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問題86 ジョギングをしている時の循環系の変化で正しいのはどれか。
1.静脈還流量は減少する。
2.胃や腸への動脈は拡張する。
3.下肢筋群への動脈は拡張する。
4.収縮期血圧は低下する。
答え.3
解説
心拍出量は、「一回心拍出量×心拍数」で示される。どちらが増加しても、心拍出量が増加する。心拍数の増加の刺激には、動脈血圧の下降、静脈還流量増加、吸息、精神運動興奮、激しい痛覚、交感神経活動高揚、カテコールアミン、筋活動、サイロキシン、体温上昇などがある。一回拍出量は、基礎収縮力、前負荷・後負荷の影響を受ける。運動開始から軽い運動中は、主に一回拍出量の増加に伴った心拍出量の増加が起こっている。
1.× 静脈還流量は、「減少」ではなく増加する。
なぜなら、運動中には筋肉のポンプ作用が働くため。ちなみに、静脈還流とは、心臓から出た血液が動脈を通って体中に行き渡った後に、静脈を通って心臓に戻ることである。その血液量のことを静脈還流量という。
2.× 胃や腸への動脈は、「拡張」ではなく収縮する。
なぜなら、運動は交感神経が優位になりやすく、消化器の動脈は収縮し、その分骨格筋に対する毛細血管が拡張するため。したがって、筋血流量が増加する。
3.〇 正しい。下肢筋群への動脈は拡張する。
なぜなら、運動は交感神経が優位になりやすく、消化器の動脈は収縮し、その分骨格筋に対する毛細血管が拡張するため。したがって、筋血流量が増加する。
4.× 収縮期血圧は、「低下」ではなく増加する。
なぜなら、運動は交感神経が優位になりやすいため。
1) 骨格筋に対する効果
ミトコンドリア量増加
ミオグロビン含有量増加
ATP含有量増加
グリコーゲン含有量増加
毛細血管密度増大
筋血流量増加
2) 心臓に対する効果
毛細血管密度増大
心臓容積増大
全血液量増加
循環血液量増加
一回拍出量増加
安静時末梢血管抵抗低下
心筋活動量の増加
3) 肺に対する効果
呼吸筋筋力増強による一回換気量の増加
肺血流量の増加による肺拡散容量増加
肺容量の増加
肺胞と肺毛細血管との接触面積増加
4) その他
体脂肪の減少
血中コレステロール量の減少
問題87 死腔量が150mLのとき1分間当たりの肺胞換気量が最も大きい組合せはどれか。
答え.2
解説
(※図引用:「呼吸機能検査 フロー・ボリューム曲線」医學事始様HPより)
死腔量とは、口から肺の中で、ガス交換に関与しないスペースのこと。成人で約150mLである。
肺胞換気量とは、肺と血液の間で実際にガス交換に関与している呼吸気量のことである。
肺胞換気量(肺胞換気)は、1分間に肺胞へ新鮮な空気が供給される量を表す。
肺胞換気量は次の公式で計算できる。
肺胞換気量(ml/分)
= (1回換気量-死腔量)× 呼吸数
1.× 8/分:750mL
(750 mL -150 mL)×8/分 = 4800 mL/分
2.〇 正しい。10/分:650mLが最も大きい組合せである。
(650 mL-150 mL)×10/分 = 5000 mL/分
3.× 12/分:550mL
(550 mL-150 mL)×12/分 = 4800 mL/分
4.× 15/分:450mL
(450 mL-150 mL)×15/分 = 4500 mL/分
問題88 ヘモグロビンの酸素親和性を低下させる因子の組合せはどれか。
答え.3
解説
ヘモグロビン酸素解離曲線の曲線が右方向に動くということは、ヘモグロビン酸素親和性が低下(ヘモグロビンが酸素を離しやすい状態=組織への酸素供給の増加)していることを表す。つまり、組織での代謝が高まり、酸素需要度が高くなっているときに曲線の偏位が起こる。
①PaCO2の上昇(pHの低下)
②血中2,3-DPGXの上昇
③H+の上昇(pHの低下)
④血液温度上昇
1~2.× 上昇:上昇/上昇:低下
pH上昇(アルカリ性)すると、ヘモグロビンの酸素親和性は上昇する。ヘモグロビンの酸素親和性は低下とは、ヘモグロビンが酸素を離しやすい状態という。
3.〇 正しい。低下:上昇
pH低下(酸性)すると、ヘモグロビンの酸素親和性は低下する。同様に、体温上昇すると、ヘモグロビンの酸素親和性は低下する。
4.× 低下:低下
体温低下すると、ヘモグロビンの酸素親和性は上昇する。
【酸塩基平衡】
血液(体液)のpH:7.40 ± 0.05
→pH7.30:酸性に傾いている状態
→pH7.50:アルカリ性に傾いている状態
アシドーシス(酸性):pHが低下している状態。
アルカローシス(アルカリ性):pHが上昇している状態。
問題89 胃液の分泌を促進するのはどれか。
1.アセチルコリン
2.アドレナリン
3.オキシトシン
4.セクレチン
答え.1
解説
1.〇 正しい。アセチルコリンは、胃液の分泌を促進する。
食事の際の「おいしい」「良い匂い」などの刺激によって「アセチルコリン」が放出され、さらに食物が胃に入ると物理的な刺激により「ガストリン」が放出される。アセチルコリンとは、代表的な神経伝達物質であり、①運動神経の神経筋接合部、②交感神経および副交感神経の節前線維の終末、副交感神経の節後線維の終末などのシナプスで放出される。アセチルコリンは、中枢神経で働く場合と末梢神経で働く場合で作用が異なる。①運動神経の神経筋接合部では、筋収縮に作用する。
2.× アドレナリン
アドレナリンとは、腎臓の上にある副腎というところの中の髄質から分泌されるホルモンである。主な作用は、心拍数や血圧上昇などがある。自律神経の交感神経が興奮することによって分泌が高まる。
3.× オキシトシン
オキシトシンとは、脳下垂体後葉から分泌される。乳汁射出、子宮収縮作用がある。また、分娩開始前後には分泌が亢進し、分娩時に子宮の収縮を促し、胎児が下界に出られるように働きかける。
4.× セクレチン
セクレチンとは、十二指腸のS細胞から分泌され、胃酸分泌抑制や炭酸水素イオン分泌促進、膵液の分泌促進の作用がある。
問題90 膵液に含まれないのはどれか。
1.アミラーゼ
2.トリプシノーゲン
3.ペプシノーゲン
4.リパーゼ
答え.3
解説
膵液にはアミラーゼ、リパーゼ、トリプシンどの酵素が含まれている。
1.〇 アミラーゼ
アミラーゼとは、でんぷんを分解して糖にする酵素である。体内では主に、膵臓、耳下腺(唾液腺)から分泌される。
2.〇 トリプシノーゲン
トリプシンとは、膵臓から分泌される膵液に含まれる消化酵素の一つである。 膵臓から産出されるトリプシノーゲンという物質が、十二指腸内の酵素の働きによって変換される。 たんぱく質を分解し、小腸で吸収されやすくする働きがある。
3.× ペプシノーゲンは、膵液に含まれない。
ペプシンは、胃液に含まれる蛋白質を基質として分解する酵素である。ペプシンは、胃底腺の主細胞の分泌物に由来するタンパク分解酵素である。胃主細胞から分泌されたペプシノーゲンは、壁細胞が分泌する塩酸によりペプシンとなる。
4.〇 リパーゼ
リパーゼとは、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに加水分解する反応を触媒する酵素である。