第34回(R8年)はり師きゅう師国家試験 解説【午前31~35】

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問題31 成人のレム睡眠について正しいのはどれか。

1.眼球が急速に動く。
2.脳波に棘波が出現する。
3.睡眠全体の約60%を占める。
4.全身の骨格筋の緊張が亢進する。

解答

解説

ノンレム睡眠とは?

レム睡眠:脳は起きていて、体は休んでいる
・ノンレム睡眠:脳は休んでいて、体は起きている。

睡眠は、深いノンレム睡眠から始まり、睡眠欲求が低下する朝方に向けて、徐々に浅いノンレム睡眠が増えていく。その間に約90分周期でレム睡眠が繰り返し出現し、睡眠後半に向けて徐々に一回ごとのレム睡眠時間が増加する。レム睡眠+ノンレム睡眠で約90分周期を繰り返す。

ノンレム睡眠とは、脳の睡眠といわれ、①新陳代謝を促進する成長ホルモンの分泌が増加、②エネルギー代謝の抑制、③体温の低下があげられる。

1.〇 正しい。眼球が急速に動くのは、成人のレム睡眠の特徴である。レム睡眠中は脳が覚醒時に近いほど活動し、夢を見やすい状態である。このとき視覚に関わる神経回路も活発になり、夢の中の映像を追うように眼球を動かすため、急速な眼球運動が起こる。

2.× 脳波に棘波が出現する場合、てんかんなどで出現しやすい異常な電気活動を示す所見である。レム睡眠では脳波は一見すると浅い睡眠あるいは覚醒時に近く見える。
・棘波とは、脳波検査でみられる、先のとがった鋭い波形である。通常の脳波より急に高く立ち上がり短時間で終わる。てんかんなどで出現しやすい異常な電気活動を示す所見である。

3.× 睡眠全体の「約60%」ではなく約20~25%を占める。したがって、ノンレム睡眠は、睡眠全体の約75〜80%を占める。

4.× 全身の骨格筋の緊張が「亢進」ではなく低下する。なぜなら、レム睡眠では、筋弛緩に近い状態となるため。なぜなら、レム睡眠は、脳は起きていて、体は休んでいる状態であるため。

 

 

 

 

 

問題32 α運動ニューロンについて正しいのはどれか。

1.細胞体は大脳皮質運動野に位置する。
2.錘内筋線維を支配する。
3.運動単位を構成する。
4.筋紡錘の感度を調節する。

解答

解説
1.× 細胞体は、「大脳皮質運動野」ではなく脊髄前角に位置する。なぜなら、α運動ニューロンは、下位運動ニューロンであるため。
・上位運動ニューロンとは、大脳皮質運動野や脳幹に始まり、運動情報を下位運動ニューロンに伝える経路、またはその神経細胞のことをいう。

2.× 錘内筋線維を支配するのは、γ運動ニューロンである。α運動ニューロンが支配するのは、骨格筋を実際に収縮させる錘外筋線維である。

3.〇 正しい。運動単位を構成する。運動単位とは、1つの運動神経が支配する筋線維のことである。筋によって支配する線維の数は異なる。
・1つの運動単位とは、①1つのα運動ニューロン、②軸索、③それが支配する筋線維群を指す。

4.× 筋紡錘の感度を調節するのは、γ運動ニューロンである。
・α運動ニューロンは、筋力の発揮そのものに関与する。筋線維(錘外筋線維:筋肉の張力を感知する感覚装置)を支配し、実際の筋収縮に関与する。
・筋紡錘とは、骨格筋の収縮を感知する感覚器(筋の長さとそれが変化する速さを感知する感覚器)であり、腱をたたいて骨格筋を急速に伸ばすと起こる筋単収縮(伸張反射)に関与する。

γ運動ニューロンとは?

γ運動ニューロンは、筋紡錘(筋の伸展を感知する感覚器)内の錘内筋線維を支配する運動ニューロンである。その主な役割は、筋紡錘の感度を調節することで、これにより、筋の長さや張力の変化を検出しやすくなる。

 

 

 

 

 

問題33 全身性疾患はどれか。

1.白内障
2.橋本病
3.グッドパスチャー症候群
4.アミロイドーシス

解答

解説
1.× 白内障は、眼の水晶体の混濁による局所疾患である。
・白内障とは、水晶体が年齢とともに白く濁って視力が低下する病気である。主な原因は加齢である。他にも、糖尿病や妊娠初期の風疹ウイルス感染などにより生じる。

2.× 橋本病は、甲状腺を主座とする自己免疫疾患である(全身性疾患とはいえない)。
・橋本病とは、甲状腺に炎症が引き起こされることによって徐々に甲状腺が破壊され、甲状腺ホルモンの分泌が低下していく病気のことである。慢性甲状腺炎とも呼ばれる。甲状腺機能低下症になると、全身の代謝が低下することによって、無気力、疲れやすさ、全身のむくみ、寒がり、体重増加、便秘、かすれ声などが生じる。

3.× グッドパスチャー症候群とは、抗糸球体基底膜腎炎ともいい、肺と腎臓に炎症を引き起こす自己免疫疾患である。肺出血と進行性の腎不全を併発し、急速に悪化することが特徴である。Ⅱ型アレルギーに該当する。

4.〇 正しい。アミロイドーシスは、全身性疾患である。
・アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる異常蛋白質が脳、心臓、腎臓、消化管、神経など全身の様々な臓器に沈着し、機能障害を起こす病気の総称である。複数の臓器にアミロイドが沈着するものを、全身性アミロイドーシスといい、一つの限局した臓器にアミロイドが沈着するものを、限局性アミロイドーシスという。

 

 

 

 

 

問題34 梗塞の際に融解壊死が最も生じやすい臓器はどれか。

1.脳
2.心臓
3.肝臓
4.腎臓

解答

解説

融解壊死とは?

融解壊死とは、壊死組織が液化してしまう状態である。脳梗塞後に特に見られる病変である。

1.〇 正しい。は、梗塞の際に融解壊死が最も生じやすい臓器である。なぜなら、脳梗塞では、壊死した組織が酵素で消化され、時間がたつと軟らかく崩れて空洞化するため。これを脳軟化ともいう。

2~4.× 心臓/肝臓/腎臓は、凝固壊死が起こる。
・凝固壊死とは、血流が途絶えて細胞が死んでも、組織の形がしばらく保たれる壊死である。

 

 

 

 

 

問題35 浮腫(水腫)の原因疾患と発生機序の組合せで正しいのはどれか。

1.うっ血性心不全:血管透過性の亢進
2.じんま疹:血漿膠質浸透圧の低下
3.ネフローゼ症候群:毛細血管内圧の上昇
4.腫瘍:リンパの還流障害

解答

解説

浮腫とは?

浮腫とは、体液のうち間質液が異常に増加した状態を指す。主に皮下に水分が貯留するが、胸腔に溜まった場合は胸水・腹腔に溜まった場合は腹水と呼ばれる。軽度の浮腫であれば、寝不足や塩分の過剰摂取、長時間の起立などが要因で起きることがある。病的な浮腫の原因はさまざまだが、①血漿膠質浸透圧の低下(低アルブミン血症など)、②心臓のポンプ機能低下による血液のうっ滞(心不全など)、③リンパ管の閉塞によるリンパ液のうっ滞、④血管透過性の亢進(アナフィラキシーショックなど)に大別することができる。
【低アルブミン血症の原因】①栄養摂取の不足(低栄養状態)、②肝臓における蛋白質合成能の低下、③腎臓から尿への蛋白質の大量喪失(ネフローゼ症候群)など。

1.× うっ血性心不全は、「血管透過性の亢進」ではなく毛細血管内圧の上昇(選択肢3)である。
なぜなら、うっ血性心不全では、静脈うっ滞が起こるため。
・うっ血性心不全とは、心臓のポンプ機能が弱まり、充分な量の血液を全身に送れなくなって、血液の滞留(うっ血)が起こしている状態である。 このため、呼吸困難や倦怠感、むくみなどが生じる。

2.× じんま疹は、「血漿膠質浸透圧の低下」ではなく血管透過性の亢進(選択肢1)である。
なぜなら、じんま疹では、肥満細胞由来メディエーターなどによって起こるため。
・じんま疹とは、アレルギー反応などによる皮膚の浮腫や赤みを伴う状態である。じんま疹は、皮膚の血管の一時的な拡張によって赤くなることが多い。

3.× ネフローゼ症候群は、「毛細血管内圧の上昇」ではなく血漿膠質浸透圧の低下(選択肢2)である。
なぜなら、ネフローゼ症候群では、大量蛋白尿により低アルブミン血症となるため。
・ネフローゼ症候群とは、尿から大量の蛋白が漏れ出すことで血液中の蛋白が減少、血液の浸透圧が低下し水分が血管内から血管外へ移動することで、全身の浮腫や腹水・胸水などを引き起こすものである。

4.〇 正しい。腫瘍:リンパの還流障害
なぜなら、腫瘍がリンパ管やリンパ流出路を圧迫・閉塞して、リンパの還流障害を生じさせるため。リンパ浮腫は、リンパ液が十分に回収されないことで起こる浮腫で、腫瘍そのものによる圧迫や、がん治療後のリンパ節郭清・放射線治療後にも起こる。例えば、乳がん術後に腋窩リンパ節郭清を受けた患者で、上肢に慢性的な浮腫が出るのは典型的なリンパ浮腫である。

 

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