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問題36 排尿時に起こるのはどれか。
1.下腹神経活動が亢進する。
2.外尿道括約筋が収縮する。
3.膀胱壁の平滑筋が弛緩する。
4.陰部神経活動が低下する。
解答4
解説
・内尿道括約筋とは、排尿時は骨盤神経(副交感神経)、随意的に尿を止めるときは下腹神経(交感神経)である。
・外尿道括約筋とは、蓄尿時に収縮し、排尿時に弛緩する。外尿道括約筋は、陰部神経(体性神経)である。
・蓄尿時:内・外尿道括約筋が収縮し蓄尿を維持する。
・排尿時:内・外尿道括約筋が弛緩することで尿が尿道を通り排泄される。
1.× 下腹神経活動が「亢進」ではなく低下する。
内尿道括約筋が、随意的に尿を止めるときは下腹神経(交感神経)亢進である。
2.× 外尿道括約筋が「収縮」ではなく弛緩する。
排尿時は、内・外尿道括約筋が弛緩することで尿が尿道を通り排泄される。
3.× 膀胱壁の平滑筋が「弛緩」ではなく収縮する。
排尿筋とは、膀胱平滑筋ともいい、膀胱壁にある平滑筋で、蓄尿と排尿に働いている筋肉である。蓄尿時には、下腹神経(交感神経)の働きで排尿筋が弛緩する。
4.〇 正しい。陰部神経活動が低下する。
排尿中枢は、仙髄(S2~4)にあり、膀胱壁が拡張するとその知覚が排尿中枢に伝えられる。普段は大脳から蓄尿の指令が出ているが、排尿の命令が出ると陰部神経を介して外尿道括約筋が弛緩し、副交感神経を介して排尿筋が収縮する。
問題37 ホルモンとその作用の組合せで正しいのはどれか。
1.プロラクチン:乳汁産生促進
2.成長ホルモン:血糖値低下
3.甲状腺ホルモン:基礎代謝低下
4.糖質コルチコイド:炎症反応亢進
解答1
解説
1.〇 正しい。プロラクチン:乳汁産生促進
プロラクチンとは、乳腺刺激ホルモンともいい、脳の下垂体から分泌され、妊娠すると高くなり乳腺を成長させ乳汁産生を行う。授乳期間中は乳頭の刺激で高くなり乳汁を分泌する。
2.× 成長ホルモンは、血糖値の「低下」ではなく上昇である。
血糖値上昇ホルモンは、①血糖上昇ホルモン、②カテコールアミン、③コルチゾール、④成長ホルモン、⑤グルカゴンがあげられる。ちなみに、成長ホルモンとは、下垂体前葉から合成・分泌されるホルモンで、成長促進作用や代謝作用などの作用がある。下垂体の前葉からは、副腎皮質刺激ホルモン、成長ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、乳汁分泌ホルモン、性腺刺激ホルモンが、下垂体の後葉からは抗利尿ホルモンが分泌される。
3.× 甲状腺ホルモンは、基礎代謝の「低下」ではなく上昇である。
甲状腺ホルモンとは、カラダ全体の新陳代謝を促進する働きがある。したがって、甲状腺刺激ホルモンの過剰によって引き起こされるのは、バセドウ病である。症状は、眼球突出、頻脈、びまん性甲状腺腫が特徴的である。ちなみに、眼球突出・甲状腺腫・頻脈をメルゼブルグの三徴候という。
4.× 糖質コルチコイドは、炎症反応の「亢進」ではなく低下である。
糖質コルチコイドとは、副腎皮質の束状帯の細胞で産生されるステロイドホルモンのことである。副腎皮質ホルモンには、コルチゾール・アルドステロン・アンドロゲン(男性ホルモン)などがある。コルチゾールは、血糖値の上昇や脂質・蛋白質代謝の亢進、免疫抑制・抗炎症作用、血圧の調節など、さまざまな働きがある。過剰になるとクッシング症候群、不足するとアジソン病を引き起こす。
問題38 生存している患者から病変部の組織を採取するのはどれか。
1.生検診断
2.細胞診断
3.剖検診断
4.機能診断
解答1
解説
1.〇 正しい。生検診断は、生存している患者から病変部の組織を採取する。
生検診断とは、生検組織診断ともいい、病変の一部(病変部)を採取して、顕微鏡で詳しく調べる検査である。菌や腫瘍の存在を詳しく調べて病気の診断に用いられる。
2.× 細胞診断
細胞診とは、患者から採取された細胞像(喀痰や尿、胸水や腹水など体からの液体に含まれている細胞を採取)を観察することにより、得られた細胞の良性/悪性の判定などを行う検査のことである。針を刺したり、ブラシで擦ったりして細胞を採取する方法もある。
3.× 剖検診断(※読み:ぼうけんしんだん)
剖検診断とは、病死した患者の遺体を解剖して、生前の診断が正しかったのか、病気がどの程度進行していたのか、適切な治療がなされていたのか、治療の効果はどれくらいあったのか、死因は何なのか、といったことを判断・診断することである。
4.× 機能診断
機能診断とは、施設や設備の機能の状態、劣化の過程、その原因を把握するための調査である。機能診断の目的は、対象施設の劣化の度合いを可能な限り定量的に把握し、その劣化が起こっている要因を特定する。
問題39 Ⅲ型アレルギーによる疾患はどれか。
1.気管支喘息
2.花粉症
3.急性糸球体腎炎
4.甲状腺機能亢進症
解答3
解説
1.× 気管支喘息は、Ⅰ型アレルギーである。
気管支喘息とは、主に気管支に炎症が起きている状態である。炎症により気管支が狭くなったり(狭窄)、刺激に対して過敏な反応を示したりする。喘息は乳幼児期に発症することが多く、全体の60~70%が2~3歳までに発症する。子どもの喘息の多くは思春期の頃には症状がよくなるが、そのうちの約30%は大人になっても続くといわれている。ちなみに、Ⅰ型アレルギーとは、肥満細胞や好塩基球からの化学伝達物質の放出によって起こる即時型アレルギーで、アレルゲンに接触した数分後に、皮膚・粘膜症状が出現する。まれにアナフィラキシーショックとなり重篤化(血圧低下、呼吸困難、意識障害を伴う)することがある。
2.× 花粉症は、Ⅰ型アレルギーである。
花粉症とは、植物の花粉が原因(アレルゲン)となって、くしゃみ・鼻水などのアレルギー症状を起こす病気である。花粉症は、スギやヒノキなど植物の花粉がアレルゲンとなり生じる。Ⅰ型アレルギーではマスト細胞や好塩基球のIgEによる液性免疫が重要な役割を果たす。
3.〇 正しい。急性糸球体腎炎は、Ⅲ型アレルギーによる疾患である。
糸球体腎炎とは、糸球体腎炎のうちで数週から数カ月の短い期間に急速に腎機能が低下する病気である。糸球体が侵される病気である。原因として、急性上気道炎などの感染後、10日ほど経ってから血尿、むくみ、高血圧などで発症する。症状として、血尿、蛋白尿、貧血を認め、倦怠感や発熱、体重減少などがあげられる。ちなみに、Ⅲ型アレルギーとは、免疫複合体型やArthus型と呼ばれ、抗体はIgG・IgMが関与するが、免疫複合体も関与するアレルギーである。免疫複合体が血管内皮などの組織に沈着すると補体を活性化し、結果として組織障害を生じる。血清病、全身性エリテマトーデスなどに関連する。遅発型で3~8時間で最大の紅斑と浮腫が生じる。
4.× 甲状腺機能亢進症は、Ⅴ型アレルギーである。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)の症状として、発汗や食欲亢進、体重減少、下痢、振戦、メルセブルグ3徴(眼球突出、甲状腺腫、頻脈)がみられる。放射線性ヨウ素内用療法は、バセドウ病(甲状腺機能亢進症)や甲状腺がんに対して行われる治療のひとつである。甲状腺機能亢進症では、放射性ヨウ素から放出されるベーター線で正常な甲状腺細胞を破壊し、甲状腺機能亢進症を改善させる。Ⅴ型アレルギー反応とは、ホルモンを分泌する細胞に結合する反応で、甲状腺機能亢進症・低下症を引き起こす。
(※引用:「アレルギー総論」厚生労働省HPより)
問題40 再生能力が最も低いのはどれか。
1.肝細胞
2.心筋細胞
3.神経膠細胞
4.血管内皮細胞
解答2
解説
再生能力から細胞を分類すると3種類に分けられる。
①活発かつ一生細胞分裂を細胞。
例:平滑筋、線維芽細胞、血管内皮細胞など。
②ある条件(組織に障害が起きた場合など)で回復のため細胞分裂を始める細胞。
例:肝細胞など。
③細胞分裂しない細胞。
例:心筋細胞、骨格筋(横紋筋)、神経細胞など。
1.〇 肝細胞
肝臓は、ヒトの臓器の中で最も高い再生能力を持つ。正常な肝臓の約70%を切除しても、残った肝臓が増殖して元のサイズに復活する。なぜ肝臓がここまで高い再生能力を持つかはっきりした理由はいまだ不明である。
2.× 心筋細胞は、再生能力が最も低い。
心筋細胞は、終末分化細胞であり、再生能力はほぼない。心筋細胞は、胎内では細胞分裂をするが、生まれた後は細胞分裂をしない。心疾患により心筋細胞が壊死し、線維芽細胞の増殖により線維化が進行すると、心臓のポンプ機能が低下して心不全に至る。
3.〇 神経膠細胞
神経膠細胞とは、グリア細胞ともいい、神経細胞を支え、栄養や代謝を調節する細胞群である。再生能力が強い。
4.〇 血管内皮細胞
血管内皮細胞とは、血管の内表面を覆う扁平な細胞である。血管内皮細胞になる基の細胞(血管内皮前駆細胞)は、骨髄のなかに多くある。骨髄は、骨の中心部のことを指し、血液細胞(白血球、赤血球、血小板)をつくる組織のことである。骨髄には、造血幹細胞と呼ばれる、すべての血液細胞に成長でき、かつ自分自身も複製することができる「血液の種」のような細胞が存在している。造血幹細胞はいろいろな血液細胞を作る能力だけでなく、自分自身を複製する能力も持っている。このため造血幹細胞は高い再生能力を示し、骨髄移植などの再生医療に用いられている。