連が深い。精・気・神の三者の間には相互に依存し利用し合う関係がある。精は気を化生し、気は精を生むように、精と気の間には相互に化生しあう関係がある。精気は神を生じ、精気は神を養う。精と気は神の物質基礎であり、また神は精と気を統御する。したがって、精・気・神の三者は切っても切り離すことができないため人身「三宝」と呼ばれる。

 

 

 

 

 

問題93 本虚標実証に含まれるのはどれか。

1.肝鬱気滞
2.肝陽上亢
3.肝火犯肺
4.心肝火旺

解答

解説

本虚標実とは?

本虚標実とは、体の基礎的なエネルギーや機能(本)が不足している状態(虚)がありながら、特定の症状や病変(標)が過剰な状態(実)として現れることを意味する。つまり、本質的に体質が虚しているところに、病邪が表面化して存在している証である。体質を強化しつつ、病邪を除去して病気を根治していく。

1.× 肝鬱気滞は、肝の気がうっ滞して流れが悪くなる状態で精神抑鬱、急躁、易怒、胸肋部痛、脈弦、梅核気などがみられる。

2.〇 正しい。肝陽上亢は、本虚標実証に含まれる。肝陽上亢は、肝陰が不足している(本虚)ために、肝陽が過剰に上昇する(標実)状態でちなみに、肝陽上亢は、眩暈、耳鳴、頭痛、目赤、陰虚によるほてり・のぼせ、腰膝酸軟などである。

3.× 肝火犯肺は、肝気の滞りが長時間にわたると、熱を持ち、火に転じたりする状態で、頭痛、眩暈、耳鳴、目赤、急躁、易怒、舌辺紅、脈弦数などである。

4.× 心肝火旺は、心臓と肝臓の両方に負担がかかり、熱証を生じる証である。症状として、焦燥感、じっとしていられない、動悸、不眠症などである。

 

 

 

 

 

問題94 衝脈・任脈・督脈のすべてと密接な関係にある奇恒の腑の機能はどれか。

1.月経を主る。
2.肢体を支える。
3.情報を伝達する。
4.生命活動を主宰する。

解答

解説

奇恒の腑とは?

水穀と直に接しない密閉した中腔器官で、精気を蔵する。骨・随・脳・脈・胆・女子胞である。形態は(腑)に似るが、精気を蔵する(臓)の特徴を持つ。

1.〇 正しい。月経を主る。①衝脈、②任脈、③督脈は、奇経八脈と呼ばれる特殊な経絡の一部である。①衝脈は、十二経脈の気血を調節し(十二経の海)、血を貯える(血海)。胞宮から起こり、月経に関与する。②任脈は、陰経を調節し、胞胎を主る(月経・妊娠・出産の調節)。③督脈は、陽経の気血を調節し、陽気を総督する。腎・脳・背髄・胞宮と関係が深い。したがって、女性の生殖機能とも関連している。

2.× 肢体を支えるのは主に筋骨系の働きである。

3.× 情報を伝達するのは、神経系の働きである。

4.× 生命活動を主宰するのは、心の生理である。心の生理として、①主血(血(脈)を主る(血を送り出す))、②神志(生命活動を維持し、精神活動を主宰する)があげられる。

 

 

 

 

 

問題95 経絡の概要について正しいのはどれか。

1.経脈の循行は上焦から起こる。
2.経別は別行する正経である。
3.奇経は表裏関係をもつ。
4.絡脈が集まったものを浮絡という。

解答

解説

十二経別とは?

十二経別とは、経脈の流れから分かれて体内深部に走行する支脈のことである。主に肘や膝から分かれ、五臓六腑のいずれかと連絡している。正経十二経脈とは、各々が臓腑と連絡し、独立しながらも連絡しあい人体を循環する1本の環になる。陰経は臓に属して腑に絡し、陽経は腑に属して臓に絡する。

1.× 経脈の循行は、必ずしも「上焦から起こる」とはいえない。経脈の循行とは、経絡の流れの道筋のことである。例えば、肺経は中焦から始まる。【中焦】①手の太陰肺経‐【手示指端】→②手の陽明大腸経‐【鼻翼外方】→③足の陽明胃経‐【足第1指内側端】→④足の太陰脾経‐【心中】→⑤手の少陰心経‐【手小指端】→⑥手の太陽小腸経‐【内眼角】→⑦足の太陽膀胱経‐【足第5指端】→⑧足の少陰腎経‐【胸中】→⑨手の厥陰心包経‐【手薬指端】→⑩手の少陽三焦経‐【外眼角】→⑪足の少陽胆経‐【足第1指外側端】→⑫足の厥陰肝経‐【中焦】→①手の太陰肺経

2.〇 正しい。経別は別行する正経である。経別とは、正経(十二経脈)から分かれて体内を巡り、最終的に正経に再合流する経脈を指す。これにより、体の内部と外部のエネルギーや物質の循環を調整し、臓腑と全身の連携を保つ。ちなみに、十二経別とは、経脈の流れから分かれて体内深部に走行する支脈のことである。主に肘や膝から分かれ、五臓六腑のいずれかと連絡している。正経十二経脈とは、各々が臓腑と連絡し、独立しながらも連絡しあい靭帯を循環する1本の環になる。陰経は臓に属して腑に絡し、陽経は腑に属して臓に絡する。

3.× 奇経は表裏関係を「もつ」のではなくもたない。奇経とは、平常ではない奇異な経脈のことを意味している。常経である正経に対して特異な性質を持っている(※読み:きけい)。奇経八脈とは、正経十二経脈のように、臓腑を絡うことはなく、奇経同士が表裏関係になることもないものである。

4.× 絡脈が集まったものを浮絡とは「言わない」。絡脈とは、経脈から分かれて働く細かい分枝のことである。十五絡脈は、十二経の絡脈は表裏関係にある経と連絡する。任脈の絡脈は各陰経と、督脈の絡脈は各陽経と連絡する。一方、浮絡とは、身体表層にあり、皮膚表面に浮いたように見えるものことである。

 

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