この記事には広告を含む場合があります。
記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売り上げの一部が還元されることがあります。
問題36 線維素性炎はどれか。
1.劇症肝炎
2.ハンセン病
3.急性虫垂炎
4.大葉性肺炎
解答4
解説
線維素性炎症とは、血漿の滲出物に大量のフィブリノゲンを含む炎症のことである。生体組織の滲出液中に線維素(フィブリン)が析出し、細網状に沈着する。これは、漿膜、粘膜、肺などに好発し、代表的な例としては、胸膜炎や腹膜炎などが挙げられる。
1.× 劇症肝炎は、壊死性炎である。劇症肝炎とは、急性肝不全ともいい、肝臓の機能が急激に低下し、意識障害などの重篤な症状が現れる疾患である。この意識障害を「肝性脳症」といい、ひどい場合は昏睡状態に陥る。劇症肝炎(急性肝不全)は、全身の臓器に障害を引き起こしやすいため、肝臓に対する治療だけでなく、呼吸や循環などの全身的な管理が必要になる。劇症肝炎の原因は、肝炎ウイルスの感染、薬物アレルギー、自己免疫性肝炎などで、わが国では、B型肝炎ウイルスの感染によることが最も多く、全体の約40%を占めている。
2.× ハンセン病は、肉芽腫性炎である。ハンセン病とは、らい病とも呼ばれ、らい菌が体内に入り(感染)、引き起こされる(発症)病気である。痒みや痛みなどの自覚症状のない治りにくい皮疹で、白斑、紅斑、環状紅斑、結節など多彩である。成人の場合、日常生活の中で感染することはない。また感染したとしても発症は非常にまれである。
3.× 急性虫垂炎は、化膿性炎症や壊死性炎症である。虫垂炎とは、何らかの原因で虫垂に炎症が起こる病態を指し、一般的には「もうちょう」として知られている。典型的な初期症状は、吐気・嘔吐・食欲不振・心窩部痛であり、痛みは時間の経過とともに右下腹部に移行する。
4.〇 正しい。大葉性肺炎は線維素性炎である。大葉性肺炎とは、肺の一葉以上を占める肺炎のことである。感染力が強く、重症化する。病変部にフィブリン(線維素)が沈着し、肺胞腔が線維素性滲出物で満たされる。
問題37 Th1細胞が最も関与するアレルギーはどれか。
1.Ⅰ型
2.Ⅱ型
3.Ⅲ型
4.Ⅳ型
解答4
解説
Th1細胞とは、細菌やウイルスなどの異物に対して細胞傷害性T細胞とマクロファージの活性化を介する細胞性免疫に関与する。Th1の働きは、細胞やウイルスなどの「異物」に対して反応する。
Th2細胞とは、B細胞からの抗体産生促進を介して体液性免疫に関与する。
1.× Ⅰ型アレルギーはTh2細胞が関与する。Ⅰ型アレルギーとは、肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質の放出によって起こる即時型アレルギーで、アレルゲンに接触した数分後に、皮膚・粘膜症状が出現する。まれにアナフィラキシーショックとなり重篤化(血圧低下、呼吸困難、意識障害を伴う)することがある。
2.× Ⅱ型アレルギーは抗体(IgG・IgM)が関与する。Ⅱ型アレルギーとは、細胞障害型や細胞融解型と呼ばれ、抗体はIgG・IgMが関与するアレルギーである。自己の細胞にこれらが結合し、補体の活性化による細胞融解や食細胞による貧食を起こす。血液型不適合輸血による溶血、自己免疫性溶血性貧血などに関連する。
3.× Ⅲ型アレルギーは免疫複合体が関与する。Ⅲ型アレルギーとは、免疫複合体型やArthus型と呼ばれ、抗体はIgG・IgMが関与するが、免疫複合体も関与するアレルギーである。免疫複合体が血管内皮などの組織に沈着すると補体を活性化し、結果として組織障害を生じる。血清病、全身性エリテマトーデスなどに関連する。遅発型で3~8時間で最大の紅斑と浮腫が生じる。
4.〇 正しい。Ⅳ型は、Th1細胞が最も関与するアレルギーである。Ⅳ型アレルギーとは、遅延型細胞性免疫やツベルクリン型とも呼ばれ、感作T細胞が関与するアレルギーである。感作T細胞と抗原の反応によって産生・放出されたサイトカインが局所の細胞性免疫反応を活性化し、炎症と組織障害が生じる。ツベルクリン反応、接触性皮膚炎などに関連する。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
問題38 腫瘍と発がんに関連する微生物の組合せで誤っているのはどれか。
1.子宮頸癌:HPV
2.肝細胞癌:サイトメガロウイルス
3.バーキットリンパ腫:EBウイルス
4.胃癌:ヘリコバクター・ピロリ
解答2
解説
サイトメガロウイルスとは、一度感染が成立すると持続潜伏感染するウイルス(ヘルペスウイルス感染症)で、感染経路は母乳感染、尿や唾液による水平感染が主経路であり、産道感染、輸血による感染、性行為による感染なども認められている。 症状が出ないものから、発熱と疲労感が出るもの(伝染性単核球症に似たもの)、また、眼や脳、その他の内臓を侵す重い症状が生じるものまで、症状は多岐にわたる。
1.〇 正しい。子宮頸癌は、ヒトパピローマウイルス(HPV)である。子宮頸がんとは、子宮頸部(子宮下部の管状の部分)に生じるがんのことである。子宮頸がんは、子宮がんのうち約7割程度を占める。近年、20~30歳代の若い女性に増えてきており、30歳代後半がピークとなっている。子宮頸がんの原因のほとんどは、ヒトパピローマウイルス(HPV)というウイルスの感染である。このウイルスは性的接触により子宮頸部に感染する。初期では無症状だが、進行するにつれて帯下の増加や悪臭のある帯下、周囲臓器の浸潤による疼痛などの症状が現れる。
2.× 肝細胞癌は、サイトメガロウイルスではなく主に「B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)感染」である。肝細胞癌とは、肝臓の細胞ががん化したものである。肝細胞がんの発生には、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスの感染、アルコール性肝障害、非アルコール性脂肪肝炎などによる、肝臓の慢性的な炎症や肝硬変が影響している。肝臓は、肝動脈と門脈の二重血流支配を受けており、肝細胞癌は主に肝動脈からの血流支配を受けている。そのため、肝細胞癌を支配する肝動脈を塞栓物質で血流遮断することで治療する。
3.〇 正しい。バーキットリンパ腫は、EBウイルス(エプスタイン・バーウイルス、Epsteir Barrウイルス)である。バーキットリンパ腫とは、悪性リンパ腫のうち非ホジキンリンパ腫に分類される高悪性度のB細胞リンパ腫である。成人では悪性リンパ腫の1~2%程度あるが、小児では25~40%を占め、比較的若い人に多く発症する。女性1人に対し、男性が2~3人で男性に多い傾向がある。キスを介して感染する。
4.〇 正しい。胃癌は、ヘリコバクター・ピロリである。胃癌の危険因子は、塩蔵食品、ヘリコバクター・ピロリ感染、アルコール、喫煙、遺伝などがある。 一方、リスクを下げるものとして野菜・果物、緑茶などがある。ちなみに、塩蔵品とは、魚介類など腐敗しやすい食品を食塩に漬けて細菌を繁殖させにくくし、長期保存できるように加工された食品である。塩蔵品には、塩蔵魚卵(たらこ、いくらなど)、塩蔵魚(めざし、塩サケなど)や塩辛、練りうになどがある。
①肝細胞癌:B型、C型肝炎ウイルス
②子宮頸癌:ヒトパピローマウイルス(16,18型)
③上咽頭癌:Burkittリンパ腫、NK細胞リンパ腫:Epstein barrウイルス
④胃癌:ヘリコバクター・ピロリ菌
⑤胆管癌:肝吸虫
問題39 成人に対する一次救命処置において、1分間あたりの胸骨圧迫の回数で適切なのはどれか。
1.40~60回
2.70~90回
3.100~120回
4.130~150回
解答3
解説
胸骨圧迫とは、心停止した傷病者の心臓付近を圧迫することにより脳や心臓に血液の循環を促す心肺蘇生を目的とした一次救命処置である。成人と幼児で適する力の入れ具合や胸骨の沈み具合が異なる。成人では胸骨が、5cmほど沈むように胸骨圧迫をする。一方で、幼児では年齢に応じた体格の差があるため、成人のような絶対値を当てはめることができない。そのため、幼児においては個別の体格を判断したうえで、胸の厚さの1/3程度が沈む強さで胸骨圧迫を行うことが推奨されている。年齢にかかわらず100~120回を目安に行う。
1~2.× 40~60回/70~90回は、不足している。
3.〇 正しい。100~120回は、成人に対する一次救命処置において、1分間あたりの胸骨圧迫の回数である。
4.× 130~150回は、多すぎる。
問題40 2型糖尿病患者の食事療法において、1日あたりの適正なエネルギー摂取量の算出に必要なのはどれか。
1.体温
2.腹囲
3.目標体重
4.体表面積
解答3
解説
2型糖尿病とは、遺伝的な体質(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に過食、運動不足、肥満が加わることにより起こる糖尿病を指す。一方で、1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。
1.× 体温は、バイタルサイン測定に用いられる。
2.× 腹囲は、メタボリックシンドロームの評価項目である。
3.〇 正しい。目標体重は、2型糖尿病患者の食事療法において、1日あたりの適正なエネルギー摂取量の算出に必要である。一般的な糖尿病の食事療法としては、標準体重と身体活動量により摂取エネルギー量を算出し、50~60%が糖質、蛋白質が20%までとし、残りは脂質とする。また、糖尿病腎症の治療には血糖・血圧コントロールが重要であり、腎症 3 期(顕性腎症)では、食塩制限に加えたんぱく質摂取量にも注意が必要である。これは、たんぱく質や塩分がさらに腎臓に対し負担をかけるためである。つまり、①エネルギー量の管理、②食塩量の制限、③タンパク質量の調整が必要となる。
4.× 体表面積は、基礎代謝量に寄与する。基礎代謝量とは、生体が正常に生命を維持するために必要な代謝量のことである。基礎代謝量は、体表面積/性別/年齢/体格/体温/ホルモンなどの影響を受けるものである。
メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪の蓄積を基盤とし、動脈硬化の危険因子を複数合併した状態のことである。
【診断基準】
①腹部肥満(ウエストサイズ 男性85cm以上 女性90cm以上)
②中性脂肪値(HDLコレステロール値 中性脂肪値 150mg/dl以上、HDLコレステロール値 40mg/dl未満のいずれか、または両方)
③血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上のいずれか、または両方)
④血糖値(空腹時血糖値110mg/dl以上)