第32回(R6年)はり師きゅう師国家試験 解説【午後106~110】

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問題106 治法八法で停滞した病理産物を散らすのに最も適切なのはどれか。

1.汗法
2.清法
3.吐法
4.消法

解答

解説
1.× 汗法
汗法とは、積極的に身体の汗を出させる方法で、悪寒など風の引き始めや頭痛に用いる。発汗させることで体表面の邪気を身体に侵入させないようにする。この汗法は強すぎると正気を損なうため、極度に弱っている時は用いない。

2.× 清法
清法は熱邪を「清熱」する、つまり熱を除去する方法で、化膿性の炎症や機能が過亢進して実熱、鬱熱が停滞している際に用いる。虚熱証や臓腑・気分・血分・営分に熱邪がある場合など、さまざまな局面で用いることができるが、虚寒証や虚弱な状態では用いない。

3.× 吐法
吐法とは、積極的に嘔吐させる方法で、食中毒を起こすようなものを食べてしまったときや、吐き気があっても吐けない時、また上焦や気道に痰濁が停滞しているときに用いる。この法も身体が虚弱している場合は正気の損傷を考慮して用いない。

4.〇 正しい。消法は、治法八法で停滞した病理産物を散らす。
消法は、炎症による腫れ、脾肥大、肝肥大、リンパ結核などの腫大を消散させる法で、血液循環や消化の促進作用がある。

 

 

 

 

 

問題107 経脈の流注で横隔膜を貫かないのはどれか。

1.手の太陰肺経
2.足の太陰脾経
3.足の太陽膀胱経
4.手の少陽三焦経

解答

解説
1.× 手の太陰肺経
手の太陰肺経は、11穴あり、中府(※読み:ちゅうふ)から少商(※読み:しょうしょう)である。中府は、前胸部、第1肋間と同じ高さ、鎖骨下高の外側、前正中線の外方6寸に位置する。少商は、母指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。

2.× 足の太陰脾経
足の太陰脾経は、21穴あり、隠白(※読み:いんぱく)から大包(※読み:だいほう)である。隠白は、足の第1指、末節骨の内側、爪甲角の近内方1分(指付)、爪甲内側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。大包は、側胸部、第6肋間、中腋窩線上に位置する。

3.〇 正しい。足の太陽膀胱経は、経脈の流注で横隔膜を貫かない。
足の太陽経は、脊柱起立筋を通り、腎から膀胱へ流注する。足の太陽膀胱経は、67穴あり、晴明(※読み:せいめい)から至陰(※読み:しいん)である。晴明は、顔面部、内眼角の内上方と眼窩内側壁の間の陥凹部に位置する。至陰は、足の第5指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外の垂線と爪甲基底部の水平線の交点に位置する。

4.× 手の少陽三焦経
手の少陽三焦経は、23穴あり、関衝(※読み:かんしょう)から糸竹空(※読み:しちくくう)である。関衝は、薬指、末節骨尺側、爪甲尺側縁の垂直線と爪甲基底部の水平線との交点に位置する。糸竹空は、頭部、眉毛外端の陥凹部に位置する。

 

 

 

 

 

問題108 小腸経の脈気を受けて内眼角に起こる経脈の別絡はどれか。

1.衝脈
2.督脈
3.陽蹻脈
4.陽維脈

解答

解説

経脈の流注と接続部

【中焦】①手の太陰肺経‐【手示指端】→②手の陽明大腸経‐【鼻翼外方】→③足の陽明胃経‐【足第1指内側端】→④足の太陰脾経‐【心中】→⑤手の少陰心経‐【手小指端】→⑥手の太陽小腸経‐【内眼角】→⑦足の太陽膀胱経‐【足第5指端】→⑧足の少陰腎経‐【胸中】→⑨手の厥陰心包経‐【手薬指端】→⑩手の少陽三焦経‐【外眼角】→⑪足の少陽胆経‐【足第1指外側端】→⑫足の厥陰肝経‐【中焦】→①手の太陰肺経

1.× 衝脈は、十二経脈の気血を調節し(十二経の海)、血を貯える(血海)。胞宮から起こり、月経に関与する。

2.× 督脈は、陽経の気血を調節し、陽気を総督する。腎・脳・背髄・胞宮と関係が深い。

3.〇 正しい。陽蹻脈は、小腸経の脈気を受けて内眼角に起こる経脈の別絡である。陰蹻脈/陽蹻脈は、下肢・体幹の両側の陰陽を調節する。下肢の内・外側に分布する陰経と陽経を協調させる。

4.× 陽維脈/陰維脈は、陰経と陽経を連絡する。陽維脈は全身の表と関係が深く、陰維脈は全身の裏と関係が深い。

 

 

 

 

 

問題109 五兪穴について正しいのはどれか。

1.足の少陰経の井木穴は爪甲の際にある。
2.足の陽明経の滎水穴は経脈の末端穴から2番目にある。
3.手の太陽経の兪木穴は原穴と一致する。
4.手の厥陰経の経金穴は手関節横紋にある。

解答

解説
1.× 足の少陰経の井木穴は、「爪甲の際」ではなく湧泉にある。
湧泉(※読み:ゆうせん)は、足底、足指屈曲時、足底の最陥凹部に位置する。

2.〇 正しい。足の陽明経の滎水穴は経脈の末端穴から2番目にある
足の陽明胃経の滎穴は、内庭で、経脈の末端から2番目にある。内庭(※読み:ないてい)は、足背、第2~3足指間、みずかきの後縁、赤白肉際に位置する。ちなみに、足の陽明胃経は、45穴あり、承泣(※読み:しょうきゅう)から、厲兌(※読み:れいだ)までである。

3.× 手の太陽経の兪木穴は原穴と一致「しない」。
手の太陽小腸経の兪穴は「後渓」である。後渓(※読み:こうけい)は、手背、第5中手指節関節尺側の近位陥凹部、赤白肉際に位置する。一方、原穴は「腕骨」である。腕骨(※読み:わんこつ)は、手関節後内側、第5中手骨底部と三角骨の間の陥凹部、赤白肉際に位置する。

4.× 手の厥陰経の経金穴は、手関節横紋「にはない」。
手の厥陰心包経の経穴は、間使である。間使(※読み:かんし)は、前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方3寸に位置する。

 

 

 

 

 

問題110 要穴で、所属するすべての経穴が足の三陽経のいずれかにあてはまるのはどれか。

1.下合穴
2.四総穴
3.八総穴
4.八会穴

解答

解説
1.〇 正しい。下合穴は、要穴で、所属するすべての経穴が足の三陽経のいずれかにあてはまる。
胆:陽陵泉【胆】は、足の少陽胆経である。
小腸:下巨虚【胃】は、足の陽明胃経である。
胃:足三里【胃】は、足の陽明胃経である。
大腸:上巨虚【胃】は、足の陽明胃経である。
膀胱:委中【膀】は、足の太陽膀胱経である。
三焦:委陽【膀】は、足の太陽膀胱経である。

2.× 四総穴
足三里【胃】は、足の陽明胃経である。
委中【膀】は、足の太陽膀胱経である。
列欠【肺】は、手の太陰肺経である。
合谷【大】 は、手の陽明大腸経である。

3.× 八総穴
列欠は、手の太陰肺経である。
照海は、足の少陰腎経である。
後谿は、の太陽小腸経である。
申脈は、足の太陽膀胱経である。
公孫は、足の太陰脾経である。
内関は、手の厥陰心包経である。
外関は、手の少陽三焦経である。
足臨泣は、足の少陽胆経である。

4.× 八会穴
膻中は、任脈である。
章門は、足の厥陰肝経である。
中脘は、任脈である。
膈兪は、足の太陽膀胱経である。
太淵は、手の太陰肺経である。
陽陵泉は、足の少陽胆経である。
懸鍾は、足の少陽胆経である。
大杼は、足の太陽膀胱経である。

 

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