第32回(R6年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前16~20】

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問題16 骨盤の分界線の構成に関与するのはどれか。

1.岬角
2.坐骨棘
3.坐骨結節
4.上前腸骨棘

解答

解説


1.〇 正しい。岬角は、骨盤の分界線の構成に関与する。岬角(※読み:こうかく)は、仙骨底の前縁のことである。
2.× 坐骨棘は、坐骨の後縁の上部にある、後内方に突き出た骨性突起である。上双子筋の起始部に当たる。
3.× 坐骨結節は、骨盤を構成する坐骨の下方部にある突起である。半膜様筋や大内転筋の起始部に当たる。
4.× 上前腸骨棘は、腸骨の突出している部分の股関節に近い側の突起のことである。縫工筋や大腿筋膜張筋の起始部に当たる。

 

 

 

 

 

問題17 前腕の屈筋群について正しいのはどれか。

1.円回内筋を橈骨神経が貫く。
2.橈側手根屈筋は上腕骨内側上顆から起こる。
3.長掌筋は手根管を通る。
4.尺側手根屈筋は正中神経支配である。

解答

解説

前腕屈筋群について

主な前腕屈筋群の【起始】上腕骨内側上顆、【停止】手根骨や指の骨である。 円回内筋、尺側手根屈筋、橈側手根屈筋、長掌筋、浅指屈筋などがあげられる。

1.× 円回内筋を「橈骨神経」ではなく正中神経が貫く。円回内筋の【起始】上腕頭:上腕骨内側上顆と内側上腕筋間中隔、尺骨頭:尺骨鈎状突起内側、【停止】橈骨外側面の中央部、【作用】肘関節回内、屈曲、【支配神経】正中神経である。
2.〇 正しい。橈側手根屈筋は上腕骨内側上顆から起こる。橈側手根屈筋の【起始】上腕骨の内側上顆、前腕筋膜内面、【停止】第2中手骨底、【作用】手関節掌屈、橈屈、肘関節回内、【神経】正中神経である。
3.× 手根管を通るのは、「長掌筋」ではなく長母指屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、正中神経である。長掌筋の【起始】上腕骨の内側上顆、前腕筋膜内面、【停止】手掌で手掌腱膜、【作用】手関節の掌屈、手掌腱膜を張る、【神経】正中神経である。
4.× 尺側手根屈筋は「正中神経」ではなく尺骨神経支配である。尺側手根屈筋の【起始】上腕頭:内側上顆と前腕筋膜、尺骨頭:肘頭から尺骨中部までの後縁、【停止】豆状骨、豆鉤靭帯、豆中手靭帯、有鉤骨、第5中手骨底、【作用】手関節の掌屈、尺屈、【支配神経】尺骨神経である。

 

 

 

 

 

問題18 心臓について正しいのはどれか。

1.右冠状動脈は心臓の前面に分布する。
2.心尖は第4肋間の高さに位置する。
3.動脈弁は腱索で乳頭筋とつながる。
4.冠状静脈洞は右心房に注ぐ。

解答

解説

(※図引用:「看護roo!看護師イラスト集」より)

1.× 心臓の前面に分布するのは、「右冠状動脈」ではなく左冠状動脈である。冠状動脈とは、冠動脈ともいい、心臓を栄養する終動脈(細動脈で吻合をもたない血管)である。心臓自身を栄養するために、心拍出量の約1/20(250mL/分)の血液が冠動脈へ流れている。右冠状動脈(後下行枝)は、洞房結節、房室結節、右心室、心臓の後壁および下壁に、左冠状動脈(左前下行枝・左回旋枝)は、左心房・右心室の前壁・左心室の前壁と後壁・心室中隔の大部分に流入する。
2.× 心尖は、「第4肋間」ではなく第5肋間の高さに位置する。ちなみに、心基部はほぼ第2肋間の高さにある。
3.× 動脈弁は腱索で乳頭筋とつながるわけではない。腱索が付着するのは、「大動脈弁」ではなく、「房室弁(僧帽弁と三尖弁)」である。腱索とは、左心室側から弁尖に伸びたひも状のもので、左心室壁から伸びている。一方、乳頭筋は、心房内に反転しないように支える役割を果たす。
4.〇 正しい。冠状静脈洞は右心房に注ぐ。冠状静脈洞は心臓壁にある静脈の主幹で、心臓の後面にある冠状溝中に存在し、回旋枝と伴走する。

 

 

 

 

 

問題19 口腔内の構造について正しいのはどれか。

1.軟口蓋は平滑筋からなる。
2.内舌筋は舌咽神経に支配される。
3.舌扁桃は口蓋垂の両側に位置する。
4.耳下腺管は口腔前庭の頬粘膜に開口する。

解答

解説

(※図引用:「illustAC様」)

1.× 軟口蓋は、「平滑筋」ではなく横紋筋からなる。軟口蓋とは、口腔と咽頭を分ける口峡の上壁を構成する軟組織である。軟口蓋を構成する筋は、口蓋垂筋と口蓋舌筋と口蓋咽頭筋、口蓋帆挙筋、口蓋帆張筋である。
2.× 内舌筋は、「舌咽神経」ではなく舌下神経に支配される。舌下神経とは、舌の運動を支配する運動神経である。一方、舌咽神経とは、知覚・運動・分泌を受けもつ混合神経で、舌の後部3分の1の感覚や咽頭筋の運動を支配する。 また分泌線維は耳下腺に分布し、唾液の分泌を司る。 鼓室粘膜の知覚もこの神経が支配する。
3.× 舌扁桃は、「口蓋垂の両側」ではなく舌の後ろ側1/3の表面に多く位置する。舌扁桃とは、免疫を司るリンパ組織で、舌背部に多く存在し、舌縁の後方にも存在する。
4.〇 正しい。耳下腺管は口腔前庭の頬粘膜に開口する。耳下腺は頬部にあり、耳下腺管は上顎第2大臼歯に相当する頬粘膜部に開口する。顎下腺と舌下腺は下顎部にあり、口腔底に開口する。

(※図引用:「イラストでわかる歯科医学の基礎 第4版 」永未書店HPより)

 

 

 

 

 

問題20 上行結腸にあるのはどれか。

1.腸間膜
2.腸絨毛
3.腹膜垂
4.パイエル板

解答

解説

(※図引用:「消化器官の図2」より)

1.× 腸間膜とは、腸管を腹腔後壁に連絡する膜で、2重の腹膜からなる。小腸では空腸と回腸、大腸では横行結腸・S状結腸にある。
2.× 腸絨毛とは、小腸の粘膜内壁にある輪状ひだ(ケルクリング皺襞)に存在する突起である。長さ約0.5mmで、指状または葉状の小突起をしている(※読み:ちょうじゅうもう)。栄養をいきわたらせる役割を持つ。
3.〇 正しい。腹膜垂は、上行結腸にある。腹膜垂とは、結腸紐(特に大網紐、自由紐)に沿ってみられる奬膜に包まれた脂肪組織である。成人では3cm近い大きさになり、約100個あるとされている。 画像診断で正常の腹膜垂を同定することは困難だが、炎症や石灰化をきたせば同定できるようになる。横行結腸と上行結腸にみられる。
4.× パイエル板とは、集合リンパ小節ともいい、小腸(回腸)に複数のリンパ濾胞が集まって構築されたリンパ組織で、肉眼で観察可能な直径2~3mmの円盤状構造である。パイエル板は小腸にある孤立リンパ小節の集合体である。

 

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