第29回(R3年)柔道整復師国家試験 解説【午後6~10】

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問題6 介護保険制度で正しいのはどれか。

1.保険者は都道府県である。
2.介護保険料は40歳から徴収される。
3.要介護の認定はケアマネージャーが行う。
4.要支援1.2では介護給付を受けることができる。

答え.2

解説

(※図引用:「みんなの介護」)

1.× 保険者は、「都道府県」ではなく市町村及び特別区である。
保険者は、その地域に在住する40歳以上の方々を介護保険の加入者(被保険者)とし、保険料の納付を受ける。また、被保険者が介護が必要な状態となった場合には、介護保険サービスの給付を行う。

2.〇 正しい。介護保険料は40歳から徴収される
第1号被保険者(65歳以上)になると、介護保険被保険者証が交付される。一方、第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)は、要支援・要介護の認定を受けた者に交付される。介護保険の要介護(要支援)認定の申請をする際や、介護サービスを利用する際に必要となる。

3.× 要介護の認定は、「ケアマネージャー」ではなく介護認定審査会が行う。
介護認定審査会とは、市町村の附属機関として設置され、要介護者等の保健、医療、福祉に関する学識経験者によって構成される合議体である。介護保険の給付を受けるために必要な要介護認定の手続きのう ち、二次判定を行うものである。保健・医療・福祉の学識経験者で構成される。

4.× 介護給付を受けることができるのは、「要支援1.2」ではなく要介護1~5である。
ちなみに、要支援1.2は介護予防サービスを受けることになるため、予防給付を受けることとなる。

(※画像引用:「保険給付」日本電子健康保険組合様HPより)

介護保険制度とは?

介護保険制度とは、寝たきりや認知症等で常時介護を必要とする状態(要介護状態)になった場合や、家事や身支度等の日常生活に支援が必要であり、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)になった場合に、介護の必要度合いに応じた介護サービスを受けることができる。

【目標】
予防とリハビリテーションの重視
高齢者による選択
在宅ケアの推進
利用者本位のサービスの提供
社会連帯による支え合い
介護基盤の整備
重層的で効率的なシステム

【基本理念】
自己決定の尊重
生活の継続
自己支援(残存能力の活用)

 

 

 

 

 

問題7 「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」に提唱されている4つのケアに含まれないのはどれか。

1.セルフケア
2.ラインによるケア
3.家族や友人によるケア
4.事業場内産業保健スタッフによるケア

答え.3

解説

5. 4 つのメンタルヘルスケアの推進

メンタルヘルスケアは、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の「4つのケア」が継続的かつ計画的に行われることが重要です。事業者は、①心の健康計画の策定、②関係者への事業場の方針の明示、③労働者の相談に応ずる体制の整備、④関係者に対する教育研修の機会の提供等、⑤事業場外資源とのネットワーク形成などを行いましょう(※引用:「職場における心の健康づくり」厚生労働省HPより)。

1.〇 セルフケア
事業者は労働者に対して、次に示すセルフケアが行えるように教育研修、情報提供を行うなどの支援をすることが重要である。また、管理監督者にとってもセルフケアは重要であり、事業者はセルフケアの対象として管理監督者も含める必要がある。

2.〇 ラインによるケア
主に、①職場環境等の把握と改善、②労働者からの相談対応、③職場復帰における支援などが該当する。

3.× 家族や友人によるケアは、「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」に提唱されている4つのケアに含まれない。
メンタルヘルスケアは、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の「4つのケア」が継続的かつ計画的に行われることが重要である。

4.〇 事業場内産業保健スタッフによるケア
事業場内産業保健スタッフ等は、セルフケア及びラインによるケアが効果的に実施されるよう、労働者及び管理監督者に対する支援を行うとともに、次に示す心の健康づくり計画の実施に当たり、中心的な役割を担うことになる。

 

 

 

 

 

問題8 被用者保険で正しいのはどれか。

1.保険者は市町村である。
2.高額療養費制度が設けられている。
3.医療給付の患者負担は原則1割である。
4.業務上傷病に対し傷病手当金が支払われる。

答え.2

解説

被用者保険とは?

被用者保険とは、被用者を対象とする保険のことである。被用者とは、企業や個人事業主等に雇われた人々で、いわゆるサラリーマン等の会社員や公務員、さらには船員が含まれる。職域保険ともいう。被用者保険の場合、雇用に伴う給料支払等を通じて、被用者の所得等が把握されるため、雇用主からの拠出や被用者からの保険料徴収が相対的に容易に行えるというメリットがある。被用者保険は、①健康保険(一般被用者保険)、②特定被用者保険に分かれる。①健康保険は、組合管掌健康保険(組合健保)、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)があり、②特定被用者保険は、国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度、船員保険があげられる。

1.× 保険者は、「市町村」ではなく厚生年金保険組合や健康保険組合などの労働者の組織である。
一方、被用者とは、企業や個人事業主等に雇われた人々で、いわゆるサラリーマン等の会社員や公務員、さらには船員が含まれる。

2.〇 正しい。高額療養費制度が設けられている
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初め から終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度である。ちなみに、入院時の食費負担や差額ベッド代等は含まない。ちなみに、高額療養費制度は、国民健康保険だけでなく、他の医療保険にも存在する。

3.× 医療給付の患者負担は、「原則1割」ではなく原則3割である。
医療給付とは、本人(被保険者)とその家族(被扶養者)が業務外の事由で病気やケガをしたり出産や死亡した場合に受けられるサービスである。主に、診察、処置・手術、薬剤・治療材料、食事療養、入院・看護、在宅療養・看護、訪問看護である。

4.× 業務上傷病に対し、「傷病手当金」ではなく労働者災害補償保険(労災保険)が支払われる。
労働者災害補償保険(労災保険)とは、業務上の災害または通勤上の災害によって負傷したり、病気になったり、障害が残ったり、死亡した場合に、労働者やその遺族のために、必要な保険給付を行う制度である。一方、傷病手当金とは、業務外の疾病等で引き続き勤務に服することができなくなった日以後3日を経過した日(4日目)から、勤務に服することができない期間(最長で1年6か月)支給される休業給付のことである。

 

 

 

 

 

問題9 蚊が媒介する感染症でないのはどれか。

1.マラリア
2.日本脳炎
3.アニサキス
4.フィラリア

答え.3

解説
1.〇 マラリア
マラリアとは、マラリア原虫という寄生虫で引き起こされる疾患で、マラリア原虫が感染したに刺されることで伝搬される。地球温暖化により、蚊が生息できる地域が広がる可能性があり、それに伴いマラリアの感染リスクも増加する。刺されてから発症するのは1週間位後で、はじめは発熱や頭痛、そして寒気や吐き気といった風邪に似た症状が多い。したがって、マラリアだと気づきにくいのが特徴である。その後、脳症や、じん臓・肝臓の機能障害、重症貧血といった合併症で死に至る危険がある。

2.〇 日本脳炎
日本脳炎とは、日本脳炎ウイルスにより発生する疾病で、を介して感染する。以前は子どもや高齢者に多くみられた病気である。初期症状として、突然の高熱・頭痛・嘔吐などで発病し、意識障害や麻痺等の神経系の障害を引き起こす病気で、後遺症を残すことや死に至ることもある。

3.× アニサキスは、蚊が媒介する感染症でない。
アニサキスとは、寄生虫(線虫)の一種である。アニサキス幼虫は、長さ2~3cm、幅は0.5~1mmくらいで、白色の少し太い糸のように見える。生の魚介類を摂取した際に、消化器系に寄生することがあり、アニサキス症と呼ばれる感染症を引き起こすことがある。

4.〇 フィラリア
フィラリアとは、蚊によって媒介される寄生虫(線虫)による感染症である。リンパ系を侵すことがあります。感染は、通常、小児期に成立し、リンパ系組織に症状が現れないまま障害を起こし、後に、この疾患による疼痛を伴う外観の大きな変形、リンパ浮腫、象皮病、陰嚢水腫が、生涯のうちに現れてきて、永続的な身体の障害へと進展する。

 

 

 

 

 

問題10 消毒剤と殺菌できる病原体の組合せで誤っているのはどれか。

1.クロルヘキシジン:結核菌
2.消毒用エタノール:MRSA
3.70%イソプロパノール:緑膿菌
4.次亜塩素酸ナトリウム:ノロウイルス

答え.1

解説
1.× 結核菌は、「クロルヘキシジン」ではなく高水準消毒薬で殺菌できる。
結核菌の消毒には、高水準消毒薬(グルタラール、フタラール、過酢酸)のほかに、次亜塩素酸ナトリウム、アルコール、ポビドンヨードおよび両性界面活性剤などを用いる。ちなみに、クロルヘキシジングルコン酸塩液は、手術時手洗い、手術部位の皮膚、創傷部位(創傷周辺皮膚)、血管内留置カテーテル挿入部位の皮膚などに使用する。特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対しても有効である。

2.〇 正しい。消毒用エタノール:MRSA
消毒用エタノールは、皮膚や手術部位の消毒、医療器具の洗浄消毒などに用いられている。また、種々の添加物成分を混合した製剤(エタノール製剤またはアルコール製剤)として、新指定医薬部外品や食品添加物の用途でも使われている。

3.〇 正しい。70%イソプロパノール:緑膿菌
イソプロパノールとは、エタノールとほぼ同等の消毒効果を示す。ただし、親水性ウイルス(ノロウイルス、アデノウイルスなど)に対する効果はエタノールに比べて劣っている。したがって、ノロウイルス、ロタウイルスおよびアデノウイルスなどの消毒では、消毒用エタノールのほうを選択する。ちなみに、緑膿菌とは、水まわりなど生活環境中に広く常在し、健常者に感染を起こすことはまれだが、抵抗力の低下した患者(易感染性宿主)には感染することがある。緑膿菌は、グラム陰性桿菌の一種ともいわれ、急性腎盂腎炎の原因菌である。

4.〇 正しい。次亜塩素酸ナトリウム:ノロウイルス
次亜塩素酸ナトリウムは、ノロウイルス感染症に罹患した患者の嘔吐物が床に飛び散っているこの処理に使用する消毒薬である。ノロウイルスの消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。ただし、次亜塩素酸ナトリウムの注意点として、毒性が強く、吸い込んでしまったり、目に入ってしまった場合には呼吸器や粘膜へ損傷を与える危険を伴う。

ノロウイルスとは?

ノロウイルスは、もっとも一般的な胃腸炎の原因である。感染者の症状は、非血性下痢、嘔吐、胃痛(悪心・嘔吐、水様性下痢腹痛、発熱等の急性胃腸炎)が特徴である。発熱や頭痛も発生する可能性がある。症状は、通常ウイルス曝露後12〜48時間で発症し、回復は通常1〜3日以内である。合併症はまれだが、特に若人、年配者、他の健康上の問題を抱えている人では、脱水症状が起こることがある。原因として、①カキ等の二枚貝、②感染者の嘔吐物等への接触や飛沫による二次感染である。感染経路は、経口感染、接触感染、飛沫感染、空気(飛沫核)感染による。

【予防・拡大防止】
①感染源となる二枚貝等は、中心部まで十分に加熱(85~95℃以上、90秒以上)する。
②消毒には、通常のアルコール製剤や逆性石鹸は有効でないため、塩素系消毒剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)を用いる。
③ノロウイルスは乾燥に強く、感染者の嘔吐物等が乾燥して空気中に飛散することで感染拡大するため完全に拭き取る。
④嘔吐物等の処理時には手袋、ガウンマスクを装着する。

(※参考:「ノロウイルスに関するQ&A」厚生労働省HPより)

 

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