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問題66 ウイルス性肝炎と感染経路の組合せで正しいのはどれか。
1.A型肝炎:感染血液への曝露
2.B型肝炎:分娩時の垂直感染
3.C型肝炎:獣肉の生食
4.E型肝炎:生鮮魚介類の摂取
解答2
解説
ウイルス性肝炎とは、A、B、C、D、E型などの肝炎ウイルスの感染によって起こる肝臓の病気である。A型、E型肝炎ウイルスは主に食べ物を介して感染し、B型、C型、D型肝炎ウイルスは主に血液を介して感染する。中でもB型、C型肝炎ウイルスについては、感染すると慢性の肝臓病を引き起こす原因ともなる。
1.× 感染血液への曝露は、「A型肝炎」ではなくC型肝炎である。A型肝炎とは、A型肝炎ウイルス(HAV)感染による疾患である。通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染する。人の便が流れている海で育った貝類の摂取で感染することもある。初期症状は倦怠感や発熱、頭痛、筋肉痛等で、一過性の急性肝炎が主症状であり、治癒後に強い免疫が残る。治療は、通常、安静を含めた対症療法が中心となる。
2.〇 正しい。B型肝炎は、分娩時の垂直感染である。B型肝炎ウイルスは主に感染者の血液や体液を介して感染する。たとえば、注射針を感染者と共用した場合や、感染者と性行為をした場合などに感染する。しかし、B型肝炎にはワクチンがあるため、適切にワクチンを接種することによって感染を予防することができる。
3.× 獣肉の生食は、「C型肝炎」ではなくE型肝炎である。E型肝炎とは、E型肝炎ウイルスに感染することによって起こる肝臓の病気である。E型肝炎ウイルスとは、急性肝炎の原因となるRNAウイルスである。水や豚・猪のレバーなど食物を介して経口感染する。従来、経口伝播型非A非B型肝炎とよばれてきたウイルス性の急性肝炎で、その病原体はE型肝炎ウイルス(RNAウイルス)である。E型肝炎の致死率はA型肝炎の10倍といわれ、妊婦では実に20%に達することがある。
4.× 生鮮魚介類の摂取は、「E型肝炎」ではなくA型肝炎である。A型肝炎とは、A型肝炎ウイルス(HAV)感染による疾患である。通常、感染した人の便で汚染されたものを摂取したときに感染する。初期症状は倦怠感や発熱、頭痛、筋肉痛等で、一過性の急性肝炎が主症状であり、治癒後に強い免疫が残る。治療は、通常、安静を含めた対症療法が中心となる。
C型肝炎とは、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することによって起こる肝臓の病気である。C型肝炎ウイルスは、主に感染者の血液や体液から感染する。感染の危険性がある行為としては注射器の使い回しや剃刀(かみそり)の共用などがある。そのほか、妊娠中の母親から胎児への感染や性行為による感染もあるが、感染する確率は低いと考えられている。
問題67 膵癌のリスクファクターとして正しいのはどれか。
1.高血圧症
2.脂質異常症
3.高尿酸血症
4.糖尿病
解答4
解説
膵臓癌とは、膵臓に発生するがんのことで、原因不明であるが、遺伝が影響したり、喫煙などの生活習慣、慢性膵炎・糖尿病などにかかっている人は、膵臓がんのリスクが高いと報告されている。初期段階ではあまり症状がなく、進行するとお腹や背中の痛み、黄疸といった症状が現れ始めるのが特徴である。治療法は手術、放射線療法、抗がん剤治療を組み合わせて行い、手術が不可能な場合は放射線療法や抗がん剤治療が検討される。
1.× 高血圧症は、膵癌のリスクファクターでない。高血圧症は、心血管疾患や脳卒中などのリスクを高める。
2.× 脂質異常症は、膵癌のリスクファクターでない。脂質異常症とは、高LDLコレステロール血症、低HDLコレステロール血症、高トリグリセリド(TG)血症を指し、動脈硬化の原因となる。その治療で重要なのは、薬物療法のほか、食事指導による適正体重の維持や内臓脂肪の減量である。まず食事指導の基本は、総摂取エネルギーと栄養素配分を適正化することである。
3.× 高尿酸血症は、膵癌のリスクファクターでない。高尿酸血症とは、血清尿酸値が7.0mg/dLを正常上限とし、これを超えるものと定義する。男性が圧倒的に多く男女比約20:1の割合である。高尿酸血症の原因は、一般的に生活習慣の乱れによるものが大半である。食事ではアルコールは重要であり、特にビールのとりすぎは高尿酸血症の原因としてよく知られている。高尿酸血症は痛風の原因となり、腎結石や腎機能障害のリスクを高める。
4.〇 正しい。糖尿病は、膵癌のリスクファクターである。2型糖尿病とは、遺伝的な体質(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に過食、運動不足、肥満が加わることにより起こる糖尿病を指す。一方で、1型糖尿病の原因として、自己免疫異常によるインスリン分泌細胞の破壊などがあげられる。
生活習慣病は、「食習慣、運動習慣、休養の取り方、喫煙、飲酒などの生活習慣が、その発症・伸展に関与する疾患群」と定義されている。生活習慣病の背景因子として、①遺伝性因子、②環境因子、③生活習慣因子が考えらえているが、「生活習慣因子」は生活習慣病の積極的予防に最も重要な要素とされている。
問題68 パニック障害の症状はどれか。
1.予期不安
2.妄想
3.幻聴
4.させられ体験
解答1
解説
パニック障害とは、誘因なく突然予期せぬパニック発作(動悸、発汗、頻脈などの自律神経症状、狂乱・死に対する恐怖など)が反復して生じる状態をいう。また発作が起こるのではないかという予期不安を認め、しばしば広場恐怖を伴う。治療として、①SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)、②抗不安薬、③認知行動療法(セルフコントロール)などである。
1.〇 正しい。予期不安は、パニック障害の症状である。予期不安とは、パニック発作を一度経験して、「あの恐ろしい発作がまた起きるのではないか」という不安感が生じることである。パニック発作にはこの予期不安が必ず伴い、発作を繰り返すごとにこの不安がさらに強くなっていき症状を悪化させていく。
2~4.× 妄想/幻聴/させられ体験は、統合失調症にみられやすい。作為体験(させられ体験)とは、自分が他者に操られ、他者の意のままに行動させられているという体験である。
統合失調症とは、幻覚・妄想・まとまりのない発語および行動・感情の平板化・認知障害ならびに職業的および社会的機能障害を特徴とする。原因は不明であるが、遺伝的および環境的要因を示唆する強固なエビデンスがある。好発年齢は、青年期に始まる。治療は薬物療法・認知療法・心理社会的リハビリテーションを行う。早期発見および早期治療が長期的機能の改善につながる。統合失調症患者の約80%は、生涯のある時点で、1回以上うつ病のエピソードを経験する。統合失調症患者の約5~6%が自殺し,約20%で自殺企図がみられる。したがって、うつ症状にも配慮して、工程がはっきりしたものや安全で受け身的で非競争的なものであるリハビリを提供する必要がある。(※参考:「統合失調症」MSDマニュアル様HPより)
問題69 緑内障について最も適切なのはどれか。
1.水晶体が混濁する。
2.細菌感染症である。
3.失明の原因となる。
4.中心視野から障害される。
解答3
解説
(※図:「看護師イラスト集」看護roo!様HPより)
緑内障とは、眼圧の上昇や視神経の脆弱性などにより視神経が障害され、視野障害をきたす疾患である。一般的な症状として、①見える範囲が狭くなる、②一部が見えにくくなる、③見えない部分が出現するなどが生じる。一度悪くなった視界・視野の症状は改善されることはないため、病気の種類や進行度合いなどによって薬物療法、レーザー治療、手術などが検討される。
1.× 水晶体が混濁するのは、「白内障」の症状である。白内障とは、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気である。主な原因は加齢である。他にも、糖尿病や妊娠初期の風疹ウイルス感染などにより生じる。
2.× 細菌感染症であるのは、「細菌性結膜炎」である。流行性角結膜炎とは、はやり目ともいい、アデノウイルスというウイルスの感染が原因となる病気である。まぶたは腫れ、結膜はむくみ、充血がみられる。
3.〇 正しい。失明の原因となる。なぜなら、緑内障は視神経が障害され、治療が遅れると視野欠損が進行し、最終的には失明に至ることもあるため。緑内障は世界的にも失明の主要な原因の一つである。
4.× 中心視野から障害されるのは、「加齢黄斑変性」の症状である。加齢黄斑変性とは、老化に伴い、眼の中の網膜の中心に出血やむくみをきたし、視力が低下する病気である。原因として、紫外線による暴露や、喫煙、遺伝、さらに生活習慣も変性への移行を促進していると考えられている。症状は、①ものが歪んで見える(変視症、歪視)、②視力低下、③中心暗点などがある。治療は、早期発見が重要で、血管内皮増殖因子阻害薬の硝子体内注射が行われる。
問題70 乳癌について正しいのはどれか。
1.腫瘤は痛みを伴う。
2.乳房の外下部の発生が多い。
3.多くはホルモン依存性である。
4.乳房全摘術が第一選択である。
解答3
解説
乳癌とは、乳管や小葉上皮から発生する悪性腫瘍である。乳管起源のものを乳管癌といい、小葉上皮由来のものを小葉癌という。年々増加しており、女性のがんで罹患率第1位、死亡率は第2位である。40~60歳代の閉経期前後の女性に多い。
1.× 腫瘤は痛みを伴うとはいえない。乳がんの主な症状は、乳房に生じるしこり、血性分泌(乳頭から茶色い分泌物が出ること)、皮膚症状、乳頭びらん(ただれ)などである。通常、乳がんの初期症状は、乳房に痛みを感じないことが多い。
2.× 乳房の「外下部」ではなく外上部の発生が多い。なぜなら、乳房の外側上部に乳腺組織が多いため。
3.〇 正しい。多くはホルモン依存性である。なぜなら、乳がんの約60~70%は、エストロゲン受容体をもっており、エストロゲンが細胞の増殖を助けるため。ちなみに、ホルモン依存性とは、特定のホルモンの存在によって成長や維持が促進されるがんの一種である。
4.× 第一選択であるのは、「乳房全摘術」ではなくホルモン療法薬である。これは、乳がんの多くがホルモン依存性であるため。ただし、治療法の選択は、腫瘍の大きさ、位置、患者の希望などにより決定される。